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『「空間」から読み解く世界史』宮崎正勝を読書。

世界史を空間の拡大(空間革命)から解説。
世界には6度の「空間革命」があったとし、特に第4の空間革命(大航海時代)を「陸の時代」から「海の時代」への転換として重視。

お勧め度:☆☆☆(期間的にも内容的にも重厚)

キーワード:空間、空間革命、大地溝帯、農業、都市、文明、諸地域、宗教、諸子百家、ギリシャ哲学、帝国、ササン朝ペルシア帝国、ローマ帝国、キリスト教、秦・漢・隋・唐、イスラーム教、アッバース朝、セルジューク朝、モンゴル帝国、ムガル帝国、オスマン帝国、明・清、大航海時代、インド航路、新大陸、オランダ独立戦争、英蘭戦争、三角貿易、蒸気機関、産業革命、市民革命、国民国家、米国独立戦争、フランス革命、ゴールドラッシュ、セポイの反乱、アヘン戦争/アロー戦争、帝国主義、第1次世界大戦、パリ講和会議/ヴェルサイユ条約、世界恐慌、第2次世界大戦、冷戦、情報革命、電子空間

○はじめに
・世界には6度の空間革命があった。大地溝帯→(①農業による空間革命)大河流域に文明が誕生→(②騎馬遊牧民による空間革命)諸地域に帝国が誕生→(③イスラームによる空間革命)ユーラシア帝国の誕生→(④大航海による空間革命)大西洋経済圏の誕生→(⑤産業革命/市民革命による空間革命)地球規模空間の誕生→(⑥情報革命による空間革命)電子空間の誕生。

○大河流域の文明
・20万年前「大地溝帯」に「ホモ・サピエンス」が出現し、ユーラシア大陸、アメリカ大陸、オセアニア大陸に移住する(グレート・ジャーニー)。
※先日モロッコで30万年前の人骨が見つかる。

・1万2千年前ヨルダンで麦の栽培が始まり、メソポタミア、エジプトに広まる。黄河流域ではアワ・キビ、長江流域では米、アメリカ大陸ではトウモロコシが栽培された。狩猟・採集から農耕への転換が始まった。
・前3200年頃メソポタミアで都市が建設され、都市と農耕集落が支配・従属関係となる。遊牧や商業を営む遊牧民も表れた。遊牧民は北アフリカではヒトコブラクダ、中央アジアではフタコブラクダ、草原では馬を使った(第1の空間革命)。
・ナイル川はモンスーンにより定期的に氾濫し、「エジプト文明」の灌漑農業を支えた。ファラオは2600年間(古王国、中王国、新王国)エジプトを支配し、前525年アケメネス朝ペルシア帝国により滅亡する。
・雪解け水が流れるチグリス川、ユーフラテス川が「メソポタミア文明」の灌漑農業を支えた。両河川の水位は不安定で『旧約聖書』の「ノアの方舟」の基になった。メソポタミアではシュメール、バビロン第1王朝(ハムラビ法典で有名)などが栄えた。
・「インダス文明」はインダス川の氾濫で灌漑農業を行っていたが、前1800年頃地震により流路が変わり衰退。前1500年頃アーリア人に征服される。インダス文字は未解読でインダス文明は不明点が多い。
・黄河は洪水を繰返し、「黄河文明」は黄河の下流域ではなく中流域に起こる。その後殷、周が栄える。殷王は神であったが、周は征服王朝のため周王は天子となった(易姓革命)。

○騎馬遊牧民による諸地域の帝国
・前7Cから前4Cにかけて都市は成熟し宗教が生まれ、農耕民と遊牧民の交易も盛んになり、諸地域で帝国が形成される(第2の空間革命)。
・前7Cアフガニスタンで二神論の「ゾロアスター教」(拝火教)が生まれ、「アケメネス朝ペルシア帝国」の国教となる。ヘブライ人にはヤハウェを唯一神とする民族宗教「ユダヤ教」が生まれる。前5C頃ガンジス川流域でアーリア人の「バラモン教」に反発し、「仏教」「ジャイナ教」が生まれる。中国では前5C以降、孔子(儒教)、墨子、孟子、荀子、老子、荘子などが学問を興す(諸子百家)。ギリシャでは前5C以降、ソクラテス、プラトン、アリストテレスなどが「ギリシャ哲学」を興す。

・前7Cアッシリア人が騎馬兵でメソポタミア、シリア、エジプトを統一。続いて前550年同じく騎馬兵にてペルシア人が「アケメネス朝ペルシア帝国」(前550~前330年)を建国。アケメネス朝は駅伝制を整備し、銀貨を鋳造した。この頃ウクライナには騎馬に優れたスキタイ人がいた。
・前11C以降レバノン地方のフェニキア人が東地中海の貿易で栄える。フェニキア人はアルファベットを考案し、ヨーロッパの文字の基になる。フェニキア人はアケメネス朝に支配される、一方ギリシャは前449年アケメネス朝に勝利する(ペルシア戦争)。
・前330年マケドニアのアレクサンドロス3世はアケメネス朝を滅ぼし、ギリシャ、エジプトからインド北西部に至る「アレクサンドロス帝国」を建国。彼の死後3国(マケドニア、セレウコス朝シリア、プトレマイオス朝エジプト)に分裂する。
・前3Cセレウコス朝シリアからパルティアが独立。226年ペルシア人がパルティアを滅ぼし、「ササン朝ペルシア帝国」(226~651年)を建国。ササン朝とローマ帝国は7Cまで戦争を繰返す。ササン朝で信仰された軍神ミスラはローマ帝国でも信仰されクリスマスを生み、仏教では弥勒として信仰された。

・前3Cローマがイタリア半島を統一。前146年フェニキア人の都市カルタゴに勝利し、前30年プトレマイオス朝エジプト(クレオパトラ)に勝利。ローマは地中海を制する海洋帝国となる。前27年オクタヴィアヌスは皇帝となる。「ローマ帝国」は地中海周辺を属州として支配した。
・属州ユダヤでイエスを救世主とする「キリスト教」が生まれる。313年キリスト教はミラノ勅令で公認され、392年ローマ帝国の国教となる。
・395年ローマ帝国は東西に分裂。476年西ローマ帝国はゲルマン民族移動により滅亡する。

・インドにアーリア人が侵入しカースト制、ヴェーダ(賛歌)、祭礼からなる「バラモン教」を形成。前1千年頃アーリア人はパンジャブ地方からガンジス川流域に移住。ガンジス川流域に米作の都市国家が形成される。これらの都市で「仏教」「ジャイナ教」が生まれる。前317年都市国家マガタ国のチャンドラグプタは北インドを統一し、マウリア朝を興す。
・320年インドでグプタ朝が起る。グプタ朝でバラモン教と仏教が融合した「ヒンドゥ教」が生まれる。

・中国は春秋戦国時代(前770年~)→秦・漢時代(前221年~)→魏晋南北朝時代(220年~)→隋・唐時代(589~907年)と類似の内陸帝国が興亡を繰返す。魏晋南北朝時代以降は遊牧民色が強くなる。
・「秦」の始皇帝は「郡県制」を敷き、道路を整備する。「漢」は「郡国制」を敷き、地方の自立を認める。漢は匈奴との戦争を繰返した。この頃「シルクロード」の存在が明らかになり、中国、インド、ローマが繋がる。
・「晋」は騎馬遊牧民に滅ぼされ、華北は遊牧民と農耕民が混在する世界となる(五胡十六国、北朝)。中国に仏教が伝わり、伝統的な道教も盛んになる。
・遊牧系の北朝「隋」が南朝「陳」を滅ぼし中華を統一。隋は華北と江南を結ぶ「大運河」を建設。続く「唐」は土地を皇帝の所有とする均田制を敷き、租庸調、府兵制を確立。唐は節度使の朱全忠に滅ぼされる。

○ユーラシア帝国
・7Cから14Cにかけてアラブ人、トルコ人、モンゴル人がユーラシア規模の帝国を建国(第3の空間革命)。アラブ人、トルコ人、モンゴル人はいずれも極限の地の遊牧民。

・アラビア商人ムハンマドはメッカでアッラーを唯一神とする「イスラーム教」を説く。メディナで遊牧民の長となるが、632年死去。イスラーム教の信者は統治を「カリフ」に委ね、「コーラン」を編集する。
・イスラーム教はビザンツ帝国(東ローマ帝国)とササン朝ペルシア帝国に対し「大征服運動」を始める。イスラーム教は各地に軍事都市を築き、ビザンツ帝国からシリア、エジプトを奪い、642年ササン朝を滅ぼす。800年カール大帝戴冠の背景にイスラーム教の存在があった。962年オットー1世は神聖ローマ帝国の皇帝に就く。
・661年シリアのウマイヤ家(スンニ派)がウマイヤ朝(661~750年)を興す。ウマイヤ朝は「大征服運動」を継続し、イベリア半島、北アフリカから西北インドに及ぶ大帝国に拡大。
・イランのアッバース家がウマイヤ朝を滅ぼし、「アッバース朝」(750~1258年)を興す。アッバース朝は①アラブ人とペルシャ人の平等②イスラーム法による統治③アラビア語での統一でアラブ帝国をイスラーム帝国に発展させた(アッバース革命)。
・アッバース朝の下で首都バグダードは栄え、陸ではヒトコブラクダ/フタコブラクダ/馬で交易を行い、海では帆船ダウで中国と交易が行われた。

・アッバース朝はスンニ派とシーア派の対立を鎮めるため、遊牧民のトルコ人を奴隷とし兵力とする(マムルーク)。トルコ系セルジューク族が「セルジューク朝」(1038~1194年)を興す。セルジューク朝は「スルタン」の称号を得て、徴税権を得る(イスラーム帝国のトルコ化)。
・ビザンツ帝国はセルジューク朝の攻撃を防ぐため、ローマ教皇に「十字軍」を訴える。当時欧州は鉄製犂や三圃制による「農業革命」で人口が倍増した。

・9Cイスラーム教はトルキスタンに広まり、モンゴルに接する。1206年大ハーンとなった「チンギス・ハーン」は中央アジア、西アジアへの遠征を開始、「モンゴル帝国」を建国。
・中国は宋(960~1127年)の時代で、首都は黄河と大運河の接点の開封で、官僚登用に科挙制を採った。宋は女真人の金により滅び、漢人は南宋(1127~1279年)を建国。南宋はジャンク船での交易が盛んであった。
・モンゴル帝国はオゴタイ・ハーン国/チャガタイ・ハーン国/キプチャク・ハーン国(トルコ人が実質支配)/イル・ハーン国(アッバース朝を滅亡、イスラーム式統治)/元(首都は大都、中華式統治)に分裂。
・モンゴル帝国は幹線ルート「草原の道」で中国、イスラーム、ロシアを繋げた。中国で発明された火薬は欧州に伝わり、欧州で大砲/鉄砲の開発が進んだ。

○ユーラシア帝国の崩壊
・中央アジアではトルコ人ティムールが「ティムール帝国」(1370~1507年)を建国。ティムール一族は北インドに「ムガル帝国」(1526~1858年)を建国。ムガル帝国はイスラーム教とヒンドゥ教の融和を図る。18Cになるとムガル帝国は混乱し、英国の植民地化を許す。

・1299年アナトリアではトルコ人が「オスマン朝」(オスマン帝国、1299~1922年)を興す。1453年ビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを陥落させる。オスマン帝国は地中海/黒海からイタリア諸都市を締出し、大航海時代の要因を作る。19Cになるとオスマン帝国は弱体化する。

・中国では明(1368~1644年)が中華帝国を復活させる。鄭和を朝貢使節としてインド洋に送る。海禁により交易は縮小したが、石見やメキシコの銀が大量に流入した。
・女真人が清(1644~1912年)を建国。清は重要ポストを偶数とし、女真人と漢人に与えた。中華世界でないチベット/内モンゴル/青海/東トルキスタンも支配した。

○「海の時代」の胎動
・羅針盤/火薬が欧州に伝わり、欧州西岸は商業が盛んになる。イタリア諸都市(ヴェネツィア、ジェノヴァなど)も交易で繁栄。フィレンツェのメディチ家は金融で栄えた。メディチ家などの大商人はルネサンスを支援した。
・ロシアではモスクワ大公国、ロマノフ朝(1613~1917年)が興る。バルト海と黒海を結ぶ河川が、毛皮の交易に利用された。ピヨートル1世はサンクトペテルブルクに遷都し、バルチック艦隊を創設した。

○大航海時代
・15Cから始まる「大航海時代」に商業空間はユーラシア大陸から大西洋、さらに地球規模へ拡大する(第4の空間革命)。「大西洋経済圏」は西欧を発展させ、「資本主義」を生んだ。海の覇権はポルトガル、スペイン、オランダ、英国と移った。羅針盤/海図/三角帆/舵で航海技術が発展した。

・ポルトガルの「エンリケ航海王子」はアフリカ西岸の南下を始める。その後1488年「喜望峰」が発見され、1498年ヴァスコ・ダ・ガマがインドのカリカットに到達する(インド航路)。ポルトガルは1510年インドのゴアを征服、1511年マラッカ王国を征服し、香料の産地モルッカまでの航路を確保する。
・1492年ジェノバの航海士「コロンブス」はスペイン女王の支援で大西洋を横断し、西インド諸島に到達(新大陸発見。他の航海と比べ圧倒的に短期間)。英国では1497年ヴェネツィアの航海士カボットがニューファンドランド島に到達。
・1519年ポルトガルの航海士「マゼラン」はスペインの支援で大西洋経由でモルッカを目指す。マゼランはフィリピンで死去するが、1522年部下がスペインに戻る。

・1519年スペインのコルテスは「アステカ帝国」を征服、1533年同じくスペインのピサロは「インカ帝国」を征服。新大陸の先住民は8割が天然痘で亡くなった。
・スペインはメキシコのサカテカス銀山、ボリビアのポトシ銀山から大量の銀を得た。銀はユーラシアとの交易に使われた。

・ルターやカルヴァンによる「宗教革命」でオランダ、英国には勤勉な精神が根付いていた。1648年三十年戦争後の「ウェストファリア条約」で国王を主権者とする「主権国家」体制が形成される。
・オランダはスペインに対し「独立戦争」(1568~1648年)を起こす。王室主導のスペインに対し、商人主導のオランダは多量の船舶を有し、また英国の支援もあり、独立戦争に勝利する。

・英国ではスチュアート朝と議会の内戦が起こる(ピューリタン革命、1642~49年)。クロムウェルはピューリタンの支援を得て勝利し、共和政を敷く。クロムウェルは「航海法」を定め、オランダとの間で「英蘭戦争」(1652~54年、1665~67年、1672~74年)を起こし勝利する。1660年王政復古するが、1688年議会と対立する国王を廃位し、オランダより新国王を招く(名誉革命)。
・主権国家時代は戦争が絶えず、各国は国債を発行した。1692年英国は法律で国債の支払いを国王から議会に移した。1750年頃になると国債市場が整備され、国債での調達が容易になった。
・英蘭戦争で覇権を得た「海の大国」英国と「陸の大国」仏国は「七年戦争」(1756~63年)を起こし、北アメリカでは「フレンチ・インディアン戦争」(1755~63年)を起こす。海軍が優位な英国が勝利し、カナダとミシシッピー川以東を得る。インド/西インド諸島/西アフリカでも英国が優位に立つ。

○産業革命、市民革命
・大西洋経済圏は「資本主義」を生んだ。寒冷の欧州と亜熱帯/熱帯のアメリカ/西アフリカは補完関係にあり、「三角貿易」を形成した。西アフリカからアメリカに「奴隷」が送られ、アメリカから欧州にはサトウキビ・プランテーションで作られた砂糖が送られた。プランテーションはコーヒー、紅茶、カカオ(ココア、チョコレート)に拡大した。
・インドから綿布を輸入していた英国は、西インド諸島で綿花のプランテーションを始める。1769年アークライトが水力紡績機を発明。1781年ワットは小型化した回転式蒸気機関を開発。1785年カートライトは蒸気機関で動く力織機を開発。1825年スティーブンソンは機関車を開発。小型化した蒸気機関は船舶にも利用された。これらの機械と蒸気機関の結合(産業革命)は地球規模の空間を形成した(第5の空間革命)。

・「市民革命」により国民/議会中心の「国民国家」体制が形成される。19C後半に列強が世界を分割する「帝国主義」になる。
・仏国との戦争で債務を抱えた英国は植民地での課税を高めた。1773年ボストン港でボストン茶会事件が起こり、1775年レキシントンで武力衝突が始まる(米国独立戦争、1775~83年)。翌年議会は「独立宣言」を採択する。
・1789年米国支援などで同じく債務を抱えた仏国は「三部会」を開くが、国王と議会が対立。バスティーユ襲撃から「フランス革命」が始まる。議会は「人権宣言」を採択する。1804年ナポレオンは統領から皇帝になり独裁を始める。ナポレオン没落後、反動のウィーン体制が形成されるが、1848年「二月革命」でそれも崩壊する。

○欧州の膨張
・銀の大半は中国に集まり、英国は金融で優位に立つため「金本位制」に転換した。19C後半のブラジル/カリフォルニア/カナダ/オーストラリア/南アフリカでのゴールドラッシュがそれを助けた。南アフリカでの「南ア戦争」はそのための戦争であった。
・1860年代帆船から蒸気船に、木造船から鉄鋼船に変わり、船舶の大型化・低価格化が進む。1869年「スエズ運河」が開通。19C欧州の人口は増大し、アメリカ/オーストラリアで大農場・大牧場が開拓され、それらの地域への移民が行われた。※日本の満州移民と同じだ。

・オスマン帝国/ムガル帝国/清帝国は欧州膨張の標的にされた。オスマン帝国からエジプト、ギリシャが独立し、バルカン半島の民族運動も激化した。オスマン帝国を巡る紛争は「東方問題」と呼ばれ、結果的に第1次世界大戦を起こした。
・1858年英国は「セポイの反乱」を機にムガル帝国を滅ぼし、「インド帝国」(1877~1901年)を建国。

・清への銀流出に悩む英国は、清にアヘンを輸出する。1840年英国は「アヘン戦争」を起こし、1842年「南京条約」で5港開港/賠償金/香港などを得る。1851年「太平天国の乱」が起き、中国の南半分を太平天国が支配した。1856年英国は「アロー戦争」を起こし、1860年「北京条約」で11港開港/貿易の自由などを得る。
・1895年清は「日清戦争」で敗北し、1900年「義和団事件」を起こし巨額の賠償金を払う。1911年「辛亥革命」が起き、翌年「中華民国」が成立する。

・1870年代もろい銑鉄が強くて柔らかい鋼鉄に代わり、石炭は石油に代わり、産業の中心は軽工業から重化学工業に移った(第2次産業革命)。景気循環で不況になると、政治家は「ナショナリズム」を煽った(帝国主義)。そんな中、ドイツと米国が台頭し、ドイツは建艦競争、3C/3B政策などで英国に対抗した。
・米国は南北戦争(1861~65年)を終え、大陸横断鉄道を建設し、1890年に西部開拓を終えた。1898年「米西戦争」で勝利し、スペインからキューバが独立し、米国はプエルトリコ/グアム/フィリピンを得た。またハワイを併合した。米国は1904年「パナマ運河」に着工し、1914年完成した。
・1884年ベルリン会議で欧州各国はアフリカを分割した。

○グローバル化
・1914年「サライェヴォ事件」から「第1次世界大戦」が起こる。予想に反し長期化し総力戦になる。
・1917年ロシアでは「三月革命」が起き、ロマノフ朝が倒れる。ボリシェヴィキのレーニンは「十一月革命」を起こし、社会主義国を建国し、ドイツと休戦する。
・1918年ウィルソン大統領が平和原則「14ヵ条」を発表。1919年戦勝国のみで「パリ講和会議」を開き、ドイツに巨額の賠償金を課す「ヴェルサイユ条約」を締結する。ドイツは賠償金の支払いに苦慮するが、米国の援助(ドーズ案)で乗り切る。

・西アジアではオスマン帝国が滅亡し、「サイクス・ピコ協定」により英・仏・露が帝国領を分割する。
・1919年中国で「パリ講和会議」に反対し「五・四運動」が起こる。1928年中国国民党の蒋介石は北伐で統一をなす。

・米国では自動車/電器などの「大衆消費社会」が形成される。しかし1929年「世界恐慌」になり、世界的経済危機に陥る。植民地を持つ英国/仏国は排他的経済ブロックを形成し、植民地を持たないドイツ/イタリア/日本はファシズムに向かう。

・1939年ドイツのポーランド侵攻で「第2次世界大戦」が始まる。1945年ドイツ降伏。日本は1932年「満州事変」、1937年「日中戦争」、1941年「太平洋戦争」を起こす。1945年日本降伏。

・第2次世界大戦は米国の一人勝ちになり、ドルを基軸通貨とする「ブレトン・ウッズ体制」になる。米国とソ連の「冷戦」(1947~89年)が始まる。1949年「中華人民共和国」が成立。1950年北朝鮮が韓国に侵攻し「朝鮮戦争」(1950~53年)が起こる。1962年ソ連のキューバでのミサイル基地建設で「キューバ危機」が起こる。1989年ソ連の解体で「冷戦」は終焉する。
・第2次世界大戦後、米国とソ連はアジア/アフリカの53ヵ国の独立を認める。1955年「バンドン会議」(アジア・アフリカ会議)が開かれる。
・1970年代巨額の軍事支出や産油国による石油戦略で米国一国の経済的優位が崩れる(1971年金・ドル交換の停止、1973年変動相場制に移行)。

・1970年代コンピュータ/ソフトウェア/通信による「情報革命」は「電子空間」を形成した(第6の空間革命)。「電子空間」により金融システムは刷新された。
・1976年毛沢東の死後、鄧小平が主導権を握り、農業/工業/国防/科学技術の現代化を掲げ、「社会主義市場経済」に舵を切る。
・今日世界は経済格差/失業/人口/環境/食料などの問題が生じている。

○おわりに
・本書はカール・シュミットの「空間革命」を基にしている。現在進行中の「電子空間」の影響は計り知れない。

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