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『2025年の世界予測』中原圭介を読書。

シェール革命でエネルギー価格は下落し、米国・日本は製造業が回帰し、世界は良いデフレになると予測。
キーワードはシェール革命、物価下落、水素、燃料電池かな。
大変分かり易く、先が明るくなる本。

お勧め度:☆☆

○資本主義の終焉
・先進国は製造業の海外移転で中間層が没落。上位10%が所得全体の米国では48%、日本では40%を占め格差社会に。
・新興国の都市では人件費が高騰し、世界の経済成長率は低下。

○物価下落
・シェール革命によりエネルギー価格が下落し、物価は下落する。豊富な天然ガスで石油、石炭の価格も下落。エチレンの価格は1/10に下落。燃料価格の下落で農畜産物、鉱物の価格も下落する。
・米国の製造コストは中国より安くなり、製造業が回帰する。
・デフレ、インフレ共に、所得と物価の関係で良し悪しがある。エネルギー価格の下落は、所得に先行し物価が下落し「良いデフレ」。産業革命の要因の一つに石炭価格の下落がある。日本のデフレは賃金が先行して下落する「悪いデフレ」だった。

○原油
・シェールオイルの採掘コストは1バレル50ドル。中東産油国は社会保障のため財政上の損益分岐点は1バレル100ドル程度。
・イラク、イランは大産油国に回復する。

○水素社会
・水素は石油採掘時に得られ、石油精製所、製鉄所でも多量に作成される。燃料電池車の普及が期待され、大型水素発電所、家庭では「エネファーム」で発電。
・メタンハイドレートは採取方法、原発は核燃料の最終処分方法が未解決。再生可能エネルギーは不安定で割高。

○電気料金
・電気料金は小売自由化、発送電分離や天然ガス価格の下落で半値になる可能性がある。電力小売は電気、ガス、携帯電話のセット割が主流になる。丸紅、日本製紙、王子HDなどの新電力が発電に参入する。

○雇用
・日本の製造業雇用者数はピーク時1600万人から、低賃金のサービス業に流れ1000万人に。
・新興国の人件費高騰で、先進国に製造業が回帰する。エネルギーコストの低下、環境コストの増加、先進国の法人税減税、新興国の移転価格税制による課税もこれを助長する。

○燃料電池車
・日本は石油精製所、製鉄所で水素を多量に作成し、水素で世界をリード。
・電気自動車は充電時間、走行距離のデメリットから普及しない。燃料電池車は技術革新が進み、ハイブリッド車の次に普及する。
・北九州市で「水素タウン」の実証実験をしている。

○産業
・日本は自動車・環境・ロボット・農業・観光・医療が伸長、家電・化学は後退する。

○少子高齢化
・出生率低下、出産適齢女性の減少で少子高齢化が進む。社会保障制度(年金など)の支出で財政は破綻する。退職年齢を75歳、消費税を20%にする必要がある。

○人材
・グローバル人材=英語ではない。現地の宗教・歴史・文化・習慣を知る事(現地化)が重要。米国の一流大学生は年間500冊の本を読む。

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