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『宮島と広島城下の人々』大和徳子を受講。

旧暦6月17日宮島で行われる舟管絃/御供船などを解説。

大変内容のある講義で、宮島の近くに住んでいますが、知らない事が沢山あった。

講師の大和氏は県立広島大学宮島学センターに勤務され、日本文化/中世史が専門です。

キーワード:宮島、弥山、薪/樵、塔の岡/宮島奉行/濱之役所、六月十七夜舟管絃(管弦祭)/御供船、富くじ/歌舞伎

<宮島の暮方と支配機構>
○近木清三郎書状
・1846年広島藩士近木清三郎が上司安井勇之丞に休暇願を提出している。そこには「宿願と弥山登山のため2日の暇が欲しい」と記されています。近木清三郎は180石が支給された中級の武士です。

○弥山の「宮めぐり」
・江戸時代宮島は「日本三景」「厳島八景」で物見遊山の客を集めた。『厳島道芝記』『芸州厳島図会』などの観光ガイドが書かれ、十返舎一九『続膝栗毛二編上下宮島参詣』にも「宮めぐり」が記されている。

○宮島の暮方
・幕末の志士清川八郎は老いた母と宮島を訪れ、『西遊草』(1855年)に「住民は家業もないのに、裕福に暮らしている」と記している。※あの新選組を作った清川八郎だ。
・清川八郎は「白糸の滝」「仁王門」「大日堂」「奥の院」「潮満ち干の石」「宗盛奉納の鐘」「行者堂」「不滅の火」などを巡っている。※弥山に「大聖院ルート」で登っている。

○薪の供出
・宮島には樵が200人いて、薪を広島城下に供出していた。

○宮島の支配機構
・「塔の岡」(五重塔がある)を境に、東町(寺社町)/西町(商人町)に分かれていた。塔の岡には「宮島奉行」が置かれた。
・安井勇之丞/近木清三郎(共に前出)は「宮島奉行」に就いている。「宮島奉行」には勘定方が就く事が多かった。

<広島城下町の外港>
○港町としての宮島
・北東アジア最古の地図『ティセラ日本図』(1595年)に堺/石見銀山などと共に厳島が描かれている。宮島は高価な輸入品を扱い、対岸の廿日市は日常品を扱っていた。

○宮島の米問屋
・大願寺の記録に3万石の米を扱ったと記されている(宮島の人口からすると3千石で足りる)。
・長谷川光信『日本山海名産図絵』(1797年)で「安芸宮島濱市」が紹介されている。”濱市”は「塔の岡」と「要害山」の間にあった「有浦」で開かれた。

・『芸備国郡志』(1663年)/岡田清『芸州厳島図会』(1842年)に、他国船が「有浦」「小浦」(「要害山」の東、今の宮島桟橋付近)で米を降ろし、降ろした米を小型舟で広島城下に運んだと記されている。

○濱之役所
・1690年「要害山」の麓が埋め立てられ、「中小浦」が築かれ、船舶の監視や徴税を行う「番所」(濱之役所)が置かれた。

<六月十七夜の舟管絃、御供船>
○六月十七夜舟管絃(管弦祭)のはじまり
・史料での初見は戦国時代で、平清盛が始めた証拠はない。
・「夏市」は六月十日から七月十日まで開かれたが、春市/秋市と比べ、比較にならないほど賑やかであった。

○御供船(おともんぶね)
・御供船は、1711年厳島神社棚守職(トップ)野坂氏の依頼で、広島城下紙屋町の釣燈屋3代目市兵衛が始めた。
・『芸州厳島図会』に御供船の装飾やルートが記されている。

・厳島神社の西回廊に御供船100艘分の絵図が掲げられていた(今は千畳閣に移されている)。
・元広島藩士小鷹狩元凱『元凱十著』(1930年)に、「白島町は東西に分かれ、東は京橋川、西は平田屋川に舟を準備した」「各町で装飾を競った」「六月十六日黄昏に宮島に向かった」「藩主は與楽園で観覧した」などが記されている。

・『芸州厳島図会』に広島最大の祭りと記されている。
・『村上家乗』に、1813年「京橋に見物人が押しかけ、橋が傾いた」、1852年「京橋に見物人が押しかけ、橋が落ちた。悉く川に落ちたが、満潮で舟明かりもあり、死者は出なかった」などが記されている。※笑った。

・六月十七夜、広島城下誓願寺でも管絃や角力が行われた。※寺に厳島大明神?

<富くじ/芝居の興行>
○遊興
・1625年広島城下の遊郭は宮島に移され、広島城下では芝居/相撲/見世物が禁止された。

○富くじの興行
・広島藩では「富くじ」が禁止されていたため、「薪の束」の入札で誤魔化した。
・河井継之助は『塵壷』(1856年)で、宮島の「富くじ」を紹介し、「これで宮島は成り立っている」と記している。※越後長岡藩で官軍と戦った河井継之助ですね。

○歌舞伎の興行
・「夏市」の芝居/見世物には千両役者が呼ばれ、赤字になったら「富くじ」で補った。
・柳井商人小田六左衛門は『いつくしま日記』(1860年)に、「宮島にしばらく滞在して、芝居『お染久松』『山姥シヤヘリ』を見た」と記している。

○絵馬(山姥)の奉納
・1797年広島城下の呉服屋8名が厳島神社に絵馬『児持山姥之図』を奉納した。

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