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『反論する技術』木山泰嗣を読書。

題名は「反論する技術」となっていますが、反論に限らないコミュニケーション術を紹介しています。
ビジネスで商談・会議などが多い方は、参考になると思います。

この本を読んでから、相手の内面を探るようになり、余裕ができ、会話をキャッチボールのように楽しめるようになった。
しかし他人の意見を全否定するような人には、意味がないかな。

勧め度:☆☆☆
内容:☆☆(抽象的、冗長的)

キーワード:<はじめに>勇気、キャッチボール、<意見ではなく、質問で返す>初心者、図、定義、成功事例、弱点、質問攻め、<不利になったら、話を変える>整理、転換、傍論、問題点、無回答、<まともに答えずに様子を見る>褒める、感情論、沈黙、無視、後回し、確認、<プレッシャーを与える>具体論、矛盾、事実、誤り、許容性、失敗事例、<自分の意見の良さを伝える>時系列、動かない事実、代案、キーワード、一貫性、キーパーソン、<証拠を示す>証拠、数字、統計データ、具体例、権威、成功事例

<はじめに>
・私(※著者)は弁護士をしていますが、18冊の本を執筆しています。弁護士なので喋る機会は多くあり、ロースクール(法科大学院)で講演する事もあります。しかし子供の頃は口下手・無口で、人に対し言い返す事ができませんでした。そのため人と話ができない、頭の回転が悪い、弁が立たないと思っていました。しかし今では普通の人より、反論が上手くなっていると思います。
・これには様々な理由がありますが、大きな理由は、人として成長したからだと思います。本書は、反論したいが反論できない人のための本です。私が経験により身に付けた幾つかのポイントを紹介します。

・反論には、抵抗や戦うイメージがありますが、本書はそこまでは想定していません。むしろ日常で「一言言いたいのだが」を解消するためです。上手く切り返す/切り抜ける程度を想定しています。
・反論するために、まず必要なのは「勇気」です。また相手を叩きのめすのが目的ではありません。相手とのキャッチボールと気軽に考えて下さい。

<プロローグ>
・あなたは、会議での議論/プレゼンでの質問/顧客からのクレーム/上司からの指摘/部下からの要求/ブログのコメント/しつこい勧誘/身近な人との会話などで困った事はないでしょうか。そこで幾つかのポイントを教えます。
 ①逆にあなたから質問する。→第1章
 ②話を変える。→第2章
 ③じっと様子を見る。→第3章
 ④相手のおかしな点を指摘する。→第4章
 ⑤自分の考えの良さを説明する。→第5章
 ⑥さらりと証拠を出す。→第6章

<第1章 意見ではなく、質問で返す>
○ポイント
・常に正面突破する必要はありません。プロ野球選手のバッターのように、ファウルで粘れば、相手が失投してくれる場合があります。本章の技術は、自分の意見・考えを答えず、質問を返す方法です。

○初心者の質問をする
・どんな場面でも使えるのが「初心者の質問」です。「それって何ですが」「それはどう云う意味ですか」「××って何でした」です。
・先輩「やっぱりコンプライアンスだな。皆やられている」。分からない言葉があると、その後の会話に付いて行けなくなります。これはコンプライアンスに限らず、GDPでもTPPでも同じです。
・この「初心者の質問」が恥ずかしければ、「コンプライアンスにも、色々意味がありますよね」「コンプライアンスは日本語では、何ですかね」「コンプライアンスを小学生に説明するとすれば、どうなりますかね」とかも考えられる。ここで説明してもらえれば、後の話に付いて行けます。

・似た言葉で困る場合もあります。例えば「コンプライアンスと法令順守は、どう違うんですか」「企業統治とかコーポレートガバナンスとか、色々ありますよね」などです。。相手が話している間に頭の中を整理する事もできます。相手が知らなければ、こちらが優位になります。

・応用
 先輩「これってフロイトの発想だな」
 あなた「フロイトって、どんな考えでした」「フロイトの心理学も色々ありましたよね」「フロイトとユングは、どう違ってました」など

 叔父「プラトンも言ってただろ」
 あなた「何て言っていました」「プラトンも色々言いましたよね」「プラトンとアリストテレスは、どう違いました」など

○図に描いてもらう
・言葉は分かるけど、相手の言っている事がよく分からない場合があります。専門的な話をしている時に、多くあります。先に進んでしまうと、後で困ります。ここで使えるのが「図に描いてもらえませんか」です。目上に対しては「私が不勉強なので、図に描いてもらえませんか」、部下であれば「今の話は分かり難いので、図に描いてよ」などです。
・これは相互の理解を深めます。ビジネス書などにも図があり、ビジュアル化されています。

・相手の理論が不完全と思われる時は、それを壊す方法でもあります。早口で喋ったけど、図に表すと、矛盾が露になったりします。

○言葉の定義をする
・言葉は多義的です。そのため本や裁判では、言葉を定義します。「田中氏、山本氏、鈴木氏を、『田中グループ』とする」「ミルクチョコレートを1ダース注文したら、いちごミルクが1ダース送られてきた。これを『いちご事件』とする」などです。この定義をしないと、論者によって様々な言葉が使われるからです。
・これを悪用する人もいます。分かり難い言葉を使って、捲し立てるのです。そのためにも定義は必要です。
・会話の途中でも定義して下さい。「××と△△は同じ意味ですか。それとも違いますか」「似た言葉が出るので、整理して下さい」などです。相手が言葉に詰まれば、曖昧に使っていた事になります。

・応用
 先輩「本は読んだ方が良い。俺は月に10冊読んでいる。お前は」
 あなた「月に10冊読み終えたんですか」「読んだって、どういう意味ですか」「雑誌や漫画も含めているんですか」など

 彼女「浮気はあり得ない。あなたは浮気した事ある」
 あなた「どこからが浮気なの」「浮気は良いなと思っても浮気なの。定義してよ」「浮気にも色々あるけど、定義してよ」など

○成功事例を訊く
・時々押しの強い人がいます。「お任せ下さい。大丈夫です」「これほど素晴らしい商品はありません」「画期的なプランになっています」などです。これは自分が専門外の場合に起きます。この時良いのが「成功事例を訊く」です。「どんな成功事例があるんですか」「どれ位の割合で成功しているんですか」です。「3件です」と答えれば、「何件中、3件ですか」と聞き直すのです。※成功事例と云うより、具体例・実例かな。美辞麗句を並べられた場合、その具体例を聞き出せば良い。
・私の本業(弁護士)でも、そうしますし。医師も「インフォームド・コンセント」で手術の成功率などを事前に伝えます。成功例だけを捲し立てる時は、失敗例も聞き出すのです。母数が大切です。※リスク分析だな。

○弱点を質問攻めにする
・意見には、必ず「強い面」と「弱い面」があります。「強い面」を強要する人は大きな声で話し、「弱い面」が気になる人は小声になります。大きな声で話す人の意見が正しいと思われますが、意見には必ず両面があります。
・ここで重要なのが、相手の「弱い面」を炙り出す事です。「弱い面」を集中的に突くのです。例えば「××は、おかしくないですか」「××と△△は矛盾していませんか」「あなたの意見の××には問題があります」などです。話題を相手の「弱い面」に集中させるのです。※スポーツでも「相手の弱点を突く」鉄則がある。

・応用
 友達「消費税は増税しないとダメだな。それを国民も理解しないと」
 あなた(増税に反対)「理解って何?増税しないとダメなの」「この時期に増税するの」「増税は必須?富裕層の増税ではダメなの」など

 友達「日本も首相を国民の選挙で選べば、変わるのに」
 あなた「今の米国は、財政危機で戦争もするよ」「国民が選ぶと変わる?国会議員は選挙で選ばれているけど」「どう変わるの」など

○細かい質問をする
・相手の弱点が掴めない時は、「質問攻め」にする方法があります。「××は、どう云う意味でした」「××を、どう考えます」「××と△△は違うのでした」などです。とにかく何でも訊くのです。※これは初心者の質問に近いな。ただ知らないで質問するのと、知ってて質問するのとでは違うかな。
・さらには「もう一度説明して頂けません」「そもそも、なぜ××に興味を持たれたのですか」(そもそも論)などもあります。「もう少し詳しく説明して頂けませんか」と言って、こちらが考える時間を得る事もできます。これはバッターがファウルで粘るのと一緒です。
・この方法で、相手から多くの情報を引き出す事ができます。相手が気持ち良くなってベラベラ喋り始めたり、相手が質問攻めで不機嫌になったりしたら、こちらが優位です。

<第2章 不利になったら、話を変える>
○ポイント
・プロ野球のピッチャーは変化球を投げます。議論でも変化球を投げる方法があります。正論を続けるのではなく、話題を変えるのです。

○問題点を整理する。
・議論が白熱し硬直状態になる事があります。この場合、粘り強い人/力がある人/声が大きい人が有利になったりします。議論が白熱した場合、クールダウンさせる方法が、「問題点を整理する」です。これは議論を180度転換する訳ではありません。
・議論していて、ある一人に批判が集中している時、司会進行している人が「問題点は××でしたよね」と問題点を整理すると、議論を一旦区切る事ができ、さらにその後の論点を変える事もできます。例えば「そういう事ですか。ならば問題点は××ですね」「ポイントが見えてきました。ここで問題点を整理してみます」「様々な指摘がありましたが、ここで問題点を整理します」などです。
・ここで重要なのが、その後自分が優位になるように整理するのです。整理を他人に任せるのではなく、自分の意見に分があるように、整理するのです。※これは難しいかな。

○話題を転換する
・話し上手な人は、予期しない質問/答え難い質問/突かれると弱い質問などはかわし、自分に優位な話だけを語ります。この場合、口を挿むのが難しくなります。この場合、控え目なあなたは「話題を転換」する方法が有効です。無理に主導権を奪う必要はありません。自分に不利な話に変わりそうな時、「ところで××はどうなりました」「××と云えば、△△はどうですか」「分かりました。それなら××はどうでしょう」と話題を転換するのです。
・ここで注意するのが、話がある程度結論に達したところで、話題を転換するのです。そうしないと話を戻されてしまいます。またあなたの発言は質問形式にして、相手に答えさせるのです。

・応用
 上司「この前の『情熱大陸』は凄かったな。あれ位仕事しないと」
 あなた(自分の仕事が批判されそう)「次回の『情熱大陸』は××みたいですね」「『情熱大陸』の音楽は、××ですよね」「××さんは毎週『情熱大陸』を見ていらっしゃるんですか」など

 取引先「良い新商品があるんですよ。××が作ったんですよ」
 あなた(商品を買いたくない)「××さんは元気ですか。最近会っていないな」「新商品と云えば、××が出ていましたね」「新商品を出したんですか。ところで御社の景気も良いんでしょう」など

○傍論をかわす
・議論において、それ程重要でない傍論が延々と続く場合があります。これは効率面からも避けたいものです。また話し上手な人は、自分が不利にならないように、本質的でない傍論に時間を費やすものです。
・この様なケースでは、傍論をなるべく早く止めさせるべきです。例えば「そろそろ本題に入りませんか」「では、今日のテーマに入りましょう」などです。「本題」「本日のテーマ」などを使いましょう。残り時間が少なくなってからでは、ダメです。残り時間を考えて、発言しましょう。

○問題点を自分に有利に設定する
・私は裁判が日常です。ここで裁判での「争点」について話します。裁判は争い事があって、それを裁判官が判断する作業です。民事訴訟では民事訴訟法のルールの中で結論されます。刑事訴訟では刑事訴訟法のルールの中で行われ、真実への追求はより強くなります。
・いずれにしても当事者間で「争点」があるのです。裁判では「争点」を整理します。両者言い分を全部聞いていたら「争点」は膨大になります。そのため最も重要な本質的な問題点を「争点」とします。従って「争点」は2~3個に絞られます。
・要するに「争点」は設定されるのです。裁判では裁判官が「争点」を設定するので、両者に公平に設定されます。これを身近な話に移せば、「争点」は問題点で、問題点は設定できるのです。

・議論を始めると、様々な意見が出てきます。そこで問題点を整理し、あなたに有利になるように問題点を設定するのです。例えば「となれば、問題点は××ですね」「なるほど。ならば一番の問題は××ですね」「分かりました。最も重要な問題は××ですね」などです。
・ネーミングもあなたに有利になるように設定します。これは政治などでも行われています。例えば山崎豊子『運命の人』では、新聞記者は「沖縄密約問題」とし、国家は「国家機密漏洩問題」としています。「マイナンバー法案」も、これを問題視する人は「国民総背番号法案」としています。

・応用
 友達「脳死をどう思う。心臓が動いているのに死として良いの」
 あなた(脳死・臓器移植に賛成)「となると、臓器移植を否定して良いかになるな」「となると、脳死を否定するか、臓器移植を否定するかだな」「そうか。臓器移植で救える命は救わないとなる」など

 彼女「本当に好きなら、仕事より彼女を優先するよね」
 あなた「社会人が仕事を放棄して、プライベートを優先して良いかだな」「プライベートを優先する男を好きになるかだな」「仕事は適当でも、彼女に優しければ良いか」など

○回答する義務がない事を伝える
・答えたくない事/答え難い事を訊かれたらどうしますか。また仕事では漏らしてはいけない情報もあります。仕事では秘密かどうか判断が付かないグレーな情報が大半です。今はソーシャルメディアがあるので、情報は一気に拡散します。
・弁護士の私は「守秘義務があるので、答えられません」「依頼者の了承がないと、答えられません」「お客様の情報なので、お答しかねます」などと答えます。裁判しているとメディアから電話が来ますが、この様に答えています。
・会社員の場合、お客様の情報は個人情報保護法で守られています。また社内情報も外部に漏らしてはいけません。本当にそうかは置いといて、「社外秘です」「企業秘密です」として回答を拒否して下さい。

○回答できない事情を伝える
・「社外秘」「顧客情報」などの言葉を使えば、おおよそ回答しなくて済みます。ところが会社が不祥事を起こした場合などに、これを使うと、ますます信用低下に向かいます。
・例えば危害を加えたお客様に「社外秘です」として回答しないのは、大変な不快感を与えます。こう云った場合には、「手元に資料がないので、お答えできません」「担当者が不在なので、お答えできません」「事実確認ができていないので、お答えできません」などと答えるべきです。会社・組織の場合、「正確な情報」を答えないといけません。

・応用
 電話の主「顧客情報の漏洩があったみたいですが、何件なんですか」
 あなた「申し訳ございません。まだ資料が揃っていません」「申し訳ございません。担当者が不在ですので、お答えできません」「申し訳ございません。事実の確認を行っているところです」など

 お客様「何で壊れたんですか。他にもあるんじゃないですか」
 あなた「今弊社で分析を行っています」「担当者が不在ですので、お答えできません」「故障の原因/類似事故などについて確認中です」など

<第3章 まともに答えずに様子を見る>
○ポイント
・本書は反論がテーマですが、ここまでに、第1章「質問する」/第2章「話を変える」を説明しました。本章では「相手を褒める」「沈黙する」「無視する」「後回しにする」などの「様子を見る」方法を説明します。

○熱意を褒める
・どんな会話でも相手を褒めるのは大切です。ただし本書の目的は反論で、人間関係を良好にするのが目的ではありません。そのため相手の意見を褒めるのではなく、「相手の熱意を褒める」のです。例えば「よく調べましたね」「××さんは熱心ですね」「よくそこまで研究されましたね」などです。相手は機嫌を良くし、さらに喋ってボロを出すかもしれません。
・裁判で相手を徹底的に潰すと、感情を害します。特に弁護士は依頼者の代理に過ぎません。弁護士に限らず、立場上から主張を貫かなければならない場合もあるのです。そういった場合に、相手の熱意を褒め、円満に進めるのです。

○感情論には深入りしない
・議論が熱くなると、「感情論」に陥る場合があります。実際原発問題などは、感情論になってします。あなたの意見が感情的と思われてしまうと、それだけ説得力を失います。
・裁判で弁護士は原告か被告の代理人です。両者には、すさまじい感情の渦があります。しかし弁護士は感情論ではなく、冷静な法律論が要求されます。当然裁判官も感情論を嫌います。

・裁判に限らず、争いの根底には感情/価値観/人生観があります。そのため議論が感情的になる場合があります。そこでそれを抑え、どう論理的な議論にするかが重要になります。
・本節は相手が感情的になった場合を考えます。しかしそこで「感情論は止めましょう、理性的に話をしましょう」では、かえって相手をお怒らせます。まず大事なのは、相手が感情的になったら、それに付き合わない事です。耳を傾け、話を聞き、コメントは最小限に控えるのです。

・応用
 上司「頭おかしくない。こんな広告が響く訳ないだろ」
 あなた(古典的な広告を提案)「分析してみると、意外にも古典的な広告が響きそうなんです」「他社も調べたのですが、この手法が良さそうです」「ターゲットを考えると、今風の広告は良くなさそうです」など

 お客様「おたくあくどいね。子供の遊びに課金するなんて。良心はないの」
 あなた「楽しんで頂ける商品を出すのが弊社の理念です。参考にさせて頂きます」「お客様に満足して頂ける商品を出すよう、今後も努力します」「貴重な意見、ありがたく存じます」など

○反論するまでもないなら黙る
・反論しようと意気込んでいると、全てに反論したくなります。これは司法試験に合格したばかりの人にありがちです。しかし議論においては、相手が何を伝えようとしているのか、その本質を見抜くことが重要です。細かい数字や言い間違いは指摘せず、聞き逃すのです。相手の間違いを、いちいち指摘すると、相手は不快になります。相手が気持ち良く喋っている時は、喋らせるのです。「沈黙」も反論の技術です。※「沈黙は金」とかあったな。

○無視する
・反論するほどでもない時は沈黙するのです。これに対し、これが本当に議論されると自分が不利になる場合は、意図的に「無視」するのです(※これは「触らぬ神に祟りなし」だな)。相手から「これは拙いんじゃないですか」と訊かれても、「何でそんな下らない議論が必要なんだ」みたいな顔をして、無視するのです(※これは難度が高いな。相手が訊いているのに無視すると、怒らせるのでは)。これが難しければ、「ところで・・」と話を変える方法もあります(※これは第2章の「話を変える」かな)。大事なのは、全ての質問に答える必要はないのです

・応用
 彼女「マリの彼は、よくサプライズ・プレゼントをするそうよ」
 あなた「マリちゃんは、今もあの会社に勤めているの」「マリちゃんと行った、あのお店は何だったかな」「マリちゃんと、よく話しているの」など

 奥さん「隣の鈴木さん、六本木のマンションに引っ越しされるのよ」
 あなた「年度替わりなので、引っ越しは大変だろうな」「この前六本木で事件があったよな」「隣は鈴木さんだったのか」など

○後回しにする
・無視するのではなく、「今は答えられない」と明確に伝える方法もあります。適当な回答をすると、それが「言質」になってしまいます。これは国会議員や大臣でよくある話です。そのため「今は答えられません」と回答を後回しにするのです。この回答の保留は、裁判では日常的に行われています。

・回答できない理由には以下があります。
 正確な情報を持っていない。
 新しい質問なので、会社に戻って検討する必要がある。
 回答内容が複雑なので、正確に回答できない。
・この様な場合は、持ち帰って、後で回答する方が誠実です。具体的には「事実関係を確認し、後ほど回答させて頂きます」「社内で検討させて頂きます」「検討の上、追って書面で回答させて頂きます」などです。

○確認する
・ここまでの「様子を見る」方法は、話の内容をきちんと理解している場合でした。相手の言っている内容を理解し、それに対しての対応でした。しかし相手の質問の趣旨が分からない場合もあります。この状態で回答すると、ますます自分が不利に陥る場合があります。ここで答えると、自分からワイルドピッチやパスボールをする事になります。こうした場合には、「もう一度説明して頂けませんか」「いまの話、よく理解できないのですが」などで確認すべきです。
・議論では、何でも喋れば良い訳ではありません。不利な事/余計な事/喋らない方が良い事は、喋るべきではありません。またこの方法は、話の内容を理解していても使っても良いと思います。そうする事で、考える時間/整理する時間を得られます。※これは第1章の「質問する」に近いな。

・応用
 お客様「コンプライアンスはどうなっているんだ。内部統制構築義務は守っているのか」
 あなた「もう一度説明して頂けませんか」「義務の内容を教えて頂けませんか」「質問内容が理解できないので、もう一度お願いします」など

 取引先「今の主流はADPP方式で、それにはB型とD型があって、・・」
 あなた「すみません。もう一度説明して頂けませんか」「型の区別が分からないのですが」「申し訳ないですが、もう一度説明して頂けませんか」など

<第4章 プレッシャーを与える>
○ポイント
・ここまでは、第1章「質問する」/第2章「話を変える」/第3章「様子を見る」で、相手を窺う方法でした。これからは実際に反論する方法を説明します。

○一般論としては良いが、具体論としては否定する
・私的な争いでは、声の大きい人や立場の上の人が勝ちます。しかし立場の上の人の意見が100%正しい訳ではありません。立場の優位性だけで自分の意見を通すと、「この野郎」と恨まれてしまします。最終的に「自分の意見が妥当で、相手の意見には難がある」とするのが理想です。※今度は自分が優位な立場かな。
・「総論賛成、各論反対」の言葉がありますが、これは「相手の意見には一般論としては賛成するが、この場の論議(具体論)としては反対する」となります。これは相手の全否定にならないので、相手も納得してくれます。

・裁判には「判決主文」「判決理由」があります。「判決主文」は結論で、「判決理由」はその理由です。裁判では、必ずどちらかが勝つので、それが「判決主文」に書かれます。しかし「判決理由」には、両者の非が書かれるので、負けた方も納得できます。こう云った視点は相手への配慮だけでなく、緻密な議論をする上でも重要です。

・応用
 上司「弊社もビジネスモデルの転換が必要だ。電子書籍の契約条項を検討しよう」
 あなた「転換は必要ですが、まずは電子書籍の研究から始めましょう」「新しい取り組みは必要でしょう。最初に専門書業界の参入状況を調べましょう」「電子書籍の検討には賛成します。契約条項は最後の詰めと思いますが」など

 チームリーダー「低価格の1100円で売りましょう」
 あなた(1100円は無理)「低価格路線に賛成ですが、まずは1200円が良いと思います」「このコンセプトからすると低価格ですね。1100円は厳しいと思います」「案には賛成しますが、別途論議が必要と思います」など

○矛盾を指摘する
・相手の意見の中に矛盾があれば、それを指摘できます。司法試験では論理性が重視されます。これは肯定論でも否定論でも同じです。論理矛盾があると失格です。例えば問1/問2ではA説を取っていたのに、問3でB説を取ると失格です。※何か酷過ぎる矛盾。
・これは会話でも同様で、論理矛盾・自己矛盾を起こしてはいけません。相手の話の中で論理矛盾があれば、それを指摘すれば良いのです。わざわざ自分の意見を言う必要はありません。「先の話と違いますよ」「話が矛盾していますよ」「先は××とおっしゃっていましたが」などです。これは「質問する」に似ていますが、相手の矛盾を突くので、積極的な反論方法です。

・応用
 友達「スポーツマンはお金がなくても良いよね。・・でも付き合うのは社長かな」
 あなた「話が違っていない」「何か矛盾していない」「お金じゃないと言ったのに」など

 先輩「仕事で重要なのはスピードだ。・・。効率より、やはり質が重要だ」
 あなた「何か話が違っていません」「スピード重視と質重視。矛盾していませんか」「さっきはスピード重視と言っていましたけど」など。※自由と平等だな。

○客観的事実に反する点を指摘する
・弁が立たない人が反論するのは難いものです。ところが「客観的な事実に合わない点」の指摘は容易です。例えば数字や日にちなどです。またこの間違いは多くあり、数字は意図的に誇張される場合もあります。
・例えば3人中2人(66.6%)に支持されている時、「7割近い支持を得ています」と言ったりします。しかも母数は3人です(※何か酷い例だな。せめて10人とかにすれば良いのに)。この「数字のマジック」はよく使われます。さらには「8割近い支持を得ています」「圧倒的な支持を得ています」とされる事もあります。これは明らかな誇張です。この場合「客観的な事実と違います」と指摘します。

○細かな誤りを指摘する
・議論では資料を使う事が多くあります。この場合、資料の細かな誤りを指摘し続ける方法があります(※これは余りやりたくない方法だな)。「3ページの法事は法人ですよね」「300万は3000万ではないですか」「資料3となっていますが、資料5ではないですか」などです。友好的な相手には使うべきではありませんが、敵対的な相手には有効です。沢山指摘されると、相手は意気消沈します。

・応用
 セールスマン「こんなに実績があります。特別に今回に限り・・」
 あなた「この自責は実績じゃないですか」「3000万社ではなく、3000社でしょ」「3の後に5、6と続きますが、4、5じゃないですか」など

 取引先「この商品はお勧めです。この機会に・・」
 あなた「これは需要ではなく、重要でしょ」「50円ではなく50万円でしょ」「資料2とありますが、資料2がないのですが」など

○必要性はあるが、許容性がない
・本節は、相手の意見には賛成だけど、現実には難しい場合です。例えば「①会社のパソコンを、全部最新のにしよう」「②残業をゼロにしよう」「③ライバル企業に合わせ、弊社も××を購入しよう」などです。
・これは「必要性」と「許容性」の視点で分析すると整理できます。①は「最新のパソコンにして、業務効率を高める」(必要性)と「実際は予算がない」(許容性)の関係になります。②は「無駄をカットするため、残業をゼロにする」(必要性、※必要なので残業していると思うが)と「残業しないと仕事が回らない」(許容性)の関係になります。③は「ライバル企業に対抗するため、××が必要」(必要性)と「××を購入する資金がない」(許容性)の関係になります。これらが「必要性はあるが、許容性はない」となります。※許容性より現実性かな。「一般論と具体論」(総論賛成、各論反対)に近いかな。

・しかしここで「必要性」を頭ごなしで否定してはいけません。例えば「パソコンは古くても問題ありません」「仕事には無駄が必要です」「ライバル企業はライバル企業。うちはうちです」ではダメです。
・やるべきは「許容性」に、「限界的に認める」「例外的に認める」「実験的に行う」などの条件を付けるのです。これを頭に入れておくと、柔軟な議論ができます。例えば「古いパソコンを使っている××部のパソコンを交換しましょう」「水曜日をノー残業日にしてはどうでしょうか」「××の内、△△だけ試験的に導入してはどうでしょうか」などです。

○失敗事例を指摘する
・本章はこれまでに5つの反論方法を説明してきました。最後は「失敗事例を指摘する」を説明します。プレゼンやセールスでは都合の良い事ばかりを述べます。実際はその夢物語のようにならないものです。周りが夢物語の雰囲気に乗せられても、あなたは冷静に分析し、意見を言っておくべきです。そのためには、まず「失敗事例を指摘する」のが一番です。
・物事には必ず「光と影」があるので、その両方を見るのです。メリットだけ見て導入すると、痛い目に遭います。成功事例だけでなく、失敗事例も必ず述べてもらうのです。紹介された事例は条件・環境は異なるでしょうが、これらを比較検討するのが重要です。

<第5章 自分の意見の良さを伝える>
○ポイント
・ここまでに、第1章「質問する」/第2章「話を変える」/第3章「様子を見る」/第4章「相手の弱点を突く」を説明してきました。本章では、自分の意見の良さを積極的に伝える方法を説明します。

○時系列で示す
・「こうすべきです」「これが正しいのです」「これでないとダメです」だけでは説得力がありません。同じ価値観の人であれば、これで問題ありませんが、価値観が異なる人には、ただの押し付けになります。そのため結論だけでなく、実際に起きた事実を時系列に話すのです。
・「×月×日に・・がありました。△月△日に・・がありました」と、事実を客観的に話します。これに相手は反論できません。また正しい事を喋り続ける人は、信頼されるものです。

○動かない事実をベースにする
・事実を時系列で話すのは説得力があります。それは客観性があるからです。これを裁判で「動かない事実」と云います。裁判では両者がそれぞれ主張するので、何が事実か分かりません。その時重要になのが「動かない事実」です。「動かない事実」の推移から、「これも事実だろう」「こんな事は起きないだろう」などを推論するのです。これに「客観的な証拠」や「公知の事実」(新聞などで報道された出来事)から、推論を完成させるのです。
・この様に「動かない事実」を淡々と話す事は重要です。これで相手は手強いと思うでしょうし、中立的な立場の人は、あなたを信用します。

○問題点を指摘し、代案を出す
・何かを決めなければいけない場合、単に相手の意見を否定するだけではダメです。例えば学校の文化祭の出し物を決める場合です。相手が「うちのクラスは、プロレスをやろう」と提案し、それに「文化祭にプロレスかよ」「プロレスには好き嫌いがあるだろ」「プロレスなんて危ないだろ」では、説得力がありません。これに対し相手は「昨年3年生がやっていたよ」「好き嫌いを言い出したらキリがない。金魚すくいでもバンドでも演劇でも同じだよ」「リングに上がるのは何時もやってるあいつらで、他に台本作り/会場作り/アナウンサー/音楽係/照明係などが必要になる」と反論するでしょう。
・これは出し物を決める議論なので、プロレスに代わる代案を出さなければ説得力はありません。例えば「縁日をやろう」などの代案が必要です。さらにそれぞれの案にはメリット/デメリットがあるので、「縁日は良い」と納得させる力も必要になります。※これはここで終わっている。

○キーワードを作り、繰り返す
・短い言葉は印象に残ります。これはキーワードと呼ばれるもので、強力な武器になり、政治家も使っています。例えば第2章の「問題点の設定」で述べた「国家機密漏洩問題/沖縄密約問題」「マイナンバー法案/国民総背番号法案」などです。言葉が変わると、印象も大きく変わります。
・すなわちキーワードを自分に有利になるように設定するのです。企業の「リストラクチャー」(再構築)を「大量解雇」「首切り問題」とすると、印象は大きく変わります。この様に言葉は魔物です。またキーワードは短くすべきで、その方が印象が残り易くなります。

・あなたに有利な短い言葉でキーワードを設定して下さい。そしてそれを繰り返して下さい。この効果については、拙著『弁護士が書いた究極の文章術』を参考にして下さい。繰り返す事で、皆の意識の中に浸透していきます。そうすると議論はあなたに有利に進みます。

○一番重要な事は繰り返す(一貫性)
・キーワードが繰り返されると、その言葉は人々に定着します。「消費税増税問題」「年金問題」「社会保障と税の一体改革」「温暖化」「人口減少問題」などです。これらはマスコミが何度も使うので、記憶に残ったのです。この「社会保障と税の一体改革」の実態は、消費税増税です。これをこの表現で、上手く誤魔化しているのです。
・またキーワードを繰り返す事は、一貫性の証しになります。裁判では判断基準に「供述の信用性」があり、これに「一貫性」が含まれます。供述が変遷する場合、「一貫性」が問われ、供述の信用性が失われます。「私は財布を盗んでいません」「財布はXさんから預かったのです」「財布はYさんから預かったのです」などと変遷すると、信用性はなくなります。

・キーワードを繰り返えす事も同様で、信用性を得られます。もし一貫していた意見を変える必要が生じた場合は、合理的な説明をする事で問題ありません。

○キーパーソンに響く言葉を使う
・本章では「時系列に示す」「動かない事実をベースにする」「代案を出す」「キーワードを作り、繰り返す」「一貫性を保つ」を説明してきました。ここでは「キーパーソンに響く言葉を使う」を説明します。
・これは、されているかもしれませんが、注意しないといけない点があります。それは「自分の納得度に合わせてはいけない」です。キーパーソンには、それぞれ立場/個性/価値観があるのです。それに合わせて説得しなければいけません。多くの人は、自分の価値観で相手を説得しているのではないでしょうか。そうではなく相手の価値観に合わせ、説得しなければいけません。
・「これだけあれば納得するだろう」「このデータがあれば納得するだろう」「この根拠があれば納得するだろう」ではダメなのです。年代/立場が異なると、価値観や判断基準は変わるのです。データ/数字を重視する人もいれば、それを重視しない人もいます。情熱的な人を好む人もいれば、冷静な人を好む人もいます。自分の判断基準ではなく、相手の判断基準が重要なのです。※これは重要だな。

・ある本に、「人間には6つのタイプがある」と書かれていました。目的型/情熱型/友和型/親分型/堅実型/行動型です。その人がどんな人なのかを、ネットなどで事前に調べる事もできますが、相手に接する中で、それを察知しなければいけません。数字を何度も訊ねてくる人や、意気込みを知りたがる人など様々です。当然ですが、誰がキーパーソンなのかを知るのも重要です。

<第6章 証拠を示す>
○ポイント
・本章では相手を説得するための、6つの証拠の示し方を説明します。キーパーソンが重視する基準に対し、これができれば、効果てき面です。

○客観的な証拠・記録を示す
・あなたが提案・意見しても、相手が全く反応を示さない場合があります。この原因は、「①あなたを信頼していない」「②相手が厳格な証拠を求めている」のいずれかです。①は、あなたの会社・肩書が信頼されていないのかもしれません。②は、会社・肩書は信頼しているが、あなたの提案・意見に関する証拠が求められているのです。裁判は弁護士は信頼されているので、②に該当し、証拠の提出が求められます。

・ではどんな証拠が望ましいのでしょうか。それは客観的な証拠で、契約書/メール/通知書/ホームページ/登記簿謄本(※今は登記事項証明書みたい)などの記録です。
・あなたが信用されていないのではなく、あなたの提案・意見が信用されていないのです。そのため、それを信用づける証拠を出す必要があります。あなたがその証拠を順次提供し、相手がそれを手にする事で、提案・意見の信用が高まっていきます。

○正確な数字を示す
・数字も説得力のある証拠になります。しかし所属する企業・組織の数字を示す場合、注意が必要です。①公表済みの数字、②未公表だが、公表して問題のない数字、③外部に漏らしてはいけない数字があります。
・①には有価証券報告書/決算発表/ホームページ/会社案内などがあります。しかし相手が自主的に調べてくれるとは限らないので、あなたから提出して下さい。ただし多量の資料を手渡すだけでなく、重要な事項については、口頭で説明して下さい。※よく会社のパンフレット(会社案内)を渡したりする。
・①は一般的な情報で、多くは②のケースと思います。そのためその情報を公表して問題がないかを、十分チェックして下さい。
・③は原則公表してはいけませんが、一旦資料を渡し、後で回収する方法もあります。数字は相手を説得する大変有効な手段です。

○統計データを示す
・数字のデータにも様々な種類があります。信頼性が高いのが、官公庁の「統計データ」です(※使う機会は余りないと思うけど)。ここで重要なのが、統計データが第三者によって作られている点です。そのため客観性・信頼性が高いのです。
・同時にそんな統計データを使う事で、あなたも信用されます。あなたは「統計データを入念に調べる人」として、信用を得られます。

○具体例を挙げる
・証拠としては、具体例も効果があります。第1章で成功事例を説明しましたが、本節は純粋に具体例です。人は「抽象論」と「具体論」で物事を把握します。書籍などは、大半が「具体論」です。
・法律には「私的自治の原則が支配する私法領域においては」、原則として契約締結の自由と云う論理が妥当する以上、当事者間で締結された契約は契約通りの効力が与えられるのが原則である」とあります。これは法律を学んだ人であれば、分かり易いのですが、一般の人には難解です。これは「AさんがBさんに利率7%で100万円貸しました。これは1年で7万円の利息を払う約束です。もし1年後にAさんがBさんを裁判所に訴えたなら、『BさんはAさんに7万円を支払え』との判決が出ます」との具体例を説明すれば、分かり易くなります。

・要するにそれが専門なら「抽象論」でも問題ないのですが、専門としていない領域を説明する時は、「具体論」が必要になるのです。従って話す相手により、「抽象論」「具体論」の割合を変える必要があります。場合によっては、たとえ話・比喩が有効です。※頭の回転が早い人は、この辺が得意。
・これらを使い、相手に提案・意見を理解してもらい、好意的に話を聞いてもらえるようにします。分からない話を延々と聞かされるのは苦痛です。

○権威を引用する
・「それはあなたの個人的な意見ですよね」「それはあなただけの思い付きですよね」となってはいけません。裁判では、裁判所が採用した意見だけが「正しい見解」になります。ただし三審制なので、それぞれの裁判での「正しい見解」は変わり、最後の裁判での見解だけが「正しい見解」になります。それ以外は「独自の見解」となるのです。
・あなたの意見が「独自の意見」とされた場合、「××さんも支持しています」などで、その意見を支持している人を示めせれば、その意見は「独自の意見」から脱却できます。人は他人がどう思っているかを大変気にしています。

・これは裁判も同じで、最高裁の判例が圧倒的に権威を持ちます。そのため弁護士は、常に自分に有利な判例を探します。また名の通った学者の見解なども重視します。※この辺から裁判はAIにさせようとの意見があるのかな。しかし状況はマチマチだろうな。
・ノーベル賞/芥川賞などは、オリジナリティの高い功績・作品を権威付けするためにあるのです。※この観点は面白いな。これは科学/文学/芸術(映画、音楽)などに沢山あるな。
・「××先生も同じ事を述べられています」「××さんも、△△に関する論文を出されています」などで、あなたの見解は「独自の見解」から脱却できます。権威を利用すると、説得力が高まります。

○成功事例を紹介する
・プレゼンや営業で、あなたの提案・意見が幾ら素晴らしくても、相手は簡単に決断してくれません。最後の一押しになるのが成功事例(実績)です(※成功事例は第1章であったな)。相手もあなたの最後の一押しを期待しています。
・ただし成功事例をガンガン紹介するのではなく、適切な成功事例を紹介する必要があります。また虚偽や誇張した成功事例は、後で信用を失う羽目になります。誠実さを忘れてはいけません。

<おわりに>
・反論に対するイメージは変わったでしょうか。反論とは、議論を無理に戦わせる事ではないのです。キャッチボールのようなものなのです。本書により、あなたのコミュニケーション・ツールが増えたのであれば幸いです。
・私は行政訴訟の「課税処分(追徴課税)の取消し」を専門とする弁護士です。そのため国税に対し反論する機会が多くあり、本書を書く切っ掛けになりました。

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