『地層のきほん』目代邦康を読書。
地層について幅広く解説しています。地層は百人百様ですね。
最近、TV番組/火山噴火/登山などで地層に接する機会が多いので、本書を選択しました。
章立てされていれば理解し易いかも。
お勧め度:☆☆
キーワード:地層、大陸地殻/海洋地殻、化石、先カンブリア時代/古生代/中生代/新生代、火成岩/堆積岩/変成岩、深成岩/花崗岩、火山岩/玄武岩、テフラ/凝灰岩、礫/砂/泥、磯/浜、レス、石灰岩、チャート、大理石/粘板岩(スレート)/蛇紋岩、大陸移動説/海嶺/プレートテクトニクス、石油/石炭/金属/セメント/地下水/岩塩/宝石
・地層は単層の重なりです。連続的に堆積した地層を「整合」、一旦「削剥」された後に堆積した地層を「不整合」と呼びます。
・地層は「岩石」「土壌」から成ります。「岩石」は「火成岩」「堆積岩」「変成岩」に分類されますが、化学的に厳密な定義はありません。
・「土壌」は元の岩石/気候条件/地形条件/時間的条件などで様々です。
・地球は中心から「核」(半径の半分)/「マントル」(半径の半分)/「地殻」(半径の1/200)で形成されています。「地殻」は大陸では厚さ40Km(花崗岩)、海洋では厚さ7Km(玄武岩)です。※「地殻」は大陸と海洋で全く異なる。
・地層には「化石」が含まれている場合があります。「化石」を調べる事で、地層が形成された時代が分かります。
・日本の地層には領家帯/三波川帯/秩父帯/四万十帯などの名前が付いています。※随分大雑把な地層だ。
・地球の歴史は以下に区分されています。①先カンブリア時代②古生代(カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、ペルム紀)③中生代(三畳紀、ジュラ紀、白亜紀)④新生代(古第3紀、新第3紀、第4紀)。「古生代」に生物が生まれ、「中生代」は恐竜の時代です。
・大地は隆起/沈降しています。日本列島はプレートに圧縮され、基本的には「隆起」していますが、降雨により削られています。そのため日本では古い地層はほとんど見られません。
・地層には様々な境目があり、単層と単層の境目を「層理面」と呼びます。同一地層内にも節理/片理/葉理などの境目があります。
・「断層」には正断層/逆断層/横ずれ断層があります。断層が形成される時、地震が発生します。断層が形成されない場合は「褶曲」が起きます。
・「岩石」は「火成岩」「堆積岩」「変成岩」に分類されます。マグマが固まったのが「火成岩」です。水により運ばれ固まったのが「堆積岩」です。それらが地下で変質したのが「変成岩」です。
・「マグマ」は地下70~200Kmで発生し、地下数Km~数10Kmまで上昇し「マグマだまり」を作ります。そこで固まったのが「火成岩」の一つ「深成岩」です。「深成岩」の周りには「変成岩」が作られます。火山から流出したマグマは冷やされ、「火成岩」の一つ「火山岩」になります。
※マグマは世界の至る所で出来ているのみたいだな。地上に噴出しているのは、ほんの一部かな。この本の内容だと、日本の下に「地殻」が沈み込んでいるので、マグマは上がってきそうにないけど。
・「深成岩」は花崗岩/閃緑岩/斑糲岩に分かれます。「花崗岩」(御影石、真壁石、議員石など)は石英を多く含みます。「斑糲岩」(黒御影)は黒っぽい岩石です。
・「火山岩」は流紋岩/安山岩/玄武岩に分かれます。「玄武岩」は黒っぽく、「柱状節理」が見られます。
・「火成岩」-しん(深成岩)かん(花崗岩)せん(閃緑岩)は(斑糲岩)、か(火山岩)り(流紋岩)あ(安山岩)げ(玄武岩)。
・火山から空中や海中に噴出される物を「テフラ」と呼びます。「テフラ」には火山灰や軽石があります。「テフラ」が堆積し固結したものが「凝灰岩」(大谷石、白河石など)です。「凝灰岩」は「火山岩」ではなく「堆積岩」に含みます。
・「テフラ」は何時/何処で噴火した火山か分かっているので、地層の「テフラ」から、当時の地形が分かります。
・海底火山が噴火すると溶岩(玄武岩)が急激に冷やされ、枕状溶岩(俵状溶岩)が作られます。また海底ではプランクトンの遺骸が堆積すると「チャート」、サンゴ礁/貝が堆積すると「石灰岩」が作られます(後述)。
・礫/砂/泥は大きさで分別されます。粒径2mm以上は「礫」、それ以下が「砂」、さらに粒径1/16mm以下が「泥」(シルト、粘土)です。
・川では泥は「浮流」し、石ころは「掃流」し水中を流れます。川が山から平野な流れる出る場所には「扇状地」、平野部では「自然堤防」、海に流れ出る場所には「三角州」が作られます。
・海岸には岩盤が出ている「磯」と、砂/泥がたまっている「浜」があります。「浜」の砂は、その地域の地質を反映しています。花崗岩の地域では「白砂青松」になります。またそこには重い砂鉄が残されます。※黒くならないか?
・海底では泥がゆっくり堆積し地層を作ります。洪水などで海底で「混濁流」が起こると「タービダイト」を作ります。
・陸地では山崩れ/氷河などにより堆積物が作られます。「黄砂」などが風に飛ばされると「レス」を作ります。「レス」は世界各地に存在し、何れも穀倉地帯になっています。
・「サンゴ礁」は造礁サンゴ(動物)によって作られます。「サンゴ礁」は「石灰岩」の元になります。「石灰岩」は二酸化炭素を含んだ水に溶けるので、「石灰岩」の台地では川は地下を流れ、「鍾乳洞」を作ります。
・「チャート」は放散虫の殻が堆積した地層です。1Cm堆積するのに数千年掛かります。「チャート」は大変硬く、川を流れ下っても角が取れません。「チャート」は火打石になります。
・海岸では津波による地層も作られます。その地層が何処まで広がっているかで、津波の規模が分かります。
・人間はゴミなどで海岸を埋め立てています。これも地層です。
・寒冷地では土壌に含まれる水が凍結/融解するため「構造土」が作られます(周氷河現象)。「永久凍土」ではマンモスが発見される事もあります。
・堆積岩/火山岩が高圧/高温で変質すると「変成岩」に変わります。「石灰岩」が熱で変性すると「大理石」になります(※貴重そう)。「泥岩」が圧力を受けると、粘板岩(スレート)/千枚岩/結晶片岩/片麻岩に変わります。緑色の「蛇紋岩」も「変成岩」の一つです。
※屋根のスレートは岩そのままなの?
・1912年ウェグナーは「大陸移動説」を発表しますが、受け入れられませんでした。1940年代になると海底の調査が進み、海底が「海嶺」で作られるのが分かり、「大陸移動説」(プレートテクトニクス)が復活します。
・地層から得られる材料は多くあります。石油/石炭/金属(金、銀、銅、鉄など)/レアアース/珪素(半導体)/セメント(石灰岩)/石材などがあります。※確かに、驚くほどある。
・地層には「岩塩」もあります。「岩塩」は米国/欧州で産出されます。ポーランドの「ヴィエリチカ岩塩抗」は総延長300Kmあり、世界遺産に登録されています。
・地層からは「宝石」(ダイヤモンド、ルビー、サファイア、水晶など)が取れます。ダイヤモンドはありふれた炭素ですが、最も硬い鉱物です。水晶は地殻で最も多い珪素と酸素から成る石英(SiO₂)の結晶です。
・人にとって地下水は重要です。シルト/粘土(不透水層)は水を通し難く、砂/石ころ(透水層)は水を通します。※地下水も地層のお陰か。
・地層を調べる方法にボーリング調査/貫入試験/トレンチ調査/物理探査法/リモートセンシングなどがあります。「物理探査法」は人工的に地震を起こし、その反射で地層を調べます。
・「堆積岩」では、それに含まれる木材(炭素の同位体)や化石で年代を求めます。「火成岩」では放射性鉱物で年代を求めます。
・地質調査総合センターは「地質図」を作成しています。
・河成段丘(河岸段丘)などの急傾面では地層を観察できます。「柱状図」を作るのも良いでしょう。
・地層は食料生産のための土壌/鉱物資源/燃料資源などを提供します。人間が資源を消費する速度/汚染物質の産出速度は持続可能なレベルを超えています。そのためローマクラブは「成長の限界」を発表しました。
・地層に興味を持たれた方は『地学のガイドシリーズ』『日曜の地学シリーズ』『地層の見方がわかるフィールド図鑑』『地形がわかるフィールド図鑑』『岩石と宝石の大図鑑』『海辺の石ころ図鑑』『河原の石ころ図鑑』『かわらの小石の図鑑』などを読んで下さい。