『日本人を操る8つの言葉』デュラン・れい子を読書。
外国人と結婚し、欧州などに住んだ著者が、日本人の特徴(人間関係、スケジュール、派閥、世間体、自己実現、情報、若さ、創意工夫)を紹介しています。
日本に関しては何となく認識しているが、フランスに関しては新しく知る事があった。
お勧め度:☆☆(気軽に読める)
キーワード:<はじめに>一生懸命、時間がない、<人間関係>先輩・後輩、稟議制度、企業の社会的責任、残業/有給休暇、自殺、お中元/お歳暮、義理チョコ、同僚、家族、<スケジュール>手帳、アフターファイブ、秘書、<派閥>藩、村意識、政治、名刺、<世間体>結婚、結婚相談所、定年離婚、ドレス、不倫、愛人、<自己実現>大学、才能、哲学、進路、<情報>ラーメン店特集、マスコミ、テレビ/新聞/雑誌、インターネット/ブログ、プロパガンダ、原発事故/政治、<若さ>若造ぶり、男性/女性、年齢、<創意工夫>凝り過ぎ、携帯電話、稲作、地下鉄、<あとがき>足るを知る
<はじめに>
・東日本大震災により日本は変わったと思っているかもしれないが、外国人から見ると変わっていない。外国人が不思議に思う8つの言葉をテーマにしてみました。
・日本人は「一生懸命」が好きである。また「お金がない」は仏人もよく言うが、「時間がない」は日本人しか言わない。
<人間関係>
○企業での人間関係
・外国ではボスと自分の上下関係しかない。日本では同僚内でも入社年によって先輩/後輩の上下関係がある。しかしこれは先輩が貴重な情報を提供してくれるので、便利なシステムでもある。
・日本には「稟議制度」がある。外国ではボスに絶対服従なので、この下剋上システムはない。
・1980年代「企業の社会的責任」から、企業はメセナ(美術展の後援など)を盛んに行った。しかしバブルが弾けると文化事業への後援は減った。ちなみに仏国での「企業の社会的責任」は、環境/人権/雇用で日本と異なる。
・日本はサービス残業が美徳とされるが、仏国では定時退社が当たり前である。また日本の有給休暇消化率は45%と低く、ILOの勧告を受けている。政府がこれを報道しないのは、財界を気にしてか。なお仏国での有給休暇消化日数は38日である。※日本だと数日かな。
・仏国では自殺の事を”HARAKIRI”と云う。日本では連続14年、3万人以上が自殺したとニュースになった。
・女性作家アメリー・ノートンの『恐れ慄いて』が仏国で大ベストセラーになった。主人公アメリーが日本企業に就職し、最後は担当がトイレ掃除になる。日本企業での人間関係を描いた、面白い物語である。
○必ずプレゼントするコミュニケーション
・東京で一人暮らしを始める友人に「隣人にちょっとしたものを持って行きなさい」と忠告した。それに従わなかったため、友人は隣人から冷たい目で見られている。
・日本では色々な場面でプレゼントする。手土産/お礼/内祝いなど。デパートではお中元/お歳暮の売上が相当な割合を占めるらしい。お中元/お歳暮は下から上へで、欧州ではこれはワイロに映る。米国大統領が外国を訪問する時、奥さんを同伴する。これはヒトを売り込んでいる。
・友人が驚いたのが「義理チョコ」。贈りたくない人に贈ったり、ライバルを意識したり、水面下ではバトルが繰り広げられている。日本はプレゼントしないとコミュニケーションができない発展途上国なのか。また欧州ではプレゼントの「お返し」は期待しない。
・欧州では企業での人間関係は「ボスと同僚」しかない。歳が一回り若くても、定年間近でも同僚は同僚である。日本とは異なり年齢差は関係ない。
・人間関係で最も大切なのは家族である。仏国では80%が家族で夕食を取っている。朝食は各人、昼食は簡単に済ませ、夕食は家族バラバラの日本とは異なる。仏国では出生率が2.0前後ある。日本では「絆」の言葉だけが溢れている。
<スケジュール>
○手帳
・日本人は誰もが手帳を持っている。昨日小学校の同級生に同窓会の件で連絡した。日時を相談すると「待って、スケジュールを見ないと」と応える。彼は定年退職し、子供達も独立した身である。彼は几帳面ではあったが、長年のサラリーマン生活で身についた習性か。
・コピー機のセールスマンと知り合いになった。その彼は1時間毎の目盛りが刻まれた手帳を持っていた。手帳には売上目標/達成金額のグラフも書かれていた。入社4年目の彼は「1週間の売上を統計すときは辛い」「商談が成立した時は嬉しい」「仕事は楽しくなってきた」などを話した。
・日本では9月に来年の手帳が売り出され、11月がピークになる。その傍には「手帳をいかに使いこなすか」と云うムック本も並ぶ。N社は年間1100万冊の手帳を販売している。手帳を取って見ると、スケジュールの後ろに郵便料金/収入印紙の金額/全国のお祭り/年齢早見表/主要官庁/憲法などが載っている。中には各国の祝祭日/ビジネスホテルの住所/新幹線の時刻表などが載っているものもあった。手帳はビジネスマン向けだけでなく、女性用/学生用/子供用まである。
・書店の最上階には「授乳室」があった。なんと男性用「授乳室」もあった。
・開発部門の20代男性に手帳を見せてもらった。著者の手帳は朝8時から夜8時までしかないが、彼の手帳は朝6時から夜12時まであり、さらに空白がある。日本のビジネスアワーはアフターファイブなのだ。彼はアフターファイブの予定が埋まっていないと、「自分はダメになるのでは」と心配になるそうだ。
・経営コンサルタントの先生を訪れた。次のアポの日時を決めようとすると、先生は自分の手帳と秘書が管理するスケジュール表で確認を始めた。先生には色々理由があって、全てのスケジュールを秘書に任せている訳ではない。
・欧州の大企業でCEOの秘書をしているスージーを思い出した。欧州では「あの会社のキーパーソンはあの秘書」となる事が結構多い。彼女はCEOから信頼され、家庭内のゴタゴタ話まで聞いている。当然CEOのスケジュールは全て管理している。
○手帳/カレンダーの東西比較
・オランダ人にとって誕生日は大変重要な日で、友人/知人の誕生日をトイレのカレンダーに書き込む。親は子供の誕生日に仕事を休む事もある。またキリスト教ではファーストネームに聖人の名前を付けるが、その聖人の誕生日は本人の第2誕生日になり、これも重要になる(1月1日聖母マリア、2日聖バジリオ、3日聖ジュヌビエーブなど)。この第2誕生日もトイレのカレンダーに書き込まれる。
・欧州でも9月頃から、翌年の手帳が売られ始める。欧州ではバカンスなど1年先までスケジュールを入れるためである。
・日本人の知人で手帳を2冊持っている人がいる。1冊はスケジュール用、もう1冊は日記/メモ用である。日本人には「筆まめ」ならぬ、「メモまめ」な人が多い。
・著者はブランド志向ではないが、エルメスの手帳を持っている。1ページが1日分なので、十分書き込める。また3ヶ月毎にリファイルできるのも便利である。一度この手帳を失くし困ったが、ベッドの下から見つかってホットした。
・今はハードにスケジュール管理している。それは母の介護のためで、オムツの配達/宅配便/マッサージの予定など全て母の予定である。
<派閥>
○サラリーマンは江戸時代のサムライ
・サラリーマンとサムライは似ている。サムライはお城に登城(出勤)し、サムライのモットーは藩(会社)のためであった。
・英国の学生は、自分の能力/研究が生かせる企業を選んで就職する。日本では大企業優先で就職先を探す。それは安定があるからである。日本人のアイデンティティは「自分は○山○男」ではなく、「××会社の○山○男」である。
・某日本企業の顧問となった仏人のA氏は、会議でM社だけでなくS社とも取引する様提案するが、総スカンを食う。それは三菱系の当社が住友系S社と取引するのは「仁義に反する」ためだ。彼は「売上げが最優先」と反論したが、効果はなかった。
・旧財閥系企業に勤める日本人のG氏は「外国で同じバッジを付けている人に会うと、うれしくなる」そうだ。彼は自分と同じ系列で働く人に、強烈な親近感を覚えるみたいだ。
・福島原発事故で「原子力村」が問題になった。日本人には「村意識」が潜在する様だ。この傾向はエリートが集まる大企業/有名企業ほど強い。安定した人生が保障されると、それを何が何でも守ろうとするためか。日本で「内部告発」が少ないのは、この「村意識」のためか。
・近年「グローバル化」が叫ばれるが、「グローバル化」とは英語を話す事/海外に進出する事/外国人社長を招く事などではない。この帰属意識「村意識」から解放される事なのでは。
・日本人は所属する会社については一生懸命に考えるが、その上の国については余り考えない。仏国で食事をすると、食後は政治で激論になる。彼らにとって政治は身近な問題である。
・日本人の知人を仏国企業の社長に紹介した。彼は「うちの会社」と繰り返すので、会社の経営者と勘違いされた。
・著者の夫はオランダ企業に勤める。彼は「ヘッドハンティングがあるのも30代まで。日本企業が羨ましい」と言ってた。日本の中小企業は社員を家族の様に扱う。それはそれで良いのかも。
○名刺
・単行本の編集の仕事をしたい大学生に会った。彼がやりたい事は明確だが、就職は有名企業を望んでいる。
・某日本企業の顧問となった仏人のA氏は、取引先に挨拶に行く予定であったが、名刺が間に合わず中止になる。数日後その取引先を訪問した。先方は重役が9人並び名刺交換。名刺の重要性を実感する。
・日本人は「あなたは何をやっていますか」の質問に、「××会社に勤めています」と答える。欧州では「エンジニアです」「編集者です」などが答えになる。彼らは自分が何ができるかがアイデンティティで、転職を通してそれを終生磨いている。
<世間体>
○結婚
・日本の一流企業に勤めるH氏は39歳で独身。彼は学校推薦で入社するエリートであったが、先輩の役員から「エリートは結婚してくれないと。家族を持たないと、人間ができないよ」と忠告を受ける。
・日本では夫には会社、妻には向こう三軒両隣/町内会/PTA/ボランティアなどのネットワーク(世間)が存在する。
・欧州では男性が女性に気軽に声を掛ける。ラテン系の国は積極的で、英国はそれ程でもない。東日本大震災により「絆」がよく使われるようになった。震災で大きく変わったのは「結婚観」かもしれない。「婚活」と云う言葉があるのは、日本だけである。
・欧州には「ブライダル産業」はない。結婚式場も結婚相談所もない。日本で結婚相談所に行くのは本人の母親が多い。
・テレビ番組で女性タレント/コメディアンが「だから結婚できないんだよ」と揶揄される。欧州では公衆の場で他人の弱点/欠陥を言うのはタブーであり、英国では「Political Correctness」になる。しかし彼女達は達観し、「おいしい」と思っている。
・小学校の同窓会に出席して驚いた。出席した女子8名の内、3人が「定年離婚」を考えていた。夫はこれを知っている様で、世間体もあり退職金をもらってからとなるらしい。仏国では退職金制度がないので「定年離婚」もない。※少し笑う。
・W氏は奥さん/子供(娘2人)と離れ、一人で暮らしている。娘2人が結婚するまで離婚はしないそうだ。これも世間体のためである。
・仏国ではパートナーと暮らすのに3通りある。①法律による結婚。②PACS-1代限りの結婚で、親からの遺産相続はない(カトリックでの離婚は複雑のため)。③「一緒に暮らします」と役所に届ける。会社も公的(税金など)にも夫婦として扱われる(※結婚ではなく同棲かな)。
・仏国ではパートナーを「マ・ファム」(私の女性)と呼ぶ。男性に連れの女性を「マ・ファム」と紹介されても、上記の何れかは分からない。
・仏国では簡単に一緒になり、簡単に分かれる。困るのは子供だが、普通男性が養育費を送り、定期的に子供と会う。お互いに連れ子で、子供の名前が一緒の場合もある。
○日本ならではの世間体
・M氏は国立大学卒、奥様は有名私立大学卒。末っ子の長男は出来が悪く、私立大学の付属工業高校に押し込んだ。大学は退職金を寄付金に当て入学させる。卒業後は米国に渡り、ハンバーガー・チェーンでアルバイトしている。これも世間体を気にした結果である。
・Y氏は中堅企業の役員をしている。彼の一人娘は「結婚式には自分がデザインしたドレスを着る」と言い続け、それを叶えた。今は娘の有名幼稚園の受験に着せるドレスをデザインしている。
・大企業に勤めるアユミさんは33歳。彼女から唯一の生き甲斐は不倫と打ち明けられる。相手は父と同じ歳なので結婚する気はない。これも世間体である。
・仏国では愛人に対し抵抗はない。ポンパドゥール夫人はルイ15世の愛人になり、サロンを開き政治家/文化人を招いた。彼女の夫は妻が政治的権力を持った事を喜んでいた。※不思議だ。
・シラク元大統領に愛人がいた事で有名である。彼に20年間仕えた運転手が暴露本を出したが、彼は難なく大統領に当選した。国民は「プライベートな事」として気にしない。
・日本は「ホンネとタテマエ」が強い国である。これは幼い頃からの社交が育てる。しかし何故か日本は外交に弱く、素直になってしまう。
<自己実現>
○1億総大卒
・読み終わった本を、パリで日本文学の翻訳家を目指しているジュリアンに送っている。彼女は『ゴールデンスランバー』を読んで宅配便のドライバーが大卒なのに驚いた。日本は「1億総大卒」になるのかも。もう一つ驚いたのが、読まない本はパリのブックオフで売っていた。
・著者が子供の頃は「缶蹴り」などで存分に遊んでいた。今の小学生は塾や「お稽古事」に行っている。OECDの「学習到達度調査」は、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」で問題解決能力を調査しているが、近年日本の「読解力」のなさが見られる。日本の大学では、英語をbe動詞から教えている。仏国では勉強好きしか大学に行かない。
・米国/英国では学生が学校に行くためのローンの返済ができず、問題が起きている。仏国では大学の数は少ないが、学費はほとんどタダなのでこの問題は起きない。日本では親が学費を出し、子供はバイトして遊んでいる。
・かつては工学部の人気が高かった。同級生で大会社の製造部門に勤めたK氏は、息子が工学部を卒業し、為替ディーラーに就いたのを嘆いている。
○日本型生涯学習
・日本の親御さんは「お稽古事」に通わせるなど、子供の個性を伸ばすのに熱心である。仏国では個性と才能を区別して考えている。アーチストの某氏は「上の子は世話好きで、水槽などを買って上げている。下の子は腕白なので、一緒に忍者ごっこしている」と言う。※個性は性格で、伸ばすのは才能?
・日本では自分のやりたい仕事が見つからず、困っている人が多い。著者の親は放任主義であったが、叔母が教育ママで、著者が中学生の時、長谷川町子のお宅に連れて行かれた。高校に入ると興味はマンガから現代美術に移った。本当に才能があったら、回りが助けるものである。
・日本人は大人になっても、何時までも自分探しをしている。これは悪い事ではない。欧州ではリタイアしてボケーとする歳になっても、日本人は働き続け、学び続けている。著者も65歳で処女作を出版した。
・仏国では中学卒業時に先生によって進路が決まる。よって高校の授業レベルは高い。高校で最も大切な授業は「哲学」である。日本でも英語を学ぶが、所詮ジャニーズ・イングリッシュである。英語を流暢に話せるかは重要でなく、物事を論理的に考えられるか/相手を説得する能力を持つかが重要である。※哲学ね。
・仏人は「大学に行かなくても、問題ない」と思っている。配管工のスティーブは中学を出て直ぐ、親方の弟子になった。日本では大半が大学に進学するが、勉強嫌いが勉強好きに変わる事はない。仏人は中学生/高校生でも自分の考えを持ち、日本人の様に引きこもり/浪人/5月病/自殺などに陥る事はない。
<情報>
○マスコミ
・タクシーに乗っていて行列を見かけた。運転手に聞くと、週刊誌に載ったラーメン店だそうだ。週刊誌がラーメン店特集を組むのは、雑誌を買わせるためと思う。
・ミチコ・タナカは1930年ウィーンに留学し、その後オペラ歌手としてデビューし、戦後小澤征爾などのアーチストを援助した。彼女が来日した時、回りの人が「マスコミが・・」と頻繁に言うので、彼女は「マスコミって誰?」と聞いている。日本ではマスコミは一つの権力で、その報道次第で状況が変わる。
・日本は情報が溢れている。まずテレビ。日本人は1日4時間以上観ている。仏国では4チャンネルしかない。次に新聞/雑誌。女性誌は同じ様なものが幾つもある。電車の中の「中吊り」も日本だけである。
・最近ヤラセ番組などからテレビ離れが起き、インターネットでの情報発信やネットメイキング(※ブログかな)が盛んになった。日本人は「新しもの好き」である。
・日本ではブロガーが多い。サラリーマン/主婦/学生などが日常の出来事をアップしている。日本は「1億総ブロガー」になるかも。日本でブログが盛んなのは、「他人と同じでいたい」とかコミュニケーションの不足を補いたいためか。
・日本のマスコミは活字媒体から電波媒体に移り、テレビに出れる仕事は憧れとなった。国際結婚して間もない頃、オランダで「コピーライターしていました」と言っても、反応は薄かった。その後仕事がアーチストに変わり、「現代美術のアーチストです」と言うと、随分関心を持てくれる。これは日本と欧州の文化の違いである。
・夫は「これは広告だよ」「これは広告だから」と言う。物を売るために作った広告を信用していないのである。オランダ人はプロパガンダを忌み嫌うが、これはナチスも起因している。※ある経済学者は「資本主義とはプロパガンダだ」と言っていた。
○原発事故
・福島原発事故で、国民は政府が発表する情報を鵜呑みにしていた。しかし実際はメルトダウンどころかメルトスルーさえ起きていた。日本人は農耕民族のためか、疑う事を知らない。※これは官僚主義で、「確認できた事しか発表しない」からだったと思う。
・中東ではジャスミン革命を切っ掛けに、各国でデモが起こった。英人は何故、東京電力/政府の原子力政策/原発事故収束後の電気料金の値上げに対しデモが起きないのか不思議がる。仏国では「通りに飛び出す」はデモを意味する。日本人はブログで情報発信しているが、その内容はパーソナルな事だけである。日本人は政治に関心がない。※反省。
<若さ>
○若さの考え方
・「若さ」に対するの考え方は2つあると思う。1つは外見/体力などの「若さ」である。イタリア元首相ベルルスコーニは髪の毛を染めたり、整形したりして、「若さ」をアピールした。
・2つ目は「若い事が良い」である。AKB48とか、子供っぽく見せる「若造ぶり」などがある。欧州では20歳を過ぎると、皆友達になる。年齢差は全く関係ない。日本は儒教精神があり、年齢差に厳しい。※会社での同僚と一緒で、皆友達なんだ。これは参考になる。
・日本人男性の「若造ぶり」には目が余る。「自分は若造ですから」と挨拶する人は、本当に仕事ができない事が多い。「まだ、やった事がなくて」とか、「年長者が払うもの」も困ったものである。
・山本さん夫婦と3人で話が盛り上がった。奥さんは「パリに住んで、男性に声を掛けられるのが増えた」と言う。欧州人が若々しいのは、男女とも異性を意識して生活しているためか。
・日本では結婚と共に「パパ/ママ」になり、「お父さん/お母さん」になり、やがて「おじいちゃん/おばあちゃん」になる。仏国では幾つになっても「男性/女性」で、異性の目を気にし、颯爽と歩いている。
○年齢は気にしない
・日本には「美容整形」「つけ睫毛」が多い。毎朝全員が「つけ睫毛」に長い時間を掛けていると思うと、ゾッとする。
・仏人俳優に美男/美女は少なく、個性派が多い。2003年『源氏物語』の仏語版が発売され話題になった。日本文学を研究している仏人は「光源氏の恋の相手は年齢/容姿が様々で、仏人好みである」と評価する。
・1970年代頃、著者は欧州で「現代美術のアーチスト」として活動していた。当時のカタログに著者が紹介されているが、年齢の欄は空白である。欧州では女性に年齢も聞かないし、年齢の表示もしない。ここにも価値観「20歳を過ぎると、皆友達」があるのか。
<創意工夫>
○日本人の欠点
・外国人から見て、日本人は「ディテールに凝り過ぎ」である。クロワッサンに「チョコ・クロワッサン」「クロワッサン・サンド」があるのは邪道である。
・ブラジル人のマリアは娘の「キャラ弁」に困惑している。仏国ではフランスパンに切り込みを入れ、ハム/チーズを挟むと、1分で終わる。
・欧州の携帯電話は機能を電話に絞り、どんどん小型化した。一方日本の携帯電話はカメラ/地図/ナビ/スケジュールなど盛沢山である。
・フランス・テレコムは国営電話会社だが、そのサービスを聞いて驚いた。外国向け割引/深夜割引/土日割引/ランチタイム割引などがある。ブロードバンド普及率も70%で日本より高く、ネット接続/IP電話/IPTVなどは世界トップクラスである。日本はどんどん差を付けられている。
・日本の「企画書」も凝り過ぎである。時間を掛ける所を間違っている。”米”と云う字は、「米を作るのに88回手を掛けている」を表している。日本人は農耕民族なのである。
○答えはDNA
・仏国のプロヴァンスからパリにTGVで移動したが、小麦畑で農作業している人を見なかった。仏人に聞くと「小麦は放って置いても育つ」とゲラゲラ笑う。日本人は稲作するが、そのため忍耐強いのか。※これは驚いた。
・外国人グループで鍋を囲んだ時、福島原発事故の話になった。「日本人は”文明の利器”に惚れたのかな」、そんな話になった(※良く分からない)。日本人は創意工夫に長けているが、オリジナルを作るのは苦手である。
・神学専攻のアランは「日本には神がいないので、原子力を畏れる意識がなかったのでは」と言う。「新しもの好きで、電球/蒸気機関車/自動車と同じ様に、あると便利で利用を進めたのでは」と言う。
・日本に来て半年のジョンは地下鉄に不満。1つ目は車内は広告だらけで路線図がない。2つ目は何処の駅もデザインが同じで、区別が付かない。
<あとがき>
・日本人は「幸せ」だろうか。見ていると倦怠感すら感じてしまう。仏国では失業率は高く、生活も質素だが、足る事を知っている。日本人は何事にも一生懸命だが、「幸せ感」に繋がっていない気がする。