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『世界のニュースなんてテレビだけでわかるか!ボケ!』さくら剛を読書。

世界の経済/政治/科学などのニュースを、ユーモアを交え解説。例えが面白い。
著者は世界を旅行しており、ユニークな話も多く書かれている。

お勧め度:☆☆(読み易い)

キーワード:サブプライムローン/リーマンショック/証券化商品、ハイパーインフレ、デノミ、ドバイ、ギリシャ危機、ウクライナ問題/クリミア、インド/IT/カースト制、オバマケア、ソマリア/海賊/自衛隊派遣、イスラム教/イスラム過激派、パレスチナ問題、iPS細胞/再生医療、ヒッグス粒子/質量/光速、ビットコイン、SNS、新型インフルエンザ、国際宇宙ステーション、温暖化/温室効果ガス/京都議定書/ホッケースティック曲線、レアアース、ニート/失業者、ブータン/幸福、ナスカの地上絵

○まえがき
・今は世界のニュースをリアルタイムで知る事ができるが、それを理解できるかは別問題。著者は理解できないので「入門書」を買って読んだが、相変らず理解できない。「いっその事、自分で書いてやれ」が、この本を書いた理由。

<経済ニュース>
○サブプライムローンとリーマンショック
・2008年末「リーマンショック」が起きた。リーマンショックの原因は「サブプライムローン」にある。サブプライムローンは返済能力の低い人に貸す住宅ローンである。住宅ローン会社は「住宅バブル」から、どんどん貸し出した。しかし「住宅バブル」の崩壊で、貸し倒れになった(サブプライムローン問題)。※住宅をイケメンで例えていて、面白い。

・実際はもう少し複雑で、「リーマン・ブラザーズ」などの投資会社は、その債権を買い取り、「証券化商品」として販売していた。「証券化商品」は暴落し、これらの投資会社は多大な損害を受け、「リーマン・ブラザーズ」は破綻した。※今度は「証券化商品」をAKB48で例えている。

○ハイパーインフレ
・ジンバブエでは「ハイパーインフレ」が起こり、2009年には1米ドル=100兆ジンバブエ・ドルまで下落した。この原因は財政赤字の解消のため、国家が紙幣を印刷し続けた事による。物価が高騰したため、更に価格統制で価格を半額にしました。これにより物資は闇市場に流れ、益々物価上昇を招いた。最終的にはジンバブエ・ドルを廃止し、米ドルに切り替えた。

○北朝鮮のデノミ
・例えば卵の値段が100倍になると、他の商品もそれに連動し値上がりします。インフレを起こす原因は様々ありますが、「気持ち(こりゃ大変だ!)」も強く影響します。それを和らげるのが「デノミ」です。ドイツでは「デノミ」でインフレが止まった実例があります。

・しかし北朝鮮は「デノミ」に失敗しました。1990年代、農業政策の失敗で多数の餓死者を出しました。食料難から物価が上昇したため、100ウォンを新1ウォンに交換する「デノミ」を実施し、交換の上限を10万ウォンとしました。そのため交換できないお金が市場に殺到し、インフレを加速しました。また「デノミ」後に労働者の給料を100倍にしたため、彼らは市場に殺到しインフレを加速しました。

○ドバイ
・ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)の1首長国です。ドバイには東京スカイツリーより高いビル「ブルジュ・ハリファ」や、ヤシの木の形をした人工島「パーム・ジュメイラ」があります。
・ドバイの石油産出量はUAEの5%ですが、経済政策「ドバイを世界のハブにする」で成功しました。巨大な空港を作り、「エミレーツ航空」を育てました。港も作り、貿易を振興しました。また7つ星ホテルや世界最高賞金額の競馬など、観光にも力を注ぎました。
※金持ちを招いて、彼らに消費させるのは効果的だな。

・しかし常に順風満帆だったわけではなく、リーマンショック時には「ドバイショック」が起きました。隣のアブダビ首長国のハリファ大統領の支援で切り抜けました。またドバイは糖尿病患者数の比率が世界2位です。これは世界1位にならなくても、良いですよ。

○ギリシャ危機
・2009年10月ギリシャの政権交代で財政のデタラメが発覚しました。ギリシャでは年金の支給額が引き上げられたり、国民の1/4が公務員であったり、脱税が横行していたり・・、財政破綻は当然の結果です。ギリシャは2500年前に「アリとキリギリス」(真面目に働くアリと享楽にふけるキリギリス)を作っておきながら・・。
・国民投票で緊縮財政反対派が勝利するなど、泥沼状態は続いています。

<政治ニュース>
○ウクライナ問題
・冷戦は終結しましたが、ウクライナで紛争が続いています。2013年末親ロシアのヤヌコビッチ大統領が、EUとの協定への署名を突然拒否しました。これに対しEU派がデモを起こし、ヤヌコビッチ大統領は逃亡し、暫定政権が誕生しました。クリミアは国民投票でロシア派が勝利し、ロシアに吸収されました。ウクライナ東部では親ロシア派(ロシア軍兵士)が武装蜂起し、独立宣言しました。

○インドのIT産業
・インドはIT産業で注目を集めています。ベンガルール(バンガロール)は「インドのシリコンバレー」と呼ばれています。
・インドでIT産業が発展した理由は①英語②初期投資が少額③新しい産業なので「カースト制」の制限を受けない、などがあります。

・ガンジス川はヒンドゥー教の聖地で沐浴する人が多くいますが、水は大変汚い。またインドはどこでも、ぼったくりとノラ牛がいる。

○オバマケア
・オバマ大統領の最大の功績は、地味ですが「オバマケア」です。米国の医療費は高額(著者は250万円で盲腸を手術した)で、しかも医療保険は任意でした。
・2010年3月医療保険改革法案(オバマケア)が成立します。今までと変わらず民間保険ですが、国民の9割が医療保険への加入が可能になりました。

○ソマリアの海賊
・ソマリアは無政府状態です。ソマリア沖では海賊(漁師)が銃器を持って船を襲い、乗務員を人質に取るのです。ソマリアでは「なりたい職業のナンバーワン」が海賊の地域があります。

・日本から自衛隊が派遣されましたが、武力行使できないため、「指向性スピーカー」で海賊を撃退しています。
・自衛隊派遣に反対する「ピースボート」が、現地で自衛隊に護衛を頼んだ滑稽な話があります。

○イスラム教とイスラム過激派
・イスラム教には相互扶助の精神があり、イスラム教徒は大変親切です。しかし思想を異にする「イスラム過激派」(アルカイダ、ボコ・ハラム、ISILなど)が存在します。日本の「オウム真理教」と一緒です。

○パレスチナ問題
・パレスチナは元はオスマン帝国の領土でした。第1次世界大戦の時、英国はアラブ人に「オスマン帝国と戦ったら、独立を許すよ」、ユダヤ人に「お金を貸してくれたら、独立を許すよ」、仏国には「オスマン帝国を山分けしようよ」と、三股ど助平プレイボーイです。
・第2次世界大戦後、英国はこの問題を投げ出しました。イスラエルが建国宣言した翌日、「中東戦争」が勃発しますが、イスラエルは豊富な資金で負け知らずです。

<科学ニュース>
○iPS細胞
・人間は1個の受精卵から37兆個の細胞になります。この細胞は「成熟細胞」で、他の種類の細胞になる事はできません。
・他方、多能性を持つ(他の種類になれる)細胞を「万能細胞」と云います。「万能細胞」は「再生医療」での利用が期待されています。杯から作る「ES細胞」も「万能細胞」の1つです。
・「iPS細胞」も「万能細胞」の1つです。細胞の遺伝子を操作する事で「iPS細胞化」(初期化)できます。本人の細胞を使用するので拒否反応はありません。

○ヒッグス粒子
・2012年7月「ヒッグス粒子」が発見された(らしい)で、大ニュースになりました。宇宙には「ヒッグス粒子」が拡散しており、光速の素粒子が「ヒッグス粒子」にぶつかる事で「質量を得る」代わりに「速度を失う」理論です。「質量がないものは、光速でしか飛べない」「質量があるものは、光速で飛べない」です。
※何となく理解。宇宙/物理は夢はあるけど、実利は少ないかな。

○ビットコイン
・「ビットコイン」が注目された切っ掛けは、2013年「キプロス金融危機」です。この危機でユーロは信用を失い、キプロス国民は「ビットコイン」を購入しました。
・1万円札が1万円の価値があるのは、多くの人がそれを認めているからです。

・大昔は物々交換でした、その後、希少価値の金銀が通貨として利用されました。更に兌換紙幣/非兌換紙幣へと変わりました。そして今や「ビットコイン」(仮想通貨)が使われる様になりました。
・「ビットコイン」も採掘量に制限があるため、希少価値があります。何よりも送金/為替手数料がないのが利点です。
※利便性から「仮想通貨」が使われる様になるのは、時の流れかな。

○SNS
・「国の発展度」と「現地の人が話し掛けてくる頻度」は反比例する気がします。それは発展した国ではテレビや本など様々な娯楽がありますが、未発展の国では原始的な「会話」が需要な娯楽なのでは。
・2004年に誕生した「ファイスブック」の起源は、入学アルバムです(日本なら卒業アルバムですが)。2006年に誕生した「ツイッター」はメッセンジャーが起源です。
・著者もメッセンジャーで「原稿」「編集者」などを使って「忙しい作家」をアピールしていましたが、今は「原稿」「編集者」を見ると反吐が出ます。またアピールし過ぎは反感を買うので、注意しましょう。

○新型インフルエンザ
・2009年メキシコで「新型インフルエンザ」が発生し「パンデミック」になりました。
・人はウィルスに対し「抗体」を持ちますが、人が「抗体」を持たない「新しいウィルス」を「新型インフルエンザ」と呼びます。※「新しいウィルス」を織田信長に例えて説明している。
・メキシコの場合、重篤の人しか病院に行かなかったため死亡率が高くなりましたが、実際は0.4%で普通のインフルエンザと変わらなかったそうです。
・インフルエンザは、普通、接触機会から「鳥インフルエンザ-豚インフルエンザ-人インフルエンザ」と感染します。

○国際宇宙ステーション
・国際宇宙ステーション(ISS)はサッカーコートと同じ位の大きさ(108m×73m)があり、しかも秒速7.7Km(時速28,000km)、90分で地球を周回しています。ちなみに弾丸に追い着く「アラレちゃん」は、時速3,000kmで走っています。ただし地球は時速10万Kmで太陽を公転しています。この巨大なISSは1988年から13年掛けて、宇宙飛行士が一から組み立てました。※こんなにデカいのか。
・ISSでは「高プラントル数流体の液柱マランゴニ振動流遷移における表面変形効果の実験的評価」などの実験や観測が行われています。※他にも色々記されていたが省略

<その他のニュース>
○温暖化
・著者が世界旅行をしていて最も寒かったのは、パキスタン北部のフンザです。1泊150円の安宿で気温2度の中、1晩寝ない様に頑張りました。気温2度は冷蔵庫と冷凍庫の中間の温度です。また最も暑かったのは、インドのバラナシで気温46度でした。それでもインドの子供達は元気に商売(ぼったくり)に励んでいました。

・「温室効果ガス」にはCO2/メタン/フロンなどがあり、赤外線の放出を一定量に抑えています。
・1997年のCOP3で「京都議定書」が採択されました。「温室効果ガス」の排出量を日本6%/米国7%/ドイツ8%/ロシア0%削減する協定です。厳しい目標の日本だけが、目標を達成しました。

・2001年国連機関のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が世界の気温変動を表すグラフを掲載しました。そこには直近100年で気温が急上昇する「ホッケースティック曲線」が記されていました。地球は温暖期と寒冷期を繰り返して来たのに、100年以前は直線なので真偽が疑われました。その後職員が交換したメールが流出し、捏造が発覚しました。

○レアアース
・2011年尖閣諸島近海で中国漁船船長が逮捕・勾留され、中国は報復として「レアアース」の輸出を禁止しました。
・レアメタルは47元素あり、その内17元素が「レアアース」です。ベースメタルの性能を引き出すのがレアメタルで、例えば鉄にレアメタル「クロム」を加えるとステンレスになります。

・「レアアース」は放射性物質と一体化して採掘されますが、中国は「そんなの関係ねえ!」で安価のため、中国が独占していました。この輸出禁止措置で一旦はオーストラリア産などに移りましたが、今は中国産に戻っています。同じ様な事は、産油国とシェールオイルの米国との間でも起こっています。

○ニート
・「ニート(NEET)」とは、15歳から34歳までの学校にも仕事にも行かず、職業訓練も受けていない人です。よって35歳になると「ニート」でなくなります。「失業者」は仕事をする意識があっても、仕事に就いていない人なので、「失業者」と「ニート」は別です。仕事をする意識があるか/ないかは微妙な差です。ちなみに実際の「ニート」は病気や怪我で働けない人です。

○ブータンの幸福度
・ブータン国民は97%が「幸せ」と感じています。憲法には「GNH(幸福度を表す指数)の追求」が規定されています。※日本の憲法にも「幸福」の言葉があった様な。
・ブータンでは医療費/教育費が無料です。また2010年に国民100人に1人の割合で、幸福に関する4時間以上のインタビューを実施しました。また学校では毎日瞑想の時間があります。またブータンにはチベット仏教の「足るを知る」思想があります。ただし財政の4割を海外に依存しています。

○ナスカの地上絵
・「新たなナスカの地上絵を発見」のニュースがありました。ナスカの砂漠の表面は黒い砂で覆われていますが、少し掘ると白い砂地が出て来ますます。茄子と似ています。
・著者はセスナに乗って「ナスカの地上絵」を観光しましたが、セスナの揺れが酷いので、下を見ず、なるべく遠くを見る様にしました。

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