top learning-学習

『官僚を国民のために働かせる方法』古賀茂明(2011年)を読書。

国家公務員制度改革に取り組まれた古賀氏の著書。
会社には消費者、政治家には選挙と言う評価者が存在する。しかし官僚に対する政治家は機能していない。その実態と対処法を記述。

お勧め度:☆☆☆

○進まぬ国家公務員制度改革
・08年著者は国家公務員制度改革推進本部に就くが、09年閑職の経産省大臣官房付に異動。11年政治主導・天下り根絶を掲げる民主党政権に疑問を感じ退職。
・大幅な財政赤字で増税が迫られているが、その前に無駄をなくすべき。
・09年内閣人事局を設置する国家公務員法改正案は廃案。

○官僚の実態
・年金問題や原発事故後の経産省人事など官僚(キャリア)は国益ではなく省益で動く。
・課長以上の人事は次官が決める。課長になると安定・出世を目指し公僕精神を失う。
・官僚は残業が多く非効率。
・年功序列のため、ポストが少なくなるのを天下りで補う。天下り先を作った仕事は高く評価される。

○内向き思考
・次世代産業基盤制度で科学技術庁と通産省が権限争奪。
・省内で異動するため、企業・団体との癒着に無頓着に。
・民間人を登用しても、結局官僚に飲み込まれる。
・早期退職後、独立行政法人、特殊法人、公社、公団などに天下る。
・民主党は政治主導・天下り根絶を掲げたが、支持母体が公務員労組のため改革できず。
・官房副長官補に財務省の指定席があり、財務省は絶大な権限を持つ。
・09年郵政人事は財務省の天下り。
・野田内閣は朝霞公務員宿舎問題で官僚に振り回される。
・優秀な人材は霞が関に失望し退職。

○政治家
・政治主導・脱官僚が騒がれるのは日本だけ。官僚には、政治家より自分達が上、と言う意識がある。
・組閣直後の大臣記者会見は各省の代弁。
・鳩山内閣で政治主導のための国家戦略室設置法案は棚上げ。

○対処法
・指定職(部長、審議官など)は一旦退職後に就任。ポストはJリーグ方式で強制的に入替える。
・人事権を各省から内閣人事局に。
・評価目標の明確化。360度評価の導入。
・ジョブ・ディスクリプションで民間人採用。官民交流の促進。
・天下りに対し再就職監督委員会を設置し、刑事罰化。
・大手メディアは官僚寄り、騙されるな。
・政治主導になるよう、政治家を問い詰めろ。
・官僚が公僕精神を取り戻した時、日本は再生する。

top learning-学習