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『繊維の種類と加工が一番わかる』日本繊維技術士センターを読書。

各繊維の特性や加工方法を解説。
大変詳しいので自分の知識に合わせて読めば良いと思います。

お勧め度:☆☆

キーワード:天然繊維/化学繊維、フィラメント/ステープル、紡績、織物/編物、麻/綿/絹/羊毛、ポリマー、レーヨン、ナイロン/ポリエステル/アクリル、共重合、複合紡糸、織物組織、織機、よこ編/たて編、編機、染色、仕上げ加工/一般仕上げ加工/機能加工、染料/顔料、浸染/捺染、TES(繊維製品品質管理士)、IT化、表示項目/組成表示/取扱い絵表示/原産国表示/サイズ表示、制電性、吸水性/吸湿性、透湿・防水性、保温性

○繊維
・「繊維」には「天然繊維」(植物繊維-麻/綿、動物繊維-羊毛)、「化学繊維」(再生繊維-レーヨン、合成繊維-ナイロン/ポリエステル/アクリル)がある。繊維の大半はポリエステルと綿である。
・繊維を長さで分類すると「フィラメント」(長繊維)、「ステープル」(短繊維)。ステープルは「紡績」によって糸になる。糸を織ると「織物」、編むと「編物」になる。

○天然繊維
・「麻」は古い繊維で、亜麻/苧麻から取れる。麻は「セルロース」からなる。
・「綿」もインド/南米が原産の古い繊維。品種により多少長さが変わる。
・「絹」は中国が起源で、繭から取れる。天然繊維で唯一のフィラメント(1本で1.5Km)。
・動物には刺毛/産毛があるが、羊は品種改良により産毛だけになり、それを「羊毛」として利用している。

○化学繊維
・化学繊維は「ポリマー」(高分子)を液状化し、細孔から押し出し、繊維にする(紡糸)。
・「再生繊維」で最初に作られたのが、天然のポリマー(セルロース)から作られた「レーヨン」。

・「合成繊維」で最初に作られたのは「ナイロン」で、、1935年米デュポン社によって作られた。
・その後ポリエチレンテレフタレート(PET、ペットボトルにも利用)から「ポリエステル」が作られた(他にポリトリエチレンテレフタレート(PTT)などから作られる)。ポリエステルは衣料/産業資材など広く利用されている。
・1950年頃開発された「アクリル」は、ポリアクリロニトリル(PAN)を繊維化したもの。「アクリル」は他の成分を混ぜて(共重合)、柔軟性/染色性を高めている。

・「合成繊維」の断面は、理想の「三角断面」や、保温性のある「中空断面」にしている。また違う種類の繊維を混合させる「複合紡糸」も行われている。またポリエステルは非結晶部が染色するため、非結晶部の活性化を行ている。※他にも様々な要素技術がある。
・コスト削減のため、製造プロセスの改善や高速化が行われている。現在は7000m/分(400Km/h、新幹線より速い)で生産される。

○織物
・「織物」は、たて糸とよこ糸で織られ、伸縮性は低い。
・1733年「フライ・シャットル織機」が発明され、その後「織機」は飛躍的に発展する。「シャットル」(杼)は、よこ糸を通す道具で、スペース・シャトル/シャトル・バスも同じ意味。
・「織物」には様々な分け方がある。原料から-綿織物/麻織物/毛織物/絹織物/化学繊維織物/合成繊維織物、形態から-平織物/斜文織物/朱子織物、組織から-二重織物/パイル織物/絡み織物/綴織物などがある。

・織り方は「組織図」で表す。「一重組織」の基本が「三原組織」(平織、斜文織、朱子織)。「二重組織」は、たて糸または、よこ糸を2種使用する織り方で、織物を厚くしたり、柄を織る事ができる。「パイル組織」はパイル糸をループまたは切断している。ビロードやタオルで使用される。※他にも多種類ある。

・「織機」には手動の「手織機」、動力で動かす「力織機」などがある。織機は、よこ糸の入れ方で多種類に分かれる。※織機について詳しく解説しているが省略。

○編物
・「編物」は、たて糸/よこ糸の一方をループさせて編みます。編物はメリヤス/ニット/ジャージと呼ばれるが、メリヤスは下着、ニットはセーター、ジャージは外衣を指す事が多い。

・「よこ編」の編目には表目/裏目があり、「たて編」の編目には開き目/閉じ目がある。
・「よこ編」の編み方の基本は「三原組織」(平編、リブ編、バール編)。2列針床で「両面編」も作れる。「たて編」には、シングルデンビー編/シングルコード編/シングルアトラス編などがある。※他にも多種類あるが難解なので省略。

・「編機」の編針や針床を解説。ニット製品の製造工程を解説。※複雑、難解なので省略。

○布地の性質
・布地には引張強さ/引裂強さ/破裂強さ/摩擦強さが要求される(機械的性質)。しわ/ピリング(毛玉)/スナッグなどの外観の変化が生じる(外観特性)。水/熱などで収縮する(寸法安定性)。水蒸気に対しては吸湿性/透湿性、水に対しては吸水性/防水性がある。保温性は、布地に含まれる空気量に大きく影響する。風合い特性(手触り/肌触り)がある。

○染色加工
・繊維製品に着色する事を「染色」と云い。また様々な機能性を付加する事を「仕上げ加工」と云う。

・繊維または糸の段階で染色する事を「先染め」、布の段階で染色する事を「後染め」と云う。
・着色剤には繊維と親和性がある「染料」と、親和性がない「顔料」がある。多くは合成染料が使われ、綿/麻/レーヨンでは反応染料、ポリエステルでは分散染料が主に使われる。

・着色方法は、糸/布を染料に浸ける「浸染」と、布に直接着色する「捺染」がある。染料が繊維の粗雑な部分(非結晶部)に結合する事で着色される。
・染色前の準備工程は、綿・セルロース系/羊毛繊維/合成繊維でそれぞれ異なる。※詳細省略。
・「浸染」に使用される薬剤や未固着の染料は排出される。浸染用「染色機」の詳しい解説がある。※詳細省略。

・「捺染」では、染料と薬剤を混ぜた「色糊」を事前に作成する。
・「直接捺染法」には、ハンドスクリーン捺染/オートスクリーン捺染/ロータリースクリーン捺染/ローラー捺染/転写捺染/インクジェット捺染がある。
・「直接捺染法」以外に、抜染法(染めた後に抜染糊を使って色を抜く)、防染法(染めない部分に防染糊を使う)、防抜染法(染めた後に抜染糊を使って色を抜く)がある。

・「一般仕上げ加工」には、①風合い調整(柔軟加工、糊付け加工、樹脂加工)②生地ゆがみ修正(幅出しヒートセット加工、防縮加工)③静電気防止(静電気防止加工)④生地表面調整(カレンダー加工、起毛加工)などがある。
・「機能加工」には、形態安定加工/撥水/撥油加工/防汚加工/防炎加工/UVカット加工などがある。※他にも沢山ある。

・繊維製品に関する資格にTES(繊維製品品質管理士)がある。

○縫製、繊維製品
・アパレルメーカーの企画・設計プロセスは、IT化(SCM、CAD/CAM、MDシステム、バーチャルファッション)が進んでいる。
・縫製工程、縫製機器の詳しい説明がある。※詳細省略。

・繊維製品の「表示項目」には「組成表示」「取扱い絵表示」「原産国表示」「サイズ表示」などがある。
・「組成表示」は、質量順に上位2つを表示し、残りは「その他」でもよい。
・「取扱い絵表示」は、洗い方/塩素漂白/アイロンの掛け方/ドライクリーニング/絞り方/干し方の順に表示する。
・「サイズ表示」の「寸法表示」には、チェスト(男性)/バスト(女性)/ウエスト/ヒップ/身長/足長(靴下のみ)/体重(乳幼児のみ)がある。「体系区分表示」には、J/JY/Y/YA/A/AB/B/BB/BE/E(成年男子の場合)がある。

○合成繊維の進化
・合成繊維は親水性が低いので、静電気を帯電し易い。親水性ポリマーを「複合紡糸」し、帯電し難くします。またカーボン/金属などを含んだ導電性ポリマーを「複合紡糸」し、帯電し難くする方法もある(制電性)。

・水を吸収する性質が「吸水性」で、水蒸気を吸収する性質が「吸湿性」。隙間を多く作ると吸水性が高まる。隙間を多く作る方法に①極細繊維の利用②異形断面繊維の利用③多孔繊維の利用④吸水性ポリマーの利用がある。「吸湿性」を高めるには「親水性」を高めるのが有効で、親水性ポリマーを利用します。

・「撥水性」を高めるには、極細繊維の織物の表面を「起毛加工」します。
・水滴の大きさは100μm、一方水蒸気の大きさは0.4nmです。「透湿・防水性」を高めるには、水蒸気を通すが、水滴は通さない孔を多く持った膜を利用します。

・「保温性」を高めるには、①中空繊維の利用②蓄熱性ポリマーを含んだ繊維の利用③水によって発熱する繊維の利用がある。
・他に「消臭素材」「抗菌・制菌素材」などがある。

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