『日本発の世界常識革命を』日下公人(2020年)を読書。
日本を称賛する本を時々読むが、本当に日本は世界に誇れる国かな。将来が明るい国に思えないが。
過激な提案が多々あるが、幅広い知見からの発想だと思う。
「無手勝流」は初めて聞いたが、意識したい言葉だ。
主張にブレはないが、全ての話を信じるのはどうかと思う。
不親切な文章が多いため難解である。またテーマの重複もある。
お勧め度:☆(難解である)
内容:☆☆
キーワード:<はじめに>口の上手い人、清潔、<世界で最も平和で清らかな国>検疫/清潔、天皇、日本の伝統、世界常識革命、日本製品、皇室、ルール、米中対立、能動的行動、<教育と国内問題の新常識>イジメ/自主防衛、公共事業、教育、憲法、大蔵省、現場、ゴーン、空気、常識、私立医科大学、戦争責任、<日本外交の課題と使命>経済、開戦、内臓の病、世界標準、歴史、太平洋、統計、言葉、周辺国、全国総合開発計画、<世界に冠たる先進国ニッポン>和魂洋才、常識、ソフトパワー、公営・民営、援助、日本製品、発展、国際標準語、無手勝流、価値観
<はじめに>
・フランス革命で生き残った人が、「何か口が上手い人ばかりが残ったな」と言ったそうだ。最近そう思う事が多い。
①そういう人が作った社会が「近代」と呼ばれ、それにうんざりする人が多い。
②そういう人(※うんざりしている人かな)が集まり、「近代を越えて」と言っているが、それに背を向ける人が多い。
③ポストコロナを議論する時代が始まる。しかしコロナはいずれ終息するので、結局米中対立の話になる。米国では中国からコロナで賠償金を取る「コロナの兵器化」と、中国が保有する米国債の償還を停止する「金融の兵器化」がある。※これが「口が上手い人」かな?
・ここで思い出すのが藤田東湖の「我々は神州清潔の民」である。コロナ騒動により、これが再認識される。戦後は金持ちが清潔を独占し、貧乏人は不清潔と同居していた。
・日本は不戦なので財政に余裕がある。健康保険の普及率は100%である。100%に近付くと、難病・奇病がなくなった。それは統計が整備されるからだ。また製薬会社も予測・計画が容易になる。製薬会社は大規模ほど優位なので、大合併が進む。
・薬効とは何なのか。人間が対策を考えている内に、コロナは4種類に分化し、問題は先へ先へ進んでいる(※この辺り理解できないので省略)。ロックフェラーが建てた大学に野口英世の銅像があるが、それは彼の功績ではなく、彼の意気込みを称賛してか。※話が飛ぶので難解。
・今、口の上手い日本人は何を言うか。それともお金ができた日本人は何も言わないのか。日本の学者は研究費が欲しい。そのため中国との共同研究が花を咲かせている。これにトランプは怒って、「アメリカファースト」を掲げ、流出を止めにくる。日本もそこで「日本ファースト」と言うしかない。
<第1章 世界で最も平和で清らかな国>
○我ら「神州清潔の民」
・かつて日本に病原菌が入ってくるのは港からだった。そのため明治になると開港地に検疫所が作られ、そこに近くの医科大・専門学校の学生が動員された。
・私(※著者)は慈恵医科大の学生とよく麻雀をやった。彼らは「しっかり手を洗え、パイは汚いから」とよく言った。彼らはよく手を洗い、口をゆすいだ(※スペイン風邪とかあったからな)。彼らは東京港の検疫を行っていた。自分が最初の感染者になり、その経過を論文に書くのが名誉だった。
・実は私の母も同様の仕事を神戸でしていた。第一次世界大戦後、外国船が入ってくるので、その検疫のため大蔵省が女性の公務員を2人雇った。その1人が母だった。しかし母は熱帯病に罹り、1週間生死をさまよった。※スペイン風邪かな。
・今回のコロナウイルスは、世界の不衛生と中国の強権政治を思い出させる。また幕末志士の「神州清潔の民」も思い出させる。日本では「清潔」は様々な場所で用いられる。テストや試合でインチキすると「きたないぞ」と言われ、「バイキン」と呼ばれ、「ノケモノ」にされる。日本は外交で相手国を「A級ノケモノ」「B級バイキン」と指定してはどうか。※結局本節はこれが言いたかった?
○国民の合意として自然成立する王朝
・天皇陛下が「もう退きたい」と国民に訴えた。これへの反応を不思議に思う。1週間の沈黙後、出てきたのは、またもや数字と法律だった。数字は、「国民の9割が同感・賛成」である。法律では、「有識者会議を設けよう」で止まっている。その後も学者は何も言わなかったが、天皇はみるみる元気になられた。
・皇室の人は「皇統譜」に戸籍がある。女性は結婚すると皇籍から離脱し、退職金がもらえる。黒田さんの場合は3億円だったが、天皇の場合は前例がない。そこで高齢者の方ばかりで会議が開かれた。イラクに自衛隊を派遣した時もそうだったが、この会議も今回限りとなった。
・外国の王様は金持ちだが、天皇は清貧である。宮内庁の友人に「天皇を金持ちにしないと、嫁が来ないよ」と言うと、「天皇自身が質素が一番と考えておられる」と答えた。
・近年グローバリズム/ナショナリズム/民族主義/ふるさと創生の風が吹いている。このナントカ主義で様々な事を説明するのは、古いのではと思う。世界を見ると王朝は10代も続かない。しかし日本は、国民の合意として自然成立する王朝(?)を作ろうとしているが、それには女性の参加が必要である。そうでない天皇論には無理がある。
○日本の伝統文化が余りに立派過ぎて
・あるアラブ人が、「日本のホームレスは英字新聞を読んでいるが、仕事がないのか」と訊いてきた。また別の人は「4人のホームレスがいると、米国だと公園の四隅に散らばるが、日本では固まっている」と言った。※そうなんだ。
・日本の新聞には「A社とB社が合併」などの記事をよく見る。一方世界では、英国のEU離脱、米国のTPP離脱など分裂の話が多い。日本は合同・合併・提携が良いとされる。これは聖徳太子が「仲良しが一番」としたためだろう。
・近年日本の良さが認められ、ノーベル賞も受賞できるようになった。オリンピックの競技でも芸術点が重視されるようになった。柔道でも一本勝ちが重視されようとしている。日本のものは、日本に戻した方が良い。日本のスポーツ・芸術は、日本人が追求すべきである。世界はそれを待っている。
・東京から日本を見ると間違える。地方の若い力が日本を代表する。「欧米を超える」「和魂洋才」「追い付け、追い越せ」の私には想像できないが、若い人は内発的な意欲に従って、自分の道を歩いている。
・日本人は漫画/アニメ/ゲームだけでなくスポーツでも活躍している。これからは文化・娯楽の面でも、世界が日本を仰ぎ見る時代になる。日本人は「我が家は、お目に掛けられるものではない」と卑下する。しかし日本の伝統文化の凄さを自覚する時代がきている。
○日本発の世界常識革命
・世界の行方を考えていると、「世界観なき世界」の言葉が浮かんだ。これまでは「世界観がない」と思った事はなかった。日本には太古からのものもあれば、世界の思想・宗教も集まり、「我が仏尊し」だった。その単純化が日の丸だろう。他方米国の国旗などは、子供が書くのにかわいそう。
・トランプが大統領になり、これまでの歴史・思想がアホらしく思えてきた。「世界観」「歴史の真実」などを説く人はトランプによって一掃される。これまで300~400年間、立派に見えていた白人文化なるものが終わる。中国が後継者になるとは言えないが、世界中の人が新しい世界を作る時代になる。
・トランプが登場する以前は「ポリティカルコレクトネス」が大流行していたが、大衆はそれに半信半疑だった。それを掴んだのがトランプだ。ヒラリーは高学歴で国務長官も務め、それらがプラスになると思われていたが、逆にマイナスになった。簡単に言えば「ヒラリーは嫌われていた」のだ。これからは「白人は嫌われている」「日本は尊敬されている」などが出てくるだろう。
・これから日本発の世界常識革命が起こる。①世界全体の事を考えているのは日本だけ。②世界の宗教で最も平和で清いのは神道。③世界の神話で女性を最も尊重しているのは日本の神話(※神話ね)。④電車で「チカンだ」と叫ぶと、皆が捕まえるのが日本。これで「ニッポン・ファースト」になる。※主語がないが、世界の人かな。これが本書の核心かな。
○日本製品は「商品」ではない
・ケント・ギルバートとは時々顔を合わせた。彼は「日本はルーズベルトにより開戦を強要された」と言っている(※ハル・ノートとかがある)。彼は「日本の洋服は高い。米国の服に中間色がない」と言い、「それで自分の服を米国で買うため、自分の服がド派手になってきた」と言った。これは米国のド派手な文化、日本の中間色の文化を表している。
・その頃米国に行き、『士官学校生徒のためのエチケット』という本を手にした。それには「教官に食事に誘われたら、安い料理を頼め」と書かれていた。教官の給料は安かったが、見栄を張る階級社会だった。ところが次に「質素革命」が来る。粗末な服を着て、Gパンを履いた。※1960年代かな。今の日本は「黒色革命」「灰色革命」から、少し脱却した感じかな。
・ルイ14世(1638~1715年)は着飾った。彼らには富があり、デザイナー/仕立屋/建築家もいた。贅沢は人を威圧する効果があった。文化は産業になり、国富になり、技術進歩の基盤になり、人々はプライドを持った。
・ここからが大事である。今は仏国ではなく日本なのだ。日本製品は売れる。しかしそれを買う中国人も、それを売っている日本人も理由は言わない。中国にそれを持って帰ると、皆が喜ぶ。中国ではそれは「商品」ではなく、贈答品・献上品なのだ。日本製品は価値がある。そこから日本の未来を考えよう。
○天皇の祈りと共に初日が昇る
・外務省・宮内庁・警察に友達がいて、色々な裏話を聞く。そのため新聞記者がちゃんと質問しているのか心配になる。新聞記者は「公正中立」のため、犯人探しが不要な選挙と自然災害が好きだ。しかし地元の人は犯人を知っている。地主が山を手入れしない→豪雨で土砂崩落→材木が橋や堤防を破壊となる。しかし地主は地元の有力者なので、記事にできない。
・近頃皇室に関する報道が少ないのは不思議である。皆「自分の事ではない」と逃げている。皇室会議の議長である安倍首相にお願いしたい。「皇室をもっと裕福にして欲しい」。これを友人の宮内庁の高官に言うと、「天皇が質素を旨とされているから・・」と返された。
・天皇はお祈りするのが仕事である。大晦日の夜、宮中三殿の賢所で1年間の災厄を報告し、「私の不徳の致すところ、国民に当たらないで頂きたい」と祈る。天照大神の怒りが解けると、新年の朝日が昇る。
・アラブの人に「『水に流す』教えはないのか」と尋ねると、「水は砂漠に消えるが、後に浮遊物が残る」と返された。これでは日本が仲介するのは難しい。台湾人が日本人を好きなのは「アッサリしているから」だ。日本は朝鮮や米中の問題からアッサリ手を引くべきだ。そうでないとお金を取られる。
○日本ルールを提案せよ
・安倍首相が2度目の総裁選に立候補した時、30名が支持を表明した。彼らに「首相になれば活躍すると予測します。成蹊大学のキャンパスを歩けば分かります」と伝えたが、相手にされなかった。その理由は、①成蹊大学の庭に銅像があり、「教え子が建てた」とある(※岩崎小弥太かな)。②東大の安田講堂の前に銅像があり、沢山の名誉が書かれているが、誰も見ない(※濱尾新かな)。③東大の掲示板には、他大学とのリーグ戦の予告・結果が沢山貼り出されている。④東大・早稲田大学では国家試験の勉強をしている。※難解だな。
・国立大学と私立大学の異同の話は色々ある。大事なのは「国際舞台で日本が活躍する場を作れる力があるかないか」である。その力には外国が作ったルールの中で頑張る力と、自らルールを作り世界をリードする力が含まれる。
・三井造船の山下勇社長が嘆いていた。国際標準規格の作成について欧州から申し入れがあったが、技術部門から返事がない。聞いてみると「我々は規格が決まれば、すぐにキャッチアップできます」だった。
・彼に「青い柔道着を着せられているようなものですね」と言ったが、返事がなかった。日本のスポーツなのに、理事に日本人がいない。誤審しても抗議しない。日本選手は講道館柔道と国際柔道を練習する羽目になる。日本の主張が認められないなら、参加しなければ良い。日本で日本選手権とか講道館杯を開けば良い。
・嘉納治五郎の精神は「精力善用」「自他共栄」だが(※知らなかった)、今年G20が大阪で開かれるので、安倍議長が提案すれば良い。日本はルールを守る国から、ルールを作る国になるべきだ。※交渉の歴史が古いからか、ルールは大概欧州が作る。
○勝ち敗けの予測より、大義と名誉
・産経新聞に台湾の李登輝さんの連載があり、それを読むと「日本は台湾を、このまま傍観して良いのか」と恥ずかしくなる。彼と二人で話した事がある。彼が副総統の時、総統・蔣経国が亡くなった(※1988年)。国民党は後継争いが激しく、殺されるかもしれないので、一番安全と思われる棺の前で一夜を過ごした。私は彼の話を黙って聞いていた(※前の話とは別の話になる)。彼は「私は京都大学の卒業名簿に載っていない」と言う。彼が学徒動員で高射砲隊にいる時、終戦になった。私は「腰抜け京大」と言いたい。※彼は本省人なのに国民党に入党できたんだ。ただし入党は1971年なので相当後だな。
・話を戻す。彼は言う「私は新総統に就き、反対派を中国風に処刑できる立場になるが、それをしなかった。そのため台湾の民主化・自由化は遅れた。それは私が日本人だったからだ」。次に日本人が答えなければいけない。「日本は台湾に70年間投資した分を返せ」と言っていない。しかしこれは古い考えだ。日華平和条約をよく読んで欲しい。そこには「台湾の事は、台湾に任せる」と書いてあるだけで、台湾が頼んできたら承知してよい。※台湾併合を言っているのかな。
・米中対立が起き、台湾はトランプに着いた。それはトランプの方が強いからだ(※共産党が嫌なのでは)。「日本も強い方に着く」と考えるのは古い考えだ。必ず勝つ国に勝敗の予測は不要で、大義と名誉が大事である。日本はもう、その国である。日本国民はそれを分かっていない。また習近平は自分が負けると分かっている。※難解。日本>米国>中国みたいな話だな。結果だけあって、理由が書かれていない。
○ラグビー日本代表チームが教えてくれた事
・日本が味方についた方が勝つ世界になった。昔は英国を囲んで輪が作られたが、G20大阪サミットでは米国と日本がそれに代わった。これが常識になるが、展望は以下だ。①トランプは間もなく大統領選挙があり、日米関係は二の次になる。②この時、日本は世界新秩序を提案し、米国に先行する。③世界は、日本がこれをするか心配している。④この時、ラグビーで次々パスする日本選手が現れた。相手が驚いている隙に、日本が勝つ(※軽量な日本はスクラムではなく、パスに徹したな)。日本選手は何でもできるのに、遠慮深く、紳士的プレーをしていた。⑤同じような日本人は沢山いる。彼らは実績を積み上げても、中々変わらない。⑥彼らは「心の持ち方の世界」(※遠慮深く、紳士的?)に逃げ込んでいる。彼らに「世界が日本をどう見ているか」を教える必要がある。
・日本人は、「周りが、自分がどうあるべきかを納得し、周りが自分に新しい場所を提供してくれる」と考えている(※受動的だな)。そのため人事の略歴には、「○○に推される」と書いた。米国のある大統領は料理人3人を付けるよう要求した(※契約主義だな)。中国の共産党の要人は、「別荘を3ヵ所、病院を3ヵ所、料理人を3人用意する」が保証されている。これは中国が安全でない証拠である。※この後、難民の話になるが省略。
<第2章 教育と国内問題の新常識>
○いじめに対する自主防衛教育を
・竹村健一の日曜日の番組で、イジメの話題になった。有識者が「学校が悪い」「父母が悪い」「先生が悪い」などと言うが、私が本当の事を言った。イジメの張本人はイジメられている子が一番知っているが、黙っている。ある時イジメられていた虚弱児がナイフを持って抵抗した。イジメッ子は走って逃げた。それ以降イジメは起きなかった。
・これを思い出し、解決法を述べた。①先生が断固介入する。②反撃を決意した子に、先生はナイフを貸し出す(※これは犯罪になる)。③先生は経緯の証人になる。「学校は無力」で手を引くと、自主解決できない。
・米国では、数人の教師にピストルを持たせている学校もある。④実際的な解決にはこうするしかない。⑤かつては「事なかれ主義」から、加害者/被害者を転校させていた。⑥米国では、軽い刑として学校に送り込まれる生徒がいた(※学校が刑務所?)。米国では州の軍隊の鬼軍曹が学校に天下った。彼らは悪童扱いの名人で、父母も喜んだ。心技体がそろった再教育は効果満点で、再就職にも良かった(※再教育も再就職も主語は悪童かな)。米国では地元が教育を行うため、文科省はない。そのため地方の教育委員会が強力で、各地で同様の事が行われている。※教育に民間企業が結構入り込んでいるのでは。
・日本ではイジメられた子は自殺する事になる。それは学校に付いている専門家が「無抵抗が一番」と教えているからだ。学校の先生も逃げており、転校生や虚弱児童は絶望的な立場に置かれる。
・戦時中は柔剣道が正課だったため虚弱児童には救いで、「護身術」と云われた。アラブでは男の子が成人すると「偃月刀」を渡される。ただし「これを抜く時は、必ず相手を殺せ」と教えられる(※これは知らなかった。該当はアラブだけなのか、イスラム全体なのか。これはイスラムが強かった要因かな)。以上より必要なのは自主防衛精神の教育である。
○関東と関西で異なる公共事業
・東京都知事・美濃部亮吉は「住民が一人でも反対するなら、橋は架けない」と言った。これを朝日新聞が賛成したため、多くの人は「これが民主主義、革新的、学者だ」と感心した。※彼は3期(1967~79年)務めたので、いつの話か。
・これにより多くの公共事業が止められ、環七の工事も放置された。ところが都の財政は赤字続きだった。さらに不思議なのは、「都の財政は伏魔殿」と云われたが、それを記事にする新聞はなかった。結局できたのは「味の素スタジアム」などのスポーツ/イベント会場だった(※東京スタジアム/味の素スタジアムは2001年開場で、大分後。同じ公共事業でも、道路建設と公共施設建設では内容が大分異なるな)。この結果、「政治家と役人はハコモノが大好き」となり、その後始末として東京オリンピックの招致となった。「失敗を、この経済効果で消してくれ」らしい。
・これでバカを見たのは誰だろう。美濃部知事、朝日新聞、都民、役人、学者、評論家、シンクタンク、誰だろうか。私も被害者である。私は「東京のルネサンスを考える会」の委員にされたが、私の意見の大半は不採用になった。以下を発言した覚えがある。
①都知事が美濃部氏から鈴木氏に代わり、5千億円の貯金ができた。これは鈴木氏の功績である。
②江戸時代の町奉行は北町奉行と南町奉行の交替制で、休みの時は投書を吟味していた。これをやる。
③ハコモノは公有民営にして、名称の賃貸料を取る。これは味の素スタジアムで実現する。
④「公共事業とは何か」を徹底的に吟味する。官庁は縄張りを広げたいので、「これしか根拠がない」(※解決方法?)と言わないで、自分がやりたい事をどんどんやっている。談合が深く広く存在するので、民間もこれを歓迎している。※役人は、「予算を取った」「天下り先を作った」などで評価されるらしい。
⑤公共事業の在り方は関東と関西で異なる。関東は官尊民卑だが、関西は民間主導である。しかし関西の人は、「その理由を知らなくて良い」と言っている。※ブラックだな。
⑥関東と関西で違いがあり、トランプが大統領の時は関西人を日米交渉に当て、ヒラリーの時は関東人を当てると良い(※難解)。最近はヒラリー陣営の事を「エスタブリッシュメント」と呼ぶ。米国では古い勢力を、新しい言葉で呼ぶので、勉強が必要である。ベトナム戦争の時、帰還兵向けに『今、流行の英語』が売れたそうだ。
○教育の権利は誰にある
・トランプは簡単明瞭に話し、結論から話す。一方彼の反対派は、何でも難しく話す。彼らは「世の中は簡単に変わらない」と思っていたが、いつの間にか彼らが置き去りにされた。
・「最初の100日」で成果を評価する向きがあるが、トランプは無視している。彼は部下に軍人を登用した。世界最強なので万事が進むと思っていたが、誤算だった。大統領は法律/国会/メディアに囲まれ、民間企業の社長より権力がない。
・一方安倍首相は官房長官/幹事長/秘書などの党務を長く務め、権力の裏側を知っている(※トランプは政治経験が全くない)。これが両者が密接になった理由である。これは「以心伝心」だが、日本のメディアはこの言葉を使わなかった。しかし近頃若者がこの言葉を使っている。
・教育は、本来は上級生が下級生を教えるものだ。江戸時代の寺小舎(※寺小屋でない)がそうだ。今は文科省が教育を独占している。これは良くない。教育には、上級生による教育、近所による教育、年寄による教育などがあって良い(※3大義務の教育は、「学校教育を受けさせる義務」ではなく、「教育を受けさせる義務」である)。こうなった原因は文科省の学費補助などの金縛りにある。スクールバスを市中巡回にし、これを公共事業の柱にしてはどうか。
・米国では教育が「国家の事業」「地元の事業」「親の事業」「本人の事業」の何れかが論議になる。そうなれば単なる所得格差の問題ではない大きな亀裂が明るみになる。※大きな亀裂とは何?サンダースは学生ローンの免除を約束した。
・そもそもドイツのフリードリヒ大王(※1712~86年。彼かな?)が、「子供の教育権は国家にある」とした事に始まる。これに最初は親が反対したが教育内容が高度になり、やがて「専門学校ブーム」「国立大学ブーム」になる。そして「子供の学習権」「私学の独立精神」が問題として残った(※「子供の学習権」とは何?「教育を受ける権利」?本書は説明不足が多い)。そのため米国では「地方自治体の問題」とされ、各地方に教育委員会が作られた(※地方とは州かな)。一方日本は文科省と教育委員会が作られ、「子供の学習権」が否定されている。※やはり学校教育とフリースクールとかの話かな。
○現憲法を廃止すれば、十七条憲法が復活する
・憲法は改正ではなく、廃止が一番望ましい。その理由は、①なくても困らない、②あるために憲法論が起きる、③英国など憲法がない国もあるだ。※乱暴だな。
・渡部昇一も③を主張されていた。彼はスコットランドで家主と揉め、裁判所に出頭したが、判事は彼の勝ちを即断した。判事の仕事は「法の適用」だが、その法はローマ法が起源で、それを日本人などの生活・習慣に当てはめて判決を書く。ところが英国の遠隔地では、「法の適用」ではなく「法の発見」「法の創造」になっている(※英国の司法は、どんなレベルなのか)。そのため自分たちの常識で決めればよい。
・父に「日本の裁判はどうして時間が掛かるのか」と問うと、「日本には条約改正があるので、一旦外国語で法律を書いて、それを諸外国から承認を得て、日本語の法律を書いた。そのため矛盾ができた」「例えばナポレオンの民法は男尊女卑だが、日本は女尊男卑だった」と答えた。※昔の話だな。また外国の承認は英国だけかな。
・これらから廃憲論に発展するが、その理由を書く。まず新憲法を解説し、「日本は男尊女卑だった」とするのは間違いである(※新憲法に過去の事は書いてないと思うが。明治憲法は男尊女卑で、新憲法は男女同権かな)。欧州/中国は明らかに男尊女卑だが、日本は女尊男卑だった。ところが下級武士は男尊女卑で、彼らが明治維新を成した事で、日本も男尊女卑になった。しかし日本は介護・福祉の予算を増やし、男女同権を乗り切った。日本が現憲法/帝国憲法を廃止すれば、聖徳太子の十七条憲法が残る。※「日本は本来は女尊男卑で、憲法は男女同権なので廃憲すべき」との主張かな。
○働いているのは安倍首相だけ
・ある人が首相になり、こんな事を言った。「ありがたいのは大蔵省だが、腹が立つのも大蔵省。閣議決定の前に次官級会議があるが、それを調整しているのが大蔵省」。内閣は大蔵省の「微調整力」に振り回されているのだ。その理由は、①GHQとの調整が必要だが、英語に自信がない。②各省に交渉する気概がない。③各省は顔を合わせるだけで、ただ待っていた。この時に微調整が行われる。「AかBを取れ」「今年はダメだが、来年は約束する」などである。そのため首相は大蔵省に相談し、官僚のトップが大蔵省になった。
・官と政の争いは明治維新から続いている。今やる気があるのは安倍首相だけで、後は「テレビ映り」「ミスの書き換え」など、自分の利益しか考えていない。※後とは首相以外の閣僚の事?
・以上は余りにも根本的な話なので付け足す。マッカーサーの頃は、カネよりモノの時代だった。工場/鉱山への就職が人気だったのは、「残業すると夕食が出る」「防寒衣料が配給される」などからだ。ドッジ・ラインによる財政金融引締政策で、カネの時代になる。池田勇人が「貧乏人は麦を食え」と言ったのが始まりである。※ドッジ・ラインと池田勇人には10年位の隔たりがあるが。
・米国は以下の占領政策を行った。①間接統治する、②内務省を解体する、③陸軍省/海軍省は残務整理機関である。このマッカーサーからの指示を引き受けたのが大蔵省だった。バラマキによりインフレになるが、赤字財政でも構わない時代になる(※インフレと赤字財政は同じ時代かな)。①野党もマスコミも政治にたかった。②与党も景気回復が一番とし、赤字財政を問題にしなかった。③政権をとった野党もバラマキしかなかった。④財務省は接待漬けで堕落する。⑤国民は福祉を要求し、それを得た。⑥働いているのは安倍首相だけになり、防衛費は今の5倍になる。※本節のテーマは財政赤字かな。
○時を逃がさず登場する人材
・寒くなると列車に遅れが出る。30年前、国鉄の人に「どうして回復に30分も掛かるのか」と訊いた事がある。彼は「八王子のポイントが凍結しているのは想像が付くが、エリートが絡むので遅くなります」と答えた。また私鉄のアルバイト学生は、「運転席にはバケツ・火ばさみが置いてあり、それで手足を拾った事もあります。警察が絡むので遅くなります。JRはその辺は下手でしょう」と言っていた。
・現場には臨機応変力がある。陸軍にも「将校さんは見なかった事にして下さい」で、目的を達成し、無事帰還する事があった。ところが今は現場力があるのだろうか。米国からマニュアルが入り、現場力が失われている。
・今は「責任最小主義」らしい。そのため「第一発見者にならない用心」が必要になる。かつては「課長は課長会へどうぞ。後は下でやりますから」だった。「日本のお客様は賢いから、なるべく情報を与えない事が重要」と言う人もいた。
・結局は現実とマニュアルの板挟みで時間が掛かり、各方面の人が困る事になっている。事態は悪化するが原因が分からない時は、傍観するのが身のためだが、これにより消えた会社も沢山ある。遅過ぎず早過ぎず、最適な時に登場したのが、安倍首相とトランプ大統領である。
○ゴーン曰く、日本には有難い人達がいる
・カルロス・ゴーンが日産に来た頃、こんな事が言われていた。①通産省は「日本に自動車メーカーは1社か2社で十分」と考えている。②具体的にはトヨタかニッサンを中心に大合併する。③一方民間は「3社以上で競争した方が良い」と考えている(※以下も民間の考えかな)。④国策会社2社にするのも、社長の天下りを受け入れるのも反対。⑤天下り会社では外国に負ける。⑥民間活力であれば、外国に負けない。⑦プリンス自動車がある。軽自動車には未来があり、軽の力を結集しては(※軽の合併は認める?)。⑧米国にも弱みがある。※ゴーンが日産に来たのは1999年と思うが、その頃の話かな。
・しかし長銀による海外視察の報告は以下だった。①米国の自動車会社は労使が対立している。②資本家は設備投資しない。③従って新技術も導入しない(※これらは短期利益の追求かな)。④米国の地域社会は、外国の資本なら何でも歓迎。⑤欧州は大量生産でない自動車の産業化(?)を求めている(例えばフォルクスワーゲン、ルノー、フィアット、ボルボ)(※自動車は大量生産で産業化されていたのでは?)。⑥その先は廃業か売却。※意味不明。産業化して廃業・売却する?
・結局自動車は趣味・スポーツ用の商品だけが生き残り、多品種・少量生産になった。そのベースになったのは大量生産とプラットホーム化で、それはロボットによる自動化で、日本しか成し遂げられなかった。※多品種・少量生産のベースが、大量生産とプラットホーム化?前者は欧州、後者は日本の事を言っているのでは。
・日本の場合、現場のプラグマティズムと上層部の外国崇拝で珍無類だったが、とりあえず人員整理した(※日本の全自動車メーカー?大半の文に主語がないので困る)。財界・官界・言論界は討論の場を持ったが、雑話では、①外国の悪口、②外国人の悪口、日本人部下の悪口、④日本の特殊性ばかりだった。
・実際にする事はゴーンに一任し、ゴーンをワンポイント・リリーフにして、自分は大御所になろうと考えた(※この主語は日産の経営陣かな?ゴーンはワンポイント・リリーフだったのかな?)。この時、水商売の経営者を思い出した。彼に「赤字になるのはどんな時か」と訊くと、「板前が魚河岸と組んで、高価な魚を仕入れる時だ」と言う。「そんな板前を辞めさせれば」と言うと、「今は職人組合が強く問題だ。ワンポイント・リリーフを連れて来て、『お前の仕事は、あの板前をクビにする事だ。上手くやればお礼をする』と言う」と返ってきた。要するに板前がキックバックを受け取っている証拠をつかませるのだ。これはゴーンの場合も一緒で、これならば欧州の資本家も納得する。※これは「日産の経営陣がゴーンに、事業部(?)と発注先との関係を暴かせる」かな?また欧州の資本家が突如出てきたが、これはルノー/日産などの株主かな?
・しかし実際は少し違った。プリンス自動車には天皇家や松本零士などの支持者がいた。村山工場を閉鎖した際に会社を辞めた人達も同様で、彼らは中島飛行機の社風が好きだった。ゴーンはこの頃、「日本には有難い人がいる」と語っている。※希望退職に応じたからかな?
○余り人には言えない健全な常識
・世の中には言い易い意見と、言い難い意見がある。山本七平はそれを「空気」とした。これは常識とも云える。インテリ家庭の子供は学校では理屈で、社会生活では「空気」に従った。本音と建て前、理論と実践だが、実際は「空気」が大事と知っている。上に立つ人は立派な事を言うが、実行はしていない。100%実行すると、会社が倒産するからだ。
・山本氏は「色気」という兵隊言葉も掲示している。部下は出世欲がある上司を見破る事ができる。彼はフィリピンで置き去りにされた部隊の上司を例に挙げている。ゴーンもこれに該当する。他の例を挙げよう。
①遠藤三郎中将は陸軍士官学校の卒業席次が一番だった。「そのため一番を続けるのに、心が休まらなかった」と感想を残している。
②青山霊園には英雄・偉人の墓があるが、同じような肩書があって興ざめする。勲一等の隣に勲二等があり、功一等の奥には功二等がある。出世にはキリがない。※金銭欲と一緒だな。
③宮本武蔵は剣道の極意を訊かれ、「見切り」と答えた。小姓の眉に飯粒を乗せ、それを2つに切った。「これだけの腕があっても仕官できない」の意味である。
④一生独身だった哲学者のスペンサーは、自分の全集を膝に置いて、「これより孫一人の重さが欲しい」と言った。
⑤ある人は医者である友人について、「友人なのは、『歳を取って人に迷惑を掛けるようになったら、注射を打ってくれ』と頼んでいるからだ」と言っていた。今の医療は延命一本だが、それは生命の先延ばしに過ぎない。東洋的・日本的な「あきらめて死ぬ」は、発明(?)されていない。
⑥近頃の医者は「エビデンス」をよく使う。インターネットで何十万の症例を見れるため、診断を下し易い。日本は皆保険なので「エビデンス」は豊富にある。「十万回に1回なら、諦めて死ぬ」が常識で、それ以上は「不健康」である。これは統計学者の考え方で、今は統計学者の時代である。※難解。「十万回に1回・・」(成功?)も不明だが、「今は統計学者の時代だが、医療は別となっている」を言いたかったのでは。
※これらは「色気」自体を述べたのではなく、「色気」の実現が容易でない事や、それの虚無性を述べている。
○私立医科大の縁故入学は当然
・日本はかつてからグローバリズムとナショナリズムの戦いがあった。グローバリズムは「世界は一つ」で、ナショナリズムは「人は生まれ育った地方の文明・文化を背負う」である(※両方とも真の気がする)。「人生色々」と考えるのか、「日本人は日本人らしく」と考えるのが良いか。様々な考え方があると具合が悪いので、「統一した方が合理的・効率的」と考える人もいる。※現実が多様なのに、統一する事こそ混乱を招く。
・近年は海外旅行が簡単になり、世界の文明・文化を楽しめるようになった。「峠を越えると、言葉が変わった」「味が変わった」などが面白いとなった(※これは日本かな)。他家に嫁に行くのは一苦労だが、長男が後を継ぐと「おふくろの味」で女性の天下になるとの話もあった。イタリア人が米国に移住して苦労する話は、映画・小説になった。※マフィアとかの話があるな。それにしても話がゴチャゴチャ。
・米国の戦争映画では、兵隊は出身地を聞いて、その話で相互理解を深める。今は徴兵制でないので、団結の根拠は何なんだろうか(※故郷の話はダメになった?)。将校に訊くと「奨学金で軍人になったので、その年季が明けるまで軍人である」と答えた。公民権法で人種差別はなくなったが、貧富の差が起きている。これが命令する人とされる人の区別になっている。※これは軍の話かな?「命令する将校でさえ奨学金を必要としている」では話が矛盾する。「将校は貧乏人の命令される人で、他に命令する富裕層がいる」かな。全ての文章が不明瞭で、苦痛になってきた。
・そうなると「高い教育」で何を教えているかが問われる。日本は無料化が善政とされるため、入試問題で何がテストされるかが国家的関心にならないとおかしい。しかし実際は過去問だらけなので、医科大学には縁故が入ってくる。※この理論も難解。
・「私学は寄付金集めが大事」と聞いた。そのため、①男子学生、②親も同じ大学、③金持ちを入学させる。「患者の事は考えないのか」と訊くと、「医療現場は要領だから」と教えてくれた。「地域医療」「地域教育」は既に始まっている(※何これ)。しかし国家試験により、医師の水準は一定に守られている。
・インターネットにより病気の症例が何十万も集められるようになった。そのため診断・治療に狂いがなくなった。そのため名医がヒーローになるドラマもなくなった。
・エビデンスの充実で、治療の最終判断が患者に委ねられるようになった。例えば、「先生はA大学卒で、成功率は95%です。以下の判断は自己責任で考えて下さい」とくる。これでは困る。そのため責任は取らないが、専門知識を多く持って助言するコンサルタントが現れた。ちなみに米国では地域別の医師会からの除名がある。※日本にはないな。日本には終身資格の問題がある。
○あの戦争に成算はあったか
・近頃アジアは開戦前夜の雰囲気がある。この場合、世界がどう展開するのかを考えられる人が必要だが、日本の上層部に、そんな人材の蓄積はなかった。日本の上層部は、一高・東大/陸士/海兵出身の賢いだけの人だった。※陸軍士官学校/海軍兵学校かな。
・戦争が暗転してからの方が面白い。「キスカの撤退」を成功させたのは木村昌福少将で、彼は「撤収しよう。撤収しておけば、また来れる」と名言を残している。木村艦隊は再突入し、陸軍5千名を収容し、北海道に帰還している。他に成功例がないため、これは特筆すべきだ。
・日本軍は上に「具眼の士」がいるとは思わず、命令に従って玉砕を繰り返した(※具眼の士がいると思っていなかった?酷い状態だな)。陸軍大臣・阿南惟幾は「まだ残存兵力がある」と主張するが、天皇に退けられた(※まあ陸軍と海軍では状況が違ったと思う)。こんな無責任な人達に生命と国費を投じたのだ。このパフォーマンスにどんな意味があったのか。庶民の気持ちは「勇ましさを見せれば、死んでも遺族年金が降りる」だった。※これは下層部の覚悟?
・日本は「物糧で負けるが、精神で勝つ」を残したかったのだろうが、これで玉砕を繰り返したのは悲惨だ。神風特攻隊の第1陣が出撃したのは、「感状が上聞すれば、天皇が戦いを止める」と思っていたからだ(※感状とは上が下を評価する文書。それを天皇が耳にする?)。しかしこれが裏切られ、特攻隊基地は暗い空気に包まれた。
・天皇は「明治憲法を守れ」と教えられていたので、軍に何も言わなかった。一方、軍の上層部の責任は重たかったが、天皇の一言に頼った。国民はB29の爆撃を見上げるしかなかった。
・成算を持っているつもりの軍人は「バス(ドイツ)に乗り遅れるな」を主張した。ドイツがパリを占領するまではドイツは必勝だった。第2幕を考えていたらどうなっただろうか。①チャーチルを始め、英国人は戦争が好き。②ルーズベルトは日本が嫌いで、米国は太平洋に進出しようとしている。③米国は底力がある。④ヒットラーの対英和平方針(※こんなのあった?あってもおかしくないな)。⑤総合的に見て、長期戦になれば米国が必勝。
・日本は軽佻浮薄で、自分が推進役になる気はない。近衛首相はルーズベルトとサシで会談するつもりだったが、先方が応じなかった。国民は千年通用した近衛家を信じていた。
○あらゆる責任は国民にある
・第1次世界大戦が終わった時、日本は明るかった。一方で陸海軍は暗かった。これは今と共通するので、書いてみる。明るかった理由は、日本が列強に加わった事で、「三大海軍国」「五大陸軍国」となった。国際連盟の常任理事国になり、事務局次長の席を得た。何よりも大きかったのは欧州が虚脱状態になり、日本の声を聞こうとし始めた。
・暗い方の原因は、日露戦争で勝っても賠償金が入らなかった事が大きい。しかし円高で、日本人は留学や買い物に出かけた(※これは明るい方では)。経済界は好況に沸いたが、それ以外は暗かった。対米輸出は好調だったが、貧富の差の拡大し、社会主義が伸長した。※労働者階級に目が向けられ始めた時代かな。
・それから20年後、中島飛行機の創設者・中島知平は新入社員に「戦争に勝てば飛行機は作らなくなる。負ければ当然作れなくなる。いずれにせよ中島飛行機は不要になる。従って次を考えておけ」と言っている。日本は中島・三菱・川崎の工場で1千馬力のエンジンを作っていたが、米国は2500馬力のジェットエンジンを作っていた。そもそも開戦は無理だった。
・東條英機首相は無責任にも「開戦後、勝利に酔って、1年間何もしなかったのが悔やまれる」と言っている。陸軍に成算はあったのだろうか。単にドイツが英国に勝つ事しか考えていなかった気がする。※日中戦争を始めたのは1937年で、その時は欧州戦争は始まっていない。
・昭和16年彼が首相に就き、「大御心は平和」として参謀本部/陸軍省を駆け回ったが、遅かった。東京裁判は日本人が先にすべきだった。陸軍刑法には「戦に負けた司令官は軍法会議に掛ける」とあるが、誰も言い出さなかった。
・天皇は小学生だった皇太子を軍人にしなかった(※そりゃ無理だ)。また「天皇と軍は一体でない」と考えていた。今は主権在民なので、全ての責任は国民にある。開戦責任・敗戦責任・終戦責任は国会と首相にある。※また難解な文章。
<第3章 日本外交の課題と使命>
○学者的経済とトランプ的思い付き経済の争い
・昔、経団連会長で三井造船会長だった山下勇が嘆いていた。「欧州が工業製品の標準化・規格化を行い、日本は何度も煮え湯を飲まされた。技術陣に規格化に参加するように伝えるが、彼らは『心配いりません。彼ら以上の物を作りますから』と答えるだけだった。マネ上手ではダメで、開発競争の先頭に立つべきだ」。会話は金融に及んだ。「大蔵省は、欧州での為替業務の談合的な申し合わせを、国際化・標準化・規格化として適用してきた」(※何だろう。BIS規制かな)。私は頭取(?)に「日本は非加盟なので、BIS加盟銀行の申し合わせは無視して下さい」と言ったが、「大蔵省には弱いからな」で逃げられた。日本の企業は外国次第・役所次第だった。
・金融の根本は信用だが、信用は正体不明の浮草である。そのため信用は自分で決めて良い。信用はお客が決めるもので(※貸手が自分で決めるかな)、官庁が決めるものでもないし、市場が決めるものでもない。ケインズは「市場は美人投票に似ている」(相場師の世界)と言っている。
・トランプが当選ならアメリカ・ファーストの「事業株」、ヒラリーなら「金融・証券株」と云われていた。結局自己責任で相場を作りながら運用していたのは彼ら2人だけだった(※たった2人?)。メディア/学者/評論家/日経新聞はヒラリーの財力が作り出した幻影に追随した。
・権力者は相場を上下させるのが大好きだ。彼らは簡単に世の中を動かせるし、利益も得られる。国家には権力・信用があり、経済は弾力があるので、彼らは経済を自由に左右へ動かせる。
・朱鎔基が「成長は8%だ」と言えば、8%になった。ブレジネフ時代もそうだったが、長くは続かなかった。値段を抑えると品物が消える(※品物は闇市場に流れるみたいだな)。国家が経済が持っている弾性値を超える要求をすると足が出る(※使い方合ってる?)。オランダで地価の上昇を禁止すると、犬1匹を付けて高く売るようになった。しかし犬は逃げて戻った。
・学者的経済とトランプ的思い付き経済の争いは続くだろう(※こんなのあったかな)。その先には、世界の混乱がある。
○国民の疑問-なぜ対米戦争を始めたか
・昭和16年(1941年)の日米開戦に国民は驚いた。しかし「勝算はあるのか」などは口にできなかった。当時私が聞いたのは、①支那事変が手詰まりなので、陸軍がヤケクソになった。②それはない。③新兵器ができた。例えば戦艦大和や戦闘機ゼロ戦。④しかし技術や国力の差は埋まっていない。小学生の私は、「舶来文化には敵わない」と思っていた。
・当時高松に住んでいたが、西の善通寺には敵前上陸専門の師団がいた。英国から来た香川経専(香川大学)の英語教師は、出征した父兄からの手紙の切手を集めていたが、スパイだったのだろう。今も昔も日本はスパイ天国だった。そんな次第だから、「負けを承知で開戦した」とは考えられない。
・考えられるのが、陸軍の「バス(ドイツ)に乗り遅れるな」である。海軍も真珠湾攻撃を急いだ。それは陸軍も海軍も予算を取り合っていたからで、予算を取れば、内部では評価され、仕事/ポスト/天下り先が増える。海外の技術を買えば、海外旅行ができ、自分の研究もできる。※人間のやる事は、今も昔も変わらない。
・日本が飛躍的に新しい事を始めると、中国は無理をして、庶民の負担が増える。それは共産党幹部の暗い表情を見ると分かる(※急に現在の話になったが、具体的な例が欲しい)。日本が金持ちなので、日中共同事業を呼び掛けたいが、足並みが揃わないのだ。※難解。日本が中国より金持ち?
・中国軍の総参謀副長の部屋には巨大な書「兵は詭道なり・・」が掛かっている。日本なら本心は隠すのだが。これは「敵を知り、己を知れば・・」と続く。しかし今の中国がそうとは思えない。敵を見下し、自分をコントロールできず、暴走を続けるだろう。
○21世紀の「内臓に至る病」
・トランプが大統領になり、「北朝鮮に制裁しよう」との声が出てきた。米国が言っているのだが、「日米韓中で圧力を掛けよう」の後一歩のところで止まっている。どこの国も内閣の寿命が短いので、スパンの短い外交の積み重ねになっている。
・しかし日本だけは、スパンの長い外交ができる。日本はどこの国にも融資・投資しているからだ。日本が「もう融資・投資しない」と言えば、原爆投下と同じ効果がある。ツルを折るより効果がある。日本国民も貯金した甲斐があったが、外務省・経産省に勝手に使われている。
・蒋介石は「日本との戦争と中国共産党征伐の2つの問題にどう対処するか」と訊かれ、「共産党の征伐は『内臓の病気』だが、日本との戦争は『皮膚病』である」と答えている。現在様々な戦争が予想されるが、この分類で考えてみる。
・米国では白人至上主義との戦いが、既に内臓にある。貧富の格差も始まっている。宗教的原理主義との戦いは、これから始まる(※LGBTとか中絶かな)。連邦政府と各州との戦いも始まるかもしれない(※カリフォルニア独立とかかな)。やがて「英語ができない米国人」「白人でない米国人」が過半数になる。そのため「内臓病対策と米国」が問題になる(※米国を付ける意味が不明。「米国とは」が問題になるから?)。その時、カリフォルニアは日本、フロリダはスペインに与えるのも一案である。※これも難解だが、説明なし。
・中国には雲南行省などの行省があった。これは元の時代に中国語による統治を諦めた所だ。アイデンティティを持ち出すと、国家と云う名称が使えなくなる。日本は島国なので、トランプが言う「国境の壁を高くする平和」は、既に実現している。
・21世紀は「内臓の病」が問題になる。日本の病気が一番軽ければ、日本は世界のために何かを言わなければならない。帝国主義に代わる新しいメガネは、どこの国にも備わっている。例えば「温故知新」だが、これで「郷土再生」「国粋主義」「国家分裂」「小国家主義」などを見直してはと思う。
・北朝鮮が国連を敵にして頑張っている。これを見ると「相互確証破壊による均衡」は「小国による世界分裂と均衡」に向かうだろう。※「相互確証破壊」は「戦えば両者が確実に崩壊する」かな。
○日本に甘える国には厳しく対処せよ
・久しぶりにテレビを見ると、まだモリカケを追及していた。野党が安倍総理/麻生副総理に延々と質問をしている。野党は入れ替わるので、同じ質問を繰り返し、これに安倍首相は懇切丁寧に答えている。民主主義は手間が掛かる。少数派でも粗略にできないのだ。安倍首相はまるで小学校の先生みたいだ。
・外交・防衛の問題は山積しているのに、日本は春風駘蕩である。①どこの国も国内に難問を抱え、世界に対しての発言がない。②世界はメルケルと安倍に注目していたが、安倍一人になった。③安倍外交は突出を避け、常に複数国を誘う。しかしその相手国がいなくなったので、「日本にリーダーシップを発揮して欲しい」との声が世界から上がるだろう(※著者が一番主張したいのはこれかな)。④北京に「精日中国人」が出現したが、これはその前兆である。
・「精日」は「精神は日本人」の意味で、日本海軍士官の制服を着て歩くコスプレから始まった(※よく許されるな。これは見かけは日本人だが、中身(精神)は違うのでは)。20年前海上自衛隊がアラブに出動し、ある新聞が「軍艦旗を見たくない人が多い」と書いた。私はアラブ/アジアの人に訊いたが、「軍艦旗は良い旗だ。彼らは我々を独立させた」との声が多かった。日本の新聞は華人(※中国人?)に多く取材するが、彼らの「排日」「抗日」「侮日」も変わってきている。安倍首相が辛抱強く対応してきたので、世界が日本を見直すようになった。※中国では国民が自信を付け過ぎたので、国が抑制しているとの話がある。
・日本式が世界標準になる日は近い。そこで大事なのは、①日本に甘える国を出現させない、②日本が甘える国に厳しい一線を引くである。例えば大谷翔平はスーパースターになり、子供にサインをし、バットも上げた。これをどう考えるべきか(※急に話がレベルダウン)。日本人/米国人/野球評論家、それぞれどう考えたかで話は広がる。米国では、オークションで何ドルになるかが話題になった。
○日本発の世界史と日本論が盛んになる
・戦争中、空襲警報が鳴ると、本を持って防空壕に逃げ込んだ。それが清野謙次『日本人種論変遷史』だった(※中学生でこんな本を読むのか)。この本には「北方渡来説/南方渡来説/西方渡来説などがあるが、日本人は古来からいた」と書いてあったが、せめて「古来は氷河期が終わった頃で、約2万年前」と書いてほしかった。
・日本海が氷に囲まれていた頃から日本人がいたとなると、彼らは何語を話していたのか。日本語の成立は征服王朝によったのではないだろうか。それが神武天皇の話では。※武力統一より先に、言語の統一があった気がする。
・小学校の教科書の1ページ目には「神勅」が書かれていた。これは天照大神の「我が子孫が統治すべき国である」とのお告げである。この頃、国民がどう暮らしていたかは教えられなかった。「神勅」の後に「神武東征」が続くので、日本列島の住民は簡単には従属しなかったようだ。
・香川県には1文字の苗字が多かった(※渡来系かな)。九州には3文字・5文字、沖縄には5文字以上の苗字が多いが、これは鹿児島藩の強制による。※5文字以上ってあるの?沖縄には屋号があったな。
・日本は歴史が古いので、色々な話が積み重なっている。子供は親から聞き、その親は坊さんから聞いている。坊さんは坊さんの学校があって、そこで習っている。こうして伝説・知識・教訓は世に広まった。※今はこの仕組みは存在感がないな。
・アダム・スミスはグラスゴー大学の先生で、言語学・論理学・倫理学を教えていた。そこで私は色々な事を思った。
①牧師は沢山の雑知識を持っていないと、毎週の法話ができない。
②グラスゴーは商業都市で、商人の出入りが多い。
③図書館にはインド/アフリカに広がる本が沢山ある。※何で地域限定なんだ。広がるとは、読まれるかな。
④英国は縄張りを、スペイン/オランダから継承しようとしていた。※何で奪取でないんだ。
⑤学問・知識は深遠でなくても、広くて新しければ学生は集まる。
⑥英国教会はそんな人材を求めた。
⑦そんな人達が牧師になり、大英帝国の情報網を形成した。※英国による植民地化は、英国教会と一体化していたかな。
⑧その人達の避暑地が、雲仙・軽井沢にあった。
⑨英国の狙いは中国市場の支配にあり、これが日本と衝突し、私の家にB29が爆弾を落とす結果となった。
・以上が分かると、世界が分かる。これに日本が目覚めると、日本発の世界史・日本論が花盛りになる。※日本から見る世界(東洋史観?)かな。
○欧米文明クソくらえ
・新聞に「自衛隊、太平洋島嶼国を支援-米豪と連携」とあった。これを読んで、30年前パプアニューギニアの首都ポートモレスビーの市長が日本人一行を歓迎したパーティを思い出した。邸内に入ると現地の人が盛装で迎えたが、それは裸・裸足だった。「欧米文明・文化クソくらえ」である。最前列の美女は、前日パプアニューギニアの五ヵ年計画を説明した女性だった。
・ガダルカナル島に日本大使館が開設され、大使が「ガダルカナルを戦場にして迷惑を掛けた」と謝ると、「ガダルカナルに人が住むようになったのは、米軍がDDTを撒いてからだ」と言われた。日本人は戦争や文明を知らず、謝罪を連発している。
・昔外務省から、「海外勤務の日本人に最近の日本事情を話して欲しい」と頼まれた。日本も外国もどんどん進んでいるので、「日本は世界文化の頂点に立っている」のをどう説明するか大変だった。
・当時、最下等だった生魚は、今は米大統領の接待に使われる。これから太平洋を舞台に、日本とロシアやその他との交渉が始まるが、その展望は見えない。ロシアが北方領土に拘るのは、オホーツク海にロシアや米国の原子力潜水艦がいるためだが、それを見た人はいない。日本には軍事評論家がいないようである。そのため経済評論家・政治評論家もいないと考えた方がよい。※難解。
・米国人にはマグロ釣りはスポーツだったが、魚が売れるとなると、資源保護・漁獲量割当を問題にするようになった。カニ蒲鉾が発明されると、魚が値上がりするのと一緒で、太平洋は狭くなった。このようにオホーツク海の価値は時々刻々変化している。※海洋資源には、石油・ガスや鉱物もある。
・日本にはこんな問題が多々ある。ある日の産経新聞だけでも、米中ロ/ASEAN/EU/日本における貿易・金融だけでなく、難民・移民の問題も論じられていた。これらに多国間協定で臨むか、二国間協定で臨むかが論じられていたが、もっと大きな問題は、強権型政治の国が拡大している点である。※拡大とは強大化なのか、数の増加なのか、領土の拡大なのか。
○嘘を付く人は必ず統計を使う
・「金のない方が負け」は真理だが、「金のある方が勝つ」ためには、度胸や取引技術が必要になる。色々考えると時間と費用が掛かるので、トランプのように「アメリカ・ファースト」と唱えるのが賢明である。※ポピュリズムだな。
・トランプは社長だったので、「お前は首だ」と言えば、そうなった。ところが大統領の部下は公務員なので、役目や報酬は法律で決まっている。中には、大統領の「御目付け」をする人もいれば、キャリア作りのために一時的にいる人もいる。
・北朝鮮は「駆け引きはまだ続く」と見て、期限付きの回答を踏みにじった。これにトランプは「北は約束を破った」と手を広げて見せた。これらは自国民に対する宣伝と思えるが、そうとも言えない。この背後に国家の政治・経済の実力がある。北朝鮮は食糧不足が軍にまで及んでいる。※難解。
・中国はドルが不足し、経済が破綻している(※中国の外貨準備は巨額と思うが)。ドルを持っているのは日本と米国だが、助けるのか助けないのか、中国の抵当は何なのかを吟味する必要がある。
・戦前は中国の積出港の税関の長に債権国の人が就き解消できた。外国人が輸出税を徴収し、一定額を中国に返したが、汚職の激しい中国は喜んだ。※こんな事あり?
・各国の貿易統計・関税統計は信用できるのだろうか。米国が発表する統計には、必ず誤差・脱漏の欄がある。集計する現場に案内されたが、伝票や報告書が散乱していた。また米国の統計値は、まず速報値が出て、暫定値が出る。確定値が出るのは半年後で、その頃には見る気もなくなっている。変動の多くは防衛費で、米国は戦前の日本と同じ軍事国家なのだ。
・国際通貨基金(IMF)が各国の経済予想を発表するが、日本担当は財務省からの出向者で、本省と相談した数字を発表している。
・米中関税戦争は「ヤミ談合」で、やがて支払い停止になる(※=貿易停止?)。その次に共産党幹部の海外逃亡が始まる。
○言葉を必要とする世界
・安楽死の問題の委員会の座長に東大総長の名前があった。人の生死をどの段階で決めるかの大変な会議である。話をする機会があったので、「大変ですね」と声を掛けた。これはその時の社会常識によるが、それを肩書で人に納得してもらえるかである。「その通りを書いて、世の中がそれに慣れてくれるのを待つしかない」との事だった。
・しかし日本には暗黙知があって、それで通じる事もある。吉川英治『宮本武蔵』の最後「魚歌水心」で、お通が「妻じゃ、妻じゃ一言」と頼んだ時、生涯独身を決めた武蔵は「言ってはかえって味気ないものじゃ」と立ち去るようなもので、これで「心の妻はお前一人」が通じる。
・「それで二人は結ばれたのか」は言葉にしないと分からないが、「言葉より行動で見てくれ」というのが吉川文学であり、武蔵である。「それが信用できないのが女性である」と勝手に決め込むのが昔の男で、それを言うため吉川は長い小説を書いたのだろう。※難解だな。『宮本武蔵』は読んだが、武蔵の流浪と、お通の流浪が並行に書かれていた。当然武蔵の流浪の方が印象に残る小説だった。
・現代は言葉に重心が置かれる世界になった(※対照は暗黙知かな)。そのため東大教授や医学部長が忙しくなった。①広がるグレーゾーンに名称を付ける、②その名前を裏切らない中身を作る、この両方が仕事である。※この文こも主語がない。
・例えば、先端科学/未開分野/生命科学/未踏領域とかは言葉の開発が忙しい。しかしそれをやる人は、今から探す/公募するとかで、名前は当人に考えてもらうとかである。※新しい言葉には輸入や横文字が多いと思うが。
・フランス革命の後はそんな時代で、近代思想や近代哲学が一斉に登場した。そんな本を持ち歩けば女性が声を掛けてくるので、サロンがにぎやかになった。
・要は、①学校が黒字になるか、②物好きが集まるかである。前者は補助金行政に依存し、後者は「流行の法則」に縛られる。※超難解。「言葉を作るには、学校や任意集団が必要」の意味かな。「流行の法則」もよく分からない。
・中国は外見を気にするので、新しい事をする人はない(※深圳はシリコンバレーを抜いたとされるが)。中国に行くと「今流行っている経済学は何」と訊いてくる。「ある」と答えると、「幾ら用意すれば」とくる。これでは永遠に後進国、先進国は自分で作る。
○周辺国に国家のあるべき姿を教えよう
・日本はポツダム宣言を受諾し、台湾を手放したが、50年間も領有したので、何かを発言する権利・義務があると思う。英国は香港を返還するに当たり、色々な条件を付けた。
・英国は香港で儲けていたから、返還前に香港政庁の黒字をどんどん投資した。海上に橋を架けて、空港を作った。深圳の工業団地もこうして始まった。投資は日本/台湾が行い(※香港では?)、労働者は旧満州から集められた。土地は国有地なので、貸付収入は中国共産党幹部の利権になった。
・その頃香港から中国に入ると、「台胞大歓迎」の看板を至る所で見た。「台胞」は「台湾の阿呆」の意味で、中国では儲けさせてくれる人は阿呆となる。こんな事が一国二制度に由来する暴動の一因である。※投資が暴動の要因?暴動は共産党独裁への反発と思うが。
・横浜に関内と云う駅がある。これは税関の中の意味で、ここは無税である。ここは大蔵省の直轄で、大蔵省が土木建築事業を経営していた。将来、関内を民間に払い下げた時の費用分担を避けるためだ。※費用分担を避ける?
・マッカーサーとの交渉において、各省が財政・金融問題から逃げたため、大蔵省が役所のトップになった。内務省が解体され、仕事の配分係が上に立つようになった。これにより大蔵省に優秀な人が集まるようになった。難問に立ち向かった官庁が実力を付けた話で、一般にもよくある話だ。
・李登輝は農業や都市づくりが専門である。台北市長の時、中央縦貫道路を作っている。台湾のマンホールには「天下の公物」と書いてある。それはマンホールを盗んで、叩き割って売るからだ。
・日本も台湾に関しては同じ立場だったのに、外務省は「敗戦国の外交」として、その機会を逃した(※同じ立場とは中国と?米国と?)。日華平和条約の文章があいまいで、それが今の香港騒動の原因でもある。※何で日華平和条約と香港騒動が関係あるんだ!?
・韓国/北朝鮮だけでなく、台湾/香港でゴタゴタが続くのは、戦後処理が甘かったからだ(※戦後の条約に、竹島/尖閣などの帰属が明記されなかった)。日本が国のあるべき姿を教える義務・責任を逃げているので、日本の周辺国にだけこの様な問題が続いている。※肝心の「あるべき姿」の説明はない。
○省庁の縄張り争いで、削りに削られたもの
・昔は民間人が公務員になる制度があった。私は銀行から経済企画庁に出向を命じられ、「部員」の肩書をもらった(※これがその制度?)。「全国総合開発計画」の起案が仕事だったが、朝から麻雀で、仕事をしていなかった。
・国鉄からの出向者が、日本の新幹線が欧州で売れない理由を教えてくれた。それぞれ行先は、東北方面は上野、長野方面は新宿、東海道は新橋と駅名になっている。「東京を通るように一本化するのが夢」と聞いて感心した。しかし現実は政治家・官吏が口を出すので、民間直営の東海道新幹線だけが直通化できるとの意味だ。しかし民主主義は地元の声が強いので、「全国総合開発」は民間事業になると考えた。
※全く理解できない。新幹線が売れない理由は、直通化できない話と繋がっているのかな。また東海道新幹線は当初から東京駅が起点。中央本線も東京駅が起点だが、行先表示(列車上の表示?駅の掲示板の表示?)は新宿駅なのかな。
・米国のワシントン-ボストン間の新幹線も日本が期待されている。それは民間各社が高利益を期待するからだ。高利益の事業は参加者が過多になり、公共事業になる。そこで着手金を高額にすると、その声は消滅する。あるいは時間を掛けても消滅する。
・田中角栄が「この土地は良い土地で、払い下げの希望者が多いから、時間が掛かる」と言っていた。しかし先行利益は未実現利益で、投資家は損をする。青函トンネル/本四連絡橋/成田空港などがそうである。
・大蔵省からの人が「酒税に関わる検査を廃止すれば、日本酒は旨くなる」と言っていた。※この話は聞いた事がある。「級を取るのにお金が掛かるので、必ずしも特級が美味しい訳ではない」みたいな話しだった。
・満州国の建設に携わった人もいた。まず「人口配置計画」を作り、次に交通・通信網の基盤を作り、それから産業を配置し、最後に都市を計画するそうだ。※当時は満州国を作る壮大な夢があっただろうな。
・「資源開発は?」と訊くと、「石炭がある」で黙ってしまった。この問題は、日米安保でエネルギーは米国依存と決まった。日本は困らなくなり、皆忘れている(※今でもエネルギー問題は最重要だけど)。これらを前提に「全国総合開発計画」を新たに考えてみてはどうか。それは東南アジア開発と同じである。※これは今からの話?
※1950年頃に石炭から石油に大転換したが、それは日米安保によるのか。1951年に旧安保条約が結ばれているな。また産油国は多々あるが、石油メジャーの多くは米国系なので、これが可能だったのかな。
・我々が世界を見る目は昔のままである。それでは済まないと、「全国総合開発計画」を書き上げた。これは大変勉強になった。その第一は、出身官庁を守るための上司の縄張り争いである。それで削られたのが、当時主務官庁がなかった公害防止の章だった。そこで環境庁を新設する事になり、その後ポスト争いになった。このお陰で日本は環境先進国になったが、世界にPRせず、中国を援助したので大損害になった(※大損害?PRすれば損害を受けなかった?植林の話?)。これを主張するのが、これからの日本外交の使命である。※「これ」とは環境先進国、それとも大損害?
<第4章 世界に冠たる先進国ニッポン>
○中国共産党が恐れる日本の武器
・世界は「群雄割拠」になる。トランプは「世界のリーダーを降りる」「世界の警察の辞める」と言った。トランプは「共存共栄で、責任は分担、費用は割り勘」と言ったが、それで日米同盟はどうなるのか。戦争は「国民の決意」が前提で、相手が仕掛けてきたら、「応戦あるのみ」となる。これは100年前の帝国主義時代も同じで、双方が一歩も譲らなければ、戦争になる。欧州も日本も焼け野原になり、初めて反省した。そして見付けた答えは、国際機関だった。国際連盟は失敗する。国際連合の目的は日本の封じ込めで、世界経済を再建する力はなく、これも失敗である。※こんな評価は初めて聞いた。
・そもそも経済発展は「自分で働く」が一番である。日本の経済・社会は、これで発展してきた。世界がこれに倣えば、群雄割拠の時代になる。「ユニーク」「オリジナリティ」などは米国では最大級のホメ言葉だ。しかし日本はそれを自然に備えている。日本は「和魂洋才」として、欧米の知識・科学・技術を導入した。
・四ツ谷に女性ホルモンを量産して大企業になった会社がある。その社長が、「元々は牝馬の小便を煮詰めていた。しかしこれでは厚生省が認可せず、人工合成した物に変えた」と話した。「和魂なら安くて良い薬だが、洋才だと天然自然の物でないので心配」との話である。
・日米貿易摩擦/特許戦争などは時間が解決する事もある。和解率の上昇である。米国の司法は日本の「証拠開示制度」を採り入れ、和解率が上昇している。「証拠開示制度」は裁判前に双方が証拠を見せ合う制度で、事前に判決の予想が付き、和解となり、費用・時間が節約される。※基本的な制度なのだろうが初めて聞いた。日本は司法制度改革がうるさく言われ、費用・時間が多く掛かっていると思っていた。
・近年、日米間で人間観・家族観・社会観・国家観・道徳観が似てきた。日中間のそうなっていると思う。これは日本の漫画・アニメ・映画・ゲームが、世界の子供から大人までに浸透しているからだ(※そうかな。日本が欧米風に変わったとは思うが)。中国はこれを恐れている。日本は「無手勝流」を備えているのだ。※ソフトパワーだな。
○米国の経済学より、日本の常識
・ある米国人が「ヒラリーが負けて良かった。彼女が勝っていたら、戦争続きになる」と言っていた。また別の人は「彼女は病人だ」と言った。私の答えは「トランプには常識があるが、ヒラリーにはなかった」が答えである。
・米国の大統領選には言い伝えがある。①若い方が勝つ、②背が高い方が勝つ、③元気な方が勝つ、これに④金持ちが勝つが加わった。最後の1週間で、テレビ・ラジオを買い占めた方が勝つのだ。これでトランプが番狂わせを起こした。
・ヒラリーは美人・秀才・高学歴・金持ち・友人が多いなど、巨人軍が4番バッターを揃えたのと同じだが、それが悪かった。メディア/シンクタンク/評論家/学者がヒラリーに付き、日本の新聞・テレビもそうなった。しかし全滅したので、その理由を調べるメディアもなくなった。これは一般読者の方が常識豊かで、ヒラリーが焦っていたからだ。※説明がなく難解。
・日本人一般の常識の方が落ち着いている。高度情報化社会がくると云われたが、日本はとっくにそうなっていた。昭和18年東京の私立中学に転校したが、そこでは次のような事が言われていた。①連合艦隊は全滅したらしい。②徴兵を19歳に繰り上げるらしいが、それでも日本には若者がいない。③日比谷のホールでは、風船爆弾を作っている。④田無・三鷹の中島飛行機では6発の爆撃機を作っている。⑤米国も日本も原子爆弾の開発を急いでいる。⑥日本はソ連に終戦の仲介を依頼している(※単に軍の情報が漏れていただけでは)。これらは全部当たっていたが、国民は「上の方はその程度か」と落ち着いていた。
・麻生副首相の北九州は炭鉱の街で、人が荒いので工場が来なかった。そこでトヨタと住民が「新工場では約束を守ります」と誓った。その結果、新工場の製品は米国に無試験で納入されるようになった。これで北九州は明るい街に戻った。米国伝来の経済学より、日本の常識の方が分かり易い。※難解。北九州とラストベルトの対比かな。
○「日本の心」が世界に勝つ
・戦国大名・松永久秀は織田信長から茶碗を譲れと言われるが断り、戦争になる。最期は城を爆破し、茶碗もろとも死んだ。権力者は意地を張る。香川では「ガイな事をする」と言う。近年これが我意と知った。トランプには、そうなる兆しがある。※大統領選での敗戦を認めていない。
・これからの日本外交は「猛獣慣らし」になる。今までの「東西対立と南北対立」「白人と有色人種」「先進国と後進国」「富裕国と貧乏国」「旧植民地国と旧支配国」などの二分法による対立軸に宗教対立が入ってきた(※南北対立だけみたい)。これからは国別ではなく、言語圏別/宗教圏別/文化圏別/日本文化の浸透具合などの見方が必要になる。
・英国は「国王からの慈悲と、国民からの感謝」が根本精神だった。しかし今は教会で礼拝し、聖歌を歌う人より、モスクでコーランを学ぶ人の方が多い。日本は神様・仏様が健在なので有難い。
・中国は人口を攻撃力とし、北方・西方・南方へ人口を越境させている。やがて中国系住民の居住地は中国領になるだろう。これはドイツが「バルト海沿岸はドイツ人が多い」としてポーランドに侵攻したのと同じである。ポーランドは雲散霧消したが、スターリンを敵に回し、ポーランドのために戦う国はなかった。※ポーランドはドイツ/ソ連により分割された。
・これからの戦争はやってみないと分からない。そのため防衛力強化と同盟国作りが主戦場になる。安倍首相の「地球儀外交」がこれである。そこではポケモン/ピカチュウ/ワンピース/スラムダンク/ドラえもん/あしたのジョーが戦力になる(※過大評価では)。これがソフトパワーで、日本は「日本の心」で勝てる。この「日本の心」は、中国の思想も西洋の科学も吸収済みである。
・日本はフィリピン/インドネシア/ベトナム/オーストラリアなどに護衛艦を供与している。やがて乗員の訓練もするだろう。そうなれば南シナ海に日本海軍が誕生する事になる。軍事力を国別で比較するのは、もう古い。※そう云う見方か。
○明治憲法は生きている
・「大阪の地下鉄は市民のもの」と云われる。それは市民が力を合わせ、御堂筋を作り、その下に地下鉄を通したからだ。
・朝日新聞は中之島には一等地が沢山あると思っていた。しかし大阪本社ビルを建て替えて、一等地がキタにある事を知った(※建てた後に気付く?)。こんな話は多い。観光名所になり外国人観光客を沢山入れるとか、公共事業を沢山するとかすると、昔の雰囲気はどんどん変わってゆく(※こんな話とは雰囲気が変わる事?)。これをボストンで教わった。ボストン市民に「地下鉄は民営か公営か」と訊かれ、「公営は良くない、民営を貫け」と言われた。※益々難解。公営だと何が、どう良くないのか。
・その頃東京では放射状に道路を作ろうとしていたが、あっけなく解決する。地下40m以下は国家のものとする「大深度地下・・法」が成立し、皇居の下でも通せるようになった。日本にはボストン市民のような人はいなかったが、悪い役所も民間業者もいなかった。技術者は真面目に考え、計算した。※善悪の基準は何だ。
・米国に鉄道はあるが、貨物ばかりで旅客用は少ない。そのため日本に新幹線を作って欲しいと注文がくる。社会資本を民間がやるのは大変である。米国の従業員や乗客の常識が日本並みになるのに、何年掛かるだろうか。
※運行時間の正確性や乗客の行儀の良さは日本人の特徴だが、公営・民営とは関係ない。理解に苦しむ節だった。
○冷たくするのも国際親善
・正月に海外旅行する日本人を見て、日本人で良かったと思う。日本に何でもあるのに海外に行くのは、「日本は良い国だ」と再確認するためである。※そんなバカな。異国情緒を味わうためかな。
・しかし出発する前に、家周りの掃除、ペットを預けるなど様々な事をする必要がある。中国も同様で、漫画『走後門』には、「上司への土産が大変」と描かれていた。北京を案内してくれた人に日本のキャラメルを上げると、大事にポケットに仕舞った。走後門に使うのだろう。
・倉敷紡績の社長が、ビニロンの製造工場を丸ごと中国にプレゼントした。そのため中国人は全員ビニロンを着るようになった。偉い人はボールペンを1本差し、さらに偉い人はボールペンを2本差した。※人民服かな。
・毛沢東は何千万人も殺し、「自分が死ねば、中国人の根性も元に戻る」と言ったが、習近平の権力闘争を見ると、その様である。
・中国の歴史は繰り返されるため、日本は何回も中国に騙される。そのため以下が必要となる。
①中国・韓国とは口を利かない。
②または、不快感を示す。
③経済交流はキャッシュ・オン・デリバリーでする。
④そうすれば信用ゼロでも呑める。※米国の酒場で説明している。
⑤元々信用ゼロなので投資環境調査はしない。
⑥信用売りを要求してくるが、それに返事をしない。※そう言えば、日本は毎年中国に円借款していたが、あれは止めたのかな。
・日本は建国以来対等で、国際親善より独立確保が先である。わざと冷たくして、独立を促すのも国際親善である。後進国援助は、相手国の独立心や自主開発を潰すので、止めるべきだ。先進国のエイドは植民地支配の利権の存続にあるが、日本の援助は別物である。※「日本の援助には利権がないから止めろ」かな。関係ないが、日本の国際収支の黒字の大半は、第1次所得収支による。
○日本価格を知らないマスコミと経産省
・毎月放談会を開いている。7月は「日本の美-直き心」と題した(※「直き心」とは「素直な心」みたいだな)。「日本は白人文明から見ると革命的である」との話をしたが、難しかった。日本人には「日本の文明・文化は2級品」の常識がある。「白人文化は優れているが、部分的には日本が勝っている」との話は喜んでくれる。それらは「サブ・カルチャー」と名付けられるが、それがやがて「メイン」になるとは信じられていない。
・「サブ」が「メイン」に変わるタイミングがある。それが見える人と見えない人の物語は沢山あり、人は喜んで読む。それが身の周りで起こると、大抵は形勢観望する。そのタイミングがくると、「出所を教えろ」と訊かれる。「私です」と答えると、絶句された。彼には上司がいるから、上司が感心する情報に価値がある。私には上司がいないので、価値判断は自分でする。
・「情報には必ずクレジットを付けろ」と言う人がいるが、それを言われた事はない(※前文で「出所を教えろ」と言われているが?)。数字は自分でも作るが、数字の限界や特性を分かっているプロは滅多にいない。大抵は転売価格を気にしている情報ブローカーである。
・昔インドネシアで鉄橋を架ける時、IMFがUSスチールにはあるが、日本には存在しない寸法の鋼材を指定した。私は呆れて、「設備投資して、それを作ります。日本の鋼材は2級品でも1級品の価格で売れます」と答えた。「日本製品はワンランク高値でも売れる」との常識があれば、「検査をごまかしても不正と云えない」と考えた。※何か高値と不正でダブルの吹っ掛けだな。
・「日本価格」は業界に存在するが、経産省や新聞にはない。これは中国人が安くて良い日本製品を爆買いするのと同じである。しかし間もなく「日本のモノは世界一」「安倍首相は世界一」のワールドレコード・エイジがくる。1920年代の米国のように。
○日本を見下す国に明日はない
・50年前シンガポールで「日本からの援助でシンガポールは何を求めるべきか」との仕事をした。先方は「ターン・キーで動く製鉄所の建設」を望んだ。新興国は「製鉄所を持てば近代工業国になれる」と思っていたが、日本人はそうは思っていなかった。※中国には農具などから鉄を作り、酷い目に遭った話がある。
・石川島播磨重工業はシンガポールに進出したが、コンビナートより先にドックを作り、船舶の修繕・補修を行って、儲けた。日本人が人種差別しないため、彼らは日本人と一緒に仕事をする事を喜んだ。そしてシンガポールの近代化が始まった(※そんな単純な話かな)。その後米国が入り、米国が崇拝・礼讃されるが、独裁者リー・クアンユーはその弊害に気付き、国家目標を金融国家に切り替え、日本を追い越した。
・日本人はこれに気付いていない(※近代化の要因の人種差別かな)。特に米国で近代経済学を学んだ人はそうである。しかし安倍首相は常識があり、道義とセットになった経済観を持っている。いずれ世界はこうなるが、そうならないのが中国至上主義の中国である。日本を見下す国に発展はない。
・この発展を教えられない大学は二流にされる。その訳は以下。
①実用性を教えられない。
②空理・空論なら教えられる。
③学生が来なくなり、潰れるか、合併される。
④地方では相続税対策で大学が作られるため、「学生は来なくて良い」と思っているが、何時までもそれは続かない。
⑤ではどんな学校にするか。
⑥そんな大学は教育改革しようと考えているが、そんな大学は幾つもある。大学の合併ブームが起きているが、教育改革は後回しにされている。
・ニュージーランドは人より羊が多い。そんな草原の中で英語を学んでも、上手くならない。夕方に寮の周りに多くの女性がいた(※これは日本かな)。彼女達は柔道を習得したいそうだ。柔道ができると警察などに就職できる。大学の格付けも、どんどん変化している。※最近六大学の名前より、新しい大学の名前をよく目にする。
○日本語が国際標準語になる
・2019年は大阪でG20サミットが開かれる。各国首脳は安倍首相にどんな話し合いだったかを聞く事になる。トランプは問い合わせがあると、「シンゾーに聞け」と答える事もある。前年からそうなる予感はあったが、そうなった。安倍首相は「誰もが当然」と思う事を話す。日本はそれができるようになった。
・かつては英国人を中心に人が集まったが、日本人を中心に集まるようになった。それを見た感想は以下。
①やはり英語が国際標準語である。
②仏語はあっという間にその地位を失った。
③これらは置いといて、内容がある事を言う人が中心人物になる。
④それは日本語でも良い。
⑤ジョークも同じだ。
⑥米国人・イタリア人はよくジョークを言うが、日本人は言わない。
・「国際標準語になる条件は?」の問いに、言語学者サミュエル・アイザック・ハヤカワは「お金でポケットが膨らんでいる事」と答えた。渡部昇一に「もうじき日本語がそうなるな」と言うと、「ギリシャ語からラテン語、それから仏語への移行がそうだった。ならば日本語もそうなるかな」と返された。
・日本が世界の中心になるのも、同じ道になるだろう。米国の自動車メーカーは「カイゼン」などの言葉を使っている。ホンダのオハイオ工場では「整理整頓」が使われている。G20大阪会議でも関西弁が沢山使われるだろう。日本はポケットが膨らんだ債権国になっている。世界各国が日本に着いてくるのが、大阪会議で分かるだろう。
○安倍首相の無手勝流
・李登輝は台北市長の時、中央縦貫道路を作り、100m毎に公園を作った。市民はここで朝食を取るようになり、女性は朝食の世話から解放された。これにより女性が社会進出し、台湾経済は大発展し、働き方改革になった。
・しかし日本人が去ると、中国人に戻って、巨大な建物を建てると思われた(※「日本人が去る」とは、何時の事?)。しかしそれでは失礼なので、「アメ車が溢れ、排気ガスで充満した空を綺麗にすのが先」と考えたが、マスキー法に先行する日本車を輸入禁止にしていた。やがてそれを理解し、日本車ばかりになった。これを見て、「世界は日本化する」と実感した(※この文の主語は著者みたいだな)。同時に途方もない事を言う習近平は自滅すると感じた。
・権力者には自分にブレーキを掛ける能力が重要だが、そんな権力者は少ない。大抵は権力をさらに集め、そびえ立つ塔を建てようとする。中国が「土地国有化」を宣言したのが好例だ。今の建築ブームを見ると、「やはり、そうだったか」と思う。※土地国有化は建国時の話では。後で調べよう。
・土地の効用は、その土地をどう利用するかにあり、それには資金・技術・市場への展望が必要になる。ところが中国にはそれがない。日本人にも、それがない人がいて、そんな日本人と中国人が提携すると大失敗する。※鬼城の事かな。
・共産党幹部が地主になっても開発プランがデタラメなので利益が出ない。結局、経済成長率はどんどん低下した。以前は「保八」と号令すれば、8%成長したが、間もなく5%を切るだろう。
・安倍・トランプの組み合わせは、安倍首相が主役になってきた。欧州も難民で脱落し、日本だけになった。中国は、「大発展は中国共産党の功績」としているが、日本のお陰なのだ。それで「台湾を頂戴したい」となっているが、台湾は米国に付くので、安倍任せになる。トランプがこれを発言すると、アジアは群雄割拠/バルカン半島になってしまう。そうなると世界は日本に期待し、日本は世界をリードする立場になる。安倍首相は既にこの無手勝流の勝利を実行している。※不戦日本かな。
○世界が気付かない価値観
・日本の剣道には不思議な話が幾つかある。全国剣道大会の決勝で、ある県の警察が敗れ、「また1年間、雑巾がけします」と言った。これは本当に「雑巾がけ」と聞いて驚いたが、翌年には優勝した。※「雑巾がけ」には「下積みの作業」の意味がある。
・剣道の剣聖・塚原卜伝には色々なエピソードがある。渡し船で武芸者が自慢話をしていた。やがて武芸者が彼に絡んできて、二人は川の中州で勝負する事になる。中州に着き、武芸者は中州に降りるが、彼は竿で岸を付き、船を出した。これは「無手勝流の極意」の話である。
・日本は自然に「無手勝流の外交」をする国になった。これにイライラしているのが韓国で、自身の敗北を予知したのが習近平である。EU・英国はそれどころではない。こんな状況なので、世界は日本待ちになったが、日本が発言しないので、新しい時代は始まっていない。
・多分世界は不況になるが、それに対する決定的な経済学はない。困る人が考えれば良い、お金をばら撒けば良い、国家が考えれば良い、国家が介入すると失敗するなど様々ある。
・小泉元首相は厚生大臣になった時、厚生省とケンカし、厚生省は書類を上げなかった。しかし1ヵ月後に厚生省が折れた。厚生省は「彼は選挙区からの陳情で困るだろう」と考えていたが、彼の地盤は何世代も続く不動の地盤だった。選挙区からの陳情を聞くのが、大臣の第一の仕事だったが、それが変わったのだ。剣術だけで一国一城の主になれなくなった時、「無手勝流」が発明された。しかしその価値に気付く人はいなかった。それは現在も一緒で、気付く人はいない。日本はそれだけ先進国なのだ。