『投資信託』風呂内亜矢(2017年)を読書。
新NISAが始まるので投資信託を勉強。投資信託の基礎を学べる。
基礎を抑えておく事は重要です。
少し古い本で、新NISAの説明はない。
右ページが図解で理解し易い。
お勧め度:☆☆(基礎的内容で初心者向け)
内容:☆
キーワード:<投資信託>72の法則、使う・守る・増やす、株式、債券、リスク、分散投資、アセットクラス、<手数料>登場人物、販売手数料、信託報酬、信託財産留保額、<利益>口数、基準価額、分配金、キャピタルゲイン/インカムゲイン、積立/スポット購入、<種類>オープン型/ユニット型、公社債投資信託/株式投資信託、MRF、アセットクラス、大型・中小型・一般、グロース株/バリュー株、ベビーファンド/ファミリーファンド/ファンド・オブ・ファンズ、<購入>総合課税/申告分離課税/申告不要、証券口座、NISA/確定拠出年金、つみたてNISA、<あれこれ>単利・複利、バランス型投資信託/リバランス、ターゲット・イヤー・ファンド、ファンドラップ、ETF、J-REIT、<少額から始める>ロボアドバイザー/AI、<購入しよう>手数料/基準価額/純資産総額、バランス・ファンド、ポートフォリオ、口座、購入・売却、確定申告
はじめに
・「投資信託」は少額で分散投資でき、資産運用の有力な選択肢です。その分株式・債券と比べ、仕組みが複雑です。本書では投資信託の運用の場である確定拠出型年金/NISA、投資信託の延長であるファンドラップ/ETF/REITについて説明します。
・長く働き続ける事、節約し支出を抑える事、そして資産運用が重要になります。お金を守る方法は、稼ぐ/節約/運用が基本です。
第1章 投資信託とは
○100万円を200万円にする
・100万円を200万円に倍増するのに何年掛かるでしょうか。これに「72の法則」(金利(%)×年数=72)です。例えば金利が3%だと、「3%×24年=72」で24年掛かります。普通預金の金利が0.001%だと、72000年掛かります。ただし普通預金は何時でも引き出せます。
○お金は、使う・守る・増やすで考える
・お金には、「使うお金」「守るお金」「増やすお金」があります。使うお金は、病気・転職などで急に必要になるお金です(※日頃の出費もあると思うが)。守るお金は、結婚・マイホームなど5~10年で必要になるお金です。増やすお金は、セカンドライフ資金など、10年を超えて必要になるお金です(※この分類は面白いな)。使うお金は流動性、守るお金は安全性、増やすお金は収益性が重要です。
○お金を増やすのは投資
・5~10年で必要になるお金は預貯金が適切です。10年を超えて必要になるお金は、収益性がある投資が望ましく、時間を掛けて資産を増やす「投資信託」はその選択肢です。
○投資信託の仕組み
・投資信託は様々な人からお金を集め、ファンドマネージャーが運用する金融商品です。日本には約6千本の投資信託があります(※選択に困る)。投資信託は株式・債券などの組み合わせで、それぞれ性格が異なります。それぞれ方針があり、「日本株に投資」「先進国株に投資」「成長企業に投資」などががあります。
○株式とは
・投資信託の代表に株式があります。株式は特定の会社に出資する金融商品です。業績が良いと配当金があり、株式の価格が上昇します。逆に業績が悪いと価格が下がります。また株主総会に出席したり、株主優待を受けられます。ただし投資信託だと、これらの権利はありません。
○債券とは
・投資信託に債券が組み込まれる場合もあります。債券は国・会社にお金を貸すもので、期日が来ると全額戻ってきます。貸している期間に利息がもらえます。債券はこの期間に売買できます。ただし投資信託では利息を受け取れません。※配当金も利息も受け取れないのか。
○株式・債券には購入単位がある
・株式・債券には購入単位があります。株価が500円でも、100株/1000株などの単元で購入します。債券は個人向け国債は1万円単位、社債は50万円単位などです。これはスーパーのお惣菜に似ており、ある程度の量でパックになっています。
○投資信託は少額でも買える
・投資信託は少額で購入できます。これはスーパーの弁当と似ており、様々なおかずが少しずつ入っています。投資信託は1万円から購入でき、積立であれば500円から購入できます。そのため「分散投資」ができます。
○利益もリスク
・資産運用での「リスク」は価格の変動幅(ボラティリティ)を言います。よってリスクが高いと、より多くの利益が期待できます。一般的に債券より株式の方がリスクが高くなります。ただし不安定な債券だとリスクは高くなります。
○投資信託はリスクを軽減できる
・投資信託は株式・債券などに分散投資するのでリスクは低くなり、初心者でも分散投資できます。
○リスクは金額でコントロールできる
・例えば1万円分しか購入しないと、最大でも1万円しか損をしません。この様にリスクは金額でコントロールできます。また100万円購入し損益が出ても、人によってその捉え方は変わります。
○金融商品の価格変動
・リスクには以下の6つがあります。※詳細省略。
価格変動リスク・・政治・経済の動向で価格が変わる。
金利リスク・・金利が変わった事で債券などの価格が変わる。
信用リスク・・投資先の財務状況や評価で価格が変わる。
為替変動リスク・・為替レートが変わった事で価格が変わる。
流動性リスク・・取引量が少なく、売却できない。
カントリー・リスク・・国の政治・災害・治安により価格が変わる。
○アセットクラス
・金融商品は大きく6つに分類されます(アセットクラス)。国内株式/国内債券/先進国株式/先進国債券/新興国株式/新興国債券です。これ以外に不動産/コモディティ(金、小麦など)などがあります。これらの割合を考える事を「アセット・アロケーション」と言います。
○投資信託の性質
・投資信託の性質はアセット・アロケーションで決まります。株式を含めない公社債投資信託は、緩やかな値動きになります。逆に株式だけだとリスクは高くなります。また日本株<先進国株<新興国株の順でリスクは高くなります。
第2章 投資信託の手数料や登場人物
○登場人物
・投資信託に登場する人物は、「売る人」「指示する人」「保管する人」です。投資信託を売る証券会社・銀行が「売る人」です。投資信託の運用方針を決めるファンドマネージャーがいる運用会社が「指示する人」です。投資家の投資信託を管理する信託銀行が「保管する人」です。ファンドマネージャーが信託銀行に運用を依頼するので、ファンドマネージャーが委託者、信託銀行が受託者になります。投資家は受益者になります。
※ファンドマネージャーは信託銀行にいると勘違いしていた。また投資家が委託者、信託銀行/ファンドマネージャーが受託者のイメージでいた。
q○売る人(販売会社)
・投資信託は販売会社(証券会社、銀行)が売っています。彼らは投資家にアドバイスしたり、取引システムを準備します。販売会社は売った時の「販売手数料」、保有期間に受け取る「信託報酬」の一部が収入になります。販売手数料が0円(ノーロード)の場合もあります。販売手数料は購入金額の0~3%が一般的です。
○指示する人(運用会社)
・投資信託の運用を指示する運用会社は、投資する会社の分析などを行っています。直販タイプ(独立系)の投資信託会社もあります。この場合、運用会社(※投資信託会社かな)から直接購入する事になります(※3つの役割を全て行う?)。
・運用会社も「信託報酬」の一部が収入になります。投資信託には指数にそって運用する「インデックス・ファンド」と運用会社が投資先を選定する「アクティブ・ファンド」があります。一般的に前者の信託報酬は低く、後者の信託報酬は高くなります。投資家が最もチェックすべきは信託報酬です。
○保管する人(信託銀行)
・信託銀行は運用方針を実行します。銀行とは異なり、投資家から預かった資産と自社の資産を区別して管理します(分別管理)。信託銀行も「信託報酬」の一部が収入ですが、信託報酬の大半は販売会社と運用会社に分配されます。※株式の配当金や債券の利息は誰が得るのか。
○証券会社が倒産したら
・証券会社が倒産しても、信託銀行が投資家の資産を保管しているので、資産は守られます。運用会社が倒産しても同様です。信託銀行が倒産しても分別管理されているので、資産は守られます(※面白い仕組みだ)。ただし運用で資産は増減するので、元本は保証されません。
○投資信託は預金保険制度の対象?
・銀行預金などは預金保険制度(ペイオフ)の対象です。投資信託はその必要がないので、対象ではありません。
○投資信託の手数料
・投資信託の手数料を購入する側から見ると、以下の3つになります。何れも%で示されます。信託報酬は特に重視すべきです。
買う時・・購入時手数料、販売手数料
保有期間・・信託報酬
売る時・・信託財産留保額
○買う時の手数料
・「購入時手数料」「販売手数料」は購入金額の0~3%です。0%(ノーロード)の場合もあります。同じ投資信託でも販売会社により手数料が変わります。「投信総合検索ライブラリー」などで確認できます。※SBI証券の「投資信託パワーサーチ」など、検索サイトは一杯ありそう。
○保有期間の手数料
・「信託報酬」の金額は「インデックス型」と「アクティブ型」で異なります(※インデックス・ファンド/アクティブ・ファンドと同じ意味かな)。後者は調査や売買が繰り返されるので、高くなります。インデックス型の場合0.5%前後、アクティブ型の場合1.5%前後です。
○売る時の手数料
・投資信託を売る時は、「信託財産留保額」が掛かります(※売却なのに留保?直ぐに売らないからかな)。額面の0.1~0.5%が一般的です。手数料は「目論見書」で確認できます。信託財産留保額が必要なのは、株式の売却などに手数料が必要になるからです。
○手数料で運用成績が変わる
・手数料は1%程度で微小に思えますが、運用成績に大きく影響します。100万円を30年間、年利3%で運用したとします。手数料が全く掛からない場合は236万円になりますが、購入時3%/保有期間0.5%/売却時0.5%の場合は197万円になります(※投資家が97万円、各社が39万円の取り分か。結構取られるな)。
第3章 投資信託による利益
○投資信託の目的
・お金に対し物の価値が上がるのがインフレです。投資信託などの資産運用で、持っている資産の目減りを防ぐ事ができます。
○投資信託の値段
・投資信託は口数で管理します。1口当たりの金額を基準価額と言います。Aさんが1万口(1万円)、Bさんが2万口(2万円)購入し、運用で3万円が6万円に増えたとします。そうなると基準価額=純資産総額(6万円)/総口数(3万口)=2万円になります(※2円と思うが)。
○基準価額は1日で1つ
・株式は日中に価格が変動します。しかし投資信託の基準価額は、1日で1つしかありません(普通は夕方に決まる)。※ブラインド方式を説明しているが省略。
○投資信託の分配金
・投資信託は株式の配当や債券の利息などを元本に加えて運用する事ができます。、一方これらを決算時に分配金として投資家に還元する投資信託もあります。この場合、分配金分基準価額が下がります。どちらかは投資信託で決まります。
・運用利益から支払われるのが「普通分配金」で、元本から払い戻されるのが「特別分配金」です。特別分配金は非課税ですが、普通分配金は約20%課税されます。ただしNISA口座だと非課税です。
○特別分配金はボーナスではない
・分配金には普通分配金と特別分配金があり、この両方が支払われる場合もあります。またこれらの額は運用成績で変わります。基準価額1万円で購入した投資信託が決算時に1万200円になったとします。ここで100円の分配金が支払われると、基準価額は1万100円に下がります。なおこの分配金は利益から支払われるため、普通分配金となります。次に基準価額1万円で購入した投資信託が決算時に1万100円になったとします。ここで200円の分配金が支払われると、半分は利益から、半分は元本から支払われるため、前者は普通分配金、後者は特別分配金になります。最近は、後者を元本払戻金と言っています。
○投資信託から得られる利益
・資産運用で得られる利益は、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」です。前者は売却益、後者は投資信託であれば分配金です。投資信託から得られる利益は、分配金(インカムゲイン)+(売却時の基準価額-購入時の基準価額)×口数(キャピタルゲイン)です。
○投資信託を売る時の値段
・追加購入した場合、購入額がならされます(個別元本)。分配金はこれを基に、普通分配金か元本払戻金(特別分配金)かが判断されます。また購入時に手数料を払った場合は個別元本に手数料が加算されます(取得単価)。売却時の損益計算は、売却時の基準単価と取得単価の差額になります(※売却時の手数料は考慮しない?)。
○初心者には投資信託の積立
・投資信託には毎月一定額購入する「積立」があります。この方法だと購入単価が平均化されます(ドル・コスト平均法)。毎月1万円購入する場合、基準価額が1万円の月は1口、基準価額が5千円の月は2口購入できます。結果的に取得単価が平均化されます。※安い時に多く購入できるので良いな。
○初心者に積立が無難な理由①
・基準価額が下がっている時に買い続けるのは不安ですし、基準価額が上がっている時には買い増したくなります。しかし積立だと、これらの感情を排除でき、取得単価を平均化できます。初心者には、リスクを小さくする積立が無難です。
○初心者に積立が無難な理由②
・資産運用は手段であって、目的ではないのです。エネルギーを注ぐべきは、家族との時間であったり、仲間との交流です。投資信託の値動きを日々チェックするのは大変です。
○積立が難しい時
・好きな時に購入するのが「スポット購入」です。ただし投資信託が割安かを見極めるのは容易ではありません。ただ日本株が中心の投資信託であれば、日本株が下がれば基準価額も下がります。積立が嫌なら、少額(5~10万円)でスポット購入を続け、投資経験を積む方法もあります。
第4章 投資信託の種類
○投資信託は何時でも買える訳ではない
・投資信託は何時でも買える訳ではなく、募集期間があるものがあります。ただし今は何時でも買える「オープン型投資信託」「追加型投資信託」が主流です。一方募集期間があるものは、「ユニット型投資信託」「単位型投資信託」と呼ばれます。
○債券のみの投資信託、株式を組み込める投資信託
・投資信託は大きく分けると、「公社債投資信託」「株式投資信託」になります。公社債投資信託は国債・社債などの債券に投資します。一方株式投資信託は株式に一切投資していない場合もあります(※要するに安定指向で、株式が確実に上がる場合に限り、株式に投資するのかな)。
○知らない内に投資信託を購入?
・証券口座を開設した時点で公社債投資信託を購入する場合があります。これは「マネー・リザーブ・ファンド」(MRF)と呼ばれる商品です。MRFは短期債券で運用される公社債投資信託で、安全性に問題はありません。証券口座を開設し入金すると、全額MRFに充てられます。ただし最近は提携している銀行の預金として管理する形式が増えています。
○その他の公社債投資信託
・公社債投資信託には「マネー・マネージメント・ファンド」(MMF)もあります。これも短期の債券で運用されます。2016年マイナス金利になり繰上償還・新規売止が相次ぎました。「外貨建てMMF」は証券口座の外貨預金と言えます。為替リスクがあります。「中期国債ファンド」は5年未満の国債で運用されます。
○投資信託の性質は名前で分かる
・公社債投資信託に株式は含まれませんが、株式投資信託には株式が含まれます。資産運用は後者が中心になります。投資信託には、オープン型/ユニット型、株式/債券、国内/海外、インデックス型/アクティブ型などの分類があり、これらの掛け合わせです。例えば、オープン型・日本株式・インデックス・ファンドと表現できます。
○運用成果はアセットクラスが重要
・投信信託のリスクは債券より株式、国内より先進国さらに新興国が高くなります。よってリスクは国内債券、国内株式、先進国債券、先進国株式、新興国債券、新興国株式の順で高くなります。海外資産は為替リスクを大きく受けます。投資信託の選択では、このアセットクラスの配分が重要になります。
○株式投資信託の大型・中小型・一般
・東京証券取引所は時価総額・流動性などから、株式を「大型」「中小型」「一般」に分けています。上位100社を大型、次の400社を中型、残りを小型としています(※大型は100社しかないんだ。一般はどんな分類なのか)。大型銘柄は分析データが豊富で、流動性は高くなります。投資信託では、大型銘柄が中心の場合は「大型」、中小型銘柄が中心の場合は「中小型」、特に限定しない場合は「一般」と分類しています。※東証の一般と投資信託の一般は同じ?
○成長に期待するか、割安感を取るか
・今後成長が期待される銘柄の株式をグロース株、割安と考えられる銘柄の株式をバリュー株と言い、これらに投資する手法をクロース投資/バリュー投資と言います。グロース株は株価収益率(PER)が高く、割高になっています(※それなのに投資するのか。テスラなどかな)。バリュー株は株価純資産倍率(PBR)が1を切り、割安になっています。投資信託の商品名にクロース/バリューなどの単語が含まれる場合があります。
○投資信託の投資形態
・個人投資家は投資信託(ベビーファンド)を選んで投資します。このベビーファンドをまとめて運用するのが「ファミリーファンド」です。これにより低コストで運用できます。これに対し1つの投資信託に複数社の投資信託を組み込む投資形態を「ファンド・オブ・ファンズ」と言います。この場合分散投資できますが、信託報酬が2重に掛かります。※図解あり。後者はイメージできるが、前者はイメージできない。
○投資信託協会の分類
・投資信託協会も様々な商品特性で分類しています。商品分類表には、単位型/追加型、対象地域(国内、海外、内外)、対象資産(株式、債券、不動産投信、その他資産、資産複合)、独立区分(MMF、MRF、ETF)、補足分類(インデックス型、特殊型)があります。属性区分表には、決算の頻度、対象地域の細分、ファミリーファンド/ファンド・オブ・ファンズなどがあります。
第5章 投資信託を購入する場所
○税金の計算方法
・年収1千万円未満の人は「総合課税」が有利です。所得税は累進課税で最低税率が5%なので、所得税率が15%より低くなる場合があります。住民税が10%で高くなりますが(他の計算方法は5%)、所得税・住民税の配当控除が使えます(※配当控除に含まれるのは配当だけ?キャピタルゲインは常に課税?)。
・総合課税以外に、申告分離課税/申告不要があります。両者は他の所得と合算せず、所定の税率を適用します。また配当控除も受けられません。申告不要の場合、口座毎に損益計算され課税されます(※申告分離課税も所得を合算しないとあるが)。
○手数料をチェック
・個人投資家はネット証券で購入する事になるでしょう。販売手数料は上限が設定されており、証券会社でマチマチです。安い証券会社で購入するのが良いでしょう(※信託報酬がより重要かな)。また株式にも投資したい方は、その手数料も重要です。
○証券口座
・証券口座には、「一般口座」「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」があります。最も手軽なのが特定口座(源泉徴収あり)で、申告不要で計算します。次に手軽なのが特定口座(源泉徴収なし)です。証券会社から送られて来る年間取引報告書を基に確定申告し、申告分離課税/総合課税で計算します。大変なのが一般口座です。
○利益が20万円以下は確定申告が不要?
・特定口座(源泉徴収あり)は確定申告が不要ですが、一般口座/特定口座(源泉徴収なし)は必要です。確定申告は損得を合算するので、税金が安くなります。また損失を翌年に繰り越せます。
・会社員で年間利益が20万円以下であれば、確定申告は不要です。特定口座(源泉徴収あり)以外であれば所得税は掛かりません(住民税は掛かる)。しかし煩雑なので、特定口座(源泉徴収あり)が無難です。
○NISA/確定拠出年金は税制優遇がある
・NISA/確定拠出年金は税制優遇の口座で、投資信託を購入できます(※確定拠出型年金が正式名かな)。運用成果はアセット・アロケーション(資産配分)が大きく影響します。NISA/確定拠出年金などができ、資産の置き場(アセット・ロケーション)が重要になってきました(※ポートフォリオかな)。まずはNISA/確定拠出年金を利用し、それ以上の運用をしたい場合に一般口座/特定口座を利用しましょう。
○120万円まで非課税(NISA)
・「NISA」の正式名は「小額投資非課税制度」で、120万円まで非課税になります。投資信託の売買/分配金などの利益は普通は約20%課税されますが、NISA口座だと非課税です。ただし別の口座で損が出ても合算されません。NISA口座は1人1口座だけで、年で変える事ができます。
○拠出額が所得控除される(確定拠出年金)
・「確定拠出年金」は私的年金の制度で、企業型と個人型があります。企業型は企業が対応していないと利用できません。個人型は「iDeCo」で注目されています。例えば年額24万円拠出(積立)ると、24万円×(5%(所得税)+10%(所得税))=3.6万円が減税されます。ただし60歳までは拠出したお金を引き出せません。また年間約2千円の手数料が掛かります。
○つみたてNISA
・「つみたてNISA」は年間40万円を20年間非課税で運用できます。これは長期投資に適した口座です。対象商品は金融庁が決めており、20年以上の運用が可能、信託報酬が低いなどが条件になっています。
○NISA/つみたてNISA/確定拠出年金
・定拠出年金はセカンドライフの資金を作るのに適しています。60歳まで引き出せないので、まずはNISA/つみたてNISAで慣れる事が考えられます。しかし長期投資が望ましいので、早くから確定拠出年金を始めるのが良いでしょう。
○まずは口座を準備
・まずは口座を準備します。そうしておけば、株式が下がった時にスポットで買い足せます。NISA口座は年毎に変更できますが、確定拠出年金の口座は変更すると手数料が掛かるので、よく考えて準備しましょう。投資信託は積立が望ましいのですが、それが負担の人は資金を得た時に購入しても良いでしょう。
第6章 投資信託のあれこれ
○投資信託は複利でない
・年利3%の商品に100万円を投資し、200万円になる年数は、「単利」だと33年ですが、「複利」だと23年です。投資信託は複利などではなく、分配金も基準価額も増減します。そのため利益は次の投資の原資に充てるべきです。
○人気商品=良い商品ではない
・人気商品に「毎月分配型」の投資信託があります。これは家計には嬉しいですが、運用としては望ましくないです。利益が出ても受け取らず、運用に回すべきです。
○ランキングには裏がある
・毎月分配型投資信託はつみたてNISAの対象になりませんでした。そのため2017年上半期、初めて資金流出になりました。また売れている投資信託を購入する人がいますが、これが良い投資信託とは限りません。ウェブサイトに「投信ブロガーが選ぶ!Fond of the Year」があります。多くの投資家が支持する投資信託が載っているので、参考になります。
○投資信託の組み合わせ
・投資信託は飲食店のセットメニューと違って、セットにすると高くなります。国内の株式と債券、先進国の株式と債券をそれぞれ25%ずつ投資する場合、自分で4つ別々に投資した方が手数料が安くなります。しかし初心者が4つのアセットクラスに分散投資し、リバランスするのは大変です。そこでお勧めなのが「バランス型投資信託」ですが、手数料は高くなります。
○リバランス
・バランス型投資信託の場合、自動的に「リバランス」が行われます。自分で購入した場合、当初は意図した割合にしていても、次第に崩れます。この場合、1年毎に投資額を調整すると良いでしょう。このリバランスは大切です。
○年齢による相性
・年齢が若いと、投資で損失が出てもリカバリする期間が十分あります。そのため若い人は高リスク商品の選択が可能です。例えば若い時は国内株式50&/先進国株式40%/新興国株式10%とし、年齢が増すと国内株式50&/国内債券50&とバランスを変えるのです。私(※著者)は独立してからは現金を増やしています。この様に自分の置かれている状況を考えて資産配分しましょう(※ポートフォリオかな)。
○ターゲット・イヤー・ファンド
・自分で定期的にリバランスしたり、年齢・状況に合わせ配分変更(リアロケーション)するのは大変です。手数料が安ければ、バランス型投資信託も選択肢です。最近は特定の年を運用の終着点にする「ターゲット・イヤー・ファンド」があります。この場合、目標年に近付くと、株式の割合が減る事があります(※著者はバランス型投資信託の否定派だな)。
○ファンドラップ
・「ラップ口座」は資産分配を代理で行ってくれるサービスです。この場合、ヒアリングを行い、運用を任せます。ラップ口座は、数千万~数億円の富裕層向けです。これに対し、数百万円から利用できるのが「ファンドラップ」です。頼りになる商品ですが、手数料は時価評価額の2%前後と高くなります。自分で国内・国外/株式・債券のアロケーションができるなら、自分でやりましょう。
○ETF
・投資信託の基準価額は1日1つです。一方「上場投資信託」(ETF)は株式市場に上場されているため、刻々と基準価額が変わります。ETFの購入時の手数料は株式と同じです。信託報酬は投資信託より低いため、まとめて購入し、長期保有する運用が考えられます(※信託報酬はいるのか)。
○J-REIT
・不動産に投資すると何千万円も必要になりそうですが、「不動産投資信託」(J-REIT)だと少額で複数の不動産に分散投資できます。得られた家賃・売却益が投資家に還元されます。これは「不動産投資法人」に投資しています。投資する物件の選定は運用会社、物件の管理は信託銀行に委託しています。株主総会と似た投資主総会があります。価格も刻々と変わります。利益の大半が投資家に還元されるため、分配金の利回りは高くなります。
第7章 投資信託は手軽に始められる
○投資信託は100円からできる
・投資信託は100円からでき、始め易くなりました。またリスクが高い商品の組み込みや、リバランスもやり易くなりました。
○ロボアドバイザー
・「ロボアドバイザー」には診断と購入の機能があります。診断は、自分に最適なポートフォリオを提案してくれます。この提案を基に購入します。投資一任契約で購入をロボアドバイザーに任せるラップ型もあります(※完全に任せるのか。当然同意は必要だろうな)。診断までは無料が多いですが、購入手数料は高くなります。
○AIでAIに投資?
・ロボアドバイザーはAIを活用しています。またAIが運用する投資信託や、AI関連銘柄に投資する投資信託もあります。AIが運用する投資信託は、経済ニュース/リサーチレポート/ウェブ解析などの膨大なデータをAIが解析しています。AI関連企業に投資する投資信託などは「テーマ型投資信託」と呼ばれます。これは浮き沈みがあるので長期投資には向きません(※半導体とかもありそう)。
○おつり投資
・買い物のおつりを投資する「おつり投資」アプリがあります。1ヶ月間で貯まったおつりを集計し、ETFに投資します。手数料は高めで、注意が必要です。他におつりをNISA口座に入金するアプリもあります。
○ポイントで購入
・クレジットカードのポイントやキャッシュバックで投資信託を購入できるサービスがあります。これらが原資なので、取り組み易くなっています。大手ECサイトの共通ポイントで投資信託を購入できます。この様に投資信託は身近になっています。
第8章 投資信託を買おう
○運用口座や商品をチャートで検討
・余剰資金などによって投資できる金額が変わります。セカンドライフが近い人は確定拠出年金が有利ですが、若い人はNISA口座が有利でしょう。運用方針を決めるチャートを作ったので、参考にして下さい(※右ページにチャートあり)。
○3つの切り口
・投資信託を選ぶ上で最も重要なのが「手数料」です。信託報酬が一般的に高いアクティブ・ファンドは、株式が下がっているのに基準価額が上がっている場合があります(※これは次の切り口では)。
・「基準価額」の推移も重要です。インデックス・ファンドであれば、日経平均/TOPIXと同期していたら問題ないでしょう(※同期しない場合がある?)。アクティブ・ファンドであれば、株式が下がっていても基準価額が上がっていれば優秀な商品です。
・「純資産総額」も重要です。純資産総額が下がり続けていると、運用できなくなる恐れがあります。
○作りたい金額から投資額を決めない
・6ヶ月分の生活費を預貯金で確保し、余剰のお金を投資したら良いでしょう。60歳までに2千万円を貯める目標を立てたとします。毎月3.4万円を年利3%で30年間運用すると達成できます。しかし投資は予定通りに増えないので、この考え方は止めた方が良いです。まずは長く働く事が重要です。
○毎月2千円で日経平均株価を購入していたら
・過去の推移や仮定の年利は参考になりませんが、毎月2千円で年利3%で15年間運用すると支出36万円に対し、総額は42万円になります。同じ条件で15年間(2002年9月~2017年8月)日経平均に投資していたら(信託報酬は0.3%)、58万円になっています。ただし元本割れする期間もあります。
○アロケーションの考え方①
・貯金が150万円未満の人は毎月100~3千円、300万円未満の人は毎月3千~5千円の積立が妥当です。低コストで分散投資できる「iFree8資産バランス(信託報酬0.25%)」などが選択肢になります。しかしバランス・ファンドに投資するより、アセットクラス個別に投資した方が手数料は安くなります。またバランス・ファンドだと、自分が望まないアセットクラスにも投資されます。例えば上記商品は、国内・先進国・新興国×株式・債券+国内・海外リートの8アセットクラスに投資します。
○アロケーションの考え方②
・上記商品は信託報酬が安く分散投資できるので、魅力的な商品です。しかし国内債券は利回りが低いので含めなくて良いと思います。また海外への投資は為替リスクがあるので、株式だけで良いと思います。割合は国内株式インデックス・ファンド:先進国株式インデックス・ファンド=2:1が妥当でしょう。
○アロケーションの考え方③
・日本株式インデックス・ファンドと先進国株式インデックス・ファンドで手数料が安く、純資産総額が多い信託投資を選んでみました。「ニッセイTOPIXインデックス・ファンド(信託報酬0.19%)」「ニッセイ外国株式インデックス・ファンド(信託報酬0.22%)」です。前者を2千円、後者を1千円購入すると、信託報酬は0.2%になります。これは「iFree8資産バランス」の信託報酬0.25%より安くなり、しかもアセットクラスの配分を自分で決められます。積立で説明してきましたが、ETFのスポット購入だともっと自由度が高まります。
○ポートフォリオを作る
・これまでは毎月3千円の積立を考えてきました。しかし年数が経つと考え方が変わるかもしれません。資産に余裕ができ、リスクを取る事もあるでしょう。例えば、国内株式ファンドに2千円/先進国株式ファンドに1千円/新興国株式ファンドに500円などが考えられます。逆にセカンドライフが近くなり、リスクを落としたい場合は、国内株式ファンドに1千円/国内債券に2千円などが考えられます。
○購入窓口
・購入窓口には、証券会社/インターネット証券/銀行などがあります。特定の銀行・証券会社でないと購入できない投資信託もあります。直販系の投資信託は、その会社の口座でしか購入できません。最も便利なのがインターネット証券です。窓口ならアドバイスを受けれますが、担当者は売上の責務を負っています。銀行だと証券会社より手数料が高くなり、扱う商品も少なくなります。
○インターネット証券での口座開設
・インターネット証券の口座開設はインターネットでできます。住所・氏名・銀行口座などを入力すると、数日後に書類が届きます(※詳細省略)。
○本人確認資料の郵送
・書類が届くと、届出印の押印や本人確認資料などを同封し返信します。1週間程度で証券口座のID/初期パスワードが送られてきます。購入に備え、証券口座に入金しましょう。
○購入・売却
・積立の場合は残高不足にならないようにしましょう。また購入時に特定口座かNISA口座かを指定します。購入した投資信託は少なくとも3ヶ月に1度はチェックしましょう。ETFはスマホのアプリで毎日でもチェックしましょう。長期投資でも基準価額が大幅に上がっていると、一部を売却しても良いでしょう。
○積立の申込は1回、スポットは都度
・積立の申込は1回だけです。申込時に特定口座かNISA口座かを指定します。翌月以降、自動的に買い付けられます。
・スポット購入は、その都度行います。株式相場が下がった時に、株式の投資信託を購入すると良いでしょう。ETFは株式と同様に購入の度に手数料が掛かるため、積立に不向きです。ただし売買手数料が無料の場合もあり、スポット購入で買い足す方法も考えられます。
○売却
・資産運用に「買いは算術、売りは芸術」の言葉があります。これは「買いは数値分析で判断できるが、売りは芸術の様に難しい」の意味です。これは株式には当て嵌まりますが、投資信託には当て嵌まりません。投資信託に感性を必要とする瞬発的な売買は必要ありません。投資信託では基準価額が充分上がった時、一部を売却し、利益確定すれば良いでしょう。
・どうしてもお金が必要になった時は売却しても仕方ないでしょう。これは投資にお金を掛け過ぎていたためかもしれません。出費する可能性があるお金は、預貯金に貯えておきましょう。投資信託は長期投資が基本です。
○確定申告
・投資信託で損失が出ても、他の商品と損益通算されます。特定口座(源泉徴収あり)であれば、確定申告は必要ありません。他の口座と損益通算したい場合や、損失を翌年以降に繰り越したい場合は確定申告が必要です。
・投資信託などで合計20万円を超える利益が出た場合は確定申告が必要です。特定口座(源泉徴収あり)だと、申告不要も選択できます(※申告不要が標準では?)。確定申告では副業などで得た所得も合計されます。確定申告は、2月16日~3月15日に提出します。