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『これだけ! 電気回路』常深信彦を読書。

身近な電気ですが、知らない事が多いので選択。

入門書なので幅広く基本的な事を説明している。
図表・写真が多く使われ、理解し易い。

後半は精査されていない感じ。

お勧め度:☆☆
内容:☆☆

キーワード:<電気回路>電源、直流/交流、電池、負荷、配線、<簡単な電気回路>直列回路、並列回路、LED懐中電灯、<身近な電気回路>引込線/引込口配線、分電盤/遮断器、コンセント、スイッチ、コード、<電化製品>エアコン/インバータ、電気掃除機、電磁調理器、洗濯機、電子レンジ、<部品と記号>電気用図記号、抵抗器、コンデンサ、コイル、スイッチ、電気回路図、<直流>直流電源、直流送電、コンデンサ、<交流>交流電源、交流送電、交流機器、<規格・規制>安全規格、IEC規格、UL規格、CEマーク、CCCマーク、<法則>静電誘導/電磁誘導、直流/交流、オームの法則、右ねじの法則、右ねじの法則、ボルタの電池堆、ジュールの法則、電磁誘導の法則、直流送電/交流送電、フレミングの法則、クーロンの法則、ガウスの法則、マクスウェルの方程式、電磁波

第0章 電気回路

○回路
・回路は英語でサーキット(circuit)です。カーレースのコースもサーキットです。空気を循環させるのは、サーキュレータです。循環バスはサーキュレーションバスです。スマホのアンテナは送受信で共用しています。この部品もサーキュレータです。職場や町内会で情報を共有する回覧板はサーキュラです。※色々あるな。

○電気回路
・電気回路は、電気を供給する「電源」、電気を運ぶ「配線」、電気で仕事する「負荷」で構成されます。「大規模な電気回路」は発電所が電源で、需要家が負荷になります(第6章で解説)。「中規模な電気回路」は需要家が受電し、コンセントまでの配線、電気設備の配線、電子装置の配線、電化製品の配線などです(※強電と弱電が混ざっている気がする)。「小規模な電気回路」はプリント基板のパターン配線、集積回路パッケージ内のリードフレーム/ボンディング線です(※よく分からないが、知らなくても良いか)。「微細な電気回路」はチップ内のメタル配線です(※これも同様)。

○電源
・電源には、一定方向に電気を流す「直流」(DC)と、方向を一定間隔で変える「交流」(AC)があります。直流電源の代表が「電池」で、1次電池/2次電池があります。交流を直流に変えるACアダプターも直流電源です。交流電源の代表が「商用電源」です。他に「交流発電機」があります。

・直流電源で充電できないのが乾電池(1次電池)で、マンガン乾電池/アルカリ乾電池/リチウム1次電池などです。2次電池は乾電池と似た物や、車に遣われる鉛電池、EVの電池ユニットなどがあります。
・交流電源の代表が商用電源です。商用電源が使えない場合、エンジンで発電機を回し発電するのが可搬式交流電源です。また直流電源を交流電源に変えるのが「DCアダプタ」、交流電源を直流電源に変えるのが「ACアダプタ」です。

○負荷
・電動アシスト自転車には充電池が付きます。負荷はトルクセンサで制御するコントローラによるモータです。電気自動車はモータ/ライト/エンジンコントロールユニットなどが負荷になります。これらをハーネスで配線します(※パソコンも電源から様々なケーブルが伸びている)。
・一般家庭には、照明器具/エアコン/テレビ/熱器具などの負荷があります。「分電盤」には、電力会社と契約した容量の「アンペアブレーカ」が付けられます。これは容量で色が異なります。さらに分電盤に複数の配線用遮断器が付けられます。

・電力会社は需要家に電力を供給する義務があります。そのためピーク時に供給できるように発電所の運転計画を立てます(※詳細省略)。

○配線
・住宅では電柱から商用電源が引かれます。電力計を経て、サービスブレーカ(※=アンペアブレーカ)が接続されます。さらに安全ブレーカ(配線用遮断器)から、各部屋の照明/コンセント/エアコンなどにケーブルが配線されます。コンセントからプラグ付コードで電化製品を接続します。届かない時は、テーブルタップ/コードリール/延長コードを使用します。

・車では鉛電池からコントローラを経て、ヘッドランプ/ブレーキランプ/ワイパー駆動モータ/パワーウィンドウ用モータ/室内灯などがハーネスで接続されます。※コントローラの先にハーネスが付くかな。コントローラにより負荷に適した電気が作られる気がする。

第1章 簡単な電気回路

○電圧・電流・負荷の関係
・電圧の単位はボルト(V)、電流の単位はアンペア(A)、負荷の単位はオーム(Ω)です。1Aは、1秒間に陰電子が6.241×10¹⁸個(1クーロン)流れます。1Vは2点間を1クーロンの電流が流れ、1ジュール(J)の仕事をし、1ワット(W)の電力が消費されます。1Vで1Aの電気が流れた時の抵抗が1Ωです。

・電線には陰電子が充満しています。この両端に電圧を加えると、電子は陰極(-)から陽極(+)に流れます。一方電流は逆方向に流れます。負荷に1つの電池と2つの電池(直列)を繋いだ場合、電流は電圧に比例するため、後者は電流が2倍流れます。これは人の循環器系と似ています(※詳細省略)。

○直列回路
・負荷を直列に繋げると、負荷は加算されます。従って電流I=電圧E/(抵抗R₁+抵抗R₂)です。電源を直列に繋げると、電圧は加算されます。従って電流I=(電圧E₁+電圧E₂)/抵抗Rです。イルミネーションライトに、コントローラと多数のLEDが直列接続しています。

○並列回路
・電源を並列接続すると、電圧は最も低い電圧に近くなります(※逆流の恐れがあるかな)。負荷を並列接続すると、抵抗は最も低い抵抗より小さくなります(※逆数の和だな)。同じ電圧Eの電源を並列接続すると電圧はEになり、流れる電流I=電圧E/負荷Rで、流せる電流の総量は増えます。負荷を並列接続すると、各負荷に別々の電流が流れ(電流I₁=電圧E/抵抗R₁、電流I₂=電圧E/抵抗R₂)、電流I=電流I₁+電流I₂となります。コンセントの差し込み口を増やすコンセントタップ/テーブルタップは並列接になります。

○LED懐中電灯
・光源の多くにLED(発光ダイオード)が使われます。一定の電流を流すため、抵抗や定電流ダイオードを直列に繋げます。電気回路は、電池2個/LEDユニット/スイッチを直列に繋げます。
・スイッチにはプッシュスイッチ/オルタネートスイッチ/スライドスイッチ/ナイフスイッチなどがあります。

○発電式LED懐中電灯
・発電方式には、小型発電機式/太陽電池式/シェイク発電式などがあります。シェイク発電式では、コイルを巻いた円筒の中を円柱磁石が通過すると、コイルに誘導電流が流れます。この交流を直流に変換し、電気2重層コンデンサに充電します(※小容量がコンデンサ、大容量がキャパシタみたい)。

・スピーカも同様の原理を利用します。円柱磁石を覆う円筒コイルに音響信号を流し、コイルと繋がったコーンを振動させ、音声を発生させます。ハードディスクのヘッドもこの原理を利用し、磁気ディスクを読み書きします(※これは知らなかった)。

第2章 身近な電気回路

○引込線と引込口配線
・電柱から住宅までが引込線で、そこから分電盤までが引込口配線です。引込口配線の途中に電力量計(※=電力計?)が設置されます。引込線にはCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル。※絶縁がポリエチレン、シースがビニル)やSVケーブル(絶縁シース銅ケーブル。※絶縁もシースもビニル)が使われます。2相交流は2芯、3相交流は3芯です(※一般家庭は単相交流では。実は単相交流について知りたかった)。
・引込線の末端(引込線取付点)で引込口配線と接続します。引込線取付点が電力会社と顧客の分界点です。引込線取付点から分電盤までが引込口配線です。中間に電力量計が設置されます。※CVケーブルを解説しているが省略。

○分電盤と遮断器

・電力会社と契約した容量を超えると遮断するのが「アンペアブレーカ」「契約ブレーカ」です。漏電が発生した時に遮断するのが「漏電ブレーカ」です。分岐先の電化製品などが使用量を超えると遮断するのが「安全ブレーカ」です。

・日本配線システム工業会がスタンダード住宅用分電盤と高機能住宅用分電盤の認証を行っています。「住宅用エネルギー管理システム」(HEMS)を導入している住宅にはHEMS対応住宅用分電盤が設置されます(※HEMS対応住宅の構成図あり)。

○コンセント
・「壁面埋め込みコンセント」にも種類があります(※写真あり)。「照明器具用コンセント」の引掛けシーリングには丸形と角形があります。「ライティングダクト」は照明器具の位置を自由に変えれます。屋外は「防水コンセント」が設置されます。差込口の数を増やすのが「プラグインマルチタップ」です。電力使用量が多いエアコン/オーブンレンジなどは、独自の単相100V/単相200Vのコンセントがあります。
・コンセントから負荷まではコードが使われます。日本ではコンセントですが、外国では、エレクトリック・アウトレット/パワーソケット/パワーコネクタです。

○スイッチ配線
・「壁面スイッチ」は照明器具/換気扇に使われます。コードの中間にあるのが「中間スイッチ」です。負荷に内蔵されるスイッチに、「ハードスイッチ」「ソフトスイッチ」があります。リモコンで操作するのはソフトスイッチです。
・接点が金属なのが「金属接点スイッチ」で、スイッチング素子を利用するのが「半導体スイッチ」です。街路灯・防犯灯は明るさで切り替える「照度スイッチ」です。温度を感知して切り替えるのが「サーモスタットスイッチ」です。階段などに「3路スイッチ」が使われます。

○コード
・コンセントから負荷(電化製品、情報機器など)まではコードが必要で、絶縁電線/ケーブルなどが使われます。コードを壁・床に固定してはいけません(※何故だ)。コードには「プラグ付コード」「テーブルタップ」「コードリール」がります。

第3章 電化製品

○エアコン
・エアコンは冷媒(クーラント)を室内機と室外機で循環させ、冷房・暖房をします。冷房と暖房で冷媒は逆に流れます(※図あり)。かつては冷媒にフロンが使われましたが、今は家庭用はHFC-401A、業務用はHFC-407Cが使われます。
※フロンはフルオロカーボンの事。これに塩素が含まれるとクロロフルオロカーボン(CFC)、水素が含まれるとハイドロフルオロカーボン(HFC)、塩素と水素が含まれるとハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)。なのでHFC(ハイドロフルオロカーボン)もフロンの一種みたい。
・室外機には冷気・暖気を排気するプロペラファンが付きます(※図は冷却ファン)。室内機には冷気・暖気を送り出すラインフローファンが付きます(※図はシロッコファン)。室内機のシロッコファン、室外機のコンプレッサと冷却ファンのモータはインバータ制御されます。インバータは交流をコンバータ回路で直流に変換し、さらにインバータ回路で交流に変換します。

○電気掃除機
・電気掃除機にはフィルター式とサイクロン式があります。「フィルター式掃除機」はゴミを吸引し、フィルターを通して排気します。高速回転する「交流整流子モータ」を使います。交流整流子モータは始動トルクが強く、高速回転が可能です。ただしカーボンブラッシュ(※ブラシ)が回転子の整流子に接し、摩耗します。
・「サイクロン式掃除機」はサイクロン(風の渦)を作り、遠心力でゴミを吸引します。ゴミは透明の容器に落下します。他に「ロボット式掃除機」があります。

○電磁調理器
・電磁調理器はIH(Induction Hearter、電磁誘導ヒータ)と表されます。プレート下の電磁誘導コイルには20~30kHzの高周波電流を供給し、鍋底に渦電流が発生させ加熱します。電磁調理器は抵抗の大きい鉄鍋しか使えなかったが、最近は制御回路によりアルミ鍋・銅鍋が使える物もある。また電熱ヒータを備え、土鍋などが使える物もある(※IHの図あり)。
・IH炊飯器は、釜の蓋・外周・底に電磁誘導コイルを配置し、釜に渦電流を発生させ加熱します。IH方式も電熱ヒータ式も外観は変わりません。

○洗濯機
・洗濯機は洗濯・脱水・乾燥をします。乾燥には電熱ヒータ式・ヒートポンプ式・強風式がある。「自動洗濯機」はドラムを回しますが、縦型と横型があります。横型は洗濯物を落下させる「たたき洗い」をするので、ドラム一杯に詰められません。乾燥で「ヒートポンプ」を採用する物もあります。湿った空気を熱交換器で除湿し、水を排出します。除湿した空気を熱交換器で加熱し、ドラムに送ります。これはエアコンと同じ原理で、洗濯室のエアコンとして使える洗濯機もあります。


○電子レンジ
・電子レンジは、マグネトロンのアンテナから放射する「マイクロ波」(2.45GHz)で水分子を振動させ加熱します。ターンテーブルで食品を回転させる物、アンテナを回転させる物があります。マグネトロンは二極管で、陰極はフィラメントから熱電子を放出し、陽極はマグネットに挟まれた共振器になっています(※図あり。よく分からないが、これでマイクロ波が発生するみたい)。

第4章 部品と記号

○電気用図記号
・「電気用図記号」には新旧2種類の規格(JIS C0301、JIS C0617)あります。現場では旧規格も使われているので、両方覚える必要があります(※主な記号の表あり)。新規格は13部で構成されます(※13部の表あり)。

○抵抗器
・抵抗器には「固定抵抗器」「可変抵抗器」があります。可変抵抗器は音量調節などの可動式と、微調整する半固定式があります。抵抗値の単位はオーム(Ω)です。抵抗器は実装面では、面実装タイプ/リード端子タイプがあります。材料面では、金属系/炭素系があります。

○コンデンサ
・コンデンサは電荷を蓄える素子です。蓄え終わると電流は流れません。コンデンサには極性のないセラミックコンデンサ/マイラサコンデンサと、極性のある電解コンデンサ/電気二重層コンデンサがあります。さらに容量を変化できる可変コンデンサ(バリコン)と容量を微調整できる半固定コンデンサがあります。容量値の単位はファラド(F)です。※どのタイミングで放電するのか。また内部の仕組みも不明だな。
・コンデンサは交流を直流にする平滑回路で有極コンデンサが使われます。また2次電池は微小な放充電をすると容量が減少します(メモリー効果)。大容量の電気二重層コンデンサ(キャパシタ)にその欠点はありません。

v○コイル
・コイルは電磁エネルギーを蓄える素子です(※電磁エネルギーだけでなく、光・熱も発生させるかな)。コイルには、中空のコイル、フェライトなどの磁芯があるコイル、磁芯が可変のコイル、トランス、可変相互インダクタンスなどがあります。コイルの単位はヘンリ(H)です。
・特定の周波数だけを流すのが同調回路で、コイルとコンデンサが使われます。交流回路にコイルを直列接続すると高い周波数を通さなくなり、ノイズの侵入を防げます(電源フィルター)。1次・2次コイルを巻いた変圧器で電圧を変えます(電源トランス)。

○スイッチ
・スイッチは、通常開放状態なのがa接点、通常接続状態なのがb接点、接点を2つ持つのがc接点です。またスイッチは「金属接点スイッチ」「半導体接点スイッチ」に分けられます。前者にトグルスイッチ/マイクロスイッチ/バイメタルスイッチ/リードスイッチ/電磁開閉器があります。

○その他
・電源/接地/電気部品/電気計器/半導体素子/電気設備も図記号があります(※主な物の表あり)。

○電気回路図
・回路図は電源を左、負荷を右に配置します。極性のある物は、正しく配置します。部品番号などは図記号の左に記入します。

・ランプにはLED/豆電球があり、最近はLEDが主流です。豆電球にはビリケン球(P)/探見球(G)/ニップル球(N)/ミニチュア球(M)などがあります。
・LEDは極性があるため、アノード(A)を+側、カソード(K)を-側に配置します。LEDは発光色によって電流-電圧特性が異なります。例えば赤色LEDを10mAで発光させるには1.9Vが必要です。電源が3Vの場合、1.1Vを消費する抵抗(110Ω)を直列接続します。同様に青色LEDは3.2V必要で、電源を4.5Vにして、1.3Vを消費する抵抗(130Ω)を直列接続します(※詳細省略)。

第5章 直流の電気回路

○直流電源
・様々なエネルギーを電気エネルギーに変換でき、その逆も可能です。運動エネルギーを電気エネルギーに変換するのが発電機です。化学エネルギーを電気エネルギーに変換するのが化学電池です。これには1次電池/2次電池があります。水素と酸素の化学反応エネルギーを電気エネルギーに変換するのが燃料電池です。光エネルギーを電気エネルギーに変換するのが太陽電池です。熱エネルギーを電気エネルギーに変換するのが火力発電/熱発電素子です(※前者はタービンを回すので、直接は運動エネルギーかな)。圧力変化エネルギーを電気エネルギーに変換するのが圧電素子です。

・「直流発電機」の動力は、ガソリンエンジン/水力/火力/原子力/風力/人力などです。ガソリンエンジン直流発電機には交流出力を備える物もあります。
・充電できない「1次電池」には、マンガン電池/アルカリ電池/ポリマー電池/水銀電池などがあります。充電できる「2次電池」には、ニカド電池/ニッケル水素電池/リチウムイオン電池/小型シール鉛畜電池/乗用車用鉛電池などがあります(※鉛電池=鉛畜電池かな)。2次電池には高電圧・高容量にするためモジュール化した箱型の物もあります。鉛畜電池には水補給が不要なシール型と必要な非シール型があります。
・「電気自動車用電池」は、高電圧(数100V)/大電流出力(数十A)です。リチウムイオン電池は低電圧なのでセルを直列接続しモジュールにし、これを複数組み合わせ、パックにします。
・「燃料電池」は水素ガスを使用しますが、水素ステーションが少ないのが難点です。スマホなどに充電する小容量出力、災害時などの中容量出力、バス/トラックなどの大容量出力が検討されています。
・ACアダプタや電子機器内のスイッチング電源は交流100Vを直流に変換します。2次電池からの出力をインバータで交流に変換する蓄電システムがあります。駅の自動改札口に発電マットが敷かれている場合があります(※これは気付かなかった)。

○直流送電
・1878年3月25日工部大学でアーク灯50個が(※初期の1次電池)で灯されます。これが日本で最初の点灯で、この日が電気記念日になっています。1882年エジソンがロンドン/ニューヨークで直流送電するビジネスを始めます。1887年東京の発電所5ヵ所で直流送電を始めます。しかし直流は長い距離を送電できないため、交流に替わっていきます。1895年浅草発電所に265kWの交流発電機が設置され、大規模な集中発電・遠距離送電が始まります。

・サイリスタ素子(※説明なし。半導体のシリコン制御整流子かな)を使った交直変換装置により、長距離・大電力送電/海底ケーブル送電で直流送電が行われています。

 海底ケーブル送電・・本州(上北変換所)-北海道(函館変換所)、本州(紀北変換所)-四国(阿南変換所)
 周波数の異なる系統の連係・・佐久間周波数変換所、新信濃変電所、東清水変電所 ※東日本大震災で増強されたかな。
 交流ループの不安定解消・・南福光連係所

・日本の電車は、新幹線とJRの交流区間以外は直流です。饋(き)電方式には(※饋電は電車に電力を供給する事)、パンタグラフを利用する「架空方式」と専用軌道を利用する「第3軌条式」などがあります。電圧は600~1500Vです。

○コンデンサの特性
・コンデンサの「充電特性」と「放電特性」は正反対になります。コンデンサに電圧を掛けると、「時定数」(τ)が経過すると電圧は63.2%になり、2τ経過すると86.5%になり、3τ経過すると95%と、徐々に高くなります。充電したコンデンサを回路に接続すると、放電特性で放電します。時定数(τ)が経過すると電圧は36.8%になり、2τ経過すると13.5%になり、3τ経過すると5%と、徐々に0Vになります。

第6章 交流

○交流電源
・交流発電機が出力する電圧波形は正弦波になります。水力発電は水車、火力発電は蒸気タービンで発電機を回します。バイクでは交流発電機がエンジンに直結しています。自転車のハブにも交流発電機が付いています。非常用交流発電設備などには、ガソリンエンジンと交流発電機が設置されています。浄水場などにはマイクロ(小)水力発電機が設置されています。夜間電力で揚水池に水を汲み上げ、昼間に放水し発電する揚水発電もあります。


○交流送電
・1896年東京電燈がドイツ製の交流発電機(50Hz)を導入し、同年大阪電灯が米国製の交流発電機(60Hz)を導入します。そのため富士川の東西で周波数が異なります。※日清戦争後か。明治前半と思っていた。
・発電所で発電された交流電流は、超高圧送電線(27.5万~50万V)で需要地に送られます。段階的に減圧され、電柱の柱変圧器で3相6600Vが単相100~200Vに減圧され住宅に引き込まれます。

・新幹線はAI(オートトランス)饋電方式が採用されています。架線(トロリー線)とAT饋線に単相交流(5万V)が供給されます。車両は2.5万Vの交流を受電し、主変圧器で減圧し、主変換器を経て、VVVFインバータで制御される電動機で走行します。※AT饋電方式の図あり。
・近年、「非接触電力伝送」の利用が増えています。電動歯ブラシ/コードレス電話などで非接触電力伝送が利用されています。受電コイルと送電コイルの相互インダクタンスによる電磁誘導作用を利用します。電気自動車では受電コイルと送電コイルの距離が取れる磁界共鳴作用が利用されます(※これは電磁誘導でないのかな)。

○交流機器
・「変圧器」(トランス)には柱上トランス/スライダック/電源トランス/出力トランスなどがあります。新幹線や電気自動車は、直流を交流に変換するインバータで制御される「交流電動機」を使います。ハードディスクのヘッドは、ボイスコイルの原理を利用した「ボイスコイルモータ」が使われています。「ダイナミックスピーカ」は、増幅した信号でボイスコイルとコーンを振動させ、大きな音を発生させます。「ダイナミックマイクロホン」は音声が振動板とムービングコイルを振動させ、磁気変動で発生した電気信号を出力します。レコード盤には溝が刻まれ、これを電気信号に変換するのが「ピックアップカートリッジ」のピックアップコイルです。「エレキギター」のスチール弦の下にピックアップコイルがあり、スチール弦の振動を電気信号に変換します。

第7章 規格・規制のマーク

○日本の安全規格 ※規格が重要なのに、マークが主役なのは変。
・「PSEマーク」は、「電気用品安全法」により全ての民生電気製品/電気材料に付けられます。「円形PSEマーク」は、危険度が低い一般家電製品/電気器具/電気工事材料に付けられます。「菱形PSEマーク」は、危険度が高く、厳重に審査される特定電気用品に付けられます。電気用品安全法を補完し、第三者認証機関が認証するのが「Sマーク」です(※詳細省略)。
・「電波法令適合マーク」は、電波法令の基準を満たす携帯電話/無線機器などに付けられます。これらの製品は免許がなくても使用できます。
・「VCCIマーク」は「情報処理装置等電波障害自主規制協議会」(VCCI)が認定するマークです。電磁波障害に関する不要輻射(EMI)規制基準をクリアすると付けれます。EMIに関する規制基準は国で異なり、米国はFCC、欧州はCEが策定しています。

○IEC規格と国際認証
・「国際電気標準化会議」(IEC)は電気技術の標準化を行っています。これに電子/磁気・電磁気/電気音響/電気通信/エネルギー生成・分布なども含まれます(※詳細省略)。IECに82ヵ国が加盟し、国際認証(CB)スキームを実施しています。IEC規格適合の「IECマーク」とIEC国際認証の「IECEEマーク」があります(※前者は製品に付けられ、後者は認証機関に付けられるのかな)。欧州ではIEC規格の元に欧州規格(EN規格)があり、さらに各国の規格があります。

○UL規格
・UL(Underwriters Laboratories Inc.)規格に適合した製品に「ULマーク」が付けられます。米国ではこの様に民間団体が基準を策定しています。しかしUL規格の多くは米国規格協会(ANSI)の国家規格になっています。UL規格に法的強制力はないが、国・州政府/販売業者・保険業者から信頼されています(※デファクト・スタンダードかな)。
・カナダでは、カナダ規格審議会(SCC)が試験機関・認証機関を認めています。ULはSCCから試験機関・認証機関として認められており、規格に適合した製品に「c-ULマーク」を付けています。

○CEマーキング
・EUの法令(EU指令)に適合する製品に「CEマーク」が付けられます。EU指令には、機械指令/低電圧指令/EMC指令があります。欧州経済領域(EEA)に属する国とトルコ/スイスでは、CEマークが必要です。EEAには31ヵ国が加盟しています(※国名省略)。※EN規格との関係は不明。

○CCCマーク
・2004年中国で「中国強制認証制度」(CCC規格)が導入され、大分類20/151種目に分類されています。中国に製品を輸出する場合、この審査が必要です。

○その他の安全認証マーク
・オーストラリア/ニュージーランドには「RCMマーク」、フィリピンには「NTCマーク」、南アフリカには「ICASAマーク」、韓国には「KCCマーク」、台湾には「BSMIマーク」「NCCマーク」があります。ロシアには「GOSTマーク」がありましたが、ベラルーシ/カザフスタンなどを含めた5ヵ国の「EACマーク」に移行中です(※EACマークを詳述しているが省略)。

第8章 法則

○電気回路の種類と法則
・ジョージア州立大学は物理学の基礎を学べるサイト「ハイパーフィジックス」(Hyperphysics)を提供しています。その体系図とURLを示します(※省略)。

・導体配線によらず、静電誘導/電磁誘導を利用した電気回路もあります。例えば被塗装物と塗料を帯電させ塗装すると、しっかり吸着します。あるいは電気自動車に電磁誘導を利用し、非接触で充電する「非接触給電システム」もあります。

・定常的な直流電気回路は、「理想的なコンデンサに電流は流れず、抵抗は無限大になる」「理想的なインダクタンスに無限大の電流が流れ、抵抗はゼロになる」です。スイッチを入れた過渡的な直流電気回路では、「コンデンサには急速に内部抵抗で決まる充電電流が流れる」「インダクタには徐々に内部抵抗で決まる値まで電流が流れる」です。※多くでインダクタンスが使われているが、過渡的ではインダクタが使われている。これは意図的なのか?
・交流回路では、コンデンサ/インダクタンスの抵抗は周波数で決まり、インピーダンスで表現します。コンデンサ/インダクタンスに印加すると、電圧波形と電流波形でズレが生じます。これを位相の進みと遅れで表現します。※交流は複雑だな。

○オームの法則
・「オームの法則」は電圧E、電流I、抵抗Rの関係です。1826年オームは熱電対の実験より、「導体を流れる熱電流は導体の太さに比例し、導体の長さに反比例する」と結論します(※熱電対/熱電流は知らなかった。どんな仕組みなのか)。三角形の頂点に電圧E、底辺に電流I/抵抗Rを配置する「オームの三角形」があります(※詳細省略)。1821年ゼーベックは熱電対で電位差が変化すると磁針が振れる事を発見します(※これは電磁誘導かな)。

○アンペールとアンペア
・1920年アンペールは平行する電線に同じ方向に電流を流すと引き合い、反対方向に流すと反発する事を発見します。また電流を流すと右回りの磁界が発生する事を発見し、アカデミーに発表します(右ねじの法則)。この7日前にエルステッドが発見していましたが、アンペールの発見になります。電流が増えると磁界も強まります。コイルは同じ方向を向いているため、磁界は強まります。

○ヴォルタとボルト
・1800年ヴォルタは銅板と亜鉛板の間に食塩水などを沁み込ませた布を挟み、それを積み重ねた「ボルタの電池堆」を作ります。銅板が+極、亜鉛板が-極になります。電極に二酸化鉛板と亜鉛板、電解質に希硫酸を使用するのが「鉛蓄電池」です。

○ジュールの法則
・ジュールは重量m/長さhの仕事量mghを測定します(※gは重力?)。重量物の落下で水中の羽根を回し、温度上昇を測定します。同様に水中の電線に電流を流し、温度上昇を測定し、関係を見出しました。この実験から、電力P=電圧E×電流I、電力量Wh=電力P×時間tとします。この法則が「ジュールの法則」で、発生する熱が「ジュール熱」です。IH調理器では鍋に渦電流が流れ、ジュール熱が発生します。アルミ鍋は発熱しません。

○ファラデーと電磁誘導の法則
・1831年ファラデーは「磁束の変化にマイナスを付けたのが、回路の起電力になる」(電磁誘導の法則)を発見します。また「1次コイルに電流を流すと、2次コイルに瞬間的に電流が流れる」(相互誘導)を発見します。「磁束φ=磁束密度B×コイル面積S=透磁率μ×磁界H×コイル面積S」「電力V=-巻き数N×d磁束φ/d時間t」です。1833年レンツは「磁界の変化による起電力は、磁力線の変化に比例し、電流はそれを妨げる方向に流れる」(レンツの法則)を発見します。

○エジソンとテスラ
・1879年エジソンは白熱電灯を製作します。1880年直流発電機を発明し、直流送電事業を始めます。その後直流送電と交流送電が論争になります。テスラが交流発電機を発明し、ロスが少ない高圧送電が可能な交流送電が優位になります。最近はインバータ素子により高圧の直流送電が可能です(※前述のサイリスタ素子とは別物かな)。

○フレミングの法則
・1885年フレミングはロンドン大学の最初の電気工学教授になります。この時学生が「フレミングの左手の法則」を考案します。その後彼は「二極管」を発明したり、エジソンの会社などのコンサルタントになり貢献します。「フレミングの左手の法則」は電動機のコイルが受ける力の向きを示し、「フレミングの右手の法則」は発電機でコイルに発生する電流の向きを示します。また1901年マルコーニと協力し、英国-カナダ間の無線通信に成功します。

○クーロンの法則とガウスの定理
・クーロンは「電荷を帯びた物体の吸引力・反発力Fは、電荷の積に比例し、距離の2乗に反比例する」(クーロンの法則)を確立します。
・ガウスは数学者・天文学者・物理学者で近代数学に大きな影響を与えています。ガウスの法則には「電場の法則」「磁場の法則」があります。1835年「電場の発散Dは電荷密度ρに等しい(∇・D=ρ)」(電場の法則)と、「磁場はループ状に繋がるため、磁場の発散Bは0(∇・B=0)」(磁場の法則)を発見します(※∇・はベクトル場の発散を表す)。

○マクスウェルの予言
・マクスウェルは「ガウスの法則」「ファラデーの法則」「アンペールの法則」を4つの式に纏めます。D:電束密度、ρ電荷密度、B:磁束密度、E:電場の強度、H:磁場の強度、J:電流密度。
 ①電気力線が示す電場は、電荷から放射状に広がる(電場の法則)・・∇・D=ρV
 ②磁力線が示す磁場は、ループ状で湧点がない(磁場の法則)・・∇・B=D ※Dではなく0では?
 ③磁場が変化すると、電場が生まれる(ファラデーの法則)・・∇×E=∂B/∂t ※∇×はベクトル場の回転を表す。
 ④電流・電場が変化すると、磁場が生まれる(アンペール・マクスウェルの法則)・・∇×H=∂D/∂t+J
・1864年これらの法則から、光の一種の「電磁波」を予測します。法則④は、アンペールの式に電流とは別の「変位電流」(∂D/∂t)を加えます。

・1887年ヘルツは高圧発生誘導コイル回路の2本の棒の間で火花で起こし、別の部屋で同時に火花が起きる事を確認します。これにより電磁波が実証されます。