『新共和党宣言』島田一を読書。
新共和党による政治改革を説いています。
政府を1府4省(首相府、国民省、経産省、外交省、国土環境省)に改組し、政策を大幅に変更します。
著者は新自由主義者と云えますが、政策立案者なのか?特に税、福祉、金融に詳しい。
お勧め度:☆☆
キーワード:公共セクター、40歳定年制、民営化・株式化、スーパーシティ
○まえがき
・日本は1千兆円の借金があり、国債暴落のリスクがある。600兆円の資産があるが実質は不明。「年金テロ」の様に「国債紙くず」の恐れがある。
○プロローグ
・日本人には危機感がなく、公共セクター(官僚など)に丸め込まれている。
・公務員を40歳定年制とし、官民を流動化する。政府を5組織(首相府、国民省、経産省、外交省、国土環境省)の共和制にする。
○統治機構
・接待・天下りの禁止は官を孤立させた。米国に言い成りの財務省・日銀による金融緩和の継続がバブル崩壊の原因。権力を握った官は財政コストを削減しない。
・民主党の問題は経済を理解していない事。自民党は二世議員が多く、問題意識がなく靖国神社に参拝。
・「記者クラブ」により官を批判できないメディアも問題。
・公共セクターは雇用制度、働かない者を支援する生活保護制度、薬漬けの医療制度、不透明な補助金などで非効率。
・国民はボランティアにより自治意識を高めよ。
○民主主義
・日本は官僚専制から共和制への改革が必要。それには「言論の自由」が重要で、記者クラブを止め記者会見を開放する。「シンクタンク」の育成も重要。各省の「審議会」は結果ありきで無意味。財務省が強く三権分立でない。
○法治
・法律を簡素化する。首相府法制局、裁判所、検察は民の経験を取り入れる。
○40歳定年制
・公務員の40歳定年制で官民を流動化させ、民の納税意識、財政監視意識を高める。ゴルフ・飲み会は解禁する。人事は首相府人事局が行い、次官・局長・課長を優遇する。
○コスト削減
・コスト削減には公務員の意識改革と複式簿記による透明化が必要。公務員等監視委員会を設置し不正(コネ、癒着、利益相反、天下りなど)を調査する。会計監査院も強化する。無駄な法律を削減する。独立行政法人を民営化・株式化し収入を得る。
○税
・税収は90年60兆円が40兆円に。使い方と徴収が問題。税の簡素化・透明化で民の納税意識を高める。税の目的と所轄を明確に。所得税は国民福祉(国民省)、法人税は企業育成(経産省)、固定資産税は国土開発(国土環境省)、消費税は外交・防衛(首相府)に使う。
・法人税の課税は国際的に難しく、実効税率を40%から25%に下げる。一方消費税は15%に引き上げる。消費税は5段階とし、資産(土地、建物、株など)は0.05%、ギャンブル・アルコール・タバコは60%とする。
○地方自治
・地方に財源と責任を移譲し、地方自治を徹底する。緑化面積が7割以下の自治体から「緑化税」を徴収し、環境保全に充てる。
・地方企業の活性化のため地方銀行の融資規制を緩和する。
○労働
・最低賃金は複数に分け、弾力化する。外国人労働者には専用の最低賃金を導入する。
・解雇の自由化を進め、定年制は廃止する。障害者は公共セクターが集中して雇用する。
・100時間以上の残業は禁止する。有給休暇の消化は義務化する。
○金融
・資産バブルは財務省・日銀が資産価格を無視したのが原因。金融緩和により非リスク資産がリスク資産になる恐れがある。
・銀行と証券は分離させる。公共セクターを民営化・株式化し、直接金融市場を育てる。銀行は融資に専念し、与信能力を培う。
・金融取引はリスクの塊。レバレッジの高い商品や複雑な仕組み債は禁止する。
・GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は600程度のファンドに分け、ファンドマネージャーに運用させる。
・義務教育に投資を加える。
○少子化
・仏国・スウェーデンはシングルマザーが5割以上。日本もシングルマザーなどを支援する制度が必要(戸籍を個籍に、夫婦別姓の自由化、子供・子育て手当の充実、小児科診療報酬の引き上げ、幼保小一貫教育、奨学金制度の充実、恋愛教育、売春防止法の緩和)。
○教育
・親の経済負担を軽減するため3歳から高校までを義務教育とし、18歳になると経済的に自立させる。職業専門高校を多様化する。高校卒業後のボランティア活動を義務化する。教師も40歳定年制とする。大学への寄付制度を導入する。海外の一流校を招致する。
○国土
・鉄道・高速道路会社と連携し、コンパクトシティとスマートシティの特徴を持つスーパーシティを全国に建設。スーパーシティ建設を経済成長の柱に。
○エネルギー
・原子力政策は古い原発の廃炉、小型炉の開発、核融合・原爆の研究。エネルギーの多様化・効率化を図る。
○国防
・①米国との同盟強化②核武装③中国の属国のいずれかを選択。核兵器の保有も視野に。東アジアに限定し集団的自衛権を保持。東南アジアと連携し中国包囲網を。
・NHKを広報庁とし戦争放棄をアピール。
・自衛隊予算を増額(1兆円米軍に拠出、1兆円ミサイル開発)。
○政府
・政府を1府4省(首相府、国民省、経産省、外交省、国土環境省)に改組する。
・首相府は会計、法務、警察、公安、防衛、防災、歳入、広報、金融、科学技術、民営化、宮内の12庁。各省で予算編成、コスト削減を行う。
・外交省は特に強化する。外為特会100兆円を外交省に運用させる。
・厚労省は労働部門を国民省、医療部門を経産省に分割する。ハローワークは民営化する。
・国民省は企画、人権、教育、ボランティア、健康医薬、食品、労働、宗教、外国人、年金・保険、地方などの局を設置。
○人権と警察
・警察の逮捕権濫用を防止するため国民省人権局は弁護士を派遣する。警察官を3割削減し、代わりに監視カメラを増設する。
○新共和党
・新共和党は国民福祉の向上と人権擁護を目指す。
・参議院は面積割りとし、衆議院は人口割りとする。国会は通年国会とする。