『宇宙線と素粒子の本』山崎耕造(2018年)を読書。
宇宙線/電磁波/光/素粒子/重力波/放射能などについて知りたかったので選択。
宇宙線には銀河宇宙線/太陽宇宙線があります。
地球は地磁気と大気で守られています。
お勧め度:☆☆(専門的だが面白い)
キーワード:<宇宙線はどこから>電離放射線/電磁放射線/粒子放射線、電子ボルト/エネルギー分布、銀河宇宙線(銀河風)/太陽放射線(太陽風)、1次宇宙線/2次宇宙線、電磁波、電子線/中間子線/陽子線/軽粒子線/重粒子線、元素、<素粒子の発見>重粒子(バリオン)/中間子(メソン)/軽粒子(レプトン)、フェルミ粒子/ゲージ粒子/ヒッグス粒子、重力/電磁力/強い力/弱い力、反粒子、ベータ崩壊/ニュートリノ、CP対称性、ミュー粒子、ヒッグス粒子、<銀河宇宙線>超新星爆発/超新星残骸(SNH)、太陽風/恒星風/パルサー風、中性子星/ブラックホール、GZK限界、最高エネルギー宇宙線(EECR)、<太陽宇宙線とニュートリノ>核融合、黒点、コロナ/太陽風、太陽フレア/スーパーフレア、ニュートリノ、<放射線帯の構造>バン・アレン帯、ローレンツ力、<2次宇宙線>核子カスケードシャワー/電磁カスケードシャワー、カットオフ・リジディティ(Rc)、<宇宙線の影響>自然放射線/人口放射線、吸収線量/等価線量、ホーマン軌道、テラフォーミング、ガンマ線バースト、<宇宙線/素粒子の防御と利用>地磁気嵐/電離圏嵐、宇宙線量制限値、ミュオンラジオグラフィ、<未知の宇宙線/素粒子>モノポール、重力波、超対称性理論/超対称性粒子、グラビトン(重力子)、ターディオン/ルクシオン/タキオン、超ひも理論、暗黒物資(ダークマター)/暗黒エネルギー
<宇宙線はどこから>
○宇宙線とは
・宇宙線とは、「宇宙からの放射線・粒子線」です。放射線には自然放射線と人口放射線があります。人口放射線にはX線撮影/原子炉などがあります。
・狭い意味での宇宙線は高エネルギーの粒子線です。広い意味では、低エネルギーのプラズマ粒子線/太陽光/電磁波(ガンマ線など)/重力波が含められます。※範囲が広そう。
○放射線の発見
・1895年ヴィルヘルム・レントゲンが陰極管でX線を発見しました。1896年アンリ・ベクレルがウラン鉱から自然放射線が放出されているのを発見します。二人は共にノーベル物理学賞を受賞します。※以下のノーベル賞は全てノーベル物理学賞。
・1909年テオドール・ウルフがエッフェル塔に上り、箔検電器で放電される事を確認します。これは宇宙からの放射線が原因と考えられました。
○宇宙線の発見者は誰?
・1912年ヴィクトール・フランツ・ヘスは気球に乗り、「高度が高くなるほど放射線が増える(高度5Kmで海面の2倍)」「日食時でも放射線が存在する」を確認します。1925年ロバート・A・ミリカンにより「宇宙線」と名付けられます。
・アーサー・コンプトンは宇宙線を「荷電粒子」としました。これは宇宙線が地球の磁気で方向を変える事から証明されます。
・カール・D・アンダーソンは宇宙線から「ポジトロン」(陽電子)と「ミュオン」(ミュー粒子)を発見します。ヘスとアンダーソンはノーベル賞を受賞します。※こんな粒子は習っていない気がする。
○宇宙線と放射線は違う?
・放射線を幾つかの視点から分類します。まず「電離作用」の有無です。通過中に物質を電離させる「電離放射線」に、電磁放射線/粒子線(陽子線、電子線、パイ中間子線、※中間子?)があります。一方「非電離放射線」に紫外線/可視光線/電波などがあります。
・次に放射線の成分から「電磁放射線」「粒子放射線」に分けられます。電磁波には低エネルギーの電波/マイクロ波/赤外線/可視光線/紫外線と、高エネルギーのX線/ガンマ線があります。高エネルギーの後者を「電磁放射線」と呼びます。「粒子放射線」には荷電粒子の電子線(ベータ線)/陽子線/ヘリウム線(アルファ線、※アルファ線ってヘリウム?)/軽イオン線/重イオン線と、非荷電粒子の中性子線があります。※何でもありだな。この分類は質量の有無かな。
・3つ目に放射線の源から「自然放射線」「人口放射線」に分けられます。「人口放射線」は医療機器/原子炉/核実験などが線源です。
・宇宙線は広い意味では、可視光線(太陽光など)を含みます。逆に狭い意味では、高エネルギーの粒子線に限定します。
○宇宙線は目で見える?
・宇宙線の多くは高エネルギーの陽子です。陽子の半径は10⁻¹⁵m(※説明だと-19乗)で見る事ができません。しかし霧箱/スパークチェンバー/原子核乾板などで見る事ができます。※詳細省略。
○宇宙線のエネルギー
・国際単位系ではエネルギーの単位に「ジュール」(J)があり、「0.1Kgの物を、1ニュートンの重量下で、1m持ち上げる」エネルギーです。また熱量の単位に「カロリー」(cal)があり、「1gの水を、1度上げる」のに必要なエネルギーです。1カロリーは4.2ジュールです。
・可視光線の光子のエネルギーは10⁻¹⁹ジュールと非常に小さいため、「電子が1ボルトの極板間を移動する」エネルギーを1「電子ボルト」(eV)としています。1eVは1.6×10⁻¹⁹ジュールです。※粒子のエネルギーは運動エネルギー?回転エネルギー?振動エネルギー?熱エネルギー?
・可視光線は数eV、太陽のコロナは100eV、医療用X線は数千~数万eVです。※これは1個当りかな。
・宇宙線陽子のエネルギーを横軸/陽子の量を縦軸に取った「エネルギー分布」(エネルギースペクトル)は、指数関数曲線になります。「エネルギー分布」(エネルギースペクトル)は、エネルギーの3乗に反比例します。※高エネルギーの陽子は量が少ないみたい。
・10¹²eVの宇宙線陽子は銀河系(天の川銀河)からで、10¹⁵~10¹⁸eVの宇宙線陽子は銀河系外からです。※弱い宇宙線は銀河系内から、強い宇宙線は銀河系外からかな。
○宇宙線はどこから
・宇宙線は発生源からも分類できます。1つ目は「銀河宇宙線」です。これは私達の銀河(天の川銀河)内の超新星爆発で加速された陽子を主とする、高エネルギーの粒子放射線です。これは「銀河風」とも呼ばれます。※一生を終える時に新星の名が付くのも変な話だ。
・2つ目は「太陽放射線」です。太陽からは磁場を含んだプラズマ流(電子、イオン)/ニュートリノ(中性微子)が放出されています。これは太陽フレアが起きた時に多く放出されます。これは「太陽風」と呼ばれます。
・3つ目は「放射線帯」(バン・アレン帯)です。これは地球磁場に捕捉されている荷電粒子です。4つ目に天の川銀河以外からの「銀河系外宇宙線」があります。
・また宇宙からの放射線は「1次宇宙線」で、それが大気と反応して発生した放射線は「2次宇宙線」です。「1次宇宙線」の大半は陽子ですが、「2次宇宙線」はパイ中間子線/ミュー粒子/ガンマ線など様々です。※これは面白い。玉突きだな。
○宇宙線は何でできている
・1925年ミリカンとコンプトンが「宇宙線が何でできているか」で論争になります。ミリカンは「電磁波説」、コンプトンは「粒子説」を唱えます。赤道付近と極付近で宇宙線の強さが異なる事から、荷電粒子(主に陽子)である事が判明します。
・宇宙線には電磁波も含まれます。電磁波は光速で伝わるX線/ガンマ線などです。
・宇宙線の粒子線には中性子線(※ニュートリノ(中性微子)/中間子とは別)、電荷を持つ電子線/陽子線などがあり、速度は異なります。さらに軽粒子線(ヘリウムなど、※軽粒子は電子などなのに?)/重粒子線(炭素、酸素、鉄など)があります。「銀河宇宙線」の9割が陽子で、残り1割はヘリウムです。※酸素/鉄も飛んでいるのか。
※アルファ線はヘリウム原子核で、ベータ線は電子で、ガンマ線は電磁波みたいだな。皆電磁波と思っていた。
○宇宙線による元素生成
・宇宙はビッグバンから始まり、①素粒子(クォーク、グルオン、※後述)から陽子が生成され、②陽子の核融合でヘリウムが合成され、③恒星内部の核融合で炭素/酸素/シリコン/鉄が合成され、④超新星爆発により重元素(鉄以上)が作られ、宇宙にばら撒かれました。また太陽系以外では、⑤原子核の衝突による「核破砕反応」でホウ素(原子番号5)までの軽元素が作られました。※ここまでわかっているのか。
・宇宙線と太陽系の元素を比較します。宇宙線は陽子87%、ヘリウム12%、その他(炭素、酸素など)1%です。これらの元素は完全に電離しています。宇宙線の元素は太陽系と比べ、リチウム(原子番号3)/ベリリウム(原子番号4)/ホウ素(原子番号5)が多くなっています。これは「核破砕反応」によります。
○コラム-宇宙はどこまで広がっているのか
・宇宙は138憶年前のビッグバンで生まれました。宇宙は光の速さより速く膨張しているので、宇宙の果ては観測できません。地球から470億光年先が果てとされています。※映画『スターウォーズ』の説明があるが省略。
<素粒子の発見>
○素粒子とは
・水は酸素と水素の原子からなり、原子は原子核(陽子、中性子)と電子からなり、陽子/中性子はクォークとそれを繋ぐグルオンからなります。
・陽子は電荷2/3のアップクォーク2個と、電荷-1/3のダウンクォークからなります。一方中性子は電荷2/3のアップクォークと、電荷-1/3のダウンクォーク2個からなります。※クォーク1個の違いか。素粒子の基本だろうが、知らなかった。
・宇宙線の「メソン」(中間子)はクォークと反クォーク(電荷が逆の反粒子)からなります。※陽子/中性子はクォーク3個から、中間子はクォーク2個からなるか。驚きの世界(素粒子)。
○素粒子の分類
・電子は「軽粒子」(レプトン)、陽子/中性子は「重粒子」(バリオン)に分類されます。「軽粒子」と「重粒子」の中間が、「中間子」(メソン)です。
・素粒子の『標準理論』では、クォークは2種類×3世代あり、レプトンも2種類×3世代あります。クォークの第1世代がアップクォーク/ダウンクォークで、第2世代がチャームクォーク/ストレンジクォークで、第3世代がトップクォーク/ボトムクォークです。レプトンの第1世代が電子/電子ニュートリノで、第2世代がミュー粒子/ミュー・ニュートリノで、第3世代がタウ粒子/タウ・ニュートリノです。第3世代は「CP対称性の破れ」の『小林・益川理論』で予言された粒子です。これらの素粒子は「フェルミ粒子」と呼ばれます。※世代って何だ?ニュートリノは電子の兄弟みたいだな。
・他の素粒子に、電磁力/強い力/弱い力/重力を伝える「ゲージ粒子」(光子、グルオン、wボソン、zボソン)と、質量を与える「ヒッグス粒子」があります。これらはボソン(相互作用粒子)と呼ばれます。※ヒッグス粒子は聞いた事がある。
○宇宙線から新しい素粒子を発見
・素粒子は宇宙線/実験室/大型加速器で発見されました。1932年カール・デビッド・アンダーソンは霧箱で陽電子(電子の反粒子、※?)を発見します。1937年さらに彼はミュー粒子を発見します。1935年湯川秀樹は中間子を理論予測しますが、1947年パイ中間子が発見されます。
・1964年理論予測されたアップクォーク/ダウンクォークは、1968年大型加速器で発見されます。1973年『小林・益川理論』の第3世代のトップクォーク/ボトムクォークは、1977年大型加速器で発見されます。
※1935年湯川秀樹の中間子の予測は早いな。1970年頃にクォークが発見されたのか。半世紀も前だ。
○素粒子間の力
・力には4種類(重力、電磁力、強い力、弱い力)あります。「重力」は非常に弱い力ですが、宇宙全体に及びます。
・「電磁力」は電荷を持つ粒子(電荷粒子)に働きます。同符号では斥力、異符号で引力が働きます。「電磁力」も及ぶ範囲は広い。
・原子核内で働く力(核力)に、「強い力」があります。この力によりクォークや陽子/中性子が結び付いています。
・「弱い力」は素粒子の崩壊をもたらす力です。「ベータ崩壊」は中性子が陽子に変換され、電子/反電子ニュートリノを放出する崩壊です。※ダウンクォークがアップクォークに変わるのか。この時放出されるのがベータ線かな。
・素粒子にはクォーク/レプトンがありますが、クォークには4つの全ての力が作用します。一方ニュートリノには「重力」「弱い力」しか作用しません。※クォーク/レプトンにゲージ粒子が乗れる/乗れないがあるのかな。
○反粒子
・1928年ポール・ディラックは陽電子(e⁺)を理論予測します。1932年カール・デビッド・アンダーソンがガンマ線で陽電子を確認します(※何度も出てくる)。この陽電子は電子の「反粒子」です。
・ディラックは、「空間は負のエネルギーを持つ電子で満たされており、高いエネルギーの電磁波で電子と陽電子が生成される」と予言します(ディラックの海)。これは陽子にも適用され、「陽子の海にエネルギーを注入すると、陽子と反陽子ができる」事になります。
・しかし今日は、この理論は用いられていません。全ての粒子に、質量/大きさ/寿命/回転が同じで、電荷のみが逆の「反粒子」が存在する事が明らかになっています。「反粒子」は記号にアッパーバーを付けて表します。※変なのが出てきた。
○ニュートリノは幽霊粒子?
・不安定な粒子が電子を放出し、中性子が陽子に変わる現象が「ベータ崩壊」です。1930年反応の前後でエネルギーが失われる事から「ニュートリノ」の存在が予測されました。
・レプトン(軽粒子)には、電子/ミュー粒子/タウ粒子に対し、電子ニュートリノ/ミュー・ニュートリノ/タウ・ニュートリノの「ニュートリノ」があります。
・「ニュートリノ」は、太陽での核融合/超新星爆発/大気中/地球内部/原子炉/体内など様々な場所で発生しています。「ニュートリノ」は太陽からは、1Cm²に毎秒、700億個飛来しています。※ベータ崩壊が一般的って事かな。
・「ニュートリノ」に関して、2002年小柴昌俊、2015年梶田隆章がノーベル賞を受賞しています。
○CP対称性の破れ
・今の宇宙は粒子だけで構成され、反物資(※反粒子?)は見つかりません。
・粒子が反応する時、対称運動「空間反転対称性」(P対称性)を起こします。電荷に関しても「荷電共役対称性」(C対称性)が成立します。粒子と反粒子の入れ替え(CP変換)が不変なら、今の宇宙に反粒子が存在しない事を説明できません。すなわち「CP対称性」が破れているのです。※こんな解釈で良いのか。
・強い相互作用では「CP対称性」は守られますが、弱い相互作用では「CP対称性」が破られる事が明らかになっています。
・小林誠/益川敏英は「CP対称性の破れ」のためには、2種類×3世代のクォークが必要とし、2008年ノーベル賞を受賞します。
○ミュー粒子は地上に降り注ぐ?
・1次宇宙線の9割は陽子ですが、2次宇宙線の7割は「ミュー粒子」です。地上では、1m²に毎秒、170個の「ミュー粒子」が通過しています。「ミュー粒子」は原子核と衝突せず、地下数10m~数100mまで達します。
・「ミュー粒子」は電子の第2世代ですが、質量は電子の200倍あります。また第3世代「タウ粒子」の質量は電子の3500倍あります。※質量はそんなに違うの。
○ヒッグス粒子
・宇宙はビッグバンにより誕生しますが、その直後「ヒッグス粒子」で満たされます(ヒッグス場)。クォーク/レプトンは「ヒッグス場」の抵抗で質量を持ったのです(ヒッグス機構)。一方光は「ヒッグス場」と反応しないため、質量はゼロで、光速のまま飛び続けています。
・この「ヒッグス機構」は南部陽一郎の『自発的対称性の破れ』が原型です。2008年彼はノーベル賞を受賞します。
○コラム-生命の起源
・生命は無機物から、宇宙線/雷により有機物が形成され、生命に進化したと考えられます。※映画『プロメテウス』が紹介されているが省略。※まだ2章。ヘビーな本。
<銀河宇宙線>
○銀河宇宙線はどこから
・宇宙線には太陽が起こす「太陽宇宙線」があります。また「銀河宇宙線」は銀河系内で発生する「銀河系内宇宙線」と、銀河系外から飛来する「銀河系外宇宙線」に分けられます。
・銀河系内の大きな星は重力崩壊し、「超新星爆発」します。この時の噴出物と星間物資が衝突し、「超新星残骸」(SNH)が作られ、これが「銀河系内宇宙線」の発生源です。
・一方「銀河系外宇宙線」の発生源は銀河の中心部がブラックホールとなり(活動銀河核)、多量のエネルギーを放出していると考えられます。※天の川銀河の中心部は、多量のエネルギーを放出していないのかな。
・「銀河宇宙線」の9割は陽子/電子で、1割がヘリウム原子核です。※何度も出てきた。
○超新星爆発
・1054年藤原定家が超新星爆発を記録しています。これは”カニ星雲”に相当します。天の川銀河の直径は10万光年ですが、”カニ星雲”は地球から7千光年の位置にあります。これらが銀河宇宙線の起源です。
・恒星内部では水素が核融合し、ヘリウムが生成され、炭素までは生成されます。重い恒星では鉄(原子番号26)まで生成されます。恒星は安定して輝きます。
・太陽の8倍以上の場合、「重力崩壊」し、「Ⅱ型の超新星爆発」を起こします。また白色矮星が赤色巨星を巻き込むと、「Ⅰ型の超新星爆発」を起こします。この場合は鉄より重い元素が生成されます。
・超新星爆発により「超新星残骸」(SNH)が放出されます。太陽の30倍以上の場合、ブラックホールになり、30倍以下の場合、中性子星・パルサーが残存します。※正確には「中性子星が残り、パルサーとなり電波/可視光線/X線などを放ちます」かな。
○中性子星・パルサー
・宇宙はプラズマ(電離した気体)で満たされ、その中を「太陽風」「恒星風」「パルサー風」が流れています。恒星はプラズマの粒子を放ち(恒星風)、太陽は磁場を伴ったプラズマを放っています(太陽風)。「中性子星」は超高エネルギーのガンマ線を放っています(パルサー風)。
・「中性子星」は磁気軸と回転軸が異なるため、地球ではパルス的なガンマ線が観測されます。これを「パルサー」と呼びます。
・「ブラックホール」は高密度の星で、地球を半径1Cmに圧縮した密度になります。太陽の10倍以上(※前節は30倍?)の質量だと「ブラックホール」になります。「ブラックホール」は吸い込む恒星が円盤状になり、そこからX線を放出します。また軸方向にはプラズマのジェットを放出します。
○宇宙線粒子は加速される?
・磁場を伴った星雲が近付くと反射/加速されて高エネルギーの荷電粒子が生まれます(フェルミ加速)。宇宙線が星雲と正面衝突するとエネルギーを得ますが、追突するとエネルギーを失います。
・宇宙線が星雲と正面衝突/追突すると、V(星雲速度)/c(光速)の2乗の加速効果があり、「遅いフェルミ加速」と呼ばれます。一方衝撃波や磁気再結合(磁力線の繋ぎ変え)による加速は、V/cに比例し、「速いフェルミ加速」と呼ばれます。※よく分からない式。
・衝撃波となった超新星残骸(SNH)は高エネルギー宇宙線粒子を加速します。磁気再結合(磁力線の繋ぎ変え)により、磁気エネルギーがガスの運動エネルギーに変換され、高エネルギー宇宙線粒子を加速します。※よく分からないが、「衝撃波/磁気再結合は宇宙線粒子を加速する」かな。
○GZK限界
・宇宙は摂氏-270度(絶対温度3度)で「宇宙マイクロ波背景放射」(CMB)で満たされています。宇宙線の陽子(p)はCMBの光子(γ₃ₖ)との衝突でエネルギーを減らし、150メガ光年で4×10¹⁹eV以下になります。
・おとめ座の銀河団の大きさは150メガ光年(※天の川銀河は0.1メガ光年)で、150~300メガ光年の位置に”宇宙の万里の長城”(グレートウォール)があります。4×10¹⁹eV以上の高エネルギーの宇宙線が届かない事を「GZK限界」と呼びます。※おとめ座の話を出した意図が不明。
○宇宙線の最高エネルギーは?
・運動エネルギーが10¹⁸eVを超える宇宙線を「超高エネルギー宇宙線」(UHECR)と呼び、特に4×10¹⁹eVを超える宇宙線を「最高エネルギー宇宙線」(EECR)と呼びます。
・地上の加速器は10¹²eV(1テラeV)まで加速できるため、「テバトロン」と呼ばれます。EECRはその10億倍の10²¹eV(1ゼタeV)まで加速しているため、EECRの発生源は「ゼバトロン」と呼ばれます。
○コラム-スーパーフレアで人類は死滅する?
・地球の危機に、小惑星の衝突/ガンマ線バースト/スーパーフレアなどがあります。映画『ノウイング』はスーパーフレアを題材にしています。
・太陽のフレアは等級X1(10²⁴ジュール)で、超新星爆発は10⁴⁴ジュールで、恒星フレアは等級X1~X100000(10²⁴~10²⁹ジュール)です。
・屋久杉の年輪から、774年スーパーフレアが起こったと推定されます。
<太陽宇宙線とニュートリノ>
○太陽宇宙線
・太陽は高エネルギーの粒子線や電磁波(紫外線、可視光線、赤外線)を放出しています。
・太陽内部の核融合により光速のニュートリノを放出しています。ただし地球には1/3しか届いていない問題があります(太陽ニュートリノ問題、後述)。
・太陽表面からはプラズマ(主に陽子と電子)が毎秒400Kmで放出されています。これは「太陽風」「太陽コロナ」と呼ばれます。
・太陽表面では大小の爆発(太陽フレア)が起こり、「太陽風」よりも高エネルギーの粒子線を放出しています。地球はこれを地磁気で守っています。
※結局放出しているのは、①高エネルギーの粒子線、②電磁波(紫外線、可視光線、赤外線)、③ニュートリノ、④プラズマ(太陽風)かな。③④は①に含まれる?
○太陽の構造
・太陽の半径は70万Kmで地球の109倍、質量は地球の33万倍です。
・太陽は中心部から「核」「放射層」「対流層」「光球」「彩層」「コロナ」となっています。私達が見ているのは「光球」で、厚さは500Kmで、温度は6千度です。「彩層」の厚さは2千Kmで、温度は数100万度です。「コロナ」の厚さは数100万Kmで、温度は100万度です。※コロナは半径の数倍もある?
・太陽の中心部では核融合が起きており、4つの水素(陽子1)からヘリウム(陽子2、中性子2)/陽電子(e⁺)/ニュートリノ(ν)が生成され、ガンマ線(※前節になかった)を放出しています。
○太陽活動は11年周期
・太陽の光球に表れる黒点は、周りより1500度温度が低いだけです。黒点が発生するのは、北緯40度から南緯40度までで、これを「黒点帯」と呼びます。
・黒点は11年周期で多くなります。黒点が発生すると磁力線の繋ぎ変えが起こり、11年でS極とN極が反転します。黒点が多く発生すると太陽の放射強度も高まります。※繋ぎ変え時に放射線が出るのかな?
・黒点が少ないマウンダー極小期(1645~1715年)/ダルトン極小期(1790~1830年)は地球の平均気温が下がりました。
○コロナはなぜ高温化
・コロナは100万度以上のプラズマでできています。このコロナは常時プラズマ(太陽風)を放出しています。太陽の極の部分は低温/低密度で、「コロナホール」と呼ばれ、「太陽風」の発生源になっています。コロナの形は黒点の極大期には円形ですが、極小期には赤道方向に伸びた楕円形になります。
・太陽の温度はコロナが数100万度で高くなっています(コロナ加熱問題)。原因には2説あり、何れも磁場が関係しています。
○太陽フレア
・太陽表面での爆発「太陽フレア」で、電磁波のX線/高エネルギーの粒子線(陽子、電子)/磁場を伴ったプラズマが放出されます。
・「太陽フレア」は、太陽磁力線が浮き上がり分離・放出される現象です。このプラズマの多量放出を「コロナ質量放出」(CME)と呼びます。高速のCMEは秒速1千Kmに達します。※黒点と太陽フレアは関係があるのかな。共に磁場に関係するみたいだが。
・「太陽フレア」で放出されたプラズマは地球に大きな影響を与えます(磁気嵐)。太陽と地球の距離は1.5×10⁸Km(1天文単位)です。太陽からの電磁波/ニュートリノは、光速は毎秒10⁵Kmなので500秒(8分20秒)で届きます(※異常な爆発があると直ぐだな)。高エネルギーの粒子線(陽子、電子)は30分~数日で地球に届きます。
○スーパーフレアは起こる?
・「太陽面爆発」(太陽フレア)は磁気エネルギーの解放現象で、太陽の大気中(彩層)で起こります。通常10²²~10²⁵ジュールです。
・フレアの発生頻度とエネルギーは反比例します。等級はA/B/C/M/Xがあり、B等級(10²¹ジュール)は1年1千回、X1等級(10²⁴ジュール)は1年1回、X10等級(10²⁵ジュール)は10年1回です。
・記録に残る最大のフレアは、1859年「キャリントンフレア」です。1989年カナダで9時間の停電をもたらしました。2003年11月X30等級のフレアが起きました。現代はスマートフォン/GPSなどが普及しているため、被害は甚大になります。※スマホより常時稼働しているコンピュータに異常が出るとパニックだ。
○太陽ニュートリノ
・宇宙で最も多い元素は水素ですが、個数では光子が最も多く、1Cm³当り400個あります。ニュートリノも多く、1Cm³当り300個あります。ニュートリノは電子よりも小さく、電荷はなく、地球も楽々通過します。
・太陽での核融合で多量のニュートリノが放出されています。ところが地球ではその数分の1しか観測されません(太陽ニュートリノ問題)。
・ニュートリノも3世代(電子型、ミュー型、タウ型)ありますが、太陽で生成されるニュートリノは電子ニュートリノ(電子型)です。加速器「スーパーカミオカンデ」の実験で、電子ニュートリノがミュー型/タウ型に変化する事が確認されました(ニュートリノ振動)。「ニュートリノ振動」で、2015年梶田隆章がノーベル賞を受賞しています。
○太陽活動が銀河宇宙線を変化させる
・太陽で「コロナ質量放出」(CME)が発生すると、銀河宇宙線が減少します(フォーブッシュ減少)。太陽の磁場は22年周期で変わっていますが、これにより地球に到達する銀河宇宙線の量も変化します。
・銀河宇宙線のエネルギーは、10⁷~10²⁰eVですが、10eV¹⁰以下の銀河宇宙線は太陽活動の影響を受けます。
○コラム-宇宙人と交信する
・宇宙人と交信するプロジェクトが「地球外知的生命体探査計画」(SETI)です。SETIでは宇宙からの電波の解析を行っています。映画『コンタクト』は、これを舞台にしています。
※やっと半分。凄い本。
<放射線帯の構造>
○放射線帯とは
・宇宙からの荷電粒子は、地球の周りの「放射線帯」(バン・アレン帯)に閉じ込められます。「バン・アレン帯」は地磁気軸に対し、2つのドーナツ形状(内帯/外帯)になります。太陽風の影響で太陽側では地球に接近し、太陽の反対側では地球から離れて長く伸びます。「内帯」は高度1~5千Kmの位置に、「外帯」は高度15~25千Kmの位置に形成されます。
○放射線帯はどのように作られるか
・磁場では荷電粒子に「ローレンツ力」(※電磁力?)が働き、円運動します。質量が小さい電子は小さな半径で高速で回り、質量が大きいイオンは大きな半径で低速で逆方向に回ります。※極上空に放射線帯が作られない理由も書いてあるが省略。
○なぜ放射線帯は2重構造か
・「バン・アレン帯」の「内帯」は電子/陽子でできていますが、「外帯」は電子のみです。「外帯」の電子は何らかの理由で高エネルギーになっています。
・太陽活動が活発な時は太陽風により地球磁場が大きく引き伸ばされ、磁気再統合でプラズマ粒子が加速され、オーロラが発生します。※磁気はまだ勉強しないとダメだな。
○放射線帯粒子が届く場所
・ブラジル南部は地磁気強度が低く、日本の半分程度しかありません(南太平洋異常帯、ブラジル異常帯)。そのため「バン・アレン帯」の「内帯」が高度300~400Kmまで下がり、放射線の強度も異常に高くなっています。
・方位磁石が垂直に立つ「北磁極」はカナダにあります。また「北磁気極」と「南磁気極」を結んだ軸は、自転軸から10度傾いています。また「北磁極」と「南磁極」を結んだ軸は地球の中心を通りません。※北磁極の前者と後者で経度/緯度が異なる?後者は地球を磁石と考えた場合の北磁極かな。
○他の惑星の放射線帯
・太陽系8惑星で、水星/地球/木星/土星/天王星/海王星には磁場があり、衝撃波面と磁気圏界面(マグネットポーズ)ができます。一方磁場のない金星/火星には、衝撃波面(バウショック)と電離圏界面(イオノポーズ)ができます。
・木星/土星/天王星/海王星では放射線帯が確認されていますが、水星は磁場が弱く、放射線帯はないと考えられます。
・木星/土星には太陽からのプラズマが届き、磁場/大気があり、オーロラが観測されています。
○コラム-重力と地磁気が地球を守っている
・「国際宇宙ステーション」(ISS)は高度400Kmを、秒速7.5Km(ライフルの弾の速度の7倍)で飛行しています。これが正面衝突すると倍の速度になります。
・映画『ゼロ・グラビティ』は、「ハッブル宇宙望遠鏡」の修理中に、宇宙ゴミに衝突する内容です。ちなみに「ハッブル宇宙望遠鏡」は銀河系の暗黒物資/銀河系内のブラックホール/宇宙の膨張速度などを発見しています。
<2次宇宙線>
○2次宇宙線とは
・地球は地磁気/大気で宇宙線から守られています。電荷した宇宙線は地磁気で曲げられ、大気中の原子に衝突し、様々な放射線が発生します。宇宙からの宇宙線を「1次宇宙線」、大気中で発生する宇宙線を「2次宇宙線」と呼びます。※フレミングの法則に従えば、電子は地磁気に対し右、陽子は地磁気に対し左への力が働く。
・「1次宇宙線」は、超新星爆発残骸/太陽活動で発生する高エネルギー粒子です。成分は主に陽子で、アルファ粒子(※ヘリウムの原子核)/やや重い原子核もあります。
・「1次宇宙線」と大気中の窒素/酸素の衝突で「2次宇宙線」が発生します。成分は核子(陽子、中性子)/中間子/電子/ミュー粒子などです。この生成プロセスは「カスケードシャワー」と呼ばれます。
・高度20Km位からカスケードが始まります。宇宙船は「1次宇宙線」で被曝し、飛行機は「2次宇宙線」で被曝します。※高度100Kmから大気が存在する。
○空気カスケードシャワー
・入射する1次宇宙線の9割は陽子で、空気中の窒素/酸素/アルゴンに衝突し中間子(パイ中間子、k中間子)/核子(陽子、中性子)/ミュー粒子/光子(ガンマ線)などを発生します。これを「核子カスケードシャワー」と呼びます。※発生をもっと詳しく説明しているが省略。
・一方1次宇宙線がガンマ線/電子の場合、電子(e⁻)と陽電子(e⁺)を誘起します。これらはガンマ線/電子/陽電子の発生を繰り返します。これを「電磁カスケードシャワー」と呼びます。
○パイ中間子とミュー粒子
・1935年湯川秀樹は中間子の存在を予測します。翌年同等の質量を持つミュー粒子が発見されますが、これは中間子ではありません。1947年「パイ中間子」が発見され、1949年湯川秀樹はノーベル賞を受賞します。
・後に陽子/中性子は3つのクォーク、中間子は2つのクォークで、核力はグルオンが媒介している事が判明します。
・「核子カスケードシャワー」で、「荷電パイ中間子(正電荷)」は質量が近いミュー粒子と質量のないニュートリノに崩壊します。※中間子(クォーク)が軽粒子になる?
○地球磁場が宇宙線を弾く
・地球の地磁気により回転半径(※円運動?)が小さい低エネルギーの宇宙線電荷粒子は、極地方にしか侵入できません。※極は磁力が弱い?下向きだから?
・垂直入射可能な運動量(=質量×速度)とエネルギー(=質量×速度²/2)を「垂直カットオフ・リジディティ」(Rc)と呼びます。
・Rcは磁場の強さと荷電粒子の回転半径の積で表され、荷電粒子の運動量を電荷で割ったものになります。※前者と後者が一致?
・極地方はRcが小さく(宇宙線強度が高い)、赤道付近はRcが大きく(宇宙線強度が低い)なり、赤道付近は高エネルギーの宇宙線しか入射できなくなります。
○地上と宇宙での宇宙線観測
・10²⁰eVを超える最高エネルギー宇宙線は宇宙磁場(?)に影響されず直進しますが、地上10Km四方に年1個程度しか飛来しません。しかし地上では1個の陽子が1千億個の粒子群となります。
・「テレスコープアレイ実験」(TA実験)は最高エネルギー宇宙線を検出する実験です。700Km²にシンチレーター検出器600台と反射望遠鏡36台を設置します。
・「フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡」は大面積望遠鏡(LAT)とガンマ線バーストモニター(GBM)を搭載しています。LATは活動銀河/超新星残骸/パルサーからのガンマ線を観測し、暗黒物資/宇宙線/星間物資なども研究しています。一方GBMはガンマ線バーストなどの突発天体を観測しています。
○コラム-人類は火星旅行できるか
・映画『オデッセイ』は有人探査機が事故に遭い、4年間火星で生活する映画です。※詳細省略。
・オランダのNPO法人は火星に定住者を送る「マーズ・ワン」をスタートさせています。
<宇宙線の影響>
○自然放射線と宇宙線被曝
・放射線には自然放射線と人口放射線があります。放射線の強さはシーベルト(Sv)で表されます(詳細は次節)。
・自然放射線は世界平均で年間線量2.4mSvを受けています。内訳は呼吸から1.26mSv(52%)/地表から0.48mSv(20%)/宇宙から0.39mSv(16%)/食物から0.29mSv(12%)で、地表/宇宙は外部被曝、呼吸/食物は内部被曝です。日本は年間線量2.1mSvですが、魚介類を食べるので食物から0.99mSv受けています。※大型魚(マグロなど)は高いらしい。
・人口放射線には胸部X線CT(6.9mSv)/胃の集団検診(3mSv)/胸のX線集団検診(0.06mSv)などです。※1回で自然放射線を超える。
・一般公衆の線量限度は年間1mSvです(※自然放射線2.1mSvだけで超える?)。発電所の作業者は50mSvが制限値です。2次宇宙線で被曝する飛行機の乗務員や、1次宇宙線で被曝する宇宙飛行士は別途基準があります。
○宇宙線の等価線量
・1Kgの物体に吸収される放射線のエネルギーが1ジュールの場合、「吸収線量」1グレイ(Gy)です。これを人体への影響(放射線加重係数)で補正したのが「等価線量」シーベルト(Sv)です。
・「放射線加重係数」は、光子/電子/ミュー粒子1、陽子/荷電パイ中間子2、アルファ粒子(※ヘリウムの原子核)/核分裂片(?)/重イオン(?)20です。中性子はそのエネルギーにより2.5~20となっています。
○飛行機での宇宙線
・日本の年間線量は2.1mSvで、宇宙線は0.3mSvです。宇宙線強度は高度が上がると増す「高度効果」、緯度が高くなると増す「緯度効果」があります。
・宇宙線強度は「高度効果」により富士山(3776m)では地上の4倍、民間ジェット機(高度10~12km)では100倍、超音速旅客機(高度17~20km)では400倍になります。※今でも超音速旅客機はあるのかな。
・宇宙線の9割は陽子ですが、高山では中性子/電子になり、地表ではミュー粒子になります。
・航空線量は「JISCARD」(航空線量計算システム)で公開されています。「成田-サンフランシスコ」と「成田-シドニー」を比較すると、「緯度効果」により「成田-サンフランシスコ」が3倍になります。
○国際宇宙ステーション(ISS)での宇宙線
・宇宙ステーションには、ソ連「サリュート」(1971~85年)/米国「スカイラブ」(1973~79年)/ソ連「ミール」(1986~2001年)/「国際宇宙ステーション(ISS)」(1998年~)/中国「天宮」(2011年~)があります。※結構あるな。
・ISSは地上400Kmを秒速7.7Kmで飛行し、90分で地球を1周します。この高度は放射線強度の高い「バン・アレン帯」の下限1千Kmを避けています。それでも宇宙ステーション船内で毎時24μSv、船外ではその3倍の放射線量を受け、年間で200~400mSvになります。※一般公衆の線量限度は1mSv。
○火星での宇宙線
・有人宇宙船を打ち上げる時は放射線帯(バン・アレン帯の内帯)を避けて打ち上げられます。
・火星に航行するためには近日点を地球軌道、遠日点を火星軌道とする航行が最もエネルギーの消費が少ない(※要するに地球軌道に外接し、火星軌道に内接する楕円)。これを「ホーマン軌道」と呼びます。ただし日数は260日と最も多くなります。
・「ホーマン軌道」で航行すると、合計1000日(片道260日、滞在450日)の日程になります。航行中は1日1.84mSvの銀河宇宙線を受け、約1年半で1Svの線量になり、これはNASAの宇宙飛行士の基準ギリギリです。※太陽宇宙線は加味しない?一般公衆の線量限度は1mSv。
○火星滞在とテラフォーミング
・火星/金星などに地球環境を作る事を「テラフォーミング」と呼びます。第一の課題は大気/水/宇宙線対策です。
・火星のドライアイスを溶かし、二酸化炭素の温室効果で気温を上昇させます。水で藻類を繁殖させ酸素を作り、オゾン層もできるでしょう。※年数は掛かるけど、実現できそう。
・火星のNASA探査機は1日0.67mSvの線量を受け、1年間で70~300mSvの線量になります。これは地球(2.4mSv)の30~125倍になり、宇宙線(0.39mSv)だけの比較だと200~800倍になります。※地磁気と大気に感謝。
○地球温暖化
・地球は太陽磁場(太陽放射線?)により銀河宇宙線の飛来が減少しています(フォーブッシュ減少)。
・銀河宇宙線が雲の発生を誘起している説「スベンスマルク効果」があります。宇宙線(陽子)が大気中の炭素などに衝突し、パイ中間子/ミュー粒子/電子を生成し、水蒸気の凝結を促す説です。この説により、「太陽活動が活発になると宇宙線が減少し、雲の量が減少し地球が温暖化する」となりますが、まだ仮説の段階です。※太陽活動が活発になると赤外線が増えるのでは?赤外線は一定だったかな。
○生物種の絶滅は宇宙線が原因?
・地球は40億年前に誕生し、6億年前の先カンブリア紀に生物種を増大させました。その後、5度の大量絶滅が発生しています。
・4.4億年前(オルドビス紀/シルル紀境界)、超新星爆発による「ガンマ線バースト」(GRB)で15%の生物種が絶滅しています。2.5億年前(ペルム紀/三畳紀境界)、海底火山などによる海水中の酸素欠乏で、三葉虫など10%の生物種が絶滅しています。0.65億年前(白亜紀/第三紀境界)、小惑星の衝突で30%の生物種が絶滅しています。※それぞれ別の原因なんだ。
・星は超新星爆発で一生を終えます。その後質量が太陽の30倍以下の場合、中性子星となります。30倍以上の場合、ブラックホールとなり、「ガンマ線バースト」を発生させます。
・「ガンマ線バースト」は銀河で数100万年に1回発生しますが、そのバーストは細いため、地球に飛来したのは1回だけと考えられています。※これが4.4億万年前の大量絶滅かな。
○コラム-恒星間航行
・映画『アバター』は太陽系外惑星を舞台にしています。※詳細省略。
・太陽系から最も近い恒星はケンタウルス座のアルファ星(4.37光年)ですが、惑星は観測されていません。惑星のある最も近い恒星は、エリダヌス座のイプシロン星(10.5光年)です。
<宇宙線/素粒子の防御と利用>
○宇宙環境は厳しい?
・宇宙は生物にとって「超高真空」「微小重力」「強放射線」の脅威に満ちています。高度100Km以上は大気がほとんどなくなり、これより上空が「宇宙空間」です。ただし大気圏は高度500Kmまでとされています。
・地上の気圧は1013ヘクト・パスカル(10⁵パスカル)です。「国際宇宙ステーション(ISS)」(高度400Km)では10⁻⁵パスカルです(超高真空)。
・地上の重力を1Gとすると、月0.17G、火星0.38G、太陽28Gです。ISSでは、ほとんど無重力の「微小重力」になります。
・地上での放射線量は年間2.4mSvですが、ISSでは年間160mSvになります(強放射線)。さらにISSでは大気がないので放熱が困難です。※何れも桁が全く違う。
○宇宙線の社会システムへの影響
・宇宙線は宇宙空間/大気圏/磁気圏に多大な影響を与え、天気予報が重要なように、宇宙天気予報も重要です。※宇宙天気予報もあるらしいな。
・太陽フレアはコロナガスを大規模に噴出する「コロナ質量放出」(CME)を起こします。これにより地球で「電磁波嵐」「高エネルギー粒子嵐」「地磁気嵐」「電離圏嵐」が起きます。
・「地磁気嵐」は地磁気が減少する現象で、大停電/人工衛星の電子機器の故障/伝書鳩の異常を起こします。
・「電離圏嵐」は太陽フレアによるX線/紫外線の急増により、電離圏の電離が進み短波が反射しなくなり、通信が困難になります(デリンジャー現象)。※色々悪影響がある。
○放射線防護
・放射線防護には、①「遮断」する、②線源から「距離」を置く、③「被曝時間」を短くするがあります。
・船外活動用の宇宙服は120Kgになり、体温/紫外線/宇宙塵から守りますが、高エネルギー宇宙線は遮断できません。太陽フレアが起こると通常の千倍の宇宙線が飛来するので、船外活動はできません。月の場合、地下5mであれば、地球の大気と同程度の遮断効果があります。
・アポロ計画では、放射線帯を避けた軌道が取られました。またロケットの高速化により被曝時間を短縮できます。
○宇宙飛行士の宇宙線量制限値
・「国際宇宙ステーション」(ISS)では太陽宇宙線/放射線帯粒子が問題で、世界中の機関がこれらを観測し、ISSでの船外活動を判断しています。
・米国NASAでは、生涯の被爆線量を800mSv(女性600mSv)としています。ISSで活動すると年間360mSvの線量を受けます。
・日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、生涯実効線量の制限値は宇宙飛行士となった年齢で決まり、30歳以下600mSv(女性500mSv)~46歳以上1Sv(女性800mSv)となっています。
・一般公衆の線量制限値は、医療放射線を除いて年間1mSvで、放射線職業人は年間50mSvです。
・100mSv被曝すると、ガン死亡率は幼児は2%/大人0.5%/40歳以上0.25%になります。
○ミュー粒子を利用する
・ミュー粒子(ミュオン)の質量は陽子の1/9、電子の200倍です(※電子の2世代なのに)。2次宇宙線の7割がミュー粒子で、1Cm²に1分間で1個降り注いでいます。
・ミュー粒子は透過力が強く、散乱角は衝突した原子の原子番号に比例します(※そんなに単純?)。そのため非破壊検査「ミュオンラジオグラフィ」(ミュオン透過法、ミュオン散乱法)に利用されます。※結局透過するのか散乱するのか?
○ミュー粒子が巨大耕造物を検査する
・ミュー粒子(ミュオン)は1Kmの岩盤も透過します。そのため巨大構造物/自然地形の検査に最適です。1950年代には坑道の荷重検査、1970年代にはピラミッドの検査、1990年代には火山のマグマ/溶鉱炉/原子炉などの検査に利用されています。※ピラミッドは聞いていた。
・ウランは鉄/アルミなどの元素より原子番号が大きいため、福島第一原発事故での燃料デブリの位置/量の測定に使われました。
○コラム-タイムトラベル
・空想科学小説(SF)は無数にあります。『タイムマシン』(1895年)は、1960年/2002年に映画化されています。※詳細省略。
・時空を歪めるには、特殊相対論では膨大な運動エネルギーが必要です。一方、一般相対論では、光速以上で移動する事でタイムトラベルが可能ですが、時間の進みを遅らせるだけです。
<未知の宇宙線/素粒子>
○モノポール
・帯電体は正電荷/負電荷があり、それを片方だけ取り出す事が可能です。一方磁石は、それを幾ら分割してもS極/N極になります。要するに磁気の「モノポール」(磁気単極子)は見つかっていません。
・現在のインフレーション宇宙論では、「モノポール」は「真空の相転移」の際に生じた欠損とされ、陽子の10¹⁶倍の質量を持つ「モノポール」が存在するとされています。※難解。
○重力波
・宇宙は粒子/電磁波に満ちていますが、未知のエネルギーに「重力波」があります。これは1916年アインシュタインが予言したものです。
・2016年米国の重力波観測装置LIGOで、2つのブラックホールの合体による「重力波」が観測されます。この時太陽質量の30倍と29倍のブラックホールが合体し、62倍のブラックホールが作られました。※この話は聞いた覚えがある。
○超対称性粒子
・核力(強い力、弱い力)に電磁力を含めた3つの力が統一された理論が『超対称性理論』です。時間/空間を変えても物理法則が変わらない性質を「対称性」と呼びます。
・「超対称性粒子」は、スピンが1/2ずれただけで、電荷などは等しい粒子です。※1/2のずれって分かるの。1/2ずれて(遅れて?)も一緒じゃない。そもそもスピン(回転?)の説明がない。
・粒子にはフェルミオン粒子/ボソン粒子がありますが、超粒子は、フェルミオン粒子がボソン粒子に、ボソン粒子はフェルミオン粒子に変換されたものです。※何で性質の全く異なるものに変換できるの?何でも反対のものを予測したがる。
○グラビトン
・4つの力を与える交換子(ゲージ粒子)が、フォトン(光子)/ウィークポゾン/グルオン/グラビトン(重力子)です。グラビトンは重力(万有引力)を与え、スピン(?)は2です。ただしグラビトンは発見されていません。※重力を与えるのがグラビトンで、質量を与えるのがヒッグス粒子か。
・グラビトンは『標準理論』では扱われず、『超対称性理論』では「閉じたひも」として扱われています。
・『5次元の膜宇宙論』では4次元時空の膜が複数存在します。グラビトン以外の交換子は1つの膜に留まりますが、グラビトンだけは他の膜と自由に行き来でき、そのため重力だけが極端に小さいのです。※この節は遠慮したい。
○超高速粒子
・粒子を光速まで加速するには膨大なエネルギーが必要です。これらは「ターディオン」(遅い粒子)と呼ばれます。質量を持たない光子は常に光速で運動し、これらは「ルクシオン」(光の粒子)と呼ばれます。さらに光速以上で運動している粒子を「タキオン」(速い粒子)と呼びます。
○超ひも理論と膜宇宙
・物理学では極微の世界は『量子力学』、巨大な世界は『一般相対性理論』で記述します。近年2つの統一が試みられています。重力を量子論的に扱う理論に『超ひも理論』があります。
・『超ひも理論』では、素粒子を長さ1.6×10⁻³⁵mのひもで表します。スピン1のグルオン/ウィークポゾン/フォトンは「開いたひも」、スピン2のグラビトンは「閉じたひも」になります。さらに『超ひも理論』では、空間1次元当り2次元の余剰が存在するとし、10次元時空となります。※この節も遠慮したい。
○暗黒物質
・通常の物質は質量を持つ「バリオン物資」(原子核、電子)で、光/電磁波を放射/吸収しています。一方質量を持つが電磁波を放射しない物資を「暗黒物資」(ダークマター)と呼びます。宇宙は「バリオン物資」5%、「暗黒物質」25%、「暗黒エネルギー」70%で構成されています。※暗黒物質はヒッグス粒子とは別みたいだな。
・天の川銀河内の恒星の公転速度は、銀河の中心からの距離の平方根に反比例するはずですが、実際は一定の速度で公転しています。これは「暗黒物質」が存在するためです。
・「暗黒物質」の候補として、素粒子物理学からは粒子WIMP/アクシオン/ダークフォトン/ニュートリノ/ニュートラリーノ/グラビティーノなどがあり、天体物理学からはMACHO/褐色矮星/白色矮星/中性子星/ブラックホール/モノポールなどがります。
○暗黒エネルギー
・宇宙はビックバン後、インフレーションし、減速し、現在は加速膨脹しています(※知らなかった。一定速度ではないんだ)。この加速膨脹の原因が「暗黒エネルギー」です。これを表したのが宇宙定数です。
・「暗黒エネルギー」を表すもう一つの数値が「クインテッセンス」です。こちらは運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの比率で、変動します。
○マルチバースと反宇宙
・私達の宇宙(ユニバース)とは別の宇宙が存在する考えが「多元宇宙」(マルチバース)です。また反物質で構成された「反宇宙」や「子宇宙・孫宇宙」などが存在する考えもあります。
・これらを検証するには現在の化石燃料/核燃料を利用する「地球文明」から、「惑星文明」、反物資を利用する「恒星文明」、ブラックホール/超光速航行技術を利用する「銀河文明」に発展する必要があります。
○コラム-宇宙は1つでない
・宇宙は光速以上で膨張しています。光で観測可能な範囲は138億光年までで、その先940億光年まで宇宙があるとされます。
・映画『インターステラー』は第2の地球を探す物語です。この映画の総指揮担当は重力波の観測でノーベル賞を受賞したキップ・ソーン博士です。