top learning-学習

『緒方貞子という生き方』黒田龍彦(2002年)を読書。

国連難民高等弁務官(UNHCR)を10年務められた緒方貞子の半生記。
現在シリア難民問題が騒がしているので、少し古い本ですが読んでみました。
世界的に活躍され、感動物です。読んで欲しい一冊。

お勧め度:☆☆☆

○国際人の誕生
・1927年東京で生誕、曽祖父は犬養毅。聖心女子大、ジョージタウン大、カリフォルニア大を卒業。60年結婚。テニスの名手。
・65年国際基督教大の講師に。68年市川房枝から請われ、国連総会日本代表団に参加。国連人権委員会、ユニセフでも活動。
・79年上智大学教授、国際政治を教授。90年国連事務総長の推薦でUNHCRを10年務める。

○難民救済
・91年湾岸戦争停戦直後、フセインがクルド人を弾圧、200万人が難民に。原則は国境を超えないと難民とならない、イラク国内に安全地帯を設けクルド人を保護。
・92年ボスニアで紛争が発生、少数派のイスラム系住民が迫害を受ける。包囲された首都サラエボに支援物資を空輸。95年停戦。
・現場主義で世界各地を視察。犬を助けた話、地雷が爆発した話、オガタ・サダコと命名した話、牛を貰った話など。
・ルワンダ紛争でフツ族210万人が難民となり救済。
・00年任期終了。モザンビーク、インドネシア、ガテマラ、ボスニア、ルワンダの難民問題を解決。アフガニスタン、コーカサス、チェチェン、スーダンの難民問題は未解決。

○緒方貞子
・緒方就任以前のUNHCRは慈善事業の雰囲気。難民の増加もあり、予算・要員が倍増、雰囲気も一変。
・難民の悲惨な状況への怒りが原動力。難民が帰還した時の笑顔が喜び。
・娘・妻・母として家庭と仕事を両立。「女性は男性と人生のサイクルが違う」と発言。
・「なるべくしてリーダーになった人」「小さな巨人」「敵を恐れぬが、敵がいない。落ち着いていて、確信を持つ」など世界各誌が絶賛。ローマ法王は「UNHCRに不滅の歴史を残した」と発言。
・国際ケア賞、ユネスコ平和賞、マグサイサイ賞など、受賞した賞は限りない。

○地球を救う
・世界には不平等(貧困、健康、教育)や環境などの問題が山積。紛争の長期化により難民問題も長期化。
・00年NGO・政府の難民緊急対応能力の育成のため「eセンター」を発足。日本に対し、資金提供だけでなく、NGOなどの要員提供を要望。
・01年小泉内閣で外務大臣に内定していた。「緒方さんを首相にする会」が存在した。
・911テロによりアフガニスタンの難民問題(460万人)は長期化。02年アフガニスタン復興支援会議の議長に就任。

top learning-学習