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『脱・温暖化!ひろしま2019』江守正多/波田健一/中西亨を受講。

脱・温暖化の講義を聴講しました。
気温は確実に上昇しています。取り返しがつかない状態になる前に、対策が必要と思います。

個人的には2100年に至るまでに革新的な技術が生まれる、と楽観してはいます。
しかし「消費は美徳」の考えは、止めた方が良いと思います。

キーワード:<地球温暖化と私達の未来>地球温暖化/温室効果/異常気象、気候変動適応法、気候変動枠組条約(COP21、パリ協定)、脱炭素化、大転換、<2100年の広島の天気予報>真夏日/猛暑日/熱帯夜、熱中症、雨の降り方、動植物/農作物、適応策/緩和策、近年の変化、<広島ハウスメーカー協会の取組>ZEH、CDP、W350計画

<地球温暖化と私達の未来>
・講師の江守正多氏は、国立環境研究所・地球環境研究センターの副センター長です。

○地球温暖化
・温室効果が全くないと、地球の平均気温は-19℃になります。今は温室効果により14℃になっています。
・1970年代より40年間で、地球の平均気温は1℃上昇しました。またエルニーニョ(東太平洋が高温)の年は気温が上がり、ラニーニャ(西太平洋が高温)の年は気温が下がる傾向にある。
・異常気象(30年に1度程度の気象現象)が起こる確率が100年で25%上昇しました。
・地球温暖化のリスクに以下があります。①海面上昇、②洪水、③台風、④熱波、⑤食料不足(旱魃による)、⑥水不足、⑦海陸の生態系の損失(海洋の酸性化など)。

○適応策
・対処療法的である適応策に以下があります。①防災対策-治水の強化/ハザードマップ、②農業-作付の変更(植付時期の変更など)/品種改良、③熱中症-エアコン設置/熱中症警報、④「気候変動適応法」(2018年施行)-国は影響評価し、適応計画を策定する。自治体は地域適応計画を立案する(※「広島市地球温暖化対策実行計画」の事かな)。

○長期的対策
・「国連気候変動枠組条約」(COP21、パリ協定)
 産業革命以前と比べ気温上昇を2℃以下とし、1.5℃以下にする努力をする。
 今世紀後半に温室効果ガスの排出と吸収源による除去を均衡させる。

○IPCC「1.5℃」特別報告書
・今のペースだと2040年前後に1.5℃上昇する。2℃上昇すると悪影響が顕著になる。1.5℃に抑えるためには、2050年前後にCO₂排出量をゼロにする必要がある。
※「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は地球温暖化対策のための政府間機構。

○世界の動き
・2015年6月「G7サミット」で脱炭素化が議題に。9月米中共同気候宣言(オバマ)。11月COP21(パリ協定)。
・2017年6月「G7サミット」で米国(トランプ)が脱炭素化から離脱。しかし米国に追随する国はなく、米国内でも州レベルでは脱炭素化に積極的である。

○世界のエネルギー源
・化石燃料(石炭、石油、天然ガス)が8割を占め、再生可能エネルギーの利用拡大が不可欠である。

○排出削減策
・以下の対策がある。
 ①省エネ-機器の効率化、スマート化、行動、制度
 ②再生可能エネルギーの利用拡大/安定化(蓄電など)
 ③原子力-リスク軽減、廃棄物処分
 ④火力発電-高効率化、CO₂の地中貯留
 ⑤電化、水素化、バイオマス化 ※水素には期待する。
 ⑥森林確保
 ⑦メタン/フロン対策
 ⑧革新的技術
 ⑨革新的社会構造

○脱炭素化
・日本人は脱炭素化に否定的である。それは「我慢」と考えているからと思われる。

・脱炭素化には「大転換」「常識の変化」が必要である。近年の「分煙」は「大転換」の事例である。「分煙」に「大転換」した要因は、①科学(健康被害)、②倫理(受動喫煙へなお配慮)、③制度(健康増進法、たばこ規制枠組条約)、④経済(飲食店での分煙の成功)、⑤技術である。
・これらの要因は脱炭素化にも当て嵌まる。①科学(IPCCによる科学的評価)、②倫理(将来世代/途上国/被害者への配慮)、③制度(気候変動枠組条約、パリ協定)、④経済(エコカー/再生可能エネルギーへのシフト)、⑤技術(クリーンエネルギー技術)。
※この分析は中々秀逸。

・「京都議定書」は”責任の押付け合い”であったが、「パリ協定」は”経済的機会の獲得”に変わった。

・今人類は化石燃料は枯渇していないのに、”化石燃料文明を卒業しよう”としている。これは石器時代が終わったのと同じ現象である。”石器時代が終わった”のは”石がなくなった”からではなく、”より優れた鉄器を使えるようになった”からである。※新エネルギーが期待される。

<2100年の広島の天気予報>
・講師の波田健一氏は「テレビ新広島」の気象予報士です。

○2100年の天気予報
・全国各地で最高気温が40℃を超え、大雨による氾濫/土砂災害が多発する。雨が降らず、農作物が枯れる(※いつも疑問に思うけど、どっちなんだ)。台風の中心気圧は900hPaを切り、瞬間風速は90mを超える。

○気候変動
・世界の平均気温は直近140年で0.85度上昇した。

・広島市では直近140年で2.1度上昇した。真夏日(最高気温が30℃以上)は40日が65日に、猛暑日(最高気温が35℃以上)は0日が11日に増え、熱帯夜は(最低気温が25℃以上)は11日が38日に増えた。※11日であれば我慢できるが、38日では。
・庄原市では直近40年で0.7度上昇した。真夏日は22日が53日に、猛暑日は0日が5日に増えた。

・熱中症による死者は毎年1千人前後になっています。※全国かな。

・雨の降り方が変わりました。直近40年で降水量50mm/h以上は、年160回から年250回に増えた(※5割増し)。降水量80mm/h以上は、年10回から年19回に増えた(※倍増)。※これも全国かな。

・「桜の開花日」は直近50年で1週間早まっています。さらに「休眠打破」できず、満開にならない年がある。
・「アブラゼミの初鳴き日」は直近50年で2週間早まっています。また暑さに弱いアブラゼミは減少し、暑さに強いクマゼミが増えている。
・農作物にも被害が出ている。ミカンでは日焼けするため、オレンジへの転作が進んでいる。リンゴが赤くならない(※最近たまに見るが高温が影響なんだ)。
※気温が1度上がれば、地球環境も数緯度北に移動するんでしょうね。

○地球温暖化対策
・地球温暖化対策には2つある。①悪影響に備える「適応策」、②温室効果ガスを減らす「緩和策」である。
 「適応策」には、品種改良/生物多様性の保全/災害対策(ハザードマップなど)がある。
 「緩和策」には、省エネ/公共交通機関の利用/再生可能エネルギーの利用拡大/森林保全などがある。
※化石燃料の大半は熱として利用されているらしいが(発電もタービンを回すのでこれかな)、廃熱ゼロは省エネに含まれるのかな。
※ところで温室効果ガスは問題視されているが、廃熱自体(排水、暖房、排気ガスなど)は問題ないのかな。

・マツダスタジアムは、①太陽光発電、②ウォームシェア/クールシェア(※初耳)の対策をしている。地産地消/食べ物を残さないなども身近な対策である。

○ディスカッション-江守、波田
・近年以下の変化が見られる。
 自然災害の多発で、地球温暖化が実感されてきた。
 「パリ協定」で世界的課題として認識された。
 再生可能エネルギーの利用などが市場化され、解決できると思われるようになった。
 ネットなどで若者の活動が盛んになった。

・以下の質問があった。
 EVは温暖化対策にならないのでは→発電と電化は同時並行に進める必要がある。それは電化も一気にできないため。
 宮島街道にバス路線がない→行政と会社の交渉になる。住民の声も反映される。

<広島ハウスメーカー協会の取組>
・講師の中西亨氏は広島ハウスメーカー協会の会長です。

○協会加盟ハウスメーカーの取組
・環境に配慮し、「省エネ」「創エネ」「蓄電」に積極的に取り組んでいます。特にZEH(ネットゼロエネルギー住宅)は住宅業界のフラグシップとなっています。
・ZEH/環境機器の搭載比率は、ZEH60%、太陽光発電70%、エネファーム30%、蓄電池10%です。※こんなに高いの?
・ハウスメーカーは年1700棟建築しており、温暖化対策は身近な課題です。

○住友林業の取組
・CDP「気候変動Aリスト」に3年連続で選定されています。CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)は企業/政府の温室効果ガスの排出や気候変動戦略を評価する機関です。積水ハウス/大和ハウス工業も選定されています。※ISO14000とかあったな。CDPは温暖化対策専門かな。

・木造住宅を増やすなど、サスティナブル/循環型社会を目指しています。
・W350計画で木造高層建築(70階建て、高さ350m)を構想しています。※集成材とかかな。

○協会加盟ハウスメーカーの取組実例
・旭化成ヘーベルハウス-「そらのまち」「そらから」「屋上」などの自然共生住宅。
・一条工務店-「エコ・ファースト企業」認定。
・住友林業-「涼温房」(地理的条件を考慮した設計)。
・セキスイハイム-高耐久タイル外壁、高耐久タイルステンレス屋根など。LCC(ライフサイクルコスト)低減による環境貢献。電気自動車対応住宅。住宅展示場の再利用。
・積水ハウス-「エコ・ファースト企業」認定。CDP「気候変動Aリスト」選定。「RE100」イニシアチブ加盟(建設業界初)。「SBTイニシアチブ」認定(住宅メーカー初)。
・大和ハウス-「エコ・ファースト企業」認定。環境負荷ゼロを目指す。
・パナソニックホームズ-地熱活用+高効率エアコン1台での温度管理。「ゼロエコ」(エネルギー収支ゼロを超える住まい)。
※断熱/太陽光発電/エネファームなど、住宅も高性能化した。

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