『続・暴力団』溝口敦(2012年)を読書。
最近、暴力団抗争があるので選択。
日本の暴力団対策は中途半端。
2011年暴力団排除条例(暴排条例)が全国で施行。本条例は住民にも多く関係し、状況に変化。
暴力団の実情を理解するのに最良の本。
お勧め度:☆(多くの人には縁がないかと)
○概要
・91年暴力団対策法(暴対法)成立。暴力団を合法化。
・11年島田紳助が芸能界を引退。
・11年暴排条例が全国で施行。暴力団との交際、利益供与を禁止。
・11-12年暴力団が住民を銃撃する事件が福岡県で3件発生。
○暴力団幹部との対談
・暴排条例は法の下での平等を無視。
・違反した企業名の公表で倒産する企業が。
・暴力団がアングラ化(半グレ集団、宗教法人に脱皮)している。
○法律
・91年暴対法は指定した暴力団の要求行為(みかじめ料要求など=シノギ)を禁止。
・11年暴排条例は一般住民、企業に対し、暴力団との交際、利益供与を禁止。
・暴排条例は生活権を奪っている(借家が賃借できない、銀行口座が開設できない、公共工事の下請けができないなど)。暴排条例には反対声明も。
○出会ったら
・お金を払ったり貰うのは危険。
・保護対象者を警護するプロテクション・オフィサー制度がある。しかし福岡県では保護対象者の元警部が銃撃された。
・犯罪組織(暴力団)を合法化している先進国はない。
○芸能界
・島田紳助は右翼の妨害活動を回避するため、極心連合会会長と交際。
・他に人気漫談家、大物演歌歌手などのケースがある。
・最近は暴力団との接触を避け、半グレ集団との交際が主流に。
○警察
・99年桶川事件は警察改革(警察官の増員、統計に軽微犯罪を計上)の転機。
・00年福岡県警カジノ汚職事件で大規模な汚職が発覚。
・暴排条例は勧告・中止命令に留まり、検挙まで行かない。
・江戸時代から警察が優位で、暴力団は協力的だったが、今は三ない主義(言わない、会わない、入れない)。
・警察官は退職後、ゴルフクラブ、銀行、生損保、百貨店、ホテル、暴力団追放センターなどに再就職。
○暴力団の行く末
・米国マフィアは11年一斉逮捕。伊国マフィア・リーナは93年逮捕。共に衰退。
・暴力団はフランチャイズ制(上納)で上に厚く、下に薄い。弘道会会長の保釈金が15億円のケースも。
・元暴力団員が正業に就くのは難しく、生活保護、刑務所が救い。