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『アメリカ帝国の衰亡』ポール・スタロビンを読書。

アメリカは偶然、覇権国に成ったが、今や凋落。今後は、多極化、中国、インド、都市国家、世界文明などが予想される。
政治家や識者の発言の引用や、関係者に直接面談した結果の多さに驚かされる。大著。

お勧め度:☆☆(外交に関心の高い方)

○米国台頭
・新大陸のフロンティアは、入植者に楽観主義や多民族主義を与えた。
・当初は欧州の制度(奴隷制など)を継続。第7代大統領ジャクソンの頃より、独自性が表れる。
・GDPは、1840年は英国の半分であったが、72年に逆転。
・1846年英国は保護貿易(穀物法)を廃止。米国は1913年に廃止。
・20C初頭、米国文化(ジャズ、摩天楼など)を欧州に輸出。
・1941年雑誌『ライフ』の創刊者ルースは、社説で米国例外論を発表。
・1950年英国はギリシャ、トルコの支配を米国に譲渡。
・安全保障補佐官キッシンジャー、ブレジンスキーなどが米帝国を支えた。

○米国凋落
・空港など魅力的な建築が少ない。インターネットの速度が遅い。投票率が低く、女性議員も少ない。環境保護意識が低い。
・財務状況が悪化し、「世界の警察官」の維持が困難に。

○多極化
・帝政ロシアが復活。ロシアがグルジアに侵攻した時、米国は支援できず。ロシアは好戦的。
・イラン、アフガニスタン、パキスタンで米国の影響力が低下。イスラム勢力にも注意。
・インドの人口は12億人、しかも若者が多い。しかし民主主義が強く、効率が悪い。
・ブラジルの発展も予想されるが、ラテン・アメリカで唯一ポルトガル語が公用語。性格も温和。
・米国例外論の共和党は、多極化で劣勢に。

○中国
・チリの銅鉱山に出資。中国語教育も盛ん。
・2020年経済力(購買力平価)で米国を逆転。軍事力でもアジアを制する。

○都市国家
・モスクワ、テルアビブ(イスラエル)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、バンガロール(インド)など個性的な都市がある。

○世界文明
・世界文明は、商業(商法、国際会計基準)、人権(人権宣言、アムネスティ、国際刑事裁判所)、環境、大学、メディアで進行。

○カリフォルニア
・GDPは世界8位に相当。以下スペイン、カナダ、ブラジル、韓国、インドが続く。
・アメリカ偏重でなく、多国の文化・言語が混在。
・シリコンバレーやサンディエゴで、アップル、クレイグスリスト、バイオ企業などが躍進。

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