『児玉誉士夫 巨魁の昭和史』有馬哲夫を読書。
ロッキード事件で有名な児玉誉士夫の伝記。
日本にはインテリジェンス機関がない。外人からの政治献金は禁止。中曽根以降、政治家が小粒になったなど理解できます。
昭和の政治史を理解するのに充分な大著。
お勧め度:☆☆☆
○戦前-国粋主義青年からインテリジェンスへ
・1911年生誕。29年国粋主義団体「建国会」に参加。30年天皇直訴事件で投獄。32年クーデターが発覚し投獄。
・37年中国渡航、陸軍嘱託としてインテリジェンス活動。緒方竹虎、辻政信と知り合う。
・43年児玉機関で海軍へ物資を調達。
○占領期-協力者
・46年A級戦犯として収監。48年釈放。GHQの下で台湾義勇軍の募兵や物資を密輸。
・米国にはG-2(陸軍)、CIA(大統領)などのインテリジェンス機関が存在。CIAは児玉にタングステン調達(W作戦)を依頼。
○鳩山内閣-政界工作
・保全経済会を通して鳩山を支援。54年鳩山内閣誕生。55年保守合同。
・鳩山は日ソ国交回復。自主防衛を目指す児玉は、鳩山から離れる。
○岸内閣-ロッキード秘密顧問
・57年岸内閣誕生。この頃、児玉は主流派の河野一郎を支援。58年ロッキード・グラマン事件でも岸と衝突。
・54年第五福竜丸が被爆。CIAは反米・安保破棄を恐れ、岸を支援。
・60年安保改定、岸退陣。池田内閣誕生。
○池田、佐藤内閣-政治フィクサー
・池田内閣は日韓国交回復。児玉は韓国から二等樹交勲章を授与。
・64年佐藤内閣誕生。71年中曽根は第四次防衛力整備計画で自主防衛を強調。
○田中内閣-政治フィクサー
・72年7月田中内閣誕生。この頃、児玉は中曽根を支援。
・72年7月田中・キシンジャー会談。貿易不均衡を航空機などの輸入で解消する事で合意。
・72年9月日中国交回復。10月航空機・哨戒機・防衛装備国産化廃止。両項はバーター。10月全日空はロッキード社トライスターの購入を決定。
○三木内閣-ロッキード事件
・74年田中退陣、三木内閣誕生。
・76年2月コーチャンは米上院チャーチ委員会で多額の政治献金(児玉、丸紅ルート)を証言。CIAの秘密資金は不問。
・76年3月児玉は外為法違反と脱税で起訴。84年死去。
・76年12月三木退陣、福田内閣誕生。77年防衛庁はロッキード社哨戒機P3Cの導入を内定。
・82年中曽根内閣誕生。