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『図解でわかるフィンテック』和田茂夫(2016年)を読書。

フィンテックについて知りたかったので選択。内容には満足。
フィンテックを簡潔に云うと「ネットサービスで金融に関するもの」です。
これも金融ビッグバン/自由化の流れかな。

お勧め度:☆☆

キーワード:フィンテック、リーマンショック/スマートフォン、仮想通貨/ブロックチェーン、モバイルペイメント、ネオバンク、PFM(パーソナル・ファイナンシャル・マネジメント)、クラウド会計、ソーシャルレンディング/オルタナティブレンディング/トランザクションレンディング、クラウドファンディング、ロボアドバイザー、モバイル決済/オンライン決済、フリーミアム、送金、融資、クラウドコンピューティング、ウェブAPI、トークナイゼーション、ライフログ、本人確認(KYC)、銀行法/5%ルール/収入依存度、改正資金決済法/支払い手段、分散型台帳

○これがフィンテック(米国の先進サービス)
・インターネットでクレジットカード決済できる「ペイパル」がある。本サービスはメールアドレスとパスワードで決済できる。スマートフォンにカードリーダーを差し、クレジットカード決済できる「スクエア(Square)」もある。

・米国には銀行のサービスを無料で提供する「シンプル(SIMPLE)」がある。「ミント(mint)」は、複数の金融機関の口座情報を収集し、アドバイスしてくれる。「キャベッジ(kabbage)」は担保なしで与信し、融資する(オルタナティブレンディング)。貸し手と借り手をマッチングする「レンディングクラブ(LendingClub)」がある。
※以前テレビで見て、フィンテックはこの範囲だけと思っていた。

・「クラウドファンディング」には多種類ある(詳細後述)。米国には「キックスターター(KICK-STARTER)」がある。
・「ベターメント(Betterment)」は資金運用を支援する(ロボアドバイザー)。

○フィンテックとは
・新しいビジネスモデルに取り組むベンチャーを「スタートアップ」と云う。「スタートアップ」はフィンテックの担い手。
・フィンテックは「リーマンショック」により溢れた人材や、新しい金融ビジネスの必要性から生まれた。また「スマートフォン」の普及にもよる。

・中国のECモール「アリババ」、SNS「ウィーチャット」でもフィンテックの決済サービスを提供している。ケニアには送金サービス「M-PESA」がある。
・日本は世界から遅れていたが、融資/決済/資産管理・運用などでサービスが始まった。三菱東京UFJ銀行は仮想通貨「MUFGコイン」を行内で流通させている。日銀は「FinTechセンター」、金融庁は「FinTechサポートデスク」を設置し、対応を進めている。

・フィンテックは金融機関が提供していたサービスを、より良いサービスに「アンバンドリング」する。
・仮想通貨は「ビットコイン(bitcoin)」取引所の倒産で悪いイメージがあるが、「ブロックチェーン」技術は変革をもたらす可能性がある(詳細後述)。

○フィンテックで何ができる(米国での例)
・スマートフォンで決済/送金する「モバイルペイメント」に、「ベンモ(Venmo)」「アップルペイ(Apple Pay)」「アンドロイドペイ(Android Pay)」がある。
・今まで銀行が提供したサービスをスマートフォンで提供する「ネオバンク」に、「ムーブン(Moven)」「スマートティピッグ(SmartyPig)」「ダイム(Dyme)」「ディジット(Digit)」がある。

・複数の金融機関の口座情報を収集する機能を「アグリゲーション」と云い、APIで実現される。収集した情報から個人資産を管理するサービスを「PFM(パーソナル・ファイナンシャル・マネジメント)」と云い、「ミント」(前述)「エムエクス(MX)」がある。
・事業者向けのサービスは「クラウド会計」と云い、「クイックブック(QuickBook)」「インテュイット(Intuit)」「ゼロ(zero)」がある。

・貸し手と借り手をマッチングする「ソーシャルレンディング」に、「レンディングクラブ」(前述)、学資ローンの「ソフィ(Sofi)」がある。
・従来とは異なる方法で審査/融資する「オルタナティブレンディング」に、「オンデック(OnDeck)」「キャベッジ」(前述)「エイファーム(Affirm)」がある。
・ネットショッピングの取引から審査/融資する「トランザクションレンディング」をアマゾン/楽天/ヤオフク!/GMOイプシロンが提供している。

・「クラウドファンディング」には寄付型/購入型/投資型(融資型、ファンド型、株式型)がある。商品/サービスをリターンする「購入型」に、「キックスターター」(前述)「インディゴーゴー(INDIEGOGO)」がある。

・資金運用を支援する「ロボアドバイザー」に、「ベターメント」(前述)「ウェルスフロント(Wealthfront)」「パーソナルキャピタル(Personal Capital)」「ラーンベスト(LearnVest)」「シグフィグ(SigFig)」「ロビンフッド(Robinhood)」がある。

・仮想通貨の利点は送金手数料にある。横浜銀行などは仮想通貨「リップル(Ripple)」をカスタマイズ中である。

○フィンテックの範囲は広い(日本のサービス)
・「モバイル決済」(モバイルペイメント?)に「スクエア」(前述)「コイニー(Coiney)」「楽天ペイ」がある。「コイニー」は「Coineyページ」でも決済ができる。「楽天ペイ」はアプリ決済(QR決済、セルフペイ)できる。
・ウェブサイトに決済機能を導入するサービスに、「ストライプ(Stripe)」「スパイク(SPIKE)」「ウェブペイ(WebPay)」「ペイドットジェイピー(PAY.JP)」がある。「スパイク」が無料なのは、ビジネスモデル「フリーミアム」を採用しているため。
・「ペイパル」(前述)「ペイドットジェイピー」「ペイディー(paidy)」はカード情報なしで決済できる。

・SNSでは楽天銀行が「Facebookで送金」を、LINE Pay(ラインペイ)がLINEでの送金サービスを提供している。
・仮想通貨「ビットコイン」「リップル」(共に前述)の送金機能も注目される。
・2016年5月「改正資金決済法」が成立し、仮想通貨が「支払い手段」として認められた(詳細後述)。

・「ソーシャルレンディング」の「マネオ(maneo)」は案件を見て投資するので、「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれる。「ソーシャルレンディング」を提供するサービスは複数ある。
・日本の3大ECモールは「トランザクションレンディング」を提供しています。これらのサービスは店舗の売上高/評価などから、即座に融資の審査をします。
・「エムエフエス(MFS)」は住宅ローンの借り換えを支援します。

・クラウドファンディングの「寄付型」に「ジャパンギビング(JAPANGIVING)」がある。「購入型」に「レディーフォー(READYFOR)」「キャンプファイヤー(CAMPFIRE)」「マクアケ(Makuake)」「きびだんご(kibidango)」がある。
・クラウドファンディングの「融資型」は返済金利、「ファンド型」は分配金、「株式型」は株式を受け取ります。サービスを提供するには、「融資型」は「貸金業法」、「ファンド型」「株式型」は「金融商品取引法」により業者登録が必要です。「ファンド型」に「セキュリテ」、「株式型」に「ファンディーノ(FUNDINNO)」がある。

・資金運用を支援する「ロボアドバイザー」に、「テオ(Theo)」「ウェルスナビ(WealthNavi)」がある。これらのサービスは自動で資産運用する。
・多くの金融機関が「ロボアドバイザー」を提供している。みずほ銀行は「SMART FOLIO」を提供している。
・「マネーフォワード」「マネーツリー」「ザイム」などのフィンテック企業が、「PFM(パーソナル・ファイナンシャル・マネジメント)」の家計管理サービスを提供し、人気がある。
・事業者向けサービスの「クラウド会計」に「フリー クラウド会計ソフト」「MFクラウド会計」がある。

・保険とITの融合を「インステック(InsTech)」と呼ぶ。「ソフトバンク」は運動量、「第一生命」は糖尿病のデータから保険料を減額している。

○フィンテックを支える技術
・「クラウドコンピューティング」-インターネットのサーバーにソフトやデータを置き、パソコンなどから利用する。
・「ウェブAPI」-インターネット上で共用可能なプログラム。
・「トークナイゼーション」-インターネット上ではトークン(カード番号などの一部)を送信し、セキュリティを高める。

・「ライフログ」-投稿/購買履歴などのデータを蓄積し、AIで分析する。「オルタナティブレンディング」で利用している。
・「本人確認(KYC)」-指紋認証、静脈認証、顔認証、虹彩認証などの生体認証がある。指紋認証で「Liquid」が注目される。
・「ブロックチェーン」-ブロック・キーの希少性で改竄を防いでいる(※量子コンピュータだと破れるのかな)。この技術は仮想通貨だけでなく、様々なシステムでの利用が期待される(詳細後述)。

○フィンテックで何が変わる
・金融機関とフィンテック企業(スパイク、メタップスなど)の提携が進んでいる。この背景に、2016年5月銀行法改正での「融資金額の上限」(5%ルール)の緩和がある。また銀行子会社の親会社からの「収入依存度」が緩和され、子会社が容易に別業種に参入できる様になった。
・また改正資金決済法で仮想通貨が「支払い手段」として認められた。

・金融庁は銀行と別業種の中間的なサービスを提供する「中間的事業者」の検討を始めている。

・金融機関は多大な費用を掛け、①改竄防止②ゼロダウンを実現している。一方仮想通貨はこの要件を、ブロックチェーン/クラウドコンピューティングで安価に実現している。
・「プライベートブロックチェーン」を利用したサービスに、「ミジン(mijin)」、地方通貨の「スマートコイン(SmartCoin)」がある。
・「ブロックチェーン」を利用した「分散型台帳」は、音楽コンテンツ/不動産取引/カーシェアリング/駐車場シェアリングなどで研究されている。

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