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『イギリスは明日もしたたか』林景一を読書。

2016年6月国民投票により英国のEU離脱が決まります。
英国が離脱に向かった経緯や、今後のトランプ大統領を含めた世界の行方を解説しています。

基本的には英国は主権を取り戻し、米国などと協力できるとして離脱を評価しています。

お勧め度:☆☆(量は多いが、読み易い)

キーワード:<はじめに>EU離脱、離脱派/残留派、<EU離脱の衝撃>党首選、労働党、<EU離脱の真実>ルールメーキング/英語、エラスムス計画、ユーロ/シェンゲン協定、拠出金、スコットランド/アイルランド、アンチ・ビジネス、NATO、対中傾斜、<EU離脱交渉>離脱協定、移民問題/単一市場問題、EUパスポート(単一免許制度)、新自由主義/リーマンショック、反EU/2層化/オプトアウト、ウクライナ問題、<EU離脱を恐れるな>国民投票、ビジネス環境、グローバリゼーション、<世界秩序の再構築>ブレトンウッズ体制、特定多数決制、<日英同盟のすすめ>格差/所得移転、中国、G20、プーチン/復讐主義、シュレーダー、トランプ/保護主義、世界秩序

<はじめに>
・2016年6月英国国民投票による「EU離脱」決定は世界に衝撃を与えた。「離脱派」は独立を喜び、「残留派」はその結果を嘆いた。
・英国の判断を嘆く人は多いが、英国は自由貿易/グローバリゼーションの最先端の国で、以前からユーロ諸国とは足並みが揃っていなかった。
・戦後の世界/欧州の歴史を見ると、今は世界秩序を再編成する時期にある。米国/英国による自由貿易/法の支配の保障が問い直されている時期である。

<EU離脱の衝撃>
・6月国民投票によりポンドは売られ、円が買われ、株式市場は下落した。
・離脱決定によりキャメロン首相は辞任を表明する。保守党の党首選で最初に注目されたのが、下院議員/ロンドン市長で離脱派のボリス・ジョンソンであった。彼は「離脱すれば、EU拠出金を医療に回す」と吹聴していたが、党首選に出馬せず。
・党首選は2回目まで行われたが、その後メイ以外の候補が辞退し、残留派メイが保守党党首に就く。これはメイの6年間の内務大臣の実績が認められたと云える。メイ内閣には残留派も離脱派も入閣するが、ジョンソンは外務大臣に就く。

・「労働党」は2010年政権を失い。2015年総選挙でも敗れ、しかも当時は左派(ジェレミー・コービン)と中道で分裂していた。

・離脱に関する規定は「リスボン条約」第50条であるが、そこには「通知から2年後に離脱」と規定されている。「離脱通知には議会の承認が必要」として「第50条訴訟」が起こる。もし議会が反対した場合、通知の撤回ができるかは、条約に規定されていない。※その後議会で離脱が承認されたはず。

・2016年10月メイ首相は党大会で演説し、「国民投票は”静かな革命”」「国を分断している不公平/不公正に取り組み、普通の労働者のための政治をする」「自由市場/グローバリゼーションに介入する場合もある」「企業の取締役会に消費者代表/労働者代表を参加させる」などと演説。

・今云える事は、「まだ何も決まっていない」である。著者は英国は地域主義から世界主義に変われると楽観している。

<EU離脱の真実>
・英国はEUのモノ/カネ/サービス/ヒトの移動の自由により、GDPは世界第5位である。英国の輸出入額の半分は、EUとの貿易による。また外国為替の売上高は世界で突出している。
・英国はEU加盟国である事、米国と緊密な関係にある事から世界で存在感がある。また欧州は古くから様々な国と外交交渉してきたため、「ルールメーキング」に優れている。さらに英国は英語と云う世界共通語を持っている。

・国民投票前の2016年4月、財務相が離脱した場合のGDPを、3つのケース(①EEA-高いレベルでEUにアクセス②FTA-特権的なアクセス③WTO)で試算した。それはGDPは3.8~7.5%縮小するとしたが、それでも国民投票では離脱となった。
・離脱は学術・科学面でも心配される。EUは大学の単位を相互に認めたり、留学を容易にする「エラスムス計画」を実施している。また宇宙開発/航空機産業/ITセキュリティなどを共同で行っている。
・EUから離脱すると「自由貿易協定」は無効になるため、各国と貿易交渉する必要がある。

・1973年英国はEC(EUの前身)に加盟する。1999年ユーロが導入されるが、英国はポンドへの愛着が強く、導入を断る。また英国は国境フリーの「シェンゲン協定」にも参加していない。この2点は英国がEUと一線を画してきた象徴である。

・EUは財政を①関税②付加価値税③分担拠出金で賄っている。英国は③分担拠出金の15.4%を拠出している。
・離脱派ボリス・ジョンソンは国民投票で②付加価値税③分担拠出金で180億ポンド負担していると訴えていたが、実際は「英国補正」(サッチャーリベート)で50~60億ポンド減額されていた。

・残留派の理由は以下であった。
 ①今は関税廃止/制度統一で障壁がないが、離脱すると海外からの投資が減少する。
 ②英国の金融センター「シティー」は、単一免許「EUパスポート」で支えられている。
 ③英国貿易の半分はEU加盟国で、これが減じると雇用も失う。
 ④EU加盟国に進出している英国企業は多い。離脱するとEUでの政策立案できず、英国企業に不利になる。  
 ⑤「自由貿易協定」により物価が抑えられている。
 ⑥移民は納税額より、受け取る社会保障費が多いとされるが、実際は逆である。
 ⑦移民は今の経済に貢献している。
・離脱決定後は景気後退が予想されたが、GDPは上昇し、株価指数(FTSE100)も上昇している。

・国民投票の結果を分析すると、地域差が見られる。イングランド/ウェールズでは離脱派が、スコットランド/北アイルランドでは残留派が多数を占めた。
・1997年スコットランドは自治政府になる。スコットランドには北海油田があり、独立志向が強い。国民投票では6割以上が残留に投票した。
・アイルランドと英国は紛争の歴史である。1801年イングランド・アイルランド連合王国となる。1919年アイルランドは武装蜂起し、1921年カトリックの南部26州が「アイルランド自由国」として独立する。その後も紛争が続くが、1998年南北和平が成立する。北アイルランドは今はEUの支援があり安定している。そのため国民投票では、56%が残留に投票した。

・メイ首相は「欧州共同体法」の廃止と離脱後の修正を明言する。これにより法的安定性を内外に表明した。
・EU職員には英国人もいる。彼らの退職金/年金の問題もある。また英国で現在進行中のEUプロジェクトがあり、この継続の問題もある。離脱は人の離婚と一緒で、簡単ではない。しかも先例はない。
・個人的には、英国でEU市民が居住/労働しているし、逆にEU加盟国で英国人が居住/労働している。彼らに対する社会保障などの問題もある。

・2016年10月メイ首相は党大会で「国民投票は”静かな革命”であった」「企業の取締役会に消費者代表/労働者代表の参加を義務付ける」「企業に外国人被用者リストを公表させる」などを発言。これらの発言は左旋回/アンチ・ビジネスと受け止められた。また彼女は「経済的利益」よりも「移民の管理」(ヒトの移動の制限)を優先すると発言した。
・EUは「モノ/カネ/サービス/ヒトの移動の自由」を基本理念としている。離脱交渉でどこまで有利な市場アクセスを得られるか懸念される。

・安全保障面ではNATOが存在するため問題はない。バルト諸国の防衛に関するトランプ発言の方が、英国の離脱より懸念される。※NATOとEU、別々に軍隊が存在するのかな。

・欧州は経済成長が低迷している。そんな中、2015年3月英国は中国主体の「アジア・インフラ投資銀行(AIIB)」に抜け駆けして出資を表明した。この「対中傾斜」は注意を要する。
・貿易面では英国はドイツ/オランダ/仏国の重要な輸出先で、しかも輸出超過である。そのため高関税にして貿易を抑制する事は考えられない。
・英国は離脱により①過剰なEU法②EU官僚への拠出金③選出でないため民主的正当性がない欧州委員会から解放される利点がある。

<EU離脱交渉>
・1956年メイは牧師の1人娘に生まれ、1997年ロンドンのメイドンヘッド選挙区で下院議員に初当選する。2010年保守党政権が誕生すると内務大臣に任命される。内務省は警察/出入国/対内諜報などを担当する省である。
・2016年10月メイ首相は党大会で4人の歴代首相の名を挙げたが、その中にベンジャミン・ディズレーリ(ユダヤ人)/クレメント・アトリー(労働党)がいた。
・メイ首相は、外務大臣(ボリス・ジョンソン)/EU離脱大臣などに離脱派を、財務大臣/内務大臣に残留派を任命した。

・離脱の手順として、通知後2年以内にEUと「離脱協定」を締結する必要がある。またその間に英国で「欧州共同体法」の廃止/EU以外の各国と貿易協定などを決める必要がある。これらの作業は多大な時間を要すると考えられる。
・離脱において拠出金問題/年金問題などがあるが、一番重要なのは移民問題/単一市場問題であるが、この2つの問題はトレードオフにある。「ヒトの移動」は元来は「労働者の移動」「勤務の移動」だったが、その後拡大解釈された。
・英国にとって「EUパスポート」(単一免許制度)を失うのは痛手である。「EUパスポート」とは金融機関が1ヶ国で事業認可されれば、他のEU加盟国で事業ができる制度である。

・第2次世界大戦で疲弊した英国は国営化で乗り切ろうとしたが、それが裏目に出る。1979年サッチャーが首相に就き、「新自由主義」政策で民営化/反労働組合を進め、経済を復活させる。しかし移民は急増し、格差は拡大した。2008年リーマンショックが起き、大銀行に公的資金が投入される一方、社会保障給付はカットされ、賃金もカットされた。
・メイ首相は「公平な分配」を掲げており、これは大きな政策転換である。しかしこれにより「冬の時代」に戻る恐れもある。
・離脱派は離脱しても日本/米国/中国などと、これまで以上に商売できると楽観している。
・英国の金融サービスはEUパスポート/ユーロ決済の恩恵を受けているが、これらを失うと「シティー」から人材が去り、衰退する恐れがある。

・世界大学ランキングのTOP10に英国の大学が3校入っている。これらの大学には英国からの出資より、EUからの出資が多い。
・英国は28本の矢に支えられていたため、外交力を保持していた。今後離脱に多大な人と時間を割かれると、シリア問題/中東和平/ウクライナ問題などにかまける時間がなくなる。

・国民投票直後は市場が混乱したが、直ぐに沈静化した。仏国マリーヌ・ルペン/オランダのヘルト・ウィルダースなどは反EUの急先鋒である。本来離脱が懸念されたのはギリシャであったが、それは今も変わらない。
・EUはドイツ/英国/仏国がリーダーシップを取っていたが、英国が離脱するとドイツの影響力が巨大になる。そんな中ハンガリー/ポーランド/スロバキア/チェコ(ビシェグラード・グループ)が連携し「EUの2層化」が起きている。
・「統合の深化」(連邦国家化)が進む中、英国はユーロ不採用に象徴される様に「オプトアウト」(規定の適用除外)を獲得してきた。英国が離脱しても、トルコ/マケドニア/セルビアなどが加盟を希望しており、「統合の深化」は進まないだろう。

・今一番懸念されるのは「ウクライナ問題」(クリミア併合、東ウクライナ)である。当初EU加盟国はロシアに経済制裁を発動してきたが、英国を除く多くの国が石油/天然ガスをロシアに依存しており、足並みが乱れてきた。英国の離脱により、経済制裁が緩和される可能性が高い。
・香港の事もあり英国と中国は親密な関係にある。中国の承認/AIIBへの参加表明など、いずれも英国が先行している。

<EU離脱を恐れるな>
・グローバリゼーションを進めたのは米国だが、それ以上にオープンなのが英国である。英国での自動車生産の半分は日本の会社であり、ロールスロイス/ジャガー/ミニなども純粋に英国資本の会社はない。ヒースロー空港はスペインなどの持ち株会社になり、ロンドンの上下水道/地下鉄には中国資本が入り、通信インフラにも華為技術(ファーウェイ)が入り、原発は中国製原子炉になった。
・一方の米国(トランプ)はTPP離脱/NAFTA再交渉など逆の方向に進んでいる。

・英国は「英連邦」として繁栄した歴史があり、英国には「欧州と連携しているだけで、欧州ではない」の意識がある。英国がECに加盟したのは1972年だが、そこに達するまでにも紆余曲折があった。
・1980年代「単一欧州議定書」などを通じて「統合の深化」へ進む。これによる「特定多数決制度」の採用で、英国は拒否権を失い、主権の喪失感を強めた。
・1993年に成立した「英国独立党(UKIP)」は2014年欧州議会選挙で第1党になる。※これは英国での第1党だろうな。欧州議会の事をよく知らない。
・2011年「新たにEUに権限を委譲する場合、国民投票する」と「EU残留か離脱か国民投票する」の法律が成立する。保守党も総選挙の度に反EUの議員が増大した。保守党は2015年総選挙で国民投票を公約とし勝利し、2016年国民投票に至る。
・国民投票の結果を分析すると、若年層は残留が多く、年齢が上がると離脱が増える。また「EUによって勝ち組になった」と思っている人は大企業/農家/富裕層などに多く、「負け組になった」と思っている人は失業者/小規模企業/低所得者に多い。またEUへの不満点は、移民問題61%、テロ問題34%、経済状況23%で移民問題が突出している。

・英国はユーロに参加しないと判断するが、それはビジネス環境のメリット(開放性、労働力の柔軟性、制度の予見可能性、低法人税、法律・会計インフラの充実、英語圏)と不参加のデメリットを総合評価した結果である。
・フランクフルト/パリで勤務する英国人は子供に独語/仏語を習わそうとしないが、ロンドンで勤務する外国人は英語を学ばせ、英国の大学で学ばせたいと思う。

・移民問題が重視されているが、移民はロンドンに集中しており、しかも彼らはロンドンの繁栄を支えている。よって離脱を選択した本当の理由は「英国の主権回復」だと思う。
・現状に無力感を持った国民がトランプに投票した様に、欧州の各国(スウェーデン、オランダ、オーストリア、仏国、ドイツなど)で同様の現象(反グローバリゼーション、反自由貿易)が見られる。グローバリゼーションは経済のパイを大きくするのには成功したが、その再分配には失敗した。※簡潔な答えだ。

<世界秩序の再構築>
・ここまで英国を見てきたが、世界の歴史を振り返ってみよう。第1次世界大戦と第2次世界大戦を比べると、犠牲者は第1次世界大戦の方が少ないが、影響力はこちらの方が大きい。
・第1次世界大戦は戦後処理で3つの間違いを犯した。①ドイツへの巨額な賠償金-これによりドイツ人は復讐心を抱いた。②国際連盟の不機能-世界一強となった米国はモンロー主義(孤立主義)から参加しなかった。③国際経済体制-「経済のブロック化」が進み、植民地を持たないドイツは東方に、日本は中国に侵攻した。
※これらはよく云われる事だな。

・第1次世界大戦の戦後処理の反省から、第2次世界大戦後は政治面では国際連合、経済面ではGATT/IMF/世界銀行(ブレトンウッズ体制)が作られた。世界はこの国際秩序を維持し、グローバリゼーションの果実を公正/公平に分配するしかない。
・英国は「特定多数決制」に替わり、「オプトアウト」を行使する事が増え、EU加盟国との溝を深めた。その意味では英国の離脱は驚くべき事ではない。英国が望んでいたのは「政治統合」ではなく、「政府間協力」であった。

<日英同盟のすすめ>
・21世紀に入るとグローバリゼーションは加速し、そのマイナス面(空洞化、格差)が目に付くようになった。
・国家間の格差は開発援助や為替で是正される。しかしEUはユーロで統一されているため、格差が拡大する一方であり、「所得移転」が行われなければいけない。しかしその理解は得られていない。

・このグローバリゼーションにより新興国には資本が入り、雇用が生まれ、技術が移転し、輸出が増え、所得が向上する好循環が生まれている。この典型が中国である。
・中国共産党は一党独裁の正統性を、経済面では生活向上、政治面では対日戦勝利を根拠としている。日本はこの反日を警戒し、対中投資は東南アジアに向かっている。米国も中国の南シナ海進出や、国内雇用を奪われたとして、中国を警戒している。
・EUは中国と距離が離れているため警戒心は薄いが、近年人権問題/国家による企業支援/司法の独立性/外資に対する規制/中国への技術流出などが問題視され始めている。
・また中国国内でも、経済成長の減速/国営企業の東南アジア移転/巨大な格差/セーフティネットの不備/高齢化/腐敗/権力闘争/既得権益などが問題になっている。

・1999年「G20蔵財相・中央銀行総裁会議」が開かれる。2008年リーマンショック後に「G20首脳会議」が開かれ恒久化する。

・冷戦終結後、ロシアは自由主義経済を取り入れるのに失敗したが、プーチンは資源依存でロシアを「偉大な祖国」の復権を目指す国にした。
・ロシアはプーチンになり「復讐主義」が見られる。2001年「上海協力機構」への参加、2005年中国/インドとの共同軍事演習など対米姿勢が見られる。しかし国内には巨大な既得権益があり、資源依存型で不安定であり、経済格差も問題になっている。
・英国はエネルギー面でロシアに依存していないため、対ロ強硬派である。

・EUから英国が抜けると、ドイツの存在感が益々高まる。ユーロは仏国がドイツを縛るために考えたものだったが、逆効果になった。
・1998年社民党シュレーダーがドイツ首相に就き、シュレーダー改革(労働市場改革、社会保障制度改革、医療制度改革、税制・企業制度改革など)を成功させた。
・ユーロにより高い生産性を得ているドイツは、ギリシャなどに「所得移転」する必要があるが、それをドイツ国民に理解させるのは難しい。
・英国が抜けた後、独仏でEUを上手くやっていけるかは疑問が残る。

・トランプ大統領に替わり、米国は保護主義/孤立主義に回帰すると考えられる。自由貿易は万有引力の様なもので、法人税引下げで企業が戻るのを期待しているが、容易ではない。
・政治面ではトランプ大統領も「世界の警察官」を否定し、さらにNATO同盟国や日本を「ただ乗り」と批判している。しかし実際は日本は年間7千億円を拠出し、その額は同盟国で突出している。NATOは国防費をGDP2%としており、米国3.6%、英国/ポーランド2%で満たしているが、それ以外の国は2%に達していない。東欧/バルト諸国との調整を見極める必要がある。

・米国は第1次世界大戦の戦後処理の反省から、第2次世界大戦後は国連やIMF/世界銀行/GATTで自由貿易に基づく世界秩序を守ってきた。第2次世界大戦後の「世界の平和と繁栄」は米国の「気前の良さ」のお陰である。米国が警察官を降り、「他国の面倒に飽きた」となると、世界は無法地帯になる。
・米国が警察官を降りると、英国/日本/ドイツがその代わりをできるだろうか。日本/ドイツは憲法/基本法の制約があり、活動範囲は限られる。悲観シナリオだと世界は無法地帯になる。楽観シナリオだと英国を始めとするNATO同盟国や日本が、米国を強力にサポートし、世界秩序を維持できる。
・楽観シナリオのためには英国の責任は重いが、その役割を果してくれると確信している。英国のEU離脱は英国のフットワークを高め、プラス要因になると考える。

・第2次世界大戦後の「平和と繁栄」は自由貿易による。しかし自由競争が上に国内での格差や国家間の格差が生じた。これに対しては共存共栄の思想が必要である。
・戦後秩序の恩恵を一番受けたのは日本である。英国と日本は米国が孤立主義に走らない様、協力する必要がある。
・英国のEU離脱も「トランプ現象」も社会格差が原因で、しかも不確実性を持つ点でも共通する。しかし英国には孤立主義/保護主義の考えはなく、過去からのブレもない。

<あとがき>
・英国の根幹に「介入からの自由」があり、これが英国的保守主義であり、これがEUによる「統合の深化」を受け入れられなかった原因であろう。

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