『人生が100倍オモシロくなる仏の教え』露の団姫を読書。
落語家であり尼である著者が、仏教を分かり易く解説。
仏教は死者のための宗教ではなく、今生きている人のための宗教です。
仏教から来た言葉は多くありますが、意味が変わった言葉も多い。
私も一応仏教徒ですが、知らない事だらけ。
お勧め度:☆☆☆(分かり易く、中々面白い)
キーワード:仏教、お釈迦様/シャカ族、悟り、四諦/八正道、大乗仏教、比叡山、南無阿弥陀仏/禅/南無妙法蓮華経、六道輪廻、地獄、煩悩/三毒、お経、お彼岸、縁日、お遍路/霊場巡り、護摩、法要/追善/十三仏、五戒、戒名、写経、宿坊、お守り、仏教用語/無学/初中終/我他彼此/法螺/舎利/釈迦力、如来/菩薩/明王/天部、持物、台座
○まえがき
・”お釈迦様”(以下彼)は「みんなが幸せになること」を願っています。彼の教えにより、心を開き自由に生きることができる様になります。
○仏教とお釈迦様
・仏教は約2500年前に生まれた宗教です。創始者はゴータマ
・シッダルタ(彼)です。彼は王族シャカ族に生まれます。誕生日は4月8日(灌仏会、花祭り)です。
・仏教の「教え」は8万4千通りあり、坐禅やお経を読むだけではありません。
・彼は老い/病/死に悩み、苦行/瞑想をします。そしてある日「悟り」をひらき、「仏陀」となります。
・彼は「四諦」「八正道」を説いています。「四諦」で「この世は苦であり。執着を捨てるには”八正道”を実践する」と説いています。
・「八正道」は正見/正思/正語/正業/正命/正精進/正念/正定です。例えば「正見」は「物事を正しく見る」です。
・彼には10人の弟子がいました。彼らは「〇〇第一」と呼ばれています。例えば「舎利弗」は「智慧第一」、「目連」は「神通第一」と呼ばれています。※キリスト教には「十二使徒」がいた。
・仏教は、「人は神にはなれないが、仏になれる(悟りをひらく)」教えです。
○仏教の宗派
・日本の仏教は「大乗仏教」で、「みんなで幸せになろう」がコンセプトです。一方「上座部仏教」は戒律が厳しい仏教です。
・「大乗仏教」は”お経”では法華経/般若心経/阿弥陀経/華厳経が主に用いられます。
・奈良時代の仏教は”国のための仏教”で、「南都六宗」(三論宗、成実宗、法相宗、倶舎宗、律宗、華厳宗)がありました。これらは立派な寺(興福寺/法相宗、東大寺/華厳宗、唐招提寺/律宗など)を造りました。
・「比叡山延暦寺」は”伝教大師”最澄上人が開いた、天台宗の総本山です。「比叡山」は仏教の”総合大学”で、法然上人/親鸞聖人/道元禅師/栄西禅師/日蓮聖人を生んでいます。
・「密教」(天台宗、真言宗など)での「即身成仏」は、”自身と仏様が一体になること”を云い、真言を唱えることで可能になります。
・法然上人(浄土宗)/親鸞聖人(浄土真宗)が説いた「南無阿弥陀仏」の”南無”は”帰依”を意味します。よって「南無阿弥陀仏」は「極楽にいる阿弥陀様にすがる」を意味します。
・道元禅師(曹洞宗)/栄西禅師(臨済宗)は「禅」を勧めていますが、「禅」は掃除/食事など全ての行動を含みます。
・天台宗/日蓮宗の根本経典は「法華経」で、「南無妙法蓮華経」は「法華経にすがる」を意味します。著者も「法華経」に出会い、出家を決意しました。
○仏教の世界観
・”迷いがある人間”には6つの世界「六道輪廻」(天道/人間道/修羅道/畜生道/餓鬼道/地獄道)があります。一方の「極楽」は「阿弥陀経」によると「足るを知り、苦のない世界」です。
・「六道」にはそれぞれ「観音様」がおられ、救われることもあります。例えば「修羅道」には「十一面観音」、「地獄道」には「聖観音」がいます。
・「地獄」は細分化されており、最も過酷な地獄が「無間地獄」です。ここには「五逆罪」(父母を殺す、阿羅漢を殺す、仏を傷付ける、教団を分裂する)を犯した人が入ります。
・「八大地獄」は等活地獄/黒縄地獄/衆合地獄/叫喚地獄/大叫喚地獄/集熱地獄/大集熱地獄/無間地獄です。
・「煩悩」は心を悩ます原因の総称で、仏教では「三毒」(貪-むさぼりの心、瞋-怒りの心、痴-迷妄の心)があります。108つの「煩悩」の108は種類ではなく、沢山を意味します。
・仏教の教えは、「欲を消し去る」ではなく「欲があることを認め、それを抑制する」です。
・仏教には聖なる山「須弥山」が存在します。※複雑なので説明省略。
○仏教の信仰
・”お経”には仏教の教えが書かれています。”お経”を唱えると仏様は喜ばれ、私たちに功徳があります。”お経”が難読なのは、仏様向けの言葉で書かれているためです。
・「初詣」は”新年に神仏へお詣りすること”を指します。なるべく早い方が良いとされます。
・この世が「此岸」で、あの世が「彼岸」です。「お彼岸」は「彼岸」へ行くための仏道修行で、前後3日を含めて7日間です。※知らなかった。
・4月8日は”お釈迦様”の誕生日で「花祭り」が行われ、彼の像に「甘茶」をかけます。これは彼が生まれた時、「甘露の雨」が降ったためです。
・「縁日」は”神仏の祭りや供養のある日”です。神仏と「ご縁」を結び易い日です。
・「お遍路さん」は「弘法大師」と共に、四国八十八ヶ所の礼所を巡る旅です。よって「同行二人」が書かれた菅笠を冠ります。
・四国八十八ヶ所以外に日本百観音/西国薬師四十九霊場など、沢山の「霊場巡り」があります。
・「祈祷」の一つに「護摩」があります。「護摩」はサンスクリット語の「ホーマ」(焼く)で、息災/増益/降伏を祈ります。
・比叡山には「千日回峰行」があります。7年掛けて地球1周分を歩きます。
○僧侶
・”お坊さん”になるには「師僧」(師匠)が必要です。また”お坊さん”になるための修行期間や内容は宗派によって異なります。
・”お坊さん”には朝/夕方の「お勤め」があり、唱える”お経”は宗派によって異なります。天台宗では朝は法華経を、夕方は阿弥陀経を唱えます。
・”お坊さん”は”お釈迦様”の弟子で、その役割はお葬式/結婚式/名付け/保育園・幼稚園の経営など様々です。
・「法要」の本来の意味は”仏法を知る”です。仏教では死後7日毎に”お裁き”があり、49日後に最終判断が下されます。生者が「追善」することで、故人の福徳が積まれます。
・”お裁き”は全部で13回あり、それぞれ別の王が担当します。「初七日」は秦広王、「七七日」(49日後)は太山王が担当します。その後「百ヶ日」「一周忌」「三回忌」などがあります。
・「十三仏」をお詣りすると故人への「追善」になります。それぞれ担当が決まっています(不動明王-初七日、釈迦如来-二七日、文殊菩薩-三七日など)。
・仏教は「不殺生」から肉食しませんが、浄土真宗から肉食も許される様になりました。
・仏教は「五戒」(殺す、盗む、性的にいやらしい、嘘をつく、酒を飲む)を禁じています。
・”お坊さん”の兼業は多く、著者が知る範囲でも新聞記者/公務員/看護師/保育士/マッサージ師/カフェ経営/建築士があります。
・「戒名」は”仏弟子としての名前”です。よって生前に頂くのが望ましい。※知らなかった。
・「写経」は仏道修行の一つで、功徳を得られます。そのため写経の最後に”お願い”を書きます。※これも知らなかった。
○お寺
・お寺の主な役割は仏教の布教にあります。お寺の本堂には”ご本尊様”が祀られています。”ご本尊様”は須弥山に由来する台座「須弥壇」に安置されています。
・「宿坊」は”お坊さん”の宿泊施設でしたが、参拝者も泊まるようになりました。最近は精進料理を頂ける「宿坊ブーム」も起きています。
・「お守り」の期限などは、お寺/神社で異なるので、授かったお寺/神社で確認してください。
○仏教用語
勝利-”勝れた利益”で、仏様に帰依することで得られます。
無学-”学ぶことが無い”で、今は意味が逆転しています。
大事-悟りをひらくこと。
微妙-素晴らしい教え。
内緒-内緒は「内証」が変じたもので、「内証」は”心の中で悟った真理”。
ご馳走さま-韋駄天が食べ物を集めたことによる。
接待-”お坊さん”へのお布施で、門前でお茶を振る舞うこと。
引導-死者が道に迷わない様に、”お坊さん”が法語を説くことで、本来は有難いことです。
諦める-物事が明らかになること。※これも大分変化している。
しょっちゅう-「初中終」から来ています。「初中終」は”最初から最後まで良いこと”です。
ガタピシ-「我他彼此」で自他を区別する見解で、仏教の教えに反する見解です。
法螺-”お釈迦様”の説法を指します。
シャリ-”お釈迦様”の遺骨「舎利」で、大切なものです。
シャカリキ-「釈迦力」で”お釈迦様”のあらゆる力です。
○仏像
・仏像には4段階(如来、菩薩、明王、天部)あります。「如来」は悟りをひらいた仏様で、そのため座しています。「菩薩」は修行中の仏様です。「明王」「天部」はヒンドゥー教などのインドの神様です。
・仏像には様々な教えが込められています。手の形には「禅定印」「説法印」があります。
・「薬師如来」は「薬壺」を持っています。「菩薩」は「如意宝珠」や「蓮華」を、「明王」「天部」は武器を持つことが多い。
・仏像の背後には「光背」(円光、火焔光)が施されています。
・「台座」にも多くの種類あります。「如来」「菩薩」は「蓮華座」に、「明王」「天部」は「岩座」に乗っています。「天部」の「四天王」「毘沙門天」は邪鬼を踏んでいます(精霊座)。
○あとがき
・日々悩んでいるのは私達だけでなく、”お釈迦様”も同様でした。それは”お経”に書かれています。
・”お経”に感動する人/お寺に感銘を受ける人/”お坊さん”を追っ駆けている人、そんな人と「ご縁」を結びたいです。
・近年「葬式仏教」となっていますが、仏教は生きている人にとっても素晴らしい教えです。