『細胞のしくみ』中西貴之(2013年)を読書。
細胞の詳細を知る事ができる。
原核生物と真核生物(動物、菌類、植物)の違いを理解できる。
臓器毎の説明があり、臓器の機能も理解できる。
右ページ全てが図解で理解しやすいが、その分文章量が制限されている。
お勧め度:☆☆☆(化学の知識があると、より理解し易い)
内容:☆☆(詳しく説明したいが、中途半端な感じ)
キーワード:<はじめに>270種類、タンパク質/イオン、<細胞入門>単細胞生物/多細胞生物、動物/植物、原核細胞/真核細胞、細胞壁・葉緑体、光合成、細胞分裂、遺伝子/遺伝病、<細胞内小器官>核膜/核ラミナ、核膜孔複合体、核小体/リボソーム、小胞体、ゴルジ体、リソソーム、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、葉緑体、細胞骨格、<人の細胞>神経細胞、生殖細胞、破骨細胞/骨芽細胞、心筋/平滑筋/骨格筋、脂肪細胞、赤血球/血小板/白血球、唾液腺/胃/小腸、気管/気管支/肺、肝臓、膵臓、腎臓、副腎皮質/下垂体/甲状腺、目/耳/鼻/口、皮膚・関節、がん、<細胞の能力>DNA、テロメア/テロメラーゼ、RNA、酵素、幹細胞/受精卵、ES細胞/iPS細胞、成長点、葉緑体、ストレス、皮膚、アポトーシス/ネクローシス、脂肪
はじめに
・人間は270種類・60兆個の細胞からなり、様々な働きをしています。細胞のタンパク質は常に変形し、イオンが細胞の内外を出入りします。小腸では常に新しい細胞が作られます(※酸性が強い胃もそうかな)。ウイルスに感染すると、骨髄で白血球が大量に作られます(※B細胞だな)。細胞は10万種類にも及ぶタンパク質を作ることができ、それを細胞内外に送る事ができます。
第1章 細胞入門
<1.生物は細胞の集まり>
・地球には200万種類以上の生物がいます。生物は過酷な環境でも生きています。生物は全て同じ祖先から進化したのです。それは同じ構造を持ち、遺伝子により次世代を作っているからです。バクテリア(※細菌かな)は単細胞で、人間は60兆個の細胞からなりますが、祖先は同じです。
<2.生命の単位>
・ロンドン王立協会のロバート・フック(1635~1703年)は顕微鏡でコルクを観察し、小さな部屋の集まりである事を確認し、これをセル(Cell)と命名します。これが細胞の始まりです。彼はコルクが1立方インチ当たり12億個の細胞でできているとします。
・19世紀シュライデン(1804~1881年)とT.シュワン(1810~1882年)が「生物は細胞で構成されている」とします。1837年シュワンは発酵が微生物によるとし、生物の自然発生を否定します(※前後の関係が分からないな)。
・生物には「単細胞生物」(乳酸菌、ヘリコバクター・ピロリなど)と「多細胞生物」に分かれます。人間は60兆個・200種類(※前に270種類とあったが)の細胞からなり、皮膚/消化管/神経などに最適化されています。
<3.単細胞生物>
・ゾウリムシ/アメーバ/ツリガネムシ/ラッパムシなどは単細胞生物です。彼らは単純そうですが1つの細胞で、食べる/消化/吸収/排出を行っています。
・多細胞生物は動物と植物に分けられますが、単細胞生物も動物と植物に分けられます。ケイ藻類/クロレラ/ミカヅキモ/ツヅミモは葉緑体を持ち、光合成します(※植物の条件は光合成だな)。そのため藻類には光合成するが細胞壁がない物がいます。また多細胞生物には人間の様に多種類の細胞からなる物や、同じ細胞が集まった物や、運動用と生殖用の2種類の細胞からなる物がいます。
<4.植物と動物の細胞>
・生物は進化し、植物は太陽エネルギーを利用する様になり、動物は植物・動物を食べて体内でエネルギーを得る様になりました。植物の細胞は細胞壁で区切られ(※細胞壁がない植物もある)、表皮組織/気孔/さく状組織/海綿状組織/葉脈/道管/師管などに分けられます。表皮組織は水分の蒸発を防ぐ機能があります。またガス・水分を出し入れする気孔が埋め込まれています(※表皮組織と気孔が混在するのかな)。さく状組織/海綿状組織は葉緑体を持ちます。さく状組織は柵の様に規則正しく並んでいますが、海綿状組織は大きさも様々で、二酸化炭素/酸素などを通す隙間があります。葉脈/道管/師管は根から葉までに水・栄養分を通します。
・動物は心臓/肝臓/脳/小腸/神経などで形成されます。大脳はニューロン/アストロサイト/オリゴデンドロサイトの3種類の細胞からなります(※初めて聞いた)。小腸は蠕動運動をしながら、消化や栄養分の吸収を行っています。運動する筋組織、栄養分を吸収する上皮組織、両者を繋ぐ結合組織があり、さらに血管・リンパ管などで構成されます。特殊な細胞に目の水晶体になる細胞、あらゆる細胞になる卵細胞、独立して振る舞う白血球細胞などがあります。※これらにより200種類以上あるのか。
<5.細胞の形状>
・細胞は様々な形をしており、活性化状態と休止状態で変わるものもあります。基本は7種類に分けられます。
①球形・・卵、花粉、クロレラ
②管状・・植物の道管・師管
③板状・・植物細胞
④星形・・アストロサイト(大脳の細胞) ※脳の細胞は皆星形みたい。
⑤紡錘形・・筋肉細胞
⑥螺旋状・・スピロヘータ(細菌)
⑦不定形・・アメーバ、白血球
・細胞の大きさは10~50μmですが、人間の神経細胞(座骨神経細胞)は1mあります。また単細胞生物のゾウリムシは2万本の毛を持ちます。また受精卵も1個の細胞です。また赤血球も1個の細胞ですが、核がありません(※細胞分裂せず不要かな)。
<6.真核細胞、原核細胞>
・細胞は様々な視点で分類できます(※この辺は面白そう)。構造が単純なのが「原核細胞」で、複雑なのが「真核細胞」です。原核細胞は生物の祖先で、大腸菌/乳酸菌などの細菌です。これは過酷な環境に耐えられ、地球外にも存在するでしょう。※原核生物は「バクテリア」(細菌)と「アーキア」(古細菌)に分類できるが、この辺りの説明は一切なかった。
・真核細胞は「ミトコンドリア」「葉緑体」などの構造物を持ちます。ミトコンドリア/葉緑体は元々は生物で、それが寄生したのです(※今は単独で生きているのかな)。原核細胞にミトコンドリアが住み着き真核細胞に進化し、さらに真核細胞に光合成細胞が住み着き植物細胞になりました。
・原核細胞の大半は糖やアミノ酸が結合した多糖類やペプチド(※アミノ酸とタンパク質の中間物)の細胞壁で包まれています。ただし動物細胞に細胞壁はありません(※「植物細胞」ではなく「原核細胞の大半」としたのは何故だろう)。細胞壁は隙間が多く、細胞を守り、栄養分の取り込みなどを行なうのは細胞膜です(※細胞壁は形状保持が目的だな)。
・真核細胞はDNAを含む核を持ちますが、原核細胞のは核様体と呼ばれ、核膜で包まれてもいません。原核細胞はタンパク質が粒状になったリボソームで満たされています。
・真核細胞の核は核膜で細胞質から隔てられ、ヒストンに巻き取られたDNAがあり、遺伝情報の複製・合成を行っています。真核細胞では「細胞内小器官」(核、ミトコンドリア、葉緑体、小胞体、ゴルジ体、液胞など)が、それぞれの機能(エネルギーの生成・輸送、老廃物の保管など)を効率良く行っています。そのため真核細胞の体積は原核細胞の1千倍になります(※そんなに違うのか)。これを支えているのが網目状の「細胞骨格」です。細胞骨格は細胞内を小部屋に区分けし、各細胞内小器官を配置しています。
<7.植物の細胞>
・植物細胞には「細胞壁」「葉緑体」があります。細胞壁の成分はセルロースで強固ですが、水・栄養分は通過できます。細胞壁の内側に細胞膜があり、物質の出入りをコントロールします。細胞内に核膜に包まれた核があり、DNA(デオキシリボ核酸)が折りたたまれた染色体があります。さらに核には球状の核小体やDNAのためのタンパク質が含まれます。
・細胞膜と核の間は細胞質が充填されています。そこには老廃物を蓄える「液胞」があります。「葉緑体」は色素体の一種で、色素体には他に白色体/有色体があります。植物の色は色素体によります。核は「小胞体」に包まれています。小胞体の表面に「リボソーム」が付着し、タンパク質を合成します。
・小胞体には呼吸によりエネルギーを生成する「ミトコンドリア」が散在しています。ミトコンドリアは元々は別の単細胞生物で、それが住み着いたのです。遺伝子を持ち、独自に機能します。※細胞分裂した時、ミトコンドリアも作成するんだ。
・「ゴルジ体」は小胞体で合成されたタンパク質に部品を追加したり、梱包したり、必要としている場所に届けたりします(運送会社)。※こんなに多機能なので原核細胞の1千倍の大きさになる。
<8.動物の細胞>
・動物細胞には細胞壁がないため細胞を変形させ、体を動かしたり、食物の消化吸収ができます。動物細胞にも液胞はありますが、排泄機能があるので使用されません。また動物細胞には植物細胞にない「中心体」があり、これにより細胞分裂が可能になります。中心体は細胞質に分散していますが、細胞分裂時に両端に集まり、「紡錘糸」を形成します。※動物と植物で細胞分裂の方法が異なるみたい。詳細は後述かな。
・細胞質は動物も植物も同様で、60~90%が水で、その中にアミノ酸/糖/巨大なタンパク質/脂肪などが浮遊しています。「液滴」は栄養分の蓄え、植物のデンプンの液滴や脂肪細胞の脂肪などがあります。
<9.光合成>
・「光合成」は葉緑体が光エネルギーを利用し、二酸化炭素と水から有機物のブドウ糖(グルコース)/デンプンを作る機能です(※糖は多種類あるが、ブドウ糖だけ?)。葉の表皮細胞に挟まれたさく状組織/海綿状組織の細胞が葉緑体を多く含みます。
・光合成は太陽光をエネルギーとして利用します。また温度は適切な温度があります。水は根の根毛から吸い上げます。二酸化炭素は葉の気孔から取り入れ、水に溶かして使用します(※炭酸⦅H₂CO₃⦆かな)。作られたブドウ糖は自ら結合し、デンプンになります。ただし夜間にブドウ糖に分解され、師管を通じ種子/果実/根/根茎に送られ、そこで「同化デンプン」として蓄えられます。ただしイネ科植物はデンプンを作れないため、ブドウ糖あるいは果糖・ショ糖として蓄えられます(※糖の分類は未知だ)。
・光合成で作ったブドウ糖/デンプンは、①エネルギー源、②タンパク質の材料、③栄養分の貯蔵(※これは除くべきでは)に使われます。根から吸収した肥料(窒素)とブドウ糖を結合させ、タンパク質を作ります。消費されなかったデンプンは種子/地下茎に蓄えられ「貯蔵デンプン」になります。
・光合成の効率は光の強さも影響します。基本、光が強いほど活発ですが、一定以上強くしても変わりません(光飽和点)。植物には光を好む陽生植物と、そうでない陰生植物があります。また二酸化炭素濃度が高いほど、光合成は活発になります(※これにも飽和点があるのでは)。一方気温は適切な温度があり、30℃前後です。
・植物は呼吸もしており、夜間は呼吸だけになります。従って二酸化炭素の吸収量は、光合成分から呼吸分を引いた量です(※夜間は酸素を吸収し、二酸化炭素を排出する。早朝の森林浴は良くない?)。植物が成長するには強い光が必要になります。
<10.細胞・生物の成長>
・植物の根の成長を見ます。根の先端に「根冠」と呼ばれる細胞があり、細胞分裂が活発な「成長点」を守っています。成長点で分裂した細胞が先端に向かい根冠になり、古い根冠が順次離脱します(※交換ドリルだな)。この細胞壁は強固で、下向きに成長します。1つの細胞が2つに分裂し、それぞれが元の大きさになります。動物も同じで、子供と大人の細胞の大きさは同じで、数が増えます。
<11.細胞分裂>
・単細胞生物は細胞分裂により自分の複製を作ります。多細胞生物は細胞分裂により成長したり、古い細胞を捨て新しい細胞にする新陳代謝をします。受精卵は細胞分裂により役割が明確化します。
・細胞分裂は5段階に分かれます。※通常期/分裂前期/分裂後期で良さそう。
①間期・・細胞分裂のための準備期間。
②前期・・核膜が消え、染色体が見えるようになる。
③中期・・染色体が2等分される。※染色体の複製方法を知りたいが、説明はない。
④後期・・染色体が両端に分かれる。
⑤終期・・染色体が核になり、見えなくなる。植物では細胞膜/細胞壁の順で形成される。動物では細胞膜が形成される。
<12.遺伝>
・遺伝により親と似た子が作られます。これは「遺伝子」が設計図になっているからです(※今はゲノムかな。ゲノムのほんの一部が遺伝子)。遺伝子は「DNA」(デオキシリボ核酸)からなり、アデニン/グアニン/シトシン/チミンが結合し、螺旋状になっています。この仕組みは全生物で共通で、共通の祖先から進化した根拠です。
・単細胞生物は分裂で自分のコピーを作ります。有性生殖では雌雄の遺伝子が合体するため、親と子に僅かな違いが生じます。※単細胞生物は全て無性生殖で、多細胞生物は全て有性生殖かな。
<13.染色体の異常>
・遺伝子には重要な情報が含まれており、「遺伝病」の原因になります。遺伝病には、①染色体異常、②単一遺伝子病、③多因子疾患、④体細胞遺伝疾患があります。
・①染色体異常は染色体の数や構造の異常で、放射線・紫外線・化学物資・ウイルスなどが原因です。生殖細胞で異常が発生すると、子が発症します。染色体が数倍に増える現象が「倍数性」で、細胞分裂が核だけだと発生します。「異数体」と呼ばれる現象は、生殖細胞の分裂の異常です。21番染色体が3本になる異常(21番染色体トリソミー)は新生児800人で1人に起き、ダウン症候群を発症します(※患者をよく見るのは、そのためか。染色体全体の数が倍増するのが倍数性で、ある染色体だけが増えるのが異数体かな)。他に13番・18番染色体のトリソミーは精神障害・臓器異常を惹き起こします。また染色体が欠失する異常をモノソミーと呼びます。
・②単一遺伝子病は特定の遺伝子の突然変異が原因で、3千種類が確認されています(※遺伝子は膨大なので、幾らでも起きそう)。遺伝子の突然変異には、欠失/重複/挿入/点突然変異があります。人口の1%が単一遺伝子病に罹患しています(※これが進化の原因かな)。特に頻度が高いのが正常と異なる塩基に置き換わる点突然変異です(※これはA-T/G-Cの置換かな。それともこれ結合自体の異常かな。調べると後者みたい)。この場合、フェニケトン尿症/血友病/家族性高コレストロール血症/ミトコンドリア遺伝病/鎌状赤血球貧血などの疾患になります(※遺伝子のどこで起きるかで疾患が変わる)。
・染色体異常は死に直結しますが、単一遺伝子病は重病になりません。冠状動脈疾患(家族性高コレストロール血症など)は500人に1人の割合で起きます。鎌状赤血球貧血は黒人の400人に1人が罹患し、風土病を抑制しています(※この話は聞いた事がある)。
・③多因子疾患は、複数の遺伝子の相互作用に環境因子が加わるの疾患です(※これは単一遺伝子病に近いかな)。多因子疾患には、糖尿病/高血圧/統合失調症/先天性欠陥(※ネットで検索できない)/口唇裂/口蓋裂/先天性心臓病などがあります。
・④体細胞遺伝疾患の代表がガンです(※体細胞は生殖細胞以外)。局所的な体細胞の遺伝子の異常によります。抑制されていた細胞の増殖が、無限に行われます。
<地球最初の細胞>
・宇宙は138億年前に誕生します。太陽系/地球が誕生したのが46億年前です。地球誕生から6億年経つと海ができ、深海に熱水噴出孔ができます。ここで有機物が合成され、結合し巨大になり、酵素の役割をするRNAが形成され、生物が誕生した様です(RNAワールド仮説)。※生物の前にウイルスが誕生したはず。
・細胞膜は脂質があれば形成されます。脂質が自然と集まり、膜構造を作る事は確認されています。リン脂質の膜の中にRNAが取り込まれ、細胞の祖先になったと考えられます。膜の中に高濃度の材料や生成物が保持され、RNAの触媒作用が働き、細胞になったのです(※触媒には生物・非生物があり、生物なのが酵素)。
第2章 細胞内小器官
<1.核と核ラミナ>
・核の有無により細胞は真核細胞と原核細胞に分けられます。真核細胞の核はDNAなどが「核膜」で包まれ、都合の良い環境になっています。核膜には「核膜孔複合体」が散在し、特定の物質が核の内外を行き来します。核膜は外膜と内膜からなり、外膜も内膜も細胞膜と同様に水になじむ頭部と油になじむしっぽを持つリン脂質です。内膜の内側には「核ラミナ」があり、骨格を保持しています。
※図を見ると、この外側・内側は核膜に対してではなく、核全体に対して。従って核は、外側から外膜/内膜/核ラミナの順になっている。リン脂質の上下が気になり少し調べると、リン脂質は三脚の様な分子構造になっている。
・核ラミナは分子量が7万程度の「ラミン」と呼ばれる繊維状のタンパク質が網目状になっています(※核ラミナの形成過程を説明しているが省略。これらはラミネートなどの派生語かな)。ラミンはタンパク質なのでDNAを設計図として作成されます。その最終段階で翻訳後修飾が行われ、その際に脂質が付加され、内膜(リン脂質)と親和性が高くなります。内膜にもラミンと結合するタンパク質が埋め込まれており、両者により結合が強固になります。またラミンにはDNAなどと結合するクロマチンが埋め込まれており、内側のDNAも保持しています。
<2.核膜孔複合体>
・「核膜孔複合体」はRNAなどを通過させる巨大な構造物で、分子量は2500万になます(通常のタンパク質は数万。※超巨大だな)。DNAからコピーされたmRNAは、核膜孔複合体を通過し核膜外部に送られます。細胞質でそれが設計図になり、タンパク質が作られます。核内部で必要なタンパク質は、核膜孔複合体を再度通過し、核内部に送られます。核膜孔複合体の通路は常にオープンですが幅が9nmなので、大半のタンパク質は通過できません(※これは全生物で共通かな)。通行可能な分子は「核局在化シグナル」と呼ばれるアミノ酸を持ちます。これが確認されると核膜孔複合体の通路が拡がり、分子が通過できます。核膜孔複合体は門番の役割をしますが、核局在化シグナルだけでコントロールされています(※詳細省略)。
<3.核とラミン>
・核膜の内側には核ラミナがあり、核膜の構造を維持するだけでなく、核内部の構造も維持しています。核ラミナの「ラミン」は、DNA/タンパク質と緩く結合しています。細胞分裂する際、46本の染色体(常染色体22対、性染色体1対)は分かれて筒状になります(※染色体の複製方法を知りたいが、説明はない)。分かれた各染色体の配置は決まっており、その隙間は「染色体間ドメイン」と呼ばれ、タンパク質の輸送に使われます。
<4.核小体>
・核で最も目立つのが核小体です(※図を見ると、核の中にさらに小さな核がある感じ)。細胞分裂には大量のタンパク質が必要です。そのタンパク質合成装置「リボソーム」を作るのが核小体です。哺乳類の細胞分裂には、細胞1個に500万~1000万のリボソームが必要です。核小体は染色体の一部と緩く結合しています(※染色体は核小体の内部ではなく、外側にある)。
・リボソームは、リボソームタンパク質とrRNA(リボソームRNA)の複合体です(※リボはリボース⦅糖⦆の意味と思うが、なぜ糖が出てくるのか)。(※タンパク質の作成手順を詳しく説明しているが簡略化)リボソームでリボソームタンパク質とrRNAが結合し、リボソーム前駆体粒子が作られます。それが核外部に送られ、タンパク質が作られます。※リボソーム→リボソーム前駆体粒子→タンパク質の3段階だな。
q
<5.細胞内小器官>
・真核細胞には多数の「細胞内小器官」があり、効率的な生命反応が可能です。しかし容積は原核細胞の1千倍になります。核と細胞内小器官が連携しタンパク質を作る機能は特に重要です。
・細胞内にタンパク質を合成する場所/設計図を保管する場所/タンパク質を利用する場所などがあり、それを輸送するネットワークもあります(※まるで人間社会だな)。タンパク質を合成するのが「小胞体」、合成されたタンパク質に修飾・加工するのが「ゴルジ体」、不必要になったタンパク質を分解するのが「リソソーム」です(※ソームは体の意味かな)。
<6.小胞体とタンパク質>
・「小胞体」は膜が重なり合った大きな組織で、核と繋がっています。膜の構造により、粗面小胞体/移行型小胞体/滑面小胞体に分かれます。粗面小胞体の表面にはリボソームが付着し、タンパク質が合成されます。移行型小胞体で、合成されたタンパク質が梱包されます。滑面小胞体は脂質の代謝に関係します(※この代謝は生成なのか消費なのか)。
q
・アミノ酸に放射性を持たせ、タンパク質を追跡できる様になりました。タンパク質は粗面小胞体で合成され、ゴルジ体に移動し、その後「分泌小胞」に乗り目的地(小胞体、ゴルジ体、リボソーム、細胞膜、細胞外など)に輸送されます。
<7.シグナル配列とタンパク質の輸送>
・「リボソーム」で作られたタンパク質には宛名ラベル「シグナル配列」が余分に付いており、これにより細胞内の各種の膜を通過できます。タンパク質が小胞体に入る時はシグナル配列が小胞体膜でチェックされ、小胞体内に入ります。この時、シグナル配列は除去されます。またシグナル配列はアミノ酸20個からなります。※図解あり。シグナル配列は門番への賄賂みたいだな。膜を数回通過するタンパク質は複数のシグナル配列を持つのかな。
<8.輸送小胞>
・小胞体のリボソームで作られたタンパク質は「輸送小胞」に包まれ、「ゴルジ体」に輸送されます(※前述の分泌小胞と輸送小胞の違いは?)。ここで宛先が決められ、細胞膜外に輸送される場合は、小胞体外輸送シグナルが付けられます(※細胞膜外ではなく小胞体外?)。小胞体に戻す場合は、KDELの宛名ラベルが付けられます。
<9.ゴルジ体>
・「ゴルジ体」は小胞体で作られ、輸送小胞に包まれたタンパク質を完全な状態にし、再度輸送小胞に包み、必要とする細胞内小器官に送り出します。ゴルジ体も膜で閉じられ、九十九折に折り畳まれています。ゴルジ体にはタンパク質の入口面(シス面)と出口面(トランス面)があり、核側に入口面を向けています。ゴルジ体は4つの区画(シスゴルジ網、中間区画、トランス区画、トランスゴルジ網)からなります。シスゴルジ網はタンパク質を受け取り、中間区画/トランス区画はタンパク質を修飾し、トランスゴルジ網はタンパク質の配送作業をします。
・ゴルジ体の出口面に行き先ごとにタンパク質が集まり、それが風船の様になり、そのまま切り離され輸送小胞になり、輸送されます。
・輸送小胞の分泌には「恒常性分泌」「調節性分泌」の2種類があります。恒常性分泌はゴルジ体から細胞膜へのシャトル便です。細胞膜外への輸送は頻度が少なく、刺激があると輸送小胞が作られ、送り出されます(調節性分泌)。消化酵素は輸送小胞となりゴルジ体に付着した状態で待機しており、食物が消化管に入ると送り出されます。
<10.リソソーム>
・「リソソーム」は50種類超の加水分解酵素を含み、細胞内外で不要になったタンパク質/核酸/脂質/糖質を消化分解します(※リソの意味は分解かな)。消化酵素はリン脂質で厳重に包まれ、また酸性でしか機能しない様になっています。リソソームの膜にプロトンポンプがあり、リソソーム内を酸性に保っています。
・不要物を細胞内に取り込む仕組みが「エンドサイトーシス」です。細胞膜は不要物をキャッチし、そのまま不要物を包み込み、輸送小胞になります。これが初期エンドソーム(リソソームの素)と融合し、さらにゴルジ体で作られた加水分解酵素(タンパク質)が結合し、成熟したリソソームになります。※不要物は排出するのではなく、取り込んで分解するのか。
<11.ミトコンドリア>
・「ミトコンドリア」は大昔は単細胞生物でした。それが別の単細胞生物に寄生し、やがて細胞内小器官になったのです。ミトコンドリアの役目はエネルギーの生成で、炭水化物/脂肪酸を分解して生成します。この方法は「酸化的リン酸化」と呼ばれます。エネルギーは「アデノシン3リン酸」(ATP)に蓄えられます。これを分解するとエネルギー(※熱エネルギー?)が放出され、「アデノシン2リン酸」(ADP)になります。ADPは再利用されるのを待ちます。
・酸素は細胞には有害です。しかしミトコンドリアを寄生させる事で、生物はエネルギーを得られるようになり、爆発的に進化したのです。
・ミトコンドリアは僅かに遺伝子を持ちますが、大半は宿主の遺伝子に依存します。そのためタンパク質は他の細胞内小器官から受け取っています。
・ミトコンドリアは他の細胞内小器官と同様に、リン脂質二重層の内膜・外膜を持ちます。内膜は特徴的で、ひだ(クリステ)が内側に伸びています。ミトコンドリアの内側には、エネルギーを生成するタンパク質(マトリックス)が詰まっています。
・エネルギーの生成はクエン酸を起点に、循環的に行われます。そのため「クエン酸回路」と呼ばれます(※先程「酸化的リン酸化」の説明があったが、これはエネルギーの蓄積方法で、「クエン酸回路」がエネルギーの生成方法かな)。エネルギーの生成にはグルコース(ブドウ糖)が必要です。しかしクエン酸回路ではグルコースを処理できないため、細胞質でグルコースをピルビン酸に変換し、さらにミトコンドリア内でアセチルーコエンザイムAに変換し、クエン酸回路でエネルギーを生成しています。
<12.ミトコンドリア>
・ミトコンドリアの遺伝子はαプロテオバクテリアに似ています。しかしαプロテオバクテリアは1万種の遺伝子を持ちますが、人のミトコンドリアは13種類の遺伝子しか持たず、寄生細胞の遺伝子に依存しています。
・リケッチア・プロワゼキという真核生物に寄生する細菌がいます。これは独立して生きる生物と寄生しているミトコンドリアの中間的な生物です。※原核生物に好気性細菌が共生し、それがミトコンドリアになり、寄生された原核生物が進化し、真核生物(動物、菌類⦅真菌?⦆、植物)になった図が示されている。
・ミトコンドリアにも種類があり、機能しているタンパク質が異なります。タンパク質は大きな分子のためミトコンドリアの外膜は自由に通過できますが、内膜は簡単に通過できないため、間の膜間腔に留まり、必要なタンパク質だけが取り込まれます。※エネルギー生成で分解するのが小さなピルビン酸で、それに必要な酵素が大きなタンパク質かな。
<13.ペルオキシソーム>
・「ペルオキシソーム」は50種類以上の酵素を含む小さな化学工場です。細胞の様に分裂し、細胞1つに約500個あります。過酸化水素は細胞に有害で、ペルオキシソームはこれを封じ込めます。また動物は脂肪を酸化させてエネルギーを生成しますが、ミトコンドリアとペルオキシソームがこれを担っています。
・肝臓細胞のペルオキシソームは、コレステロールから胆汁酸を作っています。植物細胞で光合成に失敗するとホスホグリコール酸が作られますが、ペルオキシソームはこれをグリシンに分解します。グリシンは光合成で再利用されます(光呼吸)。※ペルオキシソームは初耳。多機能そうだな。
<14.葉緑体>
・光合成の主役が「葉緑体」です。葉緑体もミトコンドリアと同様に細菌でしたが、光合成能力を持つ前の植物に侵入にしたのです。葉緑体は二酸化炭素から、炭水化物/アミノ酸/脂肪酸などを合成します。葉緑体の大きさは0.01mmで巨大な細胞内小器官です(※大分進化した後に植物に侵入したかな)。外膜と内膜の間に膜間腔があります。内膜の内側にはミトコンドリアと同様に、膜に包まれたチラコイドがあり、チラコイド膜でエネルギーを生み出しています(※ATPの分解かな)。葉緑体には30個程度の遺伝子が残されています。しかし葉緑体では3千個超のタンパク質が機能するので、大半は宿主の遺伝子に依存しています(※タンパク質の種類の多さに驚く。本書に説明はないが、光合成が膨大な段階で行われるためかな)。
※植物は呼吸と光合成の両機能を持つので、動物より進化しているとも考えられる。また細胞壁があるので、細胞が死んでも倒れる事がなく、何百年も生きられる。
<15.細胞骨格>
・真核生物には「細胞骨格」があります。これはタンパク質の繊維が網目状になったもので、臨機応変に細胞の形状を変えられます。また細胞内小器官を一定の位置に保持する役目もあります。細菌は小さいため、細胞骨格を持つ必要がありません。
・細胞骨格は3種類の繊維からなります。アクチンからなる「アクチンフィラメント」、チューブリンからなる「微小管」、ビメンチン/ラミニンからなる「中間径フィラメント」です。
・アクチンフィラメントの直径は7nmです。実は人の細胞は動き回っています。白血球は異物の侵入を検知すると、血管から抜け出し、そこに向かいます。脳の神経細胞も脳の中心で作られ、その後表面に移動します。この時手足になるのがアクチンフィラメントです。※アクチンフィラメントによる移動方法やその時の細胞内小器官を詳しく説明しているが省略。
<16.微小管と中間径フィラメント>
・微小管はαチューブリンとβチューブリンが筒状になっています。微小管も伸縮し、肺の繊毛を動かしたり、神経細胞を伸長させます(※どんな時?記憶?)。また微小管は様々なタンパク質を最適な場所に配置します。
・アクチンフィラメント/微小管はレールになり、細胞内のタンパク質の輸送を助けます。神経細胞は巨大な細胞で、核/細胞内小器官が集まる細胞体と他の神経細胞に伸びる軸索からなります。微小管はこの軸索輸送を行っています(※タンパク質の輸送を説明しているが省略)。
・中間径フィラメントの直径は微小管より小さく約10nmの繊維で、5種類あります(※直径は大きい順に、微小管>中間径フィラメント>アクチンフィラメント)。中間径フィラメントのケラチンフィラメントは、体/臓器/気管の表面などに存在し、形状を維持します(※確かに支えるものがなければ、垂れ下がる)。他に腫瘍細胞のビメンチンフィラメント、脳の神経細胞のグリアフィラメント、脳のニューロン細胞のニューロフィラメントなどがあります。何れも方向性のある強固な棒状の分子からなります。※なぜアクチンフィラメントを分けたのか。アクチンフィラメントは細胞外部に働き、中間径フィラメントは細胞で働くからかな。
<細胞膜の構造>
・かつて細胞膜がどの様な構造をしているかが注目されていました。1960年代、膜の成分の性質から脂質とタンパク質の配置が思考されます(流動モザイクモデル)。これは親水性の高い頭部分と発水性のあるリン脂質の足の部分からなり、その足の部分を内側に向けた二重膜であるとします。その後これが電子顕微鏡で観察されます。
第3章 人の細胞
<1.神経細胞>
・「神経細胞」は細胞体から軸索/樹状突起が伸びた形をしています(※図解あり)。軸索は長いもので1mに達します(※脊髄は1本の神経細胞かな)。神経細胞は突起の数で、無極神経細胞/単極神経細胞/双極神経細胞/偽単極神経細胞/多極神経細胞に分かれます(※こちらは図解なし)。脳の神経細胞は多極神経細胞です。神経細胞は巨大で莫大なタンパク質を使用するため細胞体は大きいが、普通の細胞と左程変わりません。
・情報の伝達は電位差を利用し、神経細胞の表面をスポーツ応援のウェーブの様に伝わります。細胞膜の外側にナトリウムイオン、内側にカリウムイオンがあり、通常はバランスしていますが、興奮すると軸索の末端方向に電位差を伝えます。※一方通行なので脊髄は上下2本の神経細胞かな。軸索中間での情報入出力は不可能に思える。
・また神経細胞間には隙間(シナプス間隙)があり、化学物資の授受で情報を伝えます。これは興奮を抑制するためと考えられます(※軸索での電位差による伝達も相当遅いらしい)。この神経伝達物質の代表がアセチルコリンです。電位差が軸索末端に到達すると、アセチルコリンがシナプスに放出されます。それを次の神経細胞がキャッチすると、ナトリウムイオンを取り込み電位差を起こします。すなわち情報伝達は、受容体依存性反応と電位依存性反応で行われています。※情報伝達の度に、わざわざ神経伝達物質を作っているんだ。全てが電気的な方法と思っていた。
<2.生殖細胞>
・例えば神経細胞は死ぬまで神経細胞です。ところが「生殖細胞」はあらゆる細胞に変化します。雌の生殖細胞が卵、雄の生殖細胞が精子です。同様の機能を持つES細胞/iPS細胞を含めて、万能細胞と呼びます。
・卵は巨大(0.2mm)で、核/ゴルジ体/ミトコンドリアなども明確です。一方精子は核からなる頭部・頸部と線毛からなります(頭部0.003mm、線毛0.06mm。※詳細省略)。精子は染色体XYのどちらかを持ち、卵が受精しX染色体を受け取ると女性、Y染色体を受け取ると男性になります。
<3.破骨細胞>
・骨は細胞ではなく、2/3が無機質、1/3有機質からなります。骨の内部は空洞で、そこに骨髄が詰まっています(※骨は結構隙間があるらしい)。骨髄は赤血球/白血球/血小板などに変化します(※骨髄も細胞かな)。骨自体には骨細胞があります。古くなった骨を溶かす破骨細胞と骨を作る骨芽細胞が骨の新陳代謝を行っています。
・破骨細胞は複数の細胞の合体で、多数の核を持ちます(※驚いた。多機能そうだな)。アクチンフィラメントが発達し、骨の表面を歩き回ります。骨と接する面を溶かし、カルシウムを血液に流します。血液中のカルシウム濃度はホルモンで一定に保たれます。※ホルモンが何かの疑問が湧く。
<4.骨芽細胞>
・破骨細胞が骨を溶かすと、凸凹になります。そこに「骨芽細胞」が来て、骨を形成します。骨を形成すると、骨芽細胞はそこに埋め込まれ、骨細胞になります(※別に骨細胞がある?)。骨芽細胞は活動期と休止期を繰り返しますが、形状が大きく変わります。活動期は粗面小胞体/ゴルジ体/ミトコンドリアなどが発達しますが、休止期は細胞内小器官が減少します。
・骨芽細胞は意図的に骨の中に留まります。骨は一定の方向に隙間があり、そこに留まり骨細胞になり、骨細胞同士がネットワークを組み、骨への刺激や全身のカルシウム濃度を伝えます。カルシウム濃度が低下すると、骨を溶かします。これは破骨細胞の機能とは異なり、骨細胞性骨溶解と呼ばれます。
<5.筋肉の細胞>
・筋組織には、心筋/平滑筋/骨格筋があります。「骨格筋」は意図的に動かす事ができます。骨格筋は骨格細胞が骨格繊維になり、それが束になっています。骨格細胞は長さが15cmのものもあります(※筋と筋の間は1つの骨格細胞かな)。骨格細胞は多核細胞で、数百の核を持ちます(※長い分、核も沢山必要かな)。体重の半分が骨格細胞です。アクチンフィラメントの上をミオシンフィラメントが動き、筋が収縮します(※アクチンフィラメントは細胞の移動とタンパク質の輸送が役割だった)。
・「平滑筋」は消化管/気管/膀胱に存在する不随意筋です。平滑筋も繊維状の細胞で、核は1つで、長さは最大で0.2mmです。ただしエネルギーを多く消費するので、ミトコンドリア/粗面小胞体/ゴルジ体が発達しています。また収縮方法は平滑筋と同様です(※詳細省略)。
<6.心筋細胞とペースメーカー細胞>
・「心筋」は自分の意志で動かせない随意筋で(※不随意筋では)、強靭な繊維状の筋肉です。心筋細胞はI・X・Yの型があり、これが介在板を介して結合しています。
・臓器は中枢(※小脳?)からの指令・ホルモンで制御されますが、心臓は心臓の洞房結節にある「ペースメーカー細胞」(1千~2千個)が制御します。人には2つの心室、2つの心房があり、順序よく伸縮します。ペースメーカー細胞も神経細胞と同様に、細胞膜内外の電位差を利用します。ただし神経細胞には刺激がない時の静止膜電位がありますが、ペースメーカー細胞にはそれがなく、イオンが移動し続けます。具体的には洞房結節を出た信号は上部の心房を収縮させた後、血液が心室に流れ込むのを待って心室を収縮させます。
<7.脂肪細胞>
・「脂肪細胞」は脂肪を蓄え、生理活性物質を放出し食欲をコントロールします。脂肪細胞が集まって脂肪組織になります。脂肪細胞はパンパンになるまで脂肪を蓄えます。細胞が破裂しないのは、膠原繊維が脂肪細胞の周りを取り巻いているからです(※膠原はコラーゲンの事で、それから膠⦅にかわ⦆が作られる)。肥っている人と痩せている人の違いは脂肪細胞の数ではなく、貯め込んでいる脂質の量です。ただし子供の頃に脂肪を多く摂取すると、脂肪細胞が増えます。
<8.赤血球>
・血液は「赤血球」により赤色で、赤血球を取り除くと透明になります。赤血球は血液1m㎥に500万個あります。赤血球も細胞で骨髄造血幹細胞から作られます(※造血幹細胞には骨髄系とリンパ系がある)。その時は核がありますが、血管を流れていると消失します。細胞内小器官もほとんどなく、大半がヘモグロビンです。ヘモグロビンもタンパク質で、1分子で4個の酸素分子と結合できます。血液中の酸素濃度に応じ、酸素を結合したり放出します。また赤血球は二酸化炭素を取り込み、炭酸水素イオンとして蓄え、肺に運びます(※二酸化炭素を取り込むのもヘモグロビンかな)。
・赤血球の寿命は100~120日で、古くなると脾臓で破壊されます。ヘモグロビンは鉄/グロビン/ビリルビンに分解されます。鉄はヘモグロビンに再利用されます。グロビンはアミノ酸に分解され、再利用されます(※ヘモグロビンはヘム(鉄)-グロビンで、簡単にヘモグロビンに戻せそうだが)。ビリルビンは胆汁になります(※脾臓で分解され、肝臓で胆汁が作られ、胆嚢に蓄えられる)。
<9.血小板と白血球>
・「血小板」は血液1m㎥に30万個あります。骨髄の素になる細胞(※造血幹細胞?)からちぎれて作られます。そのため核はなく、寿命は7~10日で、最後は脾臓で分解されます。赤血球は核とヘモグロビンしか持ちませんが、血小板は核以外の細胞内小器官を持ちます。血管が破れると、そこに血小板が集まり、血小板同士が偽足を伸ばし結びつき、出血を止めます。
・血液中の赤血球/血小板以外の細胞が「白血球」で、顆粒球/単球/リンパ球に大別できます(※図解あり。顆粒球/単球は骨髄系、リンパ球はリンパ系)。顆粒球はさらに、好中球/好酸球/好塩基球に分かれます。白血球の多くは好中球です。いずれもアクチンフィラメントにより活発に動き回ります。
・細菌などが体内に侵入すると免疫系のマクロファージ細胞(※マクロファージは単球から分化する)がサイトカインを放出します。これを好中球が探知し、集まります。好中球は受容体タンパク質にサイトカインが付着すると活発になり、それから炎症箇所を判別します。骨髄は好中球を増産します。好中球は細菌を内部に取り込みます。好中球は顆粒(活性酸素、過酸化水素、次亜塩素酸、リゾチウムなど)を細菌に放出し、殺菌します。殺菌すると好中球も死に、ウミになりますが、体外に放出されるか、マクロファージに処理されます。※ウイルスに感染しない様にリンパ球のB細胞に抗体を作る機能があったが、それとは別の対処方法かな。
<10.食物の運搬・消化>
・栄養は、食道から大腸までの消化管で吸収されます。口内に唾液を分泌する細胞が集まった「唾液腺」があります。唾液は1日で0.7~1.5l分泌されます。唾液腺はブドウの様な形で、実の部分に唾液分泌細胞があります。唾液はタンパク質と糖が結合したムチンで、粗面小胞体でタンパク質が作られ、ゴルジ体で糖が結合したものです(※細胞内で普通に作られるんだ)。作られた唾液は、収縮・弛緩する筋上皮細胞により口内に押し出されます。
・胃は食物の消化のため胃液を分泌します。これは塩酸を含み、pH1.0~2.5の強酸性です。胃底腺壁細胞が他に、ペプシン/カテプシン/リパーゼなどの消化酵素を分泌しています。胃液は1日で1.5~2.5l分泌されます。胃自身が消化されないために、副細胞/粘膜上皮細胞は粘液を分泌しています。主細胞/副細胞/壁細胞は胃小窩と呼ばれる細く深い穴に並んでいます(※図解あり)。
・消化された食物は小腸で吸収されます。吸収効率を高めるため、小腸は凸凹になっています。さらに栄養を吸収する吸収上皮細胞は細胞1個で1千本の微絨毛があり、表面積を増やしています(※図から、小腸表面に突起があり、その突起を微絨毛を持つ吸収上皮細胞が覆っている)。小腸の長さは8mですが、面積は340㎡あります(※拡げると長さ8m、幅40m)。吸収した栄養は小胞に包まれ、毛細血管から血液に送り出されます。小腸の内壁は吸収上皮細胞ですが、他に杯細胞/基底顆粒細胞/パネート細胞/平滑筋細胞で構成されます(※各細胞の機能は省略)。
※大腸の説明はない。水分吸収が主な機能だからかな。
<11.呼吸器>
・呼吸器は気管/気管支/肺からなります。気管には外気から細胞を保護する粘膜を出す「杯細胞」と、異物を押し出す「繊毛上皮細胞」があります。杯細胞は粘液を分泌する消化器などの粘膜にも散在しています。杯細胞と呼ばれるのは、ワイングラスの形をしているからです。粘液は糖タンパク質で、リボソームで合成され、ゴルジ体で分泌顆粒になり、細胞外に放出されます(※これも普通に作られるんだ)。
・粘液が吸着した異物は繊毛上皮細胞により痰として排出されます。繊毛はタンパク質からなる構造物で、長さ7~10μm/直径0.2μmで、多数の細い毛の集まりです(※毛にも線毛/絨毛/繊毛があった)。中央の2本が中心小管で、それに18本の微小管が付いています(※毛も管の集まりか)。
・空気は気管/気管支を通過し、その先にある「肺胞」で、赤血球により酸素と二酸化炭素が交換されます。肺胞は風船の様な形(直径0.1~0.3mm)で、両肺で7~8億個あります。肺胞には毛細血管が張り巡らされており、その壁の厚さは1/5000mmしかありません。肺胞は「Ⅰ型肺胞上皮細胞」「Ⅱ型肺胞上皮細胞」の2種類の細胞からなります。前者は扁平な細胞です。後者は脂質の薄膜を持ち、肺胞の結露を防ぎます。さらに肺胞の外側にマクロファージ/白血球などが付着し、異物の侵入を防いでいます。
<12.肝臓細胞>
・肝臓は胆汁の生成/タンパク質・脂質の代謝/有害物資の分解などを行い、1分間で1~1.8lの血液を処理します(※凄い量だな)。肝臓は「肝細胞」「伊東細胞」からなります。肝細胞は解毒酵素「シトクロムP450」を持ちます。これは様々な有害物質だけでなく、人間が新たに作り出した未知の有害物質も分解します。伊東細胞は肝細胞20個に対し1個あります。脂肪の液滴を持ち、そこにビタミンAを貯蔵します(※ビタミンAについても知らないといけない)。アルコール性肝障害では肝臓が線維化しますが、これは伊東細胞が繊維芽細胞に移行するためです。
<13.膵臓細胞>
・膵臓(すい臓)は消化と血糖値の調整を行っており、膵液を分泌する消化液分泌細胞(※膵房細胞?)とホルモンを作る生産・内分泌細胞かなります。十数個の膵房細胞で1つの腺房を形成します。タンパク質分解酵素/炭水化物分解酵素/脂質分解酵素などの前駆体(半完成品)を膵管に分泌します。これらの膵液は胃・小腸で分泌されたペプチド分解酵素により活性化します。
・「ランゲルハンス島」は膵臓に20~180万個あり(※個人差があるな)、A・B・Cの3種類の細胞からなります。A細胞/B細胞は血糖値を調節します。血糖値が低い時はA細胞がグルカゴンを分泌し、肝臓でのグリコーゲンの分解を促進します。血糖値が高い時はB細胞がインスリンを分泌し、全身のグルコースの消費を高めます。これにより肝臓/筋肉はグルコースをグリコーゲンに変換し蓄えます。※脾臓と肝臓は離れており経路が不明。膵液は十二指腸に分泌される。
<14.腎臓細胞>
・腎臓は重量120gの小さな臓器です。腎臓は皮質と髄質からなりますが、肝臓・膵臓と異なり、血管・尿管が張り巡らされています。髄質は十数個の錐体からなり、先端に膀胱に繋がる尿管があります。皮質に「糸球体」があり、血液をろ過します。(※以下大幅に簡略化)糸球体にはたこ足細胞があり、血液をろ過し尿を作ります。これにより腎臓は、有害物質・老廃物の排出/水分調節/血圧調節/赤血球生産の調節などを行っています。他に糸球体の立体構造を維持するメサンギウム細胞などがあります。
※皮質にある糸球体と髄質にある尿細管がセットでネフロンを形成し、それが腎臓1個に100万個あるみたい。
<15.副腎皮質、下垂体、甲状腺>
・「ホルモン」は血液に流され、各臓器で代謝調節/神経伝達/細胞分化などが行われます(※指令メールだな)。ホルモンは50種類以上が発見されていますが、全体像はつかめていません。ホルモンは「副腎皮質」で作られます。副腎皮質細胞は脂質の合成・分解を行う滑面小胞体と、脂質が詰まった脂肪滴が発達しています。ホルモンは滑面小胞体とミトコンドリアにより作られます。
・「下垂体」は頭蓋の中央、視床下部の下にあり、重さは0.6gしかありません。しかし重要なホルモンを分泌し、副腎皮質の調整も行っています(※下垂体が本社、副腎皮質が支社の関係かな)。下垂体は前葉/中葉/後葉に分かれます。前葉は、成長ホルモン/甲状腺刺激ホルモン/副腎皮質刺激ホルモン/卵胞刺激ホルモン/黄体形成ホルモンなどを分泌します。後葉は抗利尿ホルモン/オキシトシンなどを分泌します(※下垂体は大脳直下にあるので、ホルモンは大脳の影響を受けそうだが)。タンパク質系のホルモンを合成するため、粗面小胞体とゴルジ体が発達しています。
・「甲状腺」は気管の前面にある蝶型の臓器です。小さな袋の濾胞が集まっており、甲状腺ホルモンを作ります。※ホルモンについても、その内学習が必要かな。
<16.光を受ける細胞>
・目は角膜/レンズなどの光学系とスクリーンとなる網膜からなります。網膜には桿体細胞と錐体細胞があり、桿体細胞が明るさを感じ、錐体細胞は青・緑・赤を感じる3種類の細胞があります(※桿体は円筒形みたい)。網膜は光が入る方(ガラス体側)から、神経筋細胞-アマクリン細胞-双極ニューロン-水平細胞-視細胞(桿体細胞、錐体細胞)が連なっています。
・視細胞は細長い細胞で、ガラス体側から細胞体/内側部/外側部に分かれます(※各部の詳細は省略)。桿体細胞の外側部には3千万個のロドプシンが埋め込まれ、錐体細胞の外側部にはそれぞれ青オプシン・緑オプシン・赤オプシンが埋め込まれています。このオプシンの変化により電位差が生じ、脳に信号が伝わります(※詳細説明しているが省略)。
<17.音を受ける細胞>
・耳には蝸牛があり、その中を流れるリンパ液の振動で音を感じます。蝸牛の中にコルチ器があり、その中に有毛細胞が並んでいます。有毛細胞には絨毛の不動毛が生えており、リンパ液の振動で曲がります。これによりイオンチャネルが開閉し、脳に信号が伝わります。また有毛細胞には、内有毛細胞/外有毛細胞があります(※詳細省略)。
<18.臭いを感じる細胞>
・鼻の天井部分に嗅覚受容器細胞があります。視覚・聴覚ではそれぞれの細胞がイオンチャネルで電位差を起こし神経細胞に伝えますが、臭覚では神経細胞がむき出しになっています。嗅覚受容器細胞の毛の受容体が「臭い分子」をキャッチし、神経細胞が興奮します。受容体を作る遺伝子は300~400種類あります。しかし臭い分子は数十万種類あり、そのため受容体作成の仕上げ工程でバリエーションが行われています(※原理的にはその分識別できるのか)。
<19.味を感じる細胞>
・味覚も臭覚と似ており、味物質が口内の受容体と結合し、電位差が生じる事で味を感じます。味覚には、甘味・酸味・塩味・苦味があるとされていましたが、これに旨味が加わりました(基本味)。さらに脂味も提唱されています(※味も受容体の種類分あるなら、5つに分類するのは意味がない)。2種類以上の味物質が受容体と結合すると「感覚融合」を起こします。さらに臭覚/触覚/温度が加わり、美味しい/不味いなどを感じています(※目隠しして食べると、何を食べているのか分からないらしい)。
・基本味も細分化され、甘味は砂糖/アスパルテーム/サッカリン/ステビアなどから感じます。旨味もグルタミン酸(昆布)/イノシン酸(鰹節)/グアニル酸(椎茸)があります(※何れもみそ汁の出しだ)。
・人は舌に味物質の受容体があります。「乳頭」があり、その先端に「味蕾」が集中しています。味蕾は球状・楕円状で、支持細胞/味細胞/基底細胞からなります。中は味毛を持つ味細胞が詰まっています。味毛に味物質が結合するとイオンチャネルにより電位差が生じます。ただしこの仕組みは、甘味/苦味/旨味に限られます。塩味はナトリウムイオン、酸味は水素イオンでイオンチャネルが直接活性化されます。
<20.一般感覚を感じる細胞>
・これまで紹介した感覚は「特殊体性感覚」で、皮膚・関節で感じる感覚は「一般体性感覚」で、両方で「体性感覚」と呼ばれます。一般体性感覚には、触覚/痛覚/圧覚があります(※何れも圧力かな。別に温度を感じる感覚がありそう)。それぞれ受容体があり、触覚はメルケル盤/マイスネル小体/ルフィニ終末、痛覚は自由神経終末、圧覚はパチニ小体です。脳でこれらが組み合わさり、熱い/寒い/痛い/かゆいなどを判断しています。これらは圧力を機械的に感じるので、機械刺激受容体と言います。細胞膜が変形する事でイオンチャネルが活性化する様ですが、詳細は不明です。
<21.がん細胞>
・がんは発がん物質/紫外線などによる遺伝子の異常で発症します。普通は遺伝子で異常が起きても修復されたりするのですが、細胞の増殖に関わる遺伝子で異常が起こると、細胞の増殖が制御できなくなります。数ヵ所の異常であれば問題ないのですが、数十ヵ所になるとがん細胞になります。
・がん細胞は大量の酸素・栄養分を必要とします。そのためがん細胞近くに血管が作られます(血管新生)。この過程でがん細胞は様々な増殖因子を放出します。この増殖因子は血液・リンパ液を経て他の臓器に移動し、増殖を促します(※増殖因子については詳しくない。これを減少させる治療法がありそう)。がん細胞は正常の細胞と異なり、いびつな形状になります。ミトコンドリア/小胞体/ゴルジ体などが発達し、大きさは1.5倍位になります。
・遺伝子には、がん化を助けるがん遺伝子と抑制するがん抑制遺伝子があります(※「がん化を助ける」と言うより、「細胞分裂を促す」では)。がん細胞には染色体の末端の「テロメア」で異常が見られます。普通は細胞分裂の失敗でテロメアが短くなると、細胞分裂を止めます。しかしがん細胞はテロメラーゼが活性化され、テロメアを伸ばし、無限に細胞分裂します(※テロメラーゼの生成を抑制する治療法もありそうだ)。
・がんは上皮細胞がなりますが、「上皮-間葉移行」現象を起こしています(※間葉=非上皮細胞みたい)。普通、上皮細胞は移動しませんが、がん化すると自由に動き回ります。また近年、がん幹細胞が発見されました。腫瘍の1%ががん幹細胞の様です(※詳細省略)。
<持久走とミトコンドリアの関係>
・マラソンには持久力が必要です。持久力はミトコンドリアに依存し、ミトコンドリアを増やす事が重要になります(※骨格筋は大きくて、多数のミトコンドリアが含まれていたかな)。ミトコンドリアが大量のエネルギーを作ると、筋肉は疲れません。ミトコンドリアを増やすには、短時間・高負荷のトレーニングが適します。またミトコンドリアの増加はPGC-1αが制御しています。マウスの遺伝子を操作してこれを増強すると、スーパーマウスになります。
第4章 細胞の能力
<1.DNAの複製>
・細胞を増殖させたり、子孫を残すのにDNAは重要です。DNAは日々傷ついていますが、修復する機能があります。20世紀中頃、ジェームス・ワトソンとフランシス・クリックはDNAを螺旋状の2本鎖とし、ノーベル賞を受賞します。DNAが分裂し、それぞれに相補的な鎖が結合する事で、DNAが正確に複製されるとしたのです(細胞周期)。
・DNAは普段はほぐれた状態ですが、細胞分裂時はDNAはヒストンに巻き取られ、レプリコン単位で複製されます。※DNA複製の詳細を説明しているが省略。
<2.細胞の寿命>
・染色体の末端には「テロメア」が付着しています。テロメアは「TTAGGG」の6塩基が数百個繋がっています。DNAを複製するとこれが徐々に短くなり、最後は複製できなくなります。そうなると細胞は老化するだけになります。テロメアには染色体を保護する機能や、細胞分裂時に染色体を適切な位置に付着させる機能もあります。
・酵素「テロメラーゼ」はテロメアが短くなるのを防ぎます。生殖細胞が細胞分裂を繰り返せるのは、これによります。がんもこれによると考えられています。※上手く利用すれば、細胞を不死身にできる。
<3.タンパク質の合成>
・細胞内には、タンパク質/有機化合物/イオンなどが詰まっています。しかしDNAにはタンパク質の設計図しかありません。それは作ったタンパク質がそれらを作り出したり、取り込んだりするからです。
・タンパク質の生成は、まずはDNAが「RNA」に転写されます。RNAには、遺伝情報を伝える「メッセンジャーRNA」(mRNA)、タンパク質を合成するリボソームに含まれる「リボソーマルRNA」(rRNA)、アミノ酸の輸送に関する「トランスファーRNA」(tRNA)があります。DNAは重要なため核外に出さず、mRNAにコピーしてリボソームでタンパク質を合成します。
<4.酵素>
・細胞には膨大な種類のタンパク質があり、一部には触媒機能があります。これは「酵素」は呼ばれます。細胞内の化学変化の大半が酵素により、また消化酵素は細胞外で機能します。
・触媒機能は酵素の「基質特異性」によります。酵素は鍵穴を持ち、これに合致する基質が合体し、基質が化学反応を起こします(※結合反応の場合は、酵素に2種類の鍵穴があるのかな)。※アロステリック酵素についても説明しているが省略。
<5.幹細胞>
・「幹細胞」は自身を複製したり、別の種類の細胞を作成できます。新陳代謝により古い細胞が破棄され、新しい細胞が補充されています。これは血液細胞/小腸/皮膚などで盛んです。近年それが脳でも行われている事が確認されました。そのため体内各所に幹細胞があります。ただし様々な臓器細胞を作れる幹細胞もあれば、特定の臓器細胞しか作れない幹細胞もあります。
・究極の幹細胞が「受精卵」です。しかし細胞分裂が3回を超えると、万能性を失います。これはヒストンに変化が生じ、一部のDNAしか読み取れなくなるためです。また塩基がメチル化し、DNAとして使えなくなるためです。
<6.胚幹細胞(ES細胞)>
・「胚幹細胞」(ES細胞)は人工的に作られた幹細胞です。これによる再生医療が期待されます。ES細胞は受精卵から作成されます。受精卵は6~7回分裂するとボール状の胚盤胞になります。この外側は胎盤になり、内側は胎児になります。この内側(内部細胞塊)を培養し、ES細胞を作成します。
・人のES細胞は1998年に開発され、臨床試験が行われてきました。しかし他人の受精卵から作られるため、拒否反応があります。そのため受精卵の核を本人の核と交換した後、ES細胞を作る方法(クローンES細胞)が開発されましたが、人では成功していません。
<7.人工多能性幹細胞(iPS細胞)>
・ES細胞には拒否反応のリスクがあります。一方「人工多能性幹細胞」(iPS細胞)は本人の細胞から作られます。2007年山中伸弥教授により、人のiPS細胞が作られます。作成方法は、細胞増殖に関与する遺伝子を皮膚細胞などに組み込み、細胞を初期化します。これに薬品を加えると様々な細胞に変化します(※細胞の種類は薬品によって決まるのかな。その薬品も研究対象かな)。これによる再生医療も期待されます。
・iPS細胞には病気の原因になった遺伝子が含まれます。そのためこれから臓器細胞を作成し、治療薬や副作用の研究が可能です。※遺伝子が正常なら作成した臓器を移植できるが、遺伝子の異常による病気の場合は移植できないな。
<8.葉の大きさは細胞が決める>
・葉の数や大きさは細胞同士が話し合い決めています。葉の数が少ないと、細胞が大きくなり光合成の面積を増やします(補償作用)。葉の先端では細胞分裂が盛んですが、茎に近い部分の細胞は成長し肥大化します。分裂と成長が同時に行い、統一的にコントロールしています。細胞分裂を抑制する遺伝子に組み替えると、各細胞が大きくなり葉の面積を増やします(補償作用)。そのため細胞同士(※先端の細胞と茎に近い細胞)がコミュニケーションを取っていると考えられます。※他に葉の数を増やす、枝を伸ばすなどの対応もあり得るな。この辺りの話は、NHKのサイエンスZEROで見た気がする。
<9.花になるか枝になるか>
・先端の「成長点」が葉・枝・花になり植物は成長しますが、それを3つの遺伝子が協調して決めています(※これは分化かな)。細胞は日の長さや気温の推移などから開花時期を総合的に決めています。2009年この仕組みが判明し、遺伝子も特定されます。これにより枝振りや花の咲く場所を変え、農作物の収穫を増やせる様になりました。
<10.葉緑体の数や大きさ>
・葉緑体は元は光合成細菌でしたが、10~20億年前に植物に共生し、細胞内小器官になります(※正しくは寄生されて初めて植物になったのでは)。そのため葉緑体は独自に分裂しています。葉緑体はリングにより分裂されますが、そのリングは葉緑体が作るタンパク質と植物細胞が作るタンパク質からなります。藻類(※原核生物/真核生物の両方がいる)の細胞は、一定の葉緑体しか持ちません。一方植物細胞は細胞の種類毎に数や大きさが異なります。葉緑体の分裂を促進する遺伝子も判明しています。
<11.ストレス>
・細胞も化学物質/紫外線/電離放射線などのストレスを感じます(※圧力/温度などもあるのでは)。ストレスでDNAが損傷すると、細胞の機能に支障が生じます。頭部はストレスを受けやすく、メラニン色素を形成するメラニン細胞の色素幹細胞がストレスを受けると白髪になります。メラニン細胞は新陳代謝が活発で、常に供給する必要があります(※何を?)。そのため色素幹細胞が細胞分裂を繰り返し、メラニン色素に変化し補充しています(※メラニン細胞がメラニン色素を作っているのではなく、色素幹細胞がメラニン色素を作っているのか?)。白髪になるのはメラニン細胞が過剰になり、色素幹細胞が細胞分裂する余力が無くなり、減少した事によります。※肌の色なども色素幹細胞が作る色素に左右されるのかな。
<12.抗原の侵入>
・皮膚の表面に近い場所にはランゲルハンス細胞があり、抗原の侵入を検出します(※これもパウル・ランゲルハンスが発見した)。皮膚は表皮/真皮/皮下脂肪の三層ですが、表皮はさらに角層/顆粒層/有棘層/基底層になっています。角層は死んだ細胞で、生きた細胞を守っています。顆粒層は細胞間がタイトジャンクションになっており、抗原の侵入を防ぎます。
・アトピー性皮膚炎は角層の異常で、侵入した抗原に対する過剰な刺激反応/アレルギー反応です。角層が損傷すると有棘層にあるランゲルハンス細胞が活性化され、タイトジャンクションを突き抜け、侵入した抗原を検出し、免疫系が機能し始めます。
<13.神経細胞内のリレーラー>
・脳神経細胞でタンパク質は、レール上をダイニン/ネキシンにより輸送されます(※詳細省略)。レール上にポリグルタミン酸が付着していますが、これがないとネキシンは輸送する事ができません(※こちらも詳細省略)。
<14.アポトーシスとネクローシス>
・受精卵は細胞分裂の過程で多くの細胞が自主的に死にます。新陳代謝や昆虫の変態も同様です。これを「アポトーシス」と呼びます。アポトーシスが起きると細胞は断片化、周囲の細胞に飲み込まれます。ウイルスに感染した細胞を殺処分(アポトーシス)する機能があります。損傷などによる不本意の細胞死は「ネクローシス」と呼ばれます。ネクローシスでは細胞が破裂するため、周囲の細胞で炎症反応が起きます。
<血液中の糖分濃度の維持>
・肥満は余分な脂肪を大量に蓄えた状態です。肥満は健康に良くないのですが、人種によって許容度が異なります。脂肪は脂肪細胞が蓄えますが、幾らでも蓄えられるため、太っている人の細胞は痩せている人の20倍位になります。人には300億個の脂肪細胞があり、それが20倍になると思うとゾッとします(※人の細胞は60兆個で脂肪細胞は0.05%)。
・実は脂肪細胞は脂肪を直接蓄えているのではありません。血液中の糖分濃度が上昇するとインスリンが分泌されます。このインスリンに反応し、血液中のブドウ糖を中性脂肪として蓄えます(※ブドウ糖に限定されるのかな)。