『行政書士になるには』三田達治を読書。
行政書士になるつもりはないが、行政書士/司法書士について知りたかった。
第1章は、実際に行政書士をしている人の話。
第2章は、行政書士の概要を解説。
第3章は、開業の方法を解説。
行政書士の仕事は複雑な社会に合わせ、多岐にわたる。
社会の仕組みを、より深く知る事ができた。
お勧め度:☆☆(読みやすい)
内容:☆☆(概要を理解できた)
キーワード:<ドキュメント>国際業務、在留資格、帰化、建設業、法人化、法律改正、医療・福祉業務、交通事故、貨物運送業、特殊車両、<行政書士の世界>書類、代書人、弁護士/司法書士/税理士/社会保険労務士、国際業務/会社設立/建設業許可/自動車登録・運送事業許可/廃棄物処理業許可/医療法人設立/風俗営業許可/記帳・会計・財務諸表/農地・土地利用、相続、風俗営業、個人経営、研修会・講演会、収入、成年後見/遺言・相続/交通事故損害賠償/民泊/空き家、<行政書士になる>独立心/コミュニケーション能力、責任感・正義感、行政書士試験、行政書士会、開業
はじめに
・行政書士は弁護士/税理士と同じく「士業」で、依頼を受けて官公署に提出する書類を作成します。しかし書類を作成するだけでなく、アドバイスなどもしています。例えば建設会社を設立したいのであれば、どんな業種の許可を取るのか依頼者と相談し、法律を説明し、申請に必要な書類を準備します。1回切りではなく、その後の展開なども考えてアドバイスします。
第1章 行政手続きのプロフェッショナル
1.1 国際業務で活躍・・関谷佐奈恵
○研修を受けて国際業務を開始
・行政書士の仕事に、国際業務・海外業務・渉外業務があります。これは外国人や国を跨ぐ仕事の手伝いです。日本で外国人が仕事や勉強するには「在留資格」が必要です。申請書類一式を揃えるのは大変で、それを手伝います。※詳細省略。
○人の役に立つ喜び
・2012年私は行政書士になりましたが、それまでは翻訳・通訳をしていました。シンガポールで結婚し、夫の帰任で帰国しました。その後行政書士の資格を取り、直ぐに開業しました。
○中国人留学生の就職
・日本の学校で勉強し、日本の会社に就職する2人の中国人がいました。その会社から依頼を受けたのです。会社はイベント用のグッズを販売する会社で、その製造を中国に委託していました。1人はIT、1人は経理・経営を学んでいました。申請には、会社の経営状態や従業員の経歴などが必要です。2人の学業が優秀だったので、留学から就労に変更でき、在留資格を得られました。
○滞在・結婚・永住の3度の手助け
・あるスリランカ人が自国の大学を出て、1年間の「滞在資格」で来日し、日本の企業に就職しました。彼が「滞在資格」を毎年更新する必要があったのは、以前住んでいた場所で住民税を滞納していたからです。そのため住民税を払ってもらい、理由書を付けて申請しました。その後彼は日本人と結婚し、ビザを「日本人の配偶者等」に変更します。ビザには「活動系」「身分系」があります。活動系の在留資格は仕事・勉強がベースです。身分系は日本人と結婚したり、日本人の子孫の場合です。※これは知らなかった。ただ前提として、ビザは海外の日本大使館・領事館が発給し、在留資格は国内の法務省が発給する。
・彼はその後「永住者」の資格も申請します。これには10年以上の在住、経済的安定などが条件になります。日本に長く住む人には永住者を選択する人と、帰化し日本国籍に変更する人がいます。
○帰化申請は書類の厚さが30Cmに
・帰化はスポーツ選手をイメージしますが、実際は一般の方が多くいます。会社員であれば良いが、自営業や個人事業者などは多くの書類が必要になります。アジア人女性が日本人男性と結婚し、帰化を申請した事があります。この時は帰化の動機/在留歴/勤務状況/納税証明/親族の情報などが必要でした。
○不正を見抜く
・国際業務をしていると、偽装結婚などでの怪しい依頼もあります。日本人の配偶者なら就労制限がないため、結婚が真実かが厳しく審査されます。そのため夫婦の年齢差が著しい時などは、お断りします。
○やりがい
・深く印象に残る仕事があります。アジア人の方で、就労ビザで来日し、定年後も日本で家族で暮らしたいと希望されます。子供達は日本で育ったため、日本語しか話せません。活動系の在留資格のため、働かなくなると資格を失います。しかも彼は大使館職員で「公用」として在留したため住民票がなく、必要な書類が揃えられません。そこで子供達に手紙を書いてもらい、申請書に添付しました。そのためか8ヵ月後に、許可を得ました。
○生活や人生のサポート
・申請が実らなかった事もあります。在留資格の申請は個人情報が厳しく審査されます。審査官の裁量権が大きいと言えます。また年末から3月は学生が就労ビザに変える時期で、審査に日数が掛かります。数ヵ月後に申請が通らないとがっかりします。
1.2 建設業分野で活躍・・佐藤義雄
○依頼者の夢を実現
・建設業者は住宅・学校・橋・道路などを建設し、国土交通大臣/都道府県知事の許可が必要です。建設業も建築工事業/土木工事業/電気工事業/塗装工事業/内装仕上工事業など、29の業種に分かれます。3つの業種をやるなら、3つの申請が必要です。
・依頼者Iさんは下請工事をやっていましたが、人数も増え、元請業者として法人化したいと依頼して来ました。最初は期待で溢れていますが、大量の書類を作成し、厳しい審査を受ける必要があります。
○話し合いながら書類を作成
・建設業は「経営業務の管理責任者がいる」「専任技術者が営業所にいる」「請負契約に誠実性がある」「財産的基礎がある」「失格要件に該当しない」が要件です。彼は個人として要件を満たしていましたが、法人化のために一旦廃業すると、法人化が許可されるまで仕事が受けられません。この間の対処を、相談して決めました。
○顧客と喜びを共有
・法人化の許可は得られました。次は「入札業者」の申請です。入札は、発注者に対し入札者が見積もりを提出し、受注を争うシステムです。この申請は国・都道府県の「経営事項審査」を受ける必要があり、財務内容/完成工事高などの客観的事項で審査されます。これに加え発注者となる各自治体に入札参加資格認定申請をする必要があります。こちらは自治体が客観的に査定します。認定されると等級(4つの区分ABCD。自治体による)が付けられます。A等級だと大規模な工事に入札できます。彼も無事認定されましたが、受注は簡単ではありません。初めて落札した時、彼から連絡がありました。
○申請期日の管理
・建設業者は届出・更新申請を定期的に行います。財務諸表/受注履歴を毎年提出し、建設業の許可/入札資格の認定も定期的に更新します。会社に余裕があれば問題ないのですが、これらの管理も引き受けています。
○飛び込みも断らない
・ある時「2日後に申請が切れるんです」と相談がありました。しかもお付き合いのない方です。お話しすると、決算の報告も6年以上怠っており、これも提出しなければいけません。結局100枚を超える書類を、ほぼ2日間徹夜で作成しました。なぜ彼が私に依頼したかと言うと、彼のお父さんと私が、以前名刺交換していたからです。
○大事な事は会って話す
・懇意にしている顧客とは頻繁に会って話をします。法律改正があると、詳しく説明します。最近では建設業に解体工事が追加されました(※正しくは分割かな)。顧客からの質問に迅速・的確に答えるため、会社の状況を把握し、法律についても正確に知っておく必要があります。
○経理に明るいと便利
・私の事務所は父の代から建設業一本です。行政書士になる前は信用金庫に勤めていました。大学時代は流通業界が希望でしたが、募集がなく、金融機関を選びました。そこで営業・融資を担当しましたが、役に立っています。お客との会話も上手くなり、決算書も読める様になりました。
○父と同じ選択
・自分で専門的な仕事をしたくなり、信用金庫で働きながら勉強し、行政書士の試験を受けました。3度目で合格し、退職し、父の事務所で勤めています。
1.3 医療・福祉分野で活躍・・笹森浩史
○医療法人の申請業務
・私の主な業務は医療関係の許認可です。最初の依頼は旧知の内装工事会社でした。この会社が駅前のビルのオーナーになり、その全フロアにクリニックを開業する事になったのです。個人クリニックの開業の申請はそれ程難しくありませんでした(※詳細省略)。他のクリニックの開業申請も行い、さらにその後の相談も受ける様になります。例えば「薬を売りたいので、薬局の開業申請をして欲しい」「個人経営から法人経営に変えたい」などです。
○医療コンサルタントも
・クリニックの法人化は都道府県知事に申請します。人物・物・金を証明する書類が必要です(※詳細省略)。問題があると相談し、解決策を提案します。そのため医療法人の申請は、公認会計士/医療コンサルタントがする事が多くなっています。
○医院へのアドバイス
・以前、美容整形外科の開業申請の依頼を受けました。美容整形外科は自由診療が大半のため特殊です。料金が高くなるため、これを患者に理解してもらうため、誓約書を作りました。この時の法人化は上手く行きましたが、週に2・3度は病院に行きました。役所はアドバイスしてくれないので、行政書士がアドバイスしなくてはいけません。
○福祉施設の申請業務
・最近増えているのが「放課後等デイサービス」の開設申請です。これは児童福祉法が根拠で、障碍児などを支援・指導します。開設には児童発達支援管理者がいる事などが条件になります。
○家族の交通事故が針路を決めた
・中学生の時、母が交通事故を起こし、子供にケガをさせたのです(※詳細省略)。これが切っ掛けで大学は法学部に進み、弁護士を目指しました。卒業後に司法書士事務所に就職しますが、そこで行政書士を勧められ、試験に合格します。所長に独立を勧められ、独立しました。原点である交通事故案件もあります。最初に惹き受けたのは、車に轢かれた犬の損害賠償請求でした。
○成年後見、見守り
・私に依頼が来るのは「行政書士だから」ではなく、「相談すれば、何とかしてくれるから」と思っています。そんな思いから「成年後見」の仕事もやっています。多くの行政書士がこれを引き受けています。判断力が弱まる前が「見守り」です。この場合は定期的に会い、生活を支援します。
○時代で新しい仕事が増える
・行政書士をやっていると、出会いが多くなります。行政書士は転職者が多いので、行政書士会の交流会・勉強会には様々な人がいます。そこで多くの事を教えてもらえます。以前いた事務所の所長にもお世話になりました。社会は凄まじい勢いで変化しており、民泊施設の開設申請/空き家の所有者調査などの業務が発生しています。
○地元の人の役に立ちたい
・行政書士の仕事で唯一辛いのは、忙し過ぎる事です。忙しい時は徹夜になります。息抜きは野球観戦です。横浜DeNAのファンで、応援に行っています。
1.4 運輸業分野で活躍・・中島弘太郎
○父の行政書士事務所を継承
・陸運局の近くには行政書士事務所があります。これは自動車の新規登録・変更登録を行っているからです。私の事務所も川崎市の陸運局の正面にあり、自動車関連の業務を行っています。私は父の仕事を手伝ったり、バイク・車が好きで、行政書士の試験に合格しました。今は自動車登録だけでなく、貨物自動車運送事業の許可/営業所・車庫の新設/特殊車両の通行許可など幅広くやっています。
○運送業に特化
・運送業は人を運ぶバス/タクシーをイメージしますが、私は物を運ぶ貨物運送事業許可の申請を主に行っています。この事業をするには最低5台の車両が必要です。営業所/駐車場/運行管理者/整備管理者も当初の運転資金も必要です。大概は経験者で実務に問題ないのですが、車両5台を集めるのに苦労します。そんな時は中古車販売会社・リース会社を紹介します。事業許可の申請は支局に行い、許可されると緑ナンバーがもらえます。
○同じ専門の仲間と情報交換
・貨物運送業は「貨物自動車運送事業法」に基づきます。トラック事故などがあり、度々変更されます。2019年には、参入規制の厳格化/許可基準の明確化/順守義務の新設などが行われました。度々変更されるので、行政書士の仲間で定期的に勉強会を開き、情報交換しています。
○法令試験に臨む依頼者への説明
・勉強会では法令試験を常にやっています。これは安全管理のため常勤役員が必ず受けなくてはいけません。許認可でペーパー試験があるのは稀です。問題は30問、試験時間は50分です。当日、法令条文集が貸与されますが、簡単ではありません。この対策を勉強会でやっています(※詳細省略)。
○顧問行政書士の役割
・運送事業許可の申請をした業者からは、その後も依頼を受けます。毎年、事業報告書/運送実績報告書を提出しなければいけません。顧客の半数と顧問的な行政書士契約をしています。これらの業者からは法令遵守関連の依頼が多くなっています。この診断をしますが、申請忘れがあったりします。頻繁に法改正されるので、こちらが率先してチェックする必要があります。
○特殊車両の運行ルート
・全国に自動車関連業務の行政書士がいますが、関東は運送業者が多く、ホットエリアです。また特殊車両も多く走っています。ガソリン・LPガスを運ぶのも特殊車両です。特殊車両は通行できない箇所があり、特殊車両通行許可を申請する必要があります。私の事務所は、これを多く受注しています。
○特殊車両の通行許可申請
・国道246号線は特殊車両が深夜などに通ります(※詳細省略)。特殊車両通行許可は国道であれば国、県道であれば県に申請します。しかも期間は1~2年のため、私の事務所では毎日の様にこの仕事をやっています(※新幹線なども運んでいるみたいだな。以前山中の国道で、前に巨大なトレーラーがいて、約束した時間に遅れた)。私は車好きで、運行ルートの検討は至福の時間です。
○スケジュールの自己管理
・行政書士は仕事のスケジュールを自分で決めれます。私は午前は車庫証明申請で警察署を回ります。これに申請書/承諾書/地図/配置図などが必要で、許認可申請の基本です(※郵送は不可かな)。午後は、千葉・埼玉・茨城などの他県を回ります。休日はドライブやツーリングをします。車仲間と温泉に行ったりします。車仲間に行政書士もいて、共に学び、遊んでいます。
第2章 行政書士の世界
2.1 行政書士とは
○目的に沿った書類を作る
・行政書士の仕事は、官公署(国・自治体、警察署、保健所など)に提出する書類(届出書、申請書など)の作成です。書類の目的は、許認可、免許の取得などです。「許可」は一般に禁止されている行為を特定の人に解除する事です。「認可」とは同意を得なければ無効になる行為を、同意を与え有効な行為にする事です。行政書士は依頼者の言う通りに書類を作成するのではなく、事実関係に基づいて作成します。この時アドバイスなども行います。
・「建設業許可」を例にします。一定規模以上の工事は建設業の許可が必要です。工事は安全性が重要なので、技術面・管理面・資金面などが審査されます。許可申請の依頼を受けると、依頼者から理由・将来展望などを聞き、どの業種を選ぶか相談し、手続きを進めます。
○行政書士が作成する書類は1万種
・行政書士が作成する書類は1万種あると言われますが、行政書士が作成できない書類もあります。税務署に提出する確定申告は税理士、特許法に提出する特許出願は弁理士です。また行政書士が作成するが官公署に提出しない書類に、契約書/交通事故の記録/会社の記帳簿(金銭出納簿など)などがあります。書類は3つに分けられ、「官公署に提出する書類」「権利義務に関する書類」「事実証明に関する書類」です。
・事業には官公署の許認可が必要なものがあります。建設業/運送事業/旅行業/宅地建物取引業(不動産業)/風俗営業などです。これらが「官公署に提出する書類」です。提出先は、総務省/厚生労働省/警察署/保健所/都道府県庁/市区町村役場などです。依頼者が許認可に詳しくない場合があり、アドバイスが重要です。
・「権利義務に関する書類」は、何らかの権利を発生・存続・変更・消滅させるための書類です。不動産の売買契約書、賃貸契約書、金銭消費貸借契約書、会社・NGO・社団法人・学校法人の原始定款(※初めて知った)、保険金請求書、遺産分割協議書などです。これらは弁護士の専門業務に思われますが、行政書士も作成できます。
・「事実証明に関する書類」は権利・利益を守るため、事実を証明する書類です。記帳簿/現行定款/各種議事録(※補足が欲しい)/身分証明書/交通事故調査報告書(※警察が書くのでは)/内容証明などです。他に風俗営業の許可申請書の図面や開発行為の測量図面もあります。
○行政書士の責任
・行政書士の仕事は公共性が強く、社会的な責任が重く、守るべき事柄があります。1つは、専門家として「正当な理由」がない限り、依頼に応じなければいけません。「正当な理由」とは、「法律に反する」「行政書士の範囲外」などです。もう1つは、業務で得た企業の機密事項/個人事情などの「守秘の義務」です。依頼者に包み隠さず話してもらう必要があり、信頼関係が重要になります。
2.2 行政書士の経緯
○ルーツは明治時代の行政代書人
・明治初期(1872年)「司法職務定制」で「代書人」「代言人」「証書人」が生まれます。この代書人の中の「行政代書人」が行政書士のルーツです。代言人は後に弁護士、証書人は公証人になります。代書人はさらに、行政書士/税理士/司法書士/土地家屋調査士/社会保険労務士に分割されます。1952年「行政書士法」が制定され、行政書士となります。行政書士は試験に合格する必要があります(※詳細省略)。社会変化に伴って、業務内容も変わっています。単に書類を作成するだけでなく、アドバイザー的な役割が求められます。
○行政書士の現状
・行政書士は4.8万人いて、4.6万人が個人事務所を開業しています。東京都行政書士会は7,022人で、個人会員が6,849人です(※都道府県別会員数の表がある)。行政書士には他の士業を兼業している人が多く、専業は約60%です。東京だと専業は75%で、地方は兼業が増え、専業は20%台に下がります。若い人が在留許可/成年後見/音楽著作権などの新しい業務を選ぶ傾向にあり、また経営コンサルタント的な人も増えています。
○行政書士の魅力
・現役の行政書士から「業務範囲が広く、面白そうなので選んだ」「独立して仕事をやりたかったので選んだ」などの動機が聞かれます。仕事の満足度は「面白かった」「やりがいがある」「社会貢献できる」などです。
・依頼者は「書類を作って欲しい」と頼んで来ますが、状況は様々です。そのため依頼者の状況をよく聞き、それに合わせた書類を作る必要があります。中には数年掛かる場合もあります。無事終了し依頼者から「有り難うございました」「助かりました」と言われると、嬉しくなります。
・行政書士は魅力的な職業です。自分の能力を活かせます。定年制もジェンダーギャップもなく、年齢も関係ありません。また範囲が広いため、興味がある分野や得意な分野に取り組めます。
2.3 他の士業との違い
○弁護士との関係
・行政書士は弁護士・税理士などと同じ業務に携わり、協力して案件を処理する場合があります。法律事務を行うのが弁護士で、訴訟の代理、行政庁への不服申立などを行います。争いを避けるための契約書/内容証明は行政書士の業務です。つまり紛争を解決するための法律事務は弁護士で、紛争を予防するための法律事務は行政書士です。
○司法書士との関係
・土地・建物の権利関係や企業の登記を専門にするのが司法書士です。企業に関する業務は行政書士も行います。会社の設立では、定款/調査報告書/株式申込書/議事録などは行政書士が作成しますが、登記申請書は司法書士が作成します。
・法務局に対する帰化申請と法定相続情報照明は、司法書士でも行政書士でも作成できます。法定相続情報照明の手続きは、戸籍や除籍謄抄本を収集し、法定相続情報一覧図を作り、申立証明書の交付を受けます。司法書士はこれを登記に使い、行政書士はこれを相続手続きに使います。
○税理士との関係
・税理士は「税理士法」に基づく士業です。税務相談や税務署に提出する書類を作成し、申告します。相続手続きで遺産に不動産があると行政書士が中心になりますが、司法書士が相続登記を行い、相続税の計算・申告は税理士が行います(※3士の協働だな)。
・自動車税/不動産取得税/たばこ税/ゴルフ場利用税などの書類は行政書士も作成できます。さらに会計記帳業務は行政書士が行います。また公共工事の入札手続きの経営事項審査申請でも、行政書士が財務諸表を作成します。
○社会保険労務士との関係
・1968年社会保険労務士が行政書士から分化しました。社会保険労務士は社会保険・労働保険に関する書類を作成します。行政書士が会社の設立を依頼された場合、社会保険労務士が社会保険・労働保険の申請・申告書類を作成します。また就業規則なども社会保険労務士に依頼する場合があります。
2.4 行政書士の仕事
○国際業務
・行政書士の業務範囲は大変広くなります。まずは国際業務を解説します。国際業務は外国人・外国企業に関わる仕事です(※日本人・日本企業の海外進出は無関係かな)。「在留資格認定証明書交付申請」は、いわゆる「留学ビザ」「就労ビザ」の事です。「在留資格の変更許可申請」は、留学ビザから就労ビザへの変更、就労ビザから「日本人の配偶者等」への変更などです。「永住許可申請」は、外国人が永住を希望する申請です。「帰化許可申請」は、外国籍を日本国籍に変更する申請です。他に外国企業との合併会社設立、外国為替・外国貿易法の手続き、輸出入の許可(※貿易関係は日本人・日本企業も対象では)、外国企業の英文財務諸表作成(※英文?)などがあります。
○会社設立
・会社設立も行政書士の一般的な業務です。会社には株式会社/合同会社/NPO/一般社団法人などがあり、要件も異なります。要件を満たしているか慎重に進めますが、満たしていない場合は解決策をアドバイスします。誠心誠意行えば、その後の許認可業務も受託できます。設立申請には、原始定款/発起人会議事録/株式引受証/創立総会議事録/株式申込証/取締役会議事録などが必要になります。
○建設業許可
・500万円以上の工事を請け負うには建設業の許可が必要です。許可されても定期的に更新が必要です。また入札するには、経営状況分析/経営事項審査申請/国・地方自治体などへの認定申請が必要です。建設業も幾つかの業務に分かれ、継続的な受託が望めます。
○自動車登録・運送事業許可
・自動車関連の業務に、自動車登録手続き、自動車運送事業の許認可・届出などがあります。自動車運送事業も、旅客運送/貨物運送事業/タクシー/レンタカー事業などがあります。近年自動車運送での事故が多発し、許認可が厳格化しています。そのため行政書士のアドバイスが重要になります。
○廃棄物処理業許可
・廃棄物は大きく分けて、産業廃棄物(産廃)/一般廃棄物に分かれます。産廃はさらに、燃え殻/汚泥/廃プラ/がれきなど20種類と、PCB汚染物などの毒性・感染性のある廃棄物に分かれます。処理業務は、収集運搬業(発生場所から中間処理場に運搬する)/中間処理業(処分可能な状態にする)/最終処分業(廃棄物の埋立・海洋投入をする)に分かれます。廃棄物処理業の業務は1990年代から増えています。今は資源の再使用・再生利用の流れも見られます。
○医療法人設立
・医療施設は入院用ベット数で「病院」と「診療所(クリニック)」に分かれます。経営面からは「医療法人」と「個人経営」に分かれます。個人診療所でも医療法人にするケースが増えています。医療法人にすると手続きが増え、行政書士が理事変更の届出/予算決算総会の開催/議事録の作成/定款の変更などを行います。行政書士は、宗教法人/学校法人/事業協同組合/商工組合/商店街新興組合などの設立・解散にも関わります(※組織は多種類ある)。
○風俗営業許可
・風俗営業とは、料理店/クラブ/バー/ゲームセンター/パチンコ店などの営業です。詳しくは以下です。
1号営業・・料理店、社交飲食店(キャバレー、接待、料理店、カフェなど)
2号営業・・低照度飲食店(喫茶店、客席の照度が10ルクス以下)
3号営業・・区画席飲食店(喫茶店、5㎡以下の客席営業)
4号営業・・マージャン店、パチンコ店等
5号営業・・ゲームセンター等(スロットマシン、ゲームセンター、ダーツなど)
※カラオケボックスは風俗営業ではないのかな。接待はしないが、遊びも飲食物も提供し、4号・5号営業に含まれそうだが。
・風俗営業は都道府県の公安委員会が所轄しており(窓口は警察)、厳格に規制されています。
○記帳・会計・財務諸表の作成
・行政書士は会計・経理の業務も行います。会計業務の中心が財務諸表の作成です(※公認会計士か税理士の仕事と思っていた)。財務諸表は損益計算書や貸借対照表などで、これを作成するには、会社法や品確法(公共工事の品質を保証)などを熟知する必要があります。※品確法と言われる法律は、公共工事/揮発油/住宅の3つある。
・企業は公的機関・民間機関から運転資金・設備資金を借りますが、この書類も行政書士が作成します。また税金の申告書は税理士の専業ですが、ゴルフ場利用税・自動車税・印紙税に関しては行政書士も作成できます。
○農地・土地利用
・農地を売る「権利移動」や農地を宅地にする「転用」などは、「農地転用」の手続きが必要です。この契約書/届出/許可申請を行政書士が行います。戦後は建設ブームがあり、1980年代には農地法に関係する業務が行政書士で最も多い仕事になります(※高度成長期からバブルまでは、宅地開発や大型郊外店の出店が多かった気がする)。今は農業従事者が高齢化し、マンションなどへの転用が行われています。また宅地や墓園などの一定規模の開発許可申請も行政書士が行います。
○著作権登録
・著作権は創作者に与えられる権利です。著作権は創作した時点で発生しますが、これを守るための申請を行政書士が行います。著作権は文化庁が管轄しますが、申請窓口は音楽は日本音楽著作権協会(JASRAC)、小説などの文芸作品は日本文藝家協会、コンピュータ・ソフトウェアはソフトウェア情報センター(SOFTIC)と分野毎に異なります。第3者が利用・譲渡を求めてきた場合、利用法/許諾の範囲/使用料・譲渡料などを記した契約書を作成します。
※本当に多分野だな。2.2に都道府県別の会員数があったが、この人数でよくこなせるもんだ。
2.5 相続分野で活躍・・河野俊太
○故人の意思を形にする
・「相続」は昔から行政書士の重要な仕事です。相続は行政書士の独占ではなく、税理士・弁護士でも可能です。土地・建物の変更には司法書士が関わります。本人が遺言書を書いていれば、それが優先されます。遺言書がないと、分割協議か、法定相続が行われます。
○綿密に調査し、相続人を特定
・就活/エンディングノートがブームになり、遺言書を書こうとする人が増えています。しかし事情は様々で、ケースバイケースで進めます。遺言書がない場合を説明しますと、まずは相続人の特定です。次に現金/預貯金/自動車/家財/土地/家屋などを特定します。相続人は戸籍謄本から調べます。相続人が確定すると、遺産分割協議書を作成します。相続人間でトラブルが生じない様にします(※詳細省略)。相続手続きは半年以上掛かる場合があります。
○鵜吞みにしない。
・相続人への気配りは必要ですが、慎重さも必要です。家族でも知らない話があったり、自分が不利になる事を話さなかったりします。また法律も変わるので、それに精通する必要があります。
○体育教師から行政書士
・行政書士になる前は幼稚園で体育教師をしていました。幼稚園から園長の行政書士事務所に移り、夜間の法学部にも通いました。この事務所は運輸関係の仕事が多かったのですが、相続の仕事が増えます。
○基礎勉強が大事
・私は「街の法律家」として、何でも解決したいと考えています。実際は専門分野・得意分野に絞られていきます。しかし懇意にしている弁護士・税理士・司法書士がいれば、紹介できます。
・行政書士には自分で仕事時間を調整できるメリットがあります。私は午前は顧客と会い、午後は事務所で仕事します。若い人に助言するなら、「基礎勉強をして下さい」です。もう1つは「元気」です。それは行政書士にはコミュニケーション能力が必要だからです。
2.6 風俗営業分野で活躍・・渡邊理恵
○風俗営業店とは
・私の仕事は風俗営業関係が多いので、夜中によく歓楽街を歩きます。風俗営業店とは、カラオケ/お酒などで接待したり、ゲームセンターなどの遊びを提供する店です。「営業は深夜0時まで」「場所は住宅地でなく、学校・病院もない」などが開業の条件です。他に明るさの制限や「経営者に犯罪歴がない」などがあります。
○ルールが申請先で変わる
・風俗営業の許可証の交付は都道府県の公安委員会ですが、窓口は警察署の生活安全課です。申請には、経営者の書類/誓約書/店舗の図面などが必要です。神奈川県では許可に55日程度掛かります。この期間や許可基準は都道府県毎に異なります。風俗営業は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)が定めていますが、各都道府県が条例を出しています。※神奈川県と東京都の違いを解説しているが省略。
○トラブルは少ない
・辛い思いをしたのは1度だけです。許可は取れたのですが、依頼者が報酬を払わないので許可証を預かっていました。しかし依頼者は許可証の再交付を受け、営業を始めたのです。警察に呼ばれ説明しましたが、理解してもらえませんでした。
○やりがい
・私が風俗営業に深く関わる様になったのは、2006年風営法の改正が切っ掛けです。深く知らなかった世界の人と接するようになり、社会勉強になりました。風俗営業の許可申請はスナックが多く、その経営者は女性が多いので、私に適しています。
○裁判外紛争解決を開拓中
・風俗営業には様々な形態があります。近年「ガールズバー」が流行っています。これは保健所から飲食店経営の許可、警察から深夜酒類提供飲食店営業の届出をすれば開店できます。しかし女性が接待行為をしているので違法で、風俗営業の許可が必要です。この様に新しいサービス形態が現われ、法律が後手に回っています。
・行政書士会には「政治連盟」があり、政界と連絡を取っています。また市民生活に貢献するため、行政書士は「裁判外紛争解決手続き」(ADR)に取り組んでいます。これは行政書士が調停人になり、トラブルを解決する仕組みです。私も行政書士会のADR研修会に参加しています。行政書士会には研修会/サークルなどもあり、横の繋がりが強くなっています。
2.7 生活と収入
○行政書士の日常
・行政書士は個人で営んでおり、仕事・生活が一人ひとり異なります。しかし仕事の流れはほぼ共通です。まずは依頼者に事務所に来てもらうか、こちらが現場に向かうかして面談します。行政書士が申請に必要な書類を作成し、窓口に提出します。その後の窓口対応は行政書士が行います。
・開業時間は朝9時から夕方6時までが多くなっています。しかし提出期限が迫ると、深夜に及ぶ事もあります。特に建設業の入札参加手続きは2年毎に更新が必要で、その時期は忙しくなります(※年度末かな)。ただし近年はインターネット申請も増えています。引き受けた仕事を病気などで止める事ができないため、体調管理が重要です。
○研修・勉強会で腕を磨く
・社会変化に伴い、依頼内容も変わります。バブル期に宅地建物取引業者(不動産業者)の免許申請が急増しますが、バブル崩壊後に急減します。この様にニーズが変化するので、常に勉強が必要です。そのため日本行政書士会連合会や都道府県単位の行政書士会が研修会・講演会などを開いています(※先月読んだ本の通りだ。人によって法律理解や事務処理能力に差があっても困る)。また同じ業務の仲間で情報交換や研修を行っています。
○行政書士の収入
・行政書士の報酬は行政書士が決めれます。ただし年収は300~500万円程度と思われます。ただ言えるのは、開業して1~2年は事務所の設立や顧客開拓で高額の収入は望めません。「報酬が安くても量をこなす」「自分の得意な分野をする」「難易度の高い仕事をする」などで自分のスタイルを作りましょう。向学心・正義感が必要で、誠実な仕事の積み重ねの中で、高額な依頼を受ける事があるでしょう。
2.8 将来性
○AI時代
・行政書士の業務は社会変化に伴い変化します。書類の作成はコンピュータでできる様になり、申請もインターネットでできるものがあります。またAIが取って代わるとも云われています。コミュニケーション能力を高め、新しく発生する業務にも取り組む必要があります。
○発展が見込まれる業務
・今後需要が増えそうな業務を紹介します。まずは「成年後見」です。これは、心身の衰え/認知症/知的障害/精神障害などの弱者を支援する制度です。具体的には、「財産管理」(預貯金管理、収支管理)と「身上監護」(病院手続き、施設の契約)です。家庭裁判所に年1回報告し、報酬をもらいます。※高齢化だからな。
・2つ目は「遺言・相続」です。遺言(いごん)は財産処分について本人が生前に書いておく物で、「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」があります。公正証書遺言は公証人が作成する遺言ですが、行政書士が代理で作成できます(※詳細省略)。依頼者が亡くなると、遺言執行者にもなる場合があります。自筆証書遺言は2019年法改正で作成が容易になり、また法務局が保管する事になりました。
・相続手続きは亡くなった方の遺産を相続人が分割する事です。行政書士はこれを手伝い、「遺産分割協議書」を作成します。※詳細省略。
・3つ目は「交通事故損害賠償請求」です。これも行政書士の業務です。自動車保険証券には弁護士費用等補償特約があります。普通、損害賠償金は加害者の保険会社が計算し、被害者に通知しています。そこで行政書士が被害者にアドバイスし、被害者から保険会社に損害賠償を請求します。※保険会社は加害者の保険会社かな。額が違ったらどうするのか。
・4つ目は「民泊許可申請」です。これは外国人などを一般家庭の空き部屋などに泊める制度です。マンションで民泊を始めるには、管理組合の許可が必要で、行政書士のアドバイスが役立ちます。
・5つ目は「空き家対策関連業務」です。日本は空き家が深刻な問題になっています。空き家にも所有者が放置している家、所有者が不明の家など様々です。行政書士は所有者を探したり(※依頼者は行政?)、空き家の活用方法をアドバイスします。
第3章 行政書士になる
3.1 適正と心構え
○独立心と協調性
・行政書士の多くは個人事務所で働き、法人事務所で働いている人は2.5%しかいません。そのため独立精神が重要になります。かと言って人の意見を聞かないと、信頼は得られません。依頼者とのコミュニケーションも重要です。特に近年はアドバイザー/コンサルタント的な対応が求められます。さらに書類を作成するには、知識/判断力/説得力/正義感などが必要になります。
・行政書士の業務は社会インフラと考えられます。行政書士は外国人のイミグレーションロイヤーになっています。建物・橋を作る建設業者への存在感も大きいです。さらにカラオケボックス/病院の開業にも大きく関わっています。表で活躍している人の「縁の下の力持ち」です。
○責任感と正義感
・行政書士が作成する書類は官公署に提出するものが多く、正確性が求められ、責任感・正義感が基本になります。ところがキャリアが浅いと勘違いし、依頼者の要望を満たすだけの書類を書いたりします。これはその時は満足するかもしれませんが、良くない事です。挫折を知らず育った人は、この勘違いをし易いです。決して不正・虚偽を含んだ書類を作成してはいけません。依頼者を最初から疑うのは良くないが、相手の人間性を察知する能力も必要です。
○センスを磨く
・行政書士をやっていく中で、これらの能力を磨いていく必要があります。有能な行政書士は、依頼者の心理状態を察知する感性・洞察力を持ちます。そうなるためには多くの人、様々な職業の人と接するべきです。またあらゆる物事に興味を持つべきです。例えば「YouTubeは何故世界に浸透したのか。便利になったが、弊害はないのか」などです。
3.2 行政書士試験
○資格を取るには
・行政書士の資格は試験以外でも取れます。税務署職員/法務局職員/社会保険事務所職員の行政職で20年以上の経験があれば得られます(※敷居が高いな)。また弁護士/税理士/公認会計士/弁理士も行政書士会に入会すると事務所を開業できます。さらに警察の行政職で17年以上の経験があれば、行政書士会に入会すると開業できます。
・しかし一番多いのは試験に合格するケースです。1983年国家試験になり、要件もなくなり、学生なども受験しています。また弁護士・裁判官・検察官に必要な司法試験と科目が似ているため、その前哨戦として受験する人もいます。
○他の士業より易しいが、60%以上の得点が必要
・行政書士の試験は易しい方で、2013年以降合格率は10%を超えています。試験は「行政書士の業務に関し必要な法令等の問題」(※以下法令問題)と「行政書士の業務に関連する一般知識等の問題」(※以下一般知識問題)が出題されます。※合格基準を説明しているが省略。
○法令問題、一般知識問題
・法令問題は憲法/行政法/民法/商法/基礎法学から46問が出題され、一般知識問題は政治・経済・社会/情報通信・個人情報保護/文章理解から14問が出題されます。これらを3時間で解答します。
○受験対策
・行政書士の試験は出題範囲が大変広いため、何年も掛かるかもしれません。また法令問題は法律を学んだ人でないと難しくなります。そのため得意分野から入るのが良いでしょう。1人で不安なら、受験予備校もあります。試験勉強により必要な知識は得られますが、実務は別物です。そのため「資格を取ってからも勉強」と考えておいて下さい。
3.3 資格を取得したら
○開業は行政書士会に登録してから
・毎年1月に合格発表があり、2月に合格証が送られてきます。行政書士会に登録すると、日本行政書士会連合会(以下日行連)に登録され、開業できます(※行政書士会に登録する諸費用が記されているが、30万円位必要になる)。他の士業の試験には実務があるが、行政書士にはありません。そのため開業後に実務を覚える事になります(※余りに分野が多数だからかな)。
○実務講習会
・日行連/行政書士会が実務講習会を開いており、積極的に参加しましょう。これで何でもできる訳ではないが、基礎を学べます。最初はあらゆる分野に取り組み、得意な分野を見付けましょう。インターネットの同じ分野のサークルに参加するのも良いでしょう。また他の士業と協力する事が多いので、それらとの交流も重要です。素晴らしい仲間を得るため、自分も素晴らしい行政書士になりましょう。
○行政書士事務所で腕を磨く
・業務範囲を広げると、法改正の対応が大変になります。そのため得意分野で事業展開する事が多くなります。例えば外国人を招聘する会社に勤め、入国手続きに詳しければ、国際業務を選択しましょう。法律事務所に勤めていたら、契約関係を選択しましょう。行政書士は一生の仕事なので、あせって得意分野を絞る必要はありません。また社会は変化するので、依頼内容も変わってきます。お勧めなのが最初の数年間、行政書士事務所に勤める方法です。弁護士事務所・司法書士事務所・税理士事務所に勤めるのも良いでしょう。
3.4 独立開業
○業務に適した場所
・独立する場合、場所選びが重要です。しかし焦りから、満足できない場所で開業する事が多くあります。実際、役所や警察署の近隣に多くの事務所があります。風俗営業の仕事をしたいのなら、飲食店の密集地に開業するのが良いでしょう(※競合とかも考慮した方が良いかな)。
・開業には、ビルの家賃/電話/パソコン/ファクシミリなど、様々な資金が必要です。最近は事務機器はリースするのが一般的です。開業後も、行政書士会の講座や地元の異業種交流会の会費が必要になります。オフィスを徐々に大きくするのが良いでしょう。
○共同事務所、自宅開業、法人化
・行政書士が共同で事務所を開業する方法もあります。さらに定款を定め、法人化も考えられます。先進国では法人化が一般化し、成功しています(※これが望ましい形態と思う)。得意分野が異なる人と組めば、業務範囲が広がります。ただし経費・報酬でトラブルを起こさないため、契約が必要です。事務所に補助者を置く事は可能ですが、行政書士会への届出が必要です。また自宅で事務所を開業する方法もあります。
○自己PRで顧客を増やす
・顧客を増やすのは重要です。行政書士は業務をこなす事で育てられます。顧客に喜ばれ、官公署から評価される様になれば、事務所は「軌道に乗った」と云えます。自己PRのため個性的な名刺を作り、友人・知人や依頼者になりそうな個人・企業に配りましょう。士業は宣伝活動の制限がないため、インターネット/新聞/電話帳/雑誌なども利用しましょう。地元の商店会・自治会にも積極的に参加しましょう。※開業し、軌道に乗るまでが大変そうだ。