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『知識欲の誕生』アラン・コルバンの感想。

1895年フランスの農村で開かれた講演会がテーマ。帝国主義時代で愛国心や農業などを講演。
丁度日清戦争があった時期、日本国民の方が意識が高かったのでは。
19C欧州に関心が強いので面白かったが、翻訳なので難しい。

お勧め度:☆☆

○概要
・1871年仏国は普仏戦争で敗れ第三共和制に。
・1895年仏国中部オート・ヴィエンヌ県の農村モントロールで小学校教師が10回講演。テーマはマダガスカル、アルジェリア、愛国心、ジャンヌ・ダルク、農業、霜など。受講者は地区の農民など総計1507人。
・当時の識字率は7割。住民は行商文学(宗教書、小説など)や学校図書館(農業書、歴史書など)で書物に接したが数は少ない。

○講演の内容
・マダガスカル(1回目)-1885年仏軍はマダガスカルの王国の首都アンタナナリヴを占拠。協定を結びマダガスカルを保護領化。
・愛国心(2回目)-ドイツ、英国の産業化、科学進歩、人口増は脅威。心構えが必要。
・シャロット・コルデー(3回目)-1793年彼女は恐怖政治したジャコバン=山岳派マラーを暗殺。
・ジャンヌ・ダルク(4回目)-1429年彼女は百年戦争でオルレアンを解放。

○知識の取得
・住民は口承(教会での説法、情報セレモニー、政治集会など)で知識を取得。
・1881年ジュール・フェリー教育相(のち首相)はカトリック系学校を私学化し、宗教を教育から分離。さらに初等教育を無償化(ただし講演会は後回し)、公立学校を優位に。

○講演の内容
・農業(5回目)-土地改良と肥料(堆肥、リン酸塩、石灰)で生産性が高まる。
・団結(6回目)-団結は思想・目的・理想を共有し国に必要。一方、団体(労働組合、農業組合)は国に危険な場合もある。講師は卒業生による親睦会を創立し、射撃大会を実施。
・プロイセン(7回目)-1757年仏連合軍は七年戦争のロスバッハの戦いでプロイセン軍に大敗。92年仏軍はヴァルミーの戦いでプロイセン連合軍に勝利。勝利には指揮官の演説や振舞いが重要。
・植民地(8回目)-アルジェリアは仏国のアフリカ進出に重要。住民に移住を要望。
・霜(9回目)-霜は農畜産物に被害を及ぼす。科学的に気象観測し適切な対処を。
・勤労(10回目)-勤労により財産が世襲できる。収穫、家畜の成長、食事に喜びを感じ、疲労を癒す。仏国でも労働法が整備されつつある。仏国の発展には学者への尊重、愛国心、勤労が必要。

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