『終わらない占領との決別』木村朗ほか(2022年)を読書。
対米従属と言われる理由が良く理解できる。
対米自立は真剣に考えないといけないと思う。
対米自立/対米従属/対米隷属など似た言葉は多い。
様々な立場の人が書いているので、外交・安全保障を語る視点が異なる。
パクス・アメリカーナからパクス・アシアーナへの転換は、最近強く感じる。
第2次トランプ政権前の出版なので、この点は考慮する必要がある。
本書を読むと、台湾問題は放って置けとの気持ちになる。
お勧め度:☆☆☆
内容:☆☆☆
キーワード:<まえがき>日米安全保障条約、沖縄、<巻頭言>台湾有事、対米従属、国際平和都市、<対米自立>日米安保、対外有償軍事援助(FMS)、日米地位協定、戦争目的、対米自立、戦争犯罪、<日本の生きる道>パクス・アシアーナ、三重の逆転劇、一帯一路、ASEAN、同盟の陥穽、金権政治、ツキディデスの罠、<安保法体系+密約体系>占領管理法体系、ポツダム宣言、安保法体系、行政協定(地位協定)、日米合同委員会、密約体系、<国際情勢>世界の憲兵、核兵器、気候変動、軍事同盟、米中覇権争い、競争、民主主義、台湾有事、<沖縄問題>屋良建議書、植民地主義/自己決定権、県民投票、地位協定、ミサイル配備、人間の安全保障、<米製兵器爆買い>対外有償軍事援助(FMS)、武器輸出、極超音速ミサイル、<米国隷属国家>憲法改正、日米合同委員会、安倍・麻生政治、ネトウヨ、県知事、米軍<日本に従え>先制不使用、核の傘、トランプ/バイデン、自由で開かれたインド太平洋構想(FOIP)、対米従属、あらまほしき米国、<対米自立>地位協定、自由主義vs社会主義、抑止力、オール沖縄、自衛隊を活かす会、<見果てぬ夢>米軍統治システム、日米地位協定/日米合同委員会、台湾問題、マスコミ、天皇メッセージ、夢、<編集後記>日米合同委員会、砂川事件裁判、統治行為論、台湾有事
まえがき 木村朗
・今年は日中国交回復と沖縄復帰の50周年だ。1951年日本はサンフランシスコ講和条約により米軍占領から「独立」する。しかし主権は不完全で、「半独立国家」だ。例えば日米安全保障条約が結ばれ、特権的な米軍が日本に存在する。基地の70%が沖縄にあり、沖縄は米国と日本による「二重の植民地支配」に置かれている。
・現在米中が対立し、世界秩序の転換期にある。そのため米中戦争が勃発する恐れがある。日米の軍事一体化は進んでおり、米中あるいは日中で軍事衝突が起きれば、沖縄は再度戦場になる。中国敵視が進む中、我々はどう対処すべきか。※「独立言語フォーラム」「沖縄平和トーキングラジオ(FMぎのわんラジオ局)」を紹介。
・本書は戦後の日米関係に疑義を投げ掛ける。思想・信条が異なる12人の著者によるが、「米軍の駐留が続くが、日本は独立国家なのか」「戦後の日米関係を明らかにし、”米国への従属””米軍の占領”と決別すべき」を共有する。
巻頭言 鳩山友紀夫
・今はあたかも台湾有事が起きる様に醸し出されている。中国機が台湾の防空識別圏に侵入している。これは国が独自に設定するもので、台湾の防空識別圏は中国本土にも拡がる(※領空とは無関係なんだ)。
・誰が戦争有事を煽っているのか。それは軍産複合体の米国と強がりを言う日本の政権の指導者だ。今は米中関係が「ツキディデスの罠」(※既存勢力と新興勢力の戦い)になっている。私は価値観の違いを強調して政治的対立を煽るのは間違いと思う。米国の両院議員団が訪台した。米国は「1つの中国」を認めて国交を樹立したが、この行為はそれを蔑ろにしている。
・安倍元首相もこれに呼応し、台湾のシンポジウムにオンライン参加した。日本は見誤ってはいけない。「台湾有事」が起き、日本が台湾を軍事的に支援すると、沖縄の自衛隊の基地は中国の標的になる。米国が台湾を軍事的に支援すれば、沖縄の米軍基地は中国の標的になる。米国本土は被害を受けないが、日本は被害を受ける。
・菅首相退任後の総裁選挙で、高市候補・岸田候補は敵基地攻撃を訴えた。戦争放棄したのに、攻撃能力を持とうとしている。日米安保があるので大丈夫と思っていても、中国は2千発以上のミサイルを有している。日本の指導者は真剣に議論しているのか。それとも沖縄だけならと思っているのか。
・沖縄は「琉球処分」で日本に帰属する。太平洋戦争では捨て石にされた。今では米軍基地の7割が沖縄に集中している。これは政府が沖縄を植民地の様に考えているからだ。
・ところで「台湾有事」は起きるのか。私は起きないと考える。それは米国が軍事力で中国に勝てないからだ。中国・台湾はそれぞれ独自の主張をしている。しかしそれを実現するには代償が大き過ぎる。そのため両者は現状維持を選択している。米国が「台湾有事」を煽るのは、高額な武器を購入してもらうためだ。日本はそれに同調し、「イージス・システム搭載艦」「F35Aステルス戦闘機」などを購入している。かつて防衛費はGDP比だったが、今は2%を主張している。
・寺島実郎が「米国は日本を『保護領』と思っている」「東京には米軍専用のゴルフ場が2つあり、その維持費は思いやり予算から出ている。東京の空域も米軍の管理下にある」と言っている。つまり日本は米国の占領地で、沖縄は二重の占領地になっている。
・この決別は可能なのか。基本的な事は、多くの日本人が「日本の平和・安全は米国に守られている」と信じている事だ。しかしこれは正しくない。日米安保条約の第5条に「日本が武力攻撃された場合、米国は憲法の規定に従い、共通の危機に対処する」とある。つまり議会が結論を出す(※これは重要だな)。例えば小さな尖閣問題で米国が中国と武力衝突すると思えない。
・また「米国の核の傘で守られている」と信じている。これは日本が核攻撃されたら、米国も核で応じる理論だ。例えば中国が日本を核攻撃すると威嚇した場合、米国は中国を核攻撃すると威嚇する。しかし米国が中国を核攻撃すると、中国は米国も核攻撃するため、米国が中国を核攻撃する事はない。※日本だけが核攻撃される。
・さらに戦争の形態も変わった。かつては海兵隊が大きな意味を持っていた。しかし今はミサイルの時代で、沖縄にある米軍基地は役に立たない。沖縄の米軍基地を存続させているのは日本政府であり、「思いやり予算」だ。
・日本の自衛隊の基地も同様だ。日本周辺の危機を煽り、米国従属の意識を高めている。この日本政府やそれを忖度するメディアの情報を単純に信じてはいけない。※多くの政治家が「米国との同盟を重視」と発言している。
・価値観が異なる国との上手く付き合うのが外交の要諦だ。欧州は戦場になったが、ドイツと仏国が友愛精神から石炭鉄鋼の共同管理を始めた。欧州でできた事はアジアでもできる。「和を以て貴しとなす」は東洋の思想だ。まずは日本・中国・韓国が経済・貿易・金融だけでなく、環境・エネルギー・教育・文化・防疫・防災などを議論する場を作り、「東アジア共同体」を作っていくべきだ。そして沖縄をその場とし、沖縄を国際平和都市にすべきだ。
※著者は中国の戦勝80周年式典に出席していたな。
第1章 対米自立 木村三浩
<1.不平等な日米安保体制の現実>
・日本は7年間の米軍占領後、サンフランシスコ講和条約により名目上の主権回復する。だが日米安保条約により、東京には横田空域があり、国中に米軍基地が存在する。これは真の独立ではない。本来なら冷戦終結時に日米安保体制を見直すべきだった。この時期ドイツ/イタリアは地位協定を改定し、米軍基地でも国内法が適用される様になった。
・日本は国防の煩わしさから、日米安保の他力本願に浸かっている。1997年「新ガイドライン」で合意し、1999年「ガイドライン関連法」が採択され、日米安保が再定義される。これにより自衛隊が米国の対アジア戦略に組み込まれた。周辺事態が発生すると日米が事前協議し、基本計画が策定され、これに則り対応する。当然基本計画は米国の意向が核となり、日本の個別的自衛権は保証されない。
・安倍政権(※特定しない場合、第2次)で憲法問題/ガイドラインでの集団的自衛権が議論された。しかしそれより主権国家・独立国家として当然の自国を守る権利を取り戻すべきだ。今の日米安保は米国の対日支配の道具になっている。
・戦後76年経過したが、日本は米国の占領下にあり、真の独立国家でない。安倍首相は集団的自衛権の行使を「普通の国として当然」とした。これは日本の実態に迫っておらず、解釈改憲であり、占領体制の強化に過ぎない。
<2.FMS(対外有償軍事援助)の是正>
・2014年以降安倍首相は集団的自衛権の行使を可能にしたが、並列で改善すべき課題があった。例えば「対外有償軍事援助」(FMS)だ。これは米国兵器を有償で提供する米国のプログラムだ。これにより日本は欠陥商品のF35戦闘機を購入する事になった(※詳細省略)。これにより価格や納期が変更されても米国の責任は追及されない(※詳細省略)。
・日本は優れた航空技術を持っていたが、戦後米国により徹底的に潰された。今も掣肘され、占領体制が継続されている。このFMSにより日本は軍備の国産化が不可能になっている。
<3.日米地位協定の即刻改定>
・日米地位協定(※以下地位協定)や米軍基地が占領体制を如実に示している。2017年トランプは横田基地から入国した(※マッカーサーを思わせる)。横田基地には東京入国管理局分室があり、地位協定の入国管理除外規定が適用されない米国人(年間2千人余り)の審査を行っている。軍人軍属は管理されておらず、彼らが不法行為しても日本は把握できない。そのためコロナ禍で軍人軍属の水際対策ができなかった。
・1995年沖縄少女暴行事件があったが、米兵が犯罪しても、日本が裁く事ができない。2004年沖縄国際大学にヘリが墜落したが、これも日本が調査する事ができなかった。沖縄/岩国でコロナが拡大しているが、これも日本が対応できない。
・安保条約締結から半世紀経ち、日本に米軍基地があるのを当たり前と感じる世代が多くなった。今こそ戦後体制を打破し、自主・自立・自律を基調とする国に変わるべきだ。日米を対等とし、自主憲法を制定し、自衛隊を国軍とすべきだ。
<4.なぜ日本は米英と戦った>
・日本は敗戦により、戦う動機/戦闘行為/被害の実態/海外の駐屯体制など全て断罪された(※東京裁判史観かな)。そしてそれを受け入れている。これは本来は国際法に則るべきだ。日本は敗戦により、「反省」するだけになった。勝てば何をやっても良いのか。正義はどこにあるのか。
・敗戦で戦いの理念・思想まで否定された。当時の日本には欧州植民地主義と闘う理念・思想があり、それを戦争の目的・結果と混同してはいけない。日本には自存自衛と列強のアジア支配から脱却する動機があった(※それなら日本は中国の軍閥などと共に欧州勢力と戦うべきだった)。ところが敗戦により「アジア解放と言っていたが、自分達が君臨する方便だった」と変節する者が多く現れた。戦時中から戦争反対を貫いた人の言葉なら傾聴するが、敗戦により変節した者の言説は信頼できない(※日本は国粋主義だったからな)。インドではインド国民軍が興り、インドネシアではPETA(※郷土防衛義勇軍)が活躍し、ベトナムでは日本人が帰還せず、独立運動に参加した。これが戦争目的の達成だった。
<5.戦略なき戦争目標>
・確かに日本の戦争目的と現場での戦闘行為は異なった。兵法に「敵を知り己を知れば百戦危うからず」があるが、それに従わなかった。これは情報収集能力がなかったからだ。またどこまで戦えば終戦交渉するなどの戦略もなかった。そのため騙し討ちなどにより国体の危殆が促進された事は当事者の責任が問われる(※意味不明。危殆は崩壊かな。対米戦開戦の事かな)。2040年の段階でも対米戦必敗が予告されていた。
・冷静に分析されていたのに戦わなければならない歴史的必然があった(※国体護持、不敗神話などかな)。物事を把握している人がいたのに、戦わなければいけなかった。しかし日本が立った事で、アジアの独立が促進された。しかしこれは結果が出るまで分からない。そのため人間は失敗する。当時の人が苦悩の中で葛藤したプロセスを忘れてはいけない。
・米国は外交交渉を8ヵ月間も引き延ばし、最終的に「ハル・ノート」を突き付け挑発した。この間米国は「JB335」「レンドリース法」などで中国を支援し続けた。これらは間接的な戦闘行為だ。またABCD包囲網は実質的に戦闘行為だ。日本は律儀に対中和平を進めようとしていた。この米国の姿勢に日本は穏忍自重したが、ハル・ノートで堪忍の緒が切れた。※満州建国の頃から日本は批判されていたが。
<6.対米英戦に文化人は涙>
・米国の演出・陰謀に対し日本人はどういう思いだったのか。2.26事件の皇道派将校の至純性を支持した斎藤瀏が「大詔勅を拝す」と題する5首を詠んでいる(※引用省略)。そこで「例え敗れても、潔さが残ればそれで良し」とし、義のために命を捧げる事を良しとした。※当時は言論統制されているので、正当に扱わない方が良い。
・『千恵子抄』で有名な詩人・高村光太郎は詩集『大いなる日』に37篇を寄せている(※1篇を引用しているが省略)。彼は「東亜を東亜に返せ」とし、米英により東亜が貧困に喘いでいるとした。植民地主義に正義で対抗し、目的が達成されるまで戦うとした。高村の戦争詩に対し、伊藤信吉は「人道的詩人としての姿勢に背を向けた」「70余年の精神史の歪み」と断罪した。この批判に対し、中村粲は著書『大東亜戦争への道』で、「詩人は全人格をかけて詩を詠む。開戦に感激した事を”精神の歪み”とするなら、当時の全国民が歪んでいた事になる」と喝破した。
<7.大東亜戦争は終わっていない>
・中村の「当時の全国民が歪んでいた」は今も当てはまる。敗戦し、経済発展した事で歪んでしまった。独立を維持する姿勢を失い、自衛意識は低下し、安全保障を外国に委ねている。他方米国は驕り高ぶり、搾取・抑圧を繰り返し、ベトナムに介入し、イラクを侵略した。※軍産複合体なので、戦争を繰り返す。
・原爆投下などの戦争犯罪は問われていない。日本だけが罪を問われている。戦争は多大な犠牲を出し、違法性が指摘されているのに米英は反省していない。これは不法・不当だ(※武力による現状変更が容認されている)。
・私は「日本は占領憲法と日米安保条約により真に独立していない」と主張してきた。冷静終結で米軍の配置が変わったのに、さらに属国化が強まった(※対中でアジア重視かな)。占領憲法/日米安保条約/戦後教育の見直しはされず、むしろ逆行している。日本人の魂(?)が入った憲法を制定し、日本人が自国を守るべきだ。対外的には日本の歴史・伝統・文化を守り、日本人が尊敬されるべき教育に変えるべきだ。
・明治以来、日本は「追い付け追い越せ」で拝外姿勢が強かった。さらに大東亜戦争で敗北し、戦後体制に縛られている。特に軍事面はそうで、「お詫び状」として作られた占領憲法の操作により作られた日米安保条約による。※不戦の誓いをどうするかだな。
・ソ連は北方領土を強奪し、韓国は竹島を実効支配している。中国・台湾は尖閣諸島への領土的野心をむき出しにしている。北方領土/竹島は国際密約で奪取された。これを取り繕うため東京裁判が行なわれ、サンフランシスコ条約で占領終結が演出された。これにより日本は独立したとされるが、占領憲法体制が続いている。日本は戦後体制を克服し、「対米自立」しなければならない。※トランプ関税にも応じるだけになった。
<8.戦勝国の戦争犯罪こそ裁くべき>
・大東亜戦争は米英の帝国主義に真っ向から対抗した戦いだった。そしてアジア諸国の独立を達成した。東京裁判で敗戦を理由に一方的に断罪された。指導部は戦争を選択し、敗戦となった戦争責任を追及されるべきだが、これは戦勝国ではなく、日本国民が裁くべきだ。同様に民間人を殺戮し、ベトナム戦争で敗北した米国は国際社会から裁かれなければならない。多くの被害を出した事に対する謝罪・賠償・弁済がなされていない。
・米国はベトナム戦争による「敗戦後遺症」により荒廃した。この敗北の検証もしていない。これに助けられソ連はアフガニスタンに侵攻したが、ムジャヒディンの抵抗で撤退する。こちらも国際法廷で裁かれていない。
・さらに米国はイラクに侵略戦争を行なった。このブッシュ政権の開戦理由は全くナンセンスだ。2001年米国は世界貿易センターを攻撃され、「テロの根拠地アフガニスタンを攻撃しなければならない」と世界に訴えた。そしてアルカイダとイラクの関連を喧伝し、「サダム・フセインこそ下手人」とした。さらに「イラクは大量破壊兵器を隠している」と主張し侵略を行なった。結局米国は「イラクに大量破壊兵器はなかった」とした(※基本的な話なので簡略化)。米国はイラクの主権を犯し、十数万人を殺害し、秩序・治安を破壊した。それなのに賠償・弁済を行っていない。米国は敗北したのであり、ブッシュやパウエル元国務長官は戦争犯罪人として処罰されるべきだ。※依然世界は力による支配が継続されている。
<9.対米自立、主権回復>
・当時の小泉政権は世界で最初にブッシュの戦争を支持した。これは恩を売るためだったが、政治的・法的・道義的責任が問われる。チャルマーズ・ジョンソンが『帝国の解体 アメリカ最後の選択』の中で、「米国は世界130ヵ国に737基地を設け、50万人以上の兵士・スパイなどを配置している。これらの国の多くは独裁国家で、国民は米軍基地に対する発言権を持たない」と述べている。この基地帝国は財政的に破綻すると考える。米国は「世界の警察官」と称しているが、これこそ反省なき継続された「戦争誘発システム」だ。このシステムが存在する以上、この桎梏下で自国の利益を守り、世界秩序を政治・経済・文化・道徳でどう再構築するかが問題になる。
・日本には米軍基地が存続し、「日米同盟」の言葉まで聞く様になった。日本は米国と価値観を共有し、地政学的にも一体とされる。しかし尖閣諸島で軍事衝突が起きても、安保条約が発動される保証はない。しかも日本は領土を守る意志は低下している。従って日本は「対米従属」から脱却する必要がある。日本は米国との関係を強化する中で経済発展したが、今の日本は金属疲労している。このまま日本の将来を大国に委ねて良いのか。TPP/日米FTAなどが協議されたが、これは非関税障壁の撤廃であり、アメリカニズムの経済体制に敷かれる事だ。東京裁判史観に呪縛され、米国の軍事犯罪を放置し、本質を検証してこなかった。国民の意志が脆弱では亡国となる。「対米自立」が不可欠だ。
第2章 大転換する世界と日本の生きる道 進藤榮一
米国は単独覇権を維持できなくなり、中国と競争しつつ共存していくしかない。(ヘンリー・キッシンジャー)
2世紀以上も西洋が世界に君臨してきた。しかし今は歴史的変化が起きており、世界の構造が一変する。(マーチン・シェイクス)
<1.帝国以降>
○トランプ以降
・2016年米大統領でトランプが勝利した日、イアン・ブレマーは「パックス・アメリカーナに終止符が打たれた」と語る。実際米国はコロナ禍に対応できなかった。一方で中国・台湾・シンガポール・韓国などの東アジア新興国は、コロナの封じ込めに成功した。さらに中国はコロナ・ワクチンを南の途上国に無償支援した。また中国は「陸のシルクロード」(5本の欧亜班列)であらゆる製品・部品を欧州に送り、コロナ後の欧州復興に寄与している(※欧亜班列の稼働実績を引用しているが省略)。
○一帯一路構想
・「一帯一路構想」は習主席が退いたら消える様な「ペット・プロジェクト」ではない。これは陸・海・氷での交易を支え、コロナ禍で痛んだ発展途上国の発展に寄与する戦略構想だ。これは経済制裁や核軍事力で脅して世界秩序を保持する米国主導のグローバル・ガバナンスを拒斥するもので、ウィンウィンの関係を構築し、市場と市民社会を育成する「人間の顔をした社会主義」(もう一つの資本主義)を作り上げる(※この対比は注目だ)。かくして米国主導の「パクス・アメリカーナ」が中国主導の「パクス・アシアーナ」になり、21世紀のグローバル・ガバナンスになる。
○二重運動
・「知の巨人」カール・ポランニーは「大転換期」を定義した。大転換期は「時代を前に進める動き」と「時代を後ろに引き戻す動き」がせめぎ合う「二重運動」と定義した。正に今が「パクス・アメリカーナ」と「パクス・アシアーナ」がせめぎ合う大転換期だ。
・G7は先進7ヵ国首脳会合で、1973年にG5として発足し、1979年G7に拡大する。他方G20はインドネシア/インド/メキシコ/南アフリカなどの途上国が含まれる20ヵ国・地域首脳会合だ(※EUが含まれる)。
○米中新冷戦
・2021年6月英国でG7が開かれた。バイデン政権はワクチン開発に成功した米国が世界のリーダーと主張する。そして中国の一帯一路構想に対抗し、「より良い世界の復興」構想を宣言する(※こんなのあったかな。内容不明)。さらに9月日豪印を誘い「クワッド」を構築する。そして英国・カナダを誘い、「自由で開かれたアジア太平洋戦略」(FOIP、※2016年安倍首相が唱えた)に乗り出す。12月110ヵ国・地域の首脳による「民主主義サミット」を開催する。
・今は「米中新冷戦」が展開している。「パクス・アメリカーナ」は終焉し、「パクス・アシアーナ」が動き出した。「アジア力の世紀」が始まった。これは近代資本主義の終焉と人間中心主義の復権を求める転換だ。
○南北逆転と東西逆転
・この転換は三重の逆転劇から成る。第1の逆転劇は北側の先進国(G7)と南側の新興国(E7。中国、インド、ロシア、ブラジル、インドネシア、メキシコ、トルコ)の実質GDPの逆転だ。これは2017年に達成され、E7の優位が拡大している(※数値省略)。
・第2の逆転劇は西と東の逆転だ。西側(EU米豪加)と東側(26ヵ国。ASEAN、日中韓、北朝鮮、ロシア、旧ソ連諸国、インド、パキスタン、イラン、イラク、トルコなど)の実質GDPの逆転だ。これは2019年に達成されている(※数値省略)。この2つの逆転を牽引するのが中国だ。
○中国は日本・米国を凌駕する
・第3の逆転劇は米中日の逆転だ。1980年代は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、中国のGDPは日本の1/3だった。1992年中国は改革開放政策に転換し、2000年に日本を追い越す(※数値省略)。そして2017年米国も追い越す(※数値省略)。以後日中間・米中間の経済力格差は開き続けている。半植民地だった中国は巨大な人口と広大な国土でアジア経済を牽引し、世界経済に寄与し始めた。※世界=アジアに近い状況に成るかな。
○情報革命
・情報革命下、中国が牽引するアジアが大転換を促進している。アジア諸国では3千万人を超える華人ネットワーク「チャイナ・サークル」が機能している(※情報革命との関連は不明)。中国は広大な国土と巨大な人口を有する。巨大人口はかつては「貧乏人の子沢山」と呼ばれ、「人口オーナス」(発展の阻害要因)だった。
・しかし情報革命によりモノ・カネ・ヒト・情報・技術が瞬時に国境を超える様になり、モジュール化と部品生産化が進んだ。中国への直接投資は増え、「世界の工場」になった。人口14億人の所得は増え続け、「世界の工場」は「世界の市場」に変わりつつある。これにより「人口オーナス」は「人口ボーナス」(発展の促進要因)に変わった。
・広大な国土は峻厳な山岳や不毛な砂漠で、「空間オーナス」だった。ところが情報革命による建機・ドローンの発達で港湾・高速鉄道が整備され、「空間オーナス」は「空間ボーナス」に変わった。※グローバル化も影響大かな。情報革命を第5次産業革命とするのは正しいかも。
<2.グローバル・ネットワーク型地域連携>
○ユーラシア地域連携
・情報革命によるモジュール化により、製造工程はグローバル・バリュー・チェーンとなった。これにより日中韓を軸に、アジアでの地域連携が進む。2001年「上海協力機構」、2009年「BRICS」が発足する(※詳細省略)。2009年リーマン金融危機を機に、G20が拡大改組する。
○一帯一路構想
・2013年6月習主席はカザフスタン・アスタナで「一帯一路陸のシルクロード」構想を発表する。10月インドネシア・ジャカルタで「21世紀海のシルクロード」構想を発表する。2018年ロシアはノルウェー/日本の協力でヤマルに巨大LNG基地を建設する(※この件は知らなかった。新しい話なんだ)。これが「氷上シルクロード」だ(※これはロシア主導かな)。2021年時点一帯一路構想に143ヵ国/25国際機関が参加し、それぞれが協力協定を結んでいる(※基本的な事だが、中国と各国・機関かな。米国と似ているな)。
○東南アジアの地域協力機構
・東南アジアの地域的連携は、1967年(ベトナム戦争中)4ヵ国による「東南アジア諸国家連合」(ASEAN)設立に始まる(※東南アジア諸国連合はタイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポールの5ヵ国)。2015年10ヵ国による「ASEAN経済共同体」(AEC)が成立する。2020年15ヵ国(ASEAN、日中韓、オーストラリア、ニュージーランド)から成る「東アジア地域包括経済連携」(RCEP)が発足する。
・これに先立ち、2015年中国は「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)を設立、現在は130ヵ国・地域が参加する。同年「人民元決済システム」(CIPS)も構築している。2017年「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP、TPP11)が各国で承認される。2021年中国・台湾が加盟申請している。
○変容するインド、インドネシア、香港
・インドはカースト制による2億人の貧困層を抱えるが、中国と同様に急速に経済発展している。インドは2030年経済規模で日本を抜くとされる。2050年にはインドネシアが日本と同規模になる。台湾・香港は米中摩擦の争点になっているが、台湾は国民的活力・知的生産能力からアジア経済の中心として機能し続ける。一方香港はその地位を縮小する。その金融経済機能は広東・深圳・福州・マカオに拡散する。
○グレート・リセット
・2021年ダボス会議はオンラインとなった。習主席が基調演説し、プーチン大統領/モディ首相などが続いた。バイデン大統領は欠席し、ファイブ・アイズは欠席する。これは「パックス・アメリカーナ」「パックス・アングロアメリカーナ」の終焉を示した。そして次回の議題は「グレート・リセット」となった。欧米中心の近代は終わり、植民地主義以前の世界に戻り、多極化する新しい国際秩序の展望を議論する。
・「大転換する世界」は様々な現場で表出している。グローバル情報革命下で中国・インド・インドネシア・メキシコなどが飛躍的に発展した。中国が南北逆転・東西逆転・米中日逆転を演じた。この現実が中東の混乱を引き摺りながら、アジア/アフリカ/ラテンアメリカに及んでいる。
○二重運動
・「大転換する世界」で新興覇権国と現存覇権国が権力政治ゲームを展開している(二重運動)。これは時代を前に進める動きと、引き戻す動きだ。米国は世界2番目のコロナ罹災者を出し、2019年アフガニスタンから撤退した。新自由主義で進展した超格差社会を是正し、環境保全/医療福祉を重視する「グリーン・ヘルス・ソーシャル・ニューディール政策」を進めている(※バイデン政権だな)。トランプ政権下で進められた「自国中心主義」を逆転させ、「国際協調主義」に復帰し、民主主義を拡大させる外交方針に改めた。新疆ウイグル族のジェノサイドを最先端に据え、「米中新冷戦」を推進している。
・ここにおいて日本の立場が問われる。これは日米同盟の問い直しでもある。「帝国の終焉」となった今、「帝国の高揚」期に作られた「日米安保」の見直しだ。これは「同盟の流儀」の見直しで、「アメリカ流の生き方」(アメリカニズム)の見直しだ。この生き方には三様の落とし穴があり、明らかにする(※次節で説明)。
<3.同盟の陥穽>
○軍事安全保障の落とし穴
・日米安保は核兵器と巨大空母による抑止力・攻撃力で日本の安全保障を維持する。この日米安保条約と日米同盟(※集団的自衛権)による生き方がコロナ禍により非現実になっている(※コロナと関係がある?)。これが第1の「同盟の陥穽」だ。例えば「尖閣有事」になっても米国が軍事力を投入する事はない。米国は日米安保条約第5条を公約するが、日本領土の防衛に駆け付ける事はない(極秘外交文書がある)。
・今求められるのは、安全保障観の転換だ。医療福祉・健康・地球環境保全を重視する「人間の安全保障」「環境安全保障」への転換だ。軍事力を強化する日米安保の「同盟の流儀」は機能不全に陥った。「人間と環境の安全保障」に切り替えるべきだ。
○経済的な落とし穴
・日米安保形成期、米国は世界最大の経済力を有した。この米国市場に依存して「日米同盟」を強化する「同盟の流儀」は非現実的・非合理的となった。これが第2の「同盟の陥穽」だ。今や米国より中国を始めとするアジア市場への依存が高くなっている(※貿易額・訪日客数は省略)。今や中国・ASEANとの相互依存なしでは成り立たない。軍事だけでなく経済でも「パクス・アメリカーナ」から「パクス・アシアーナ」への転換が求められる。そのため「日米同盟」のベクトルを中国・ASEANを軸とする「ユーラシア・ファースト」に転換す必要がある。「脱亜入欧」から「連欧連亜」への転換だ。
○政治的理念の落とし穴
・第3の「同盟の陥穽」は政治的理念による。戦後日本の政治システムは「アメリカン・デモクラシー」を師表としたが、これが機能不全になっている。情報革命により米国資本主義は「新自由主義」(ネオリベ、※正しくはネオリベラリズムかな)が基軸になり、富裕層に裨益する「カジノ資本主義」になり、超格差社会に変貌した。これを後押ししたのが「金権政治」(金持ちの、金持ちによる、金持ちのための政治)だ(※この中心がロビー活動かな)。これは2000年代初頭の選挙資金規制の無効化が起因だ(※大統領選は資金集めの闘いでもある)。1996年大統領選で許容された資金は9億ドルだったが、今は100億ドルを超える。デモクラシーは死に、「プルートクラシー」(金権政治)が生まれた。
・米国はネオリベ政策とカジノ資本主義によりポピュリズムと分断にさらされている。2020年大統領選後、トランプ支持者が連邦議会を襲撃した。米国には1人1丁以上の銃があり、銃犯罪が絶えない。官界・産業界・学術界・メディアが軍産官学複合体を支える。米国は政治的後進国の師表にならなくなった。米国は「デモクラティック・ピース論」から発展途上国にデモクラシーを広めようとするが、それは制裁と内政干渉による軍事力外交による。そこで日本に必要なのは「デモクラシー」と「日米安保」の再定義で、「日米同盟」の見直しだ。デモクラシーは機能しているだろうか。
<4.ツキディデスの罠>
○新旧覇権国の衝突
・2013年グレアム・アリソンは古代ギリシャのツキディデスの名著『戦史』から、覇権国家と新興国家の軍事衝突の蓋然性を示唆した。過去500年にこの覇権争いが16例あるとし、12例が戦争に至ったとした。この事から米中の軍事衝突も75%の確率で起きるとした。ここで「ツキディデスの罠」の虚妄性を明らかにする。戦争が起きなかった4例の1つは15世紀末のスペインとポルトガルで、残り3例は第2次世界大戦後で、第2次世界大戦後は戦争が起きていない(※米ソ直接の戦争は起きなかった)。
○理論の虚妄性
・この事実は3つの事を示唆する。第1は戦争に至るのは、経済社会的相互依存が低い場合に限られる。高くなれば戦争に至らない(※米中は経済依存度が高い)。第2は1980年代以降、大国間の経済社会的相互依存が高いため、戦争は起きない。第3は核大国間で核の引き金を引くと、ハルマゲドン(戦争の終わり)になる。核による相互抑止が効いており、戦争は起きない。第4は核戦争が起きるのは、指導者が合理的な判断ができなくなった時だ。
・そのため軍事外交政策の機軸を軍備縮小にすべきだ(※今世界は軍拡に向かっている)。さらに経済社会的・外交的な相互交流を増大させるべきだ。これらを関係諸国間で地域安全保障の仕組みとして構築する必要がある。付言すると、2021年核兵器禁止条約が発効したが、「唯一の被爆国」の日本も署名し、核兵器削減を推進すべきだ。そして安全保障の機軸を軍事安全保障から「人間安全保障」に転換し、合わせて対米従属を解き放って、「アジア力の世紀」に大転換すべきだ。その時初めて、「人間普遍の平和と繁栄」の道が拓かれる。
第3章 占領管理法体系から安保法体系+密約体系へ 吉田敏浩
・今なお米軍の「占領」が続いている。米国は戦後の占領時代の「占領管理法体系」で手にした米軍特権を占領終了後の「安保法体系+密約体系」で保持している(※この解説は大変勉強になった)。これは日本の主権を認める「憲法体系」を浸食している。
<1.連合国の占領下に>
・1945年8月日本は連合国の占領下に置かれ、1952年4月講和条約発効により占領時代を終える。この間「憲法体系」に優越して効力を持ったのが「占領管理法体系」だ。これは連合国最高司令官(※正確ではないが、以下GHQ)が発した指令・覚書・書簡などの命令や日本政府による勅令・政令を指す。この頂点に位置するのが「ポツダム宣言」で、1945年7月米英中(後にソ連参加)が日本占領の目的と戦後処理の方針を定めた。①軍国主義の除去、②連合国軍による占領、③領土の限定、④軍の武装解除と復員、⑤戦争犯罪人の処罰、⑥民主化、⑦人権尊重、⑧産業・貿易の容認、⑨政府樹立後の占領軍撤退などだ。
・8月14日日本はポツダム宣言を受諾し、28日から米軍が進駐する。30日マッカーサーが到着し、9月2日「降伏文書」が調印される。要点は①無条件降伏、②敵対行為の禁止、③GHQ命令の遵守と実施義務、④ポツダム宣言の履行、⑤捕虜・抑留者の解放、⑥天皇・政府の統治権の制限などだ。GHQ命令に応じる国内法が必要になり、日本占領は「軍政方式」ではなく「間接統治方式」になる。また「天皇・政府の統治権はGHQの制限下に置かれる(正確には従属する)」となった。同様に正確には占領軍だが、降伏色を薄めるため「進駐軍」と意訳した。
<2.米軍の特権を保障>
・降伏文書が調印された日、GHQが最初の命令「指令第1号」を発し、軍の武装解除/軍事施設・物資の保全/捕虜・抑留者の保護・解放などを命じる。連合国最高司令官総司令部(GHQ)が東京に置かれ、軍事・政治・治安・経済・司法・社会・文化・報道・教育・宗教などに関する命令を発し、日本の非軍事化/民主化/占領政策の実施を司る。
・9月20日政府は命令に応じる国内法として緊急勅令「ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件」を制定する。日本国憲法の施行前は大日本帝国憲法による勅令などで対応し、施行後は政令で対応する。「ポツダム宣言-降伏文書-GHQの命令-緊急勅令-勅令・政令」を「占領管理法体系」と呼ぶ。「占領管理法体系」は日本の非軍事化/民主化/人権尊重などの「戦後改革」に繋がった。しかし占領軍の基地使用/物資・土地・建物・労務・資金の調達/出入国管理/税関/飛行などの米軍特権を保障した。
・「指令第1号」第10条(※本文省略)により、日本は連合国軍による占領への援助が義務となった。翌日「指令第2号」が出され、その具体的な措置が示された(※本文省略)。占領軍が使用する土地・物資・役務の提供が命じられた。
<3.米軍に基地・資金も提供>
・9月25日「指令第2号」に基づく「日本に於ける物資調達に関する覚書」が発せられる。占領軍は土地・建物・物資の要求を「調達要求書」として政府当局に渡す方式になる。その調達を政府が行い、占領軍が領収書を交付し、政府が供給者に支払う仕組みになる。11月17日勅令「要求物資使用収容令」が制定され、調達要求に所有者が応じない場合、政府が強制収用できる様になり、収容物資の補償金は政府が支払う事になる(※詳細省略)。同日勅令「土地工作物使用令」も制定される。
・占領の経費も政府が負担した。9月4日「指令第2号」に基づく「占領軍の資金に関する覚書」が発せられ、占領軍が必要とする資金を政府が円で提供した。※軍票の発行を官僚が中止させた話があったな。あれはこの時かな。
・政府は外国人の出入力を管理できなかったが、徐々に政府に移管される。1949年8月10日政府は「出入国の管理に関する法令」を定めるが、占領軍の軍人・軍属・家族は除外される。1950年2月20日命令「税関、入国及び検疫に関する覚書」により出入国・税関・検疫は政府が担う事になるが、米軍は除外された。
・米軍航空機の飛行に関しても、1952年3月10日「航空機の日本入国・退去・通過及び飛行の取締緩和に関する覚書」により米軍機の有利が保障される。これに応じ政府は「航空機の出入国等に関する政令」を制定する。米軍機は適用除外で航空庁(運輸省航空局)の許可が不要となった。
<4.継続する米軍特権>
・1951年9月8日対日講和条約/日米安保条約が調印され、翌年2月28日日米行政協定(地位協定)も結ばれ、4月28日発効となる。占領が終わったので米軍特権を認める「指令第2号」や緊急勅令やそれに基づく勅令・政令は無効となる。ところが占領軍から駐留軍に名前を変えても、その特権は不可欠だ。そのため「占領管理法体系」は「安保法体系」(安保条約-行政協定-安保特例法・特別法)として継続される。因みに安保特例法・特別法とは、国有財産管理法/土地等使用特別措置法/航空法特例法/道路運送法等特例法/刑事特別法(※詳細省略)など、行政協定に伴う特例法・特別法(計17)を指す。
・行政協定の第25条(※以下第25条)で「基地の提供は日本政府が行い、米国政府に負担を掛けない」となる。これを受け「国有財産管理法」が制定され、国有の土地・建物が「調達要求書」により無償で提供される。これにより「占領管理法体系」から「安保法体系」に替わっても特権は継続される。
・民有地の場合、政府が使用権を取得し、米軍に提供する。占領時代は「土地工作物使用令」が適用されたが、「安保法体系」になり「土地等使用特別措置法」に切り替わる(※詳細省略)。この特別措置法は、立川基地の拡張計画での砂川町の土地強制収用で発動される。同様に沖縄でも使われる。こうして見ると、「指令第2号」「日本に於ける物質調達に関する覚書」「土地工作物使用令」「第25条」「国有財産管理法」「土地等使用特別措置法」は一連となり、占領後も米軍特権を保障している。
<5.特別扱いは続く>
・第25条で、「日本が負担すべきもの」以外は米国が負担する。日本の負担は、①土地の借り上げ料と補償費、②米軍の輸送業務と米軍が必要とする物資の費用(年1.55億ドル)。「占領管理法体系」では日本が全額負担していたが、第25条によりかなりの部分の負担に変わる。1960年安保改定で規定②はなくなるが、「思いやり予算」として負担している。
・行政協定の第9条により米軍人は出入国管理と外国人登録から除外される。米軍航空機も入国・退去・通過・飛行などの規定から除外される(※詳細省略)。
<6.日米合同委員会>
・「安保法体系」は米軍特権を継承した。その要の行政協定は、基地の排他的管理権、国有地の無償提供、民有地の政府負担による提供、米軍の自由な出入国、税金の免除、電気・水道などの利用優先権などを保障した(※簡略化)。基地からの汚染や流れ弾事故が起きても日本は調査できない。米軍人・軍属による犯罪も第1次裁判権はない。
・これらを強固にしているのが「日米合同委員会」だ。日本代表は外務省北米局長、代表代理は法務省大臣官房長/農林水産省経営局長/防衛省地方協力局長/外務省北米局参事官/財務省大臣官房審議官。米国代表は在日米軍司令部副司令官、代表代理は在日米大使館公使/在日米軍司令部第5部長/在日米陸軍司令部参謀長/在日米空軍司令部副司令官/在日米海軍司令部参謀長/在日米海兵隊基地司令部参謀長。この13名(※日本6名、米国7名)で構成される。その下に施設・財務・労働・出入国・通信・民間航空・刑事裁判管轄権・環境などの分科委員会があり、実務的な協議をする(※詳細省略)。
・米国は自由に基地を設置できる「全土基地方式」を採る。基地拡張などは日米合同委員会で決定され、閣議で形式的に決定され、国会承認は不要だ。日米合同委員会の合意は原則非公開だ(※機密文書の有無が問題になるが、密約があるのが当たり前か)。米軍機墜落事故が起きても米国は情報提供しなくて良い(民事裁判権密約)。米軍人・軍属が犯罪しても日本に裁判権はない(裁判権放棄密約、身柄引き渡し密約)。首都圏の横田空域の航空管制は米軍に委任される(航空管制委任密約)。米軍機の飛行は公表されない(米軍機情報隠蔽密約)などがある。密約の全貌は定かでなく、「密約体系」と言える。
<7.米国的占領>
・「安保法体系」「密約体系」は「占領管理法体系」での米軍特権を維持・拡大している。「安保法体系」「密約体系」は表裏一体となり「憲法体系」を浸蝕する。米軍特権の保障により、出入国管理権・関税自主権・刑事裁判管轄権など国家主権が制限されている。憲法学者の長谷川正安が「憲法には軍に関する条文がない。そのため軍の機密や軍人の権利・義務に関する法令もない。ところが安保条約・行政協定によりこれらに関する特別法が存在する。憲法体系と安保法体系は相容れないものだ」と述べている。そして「安保法体系」が「占領管理法体系」の延長であることから、「米国的占領は事実上だけでなく、法律的にも終わっていない」と述べる。さらに「日本は独立国でも非占領国でもなく従属国」と述べる。
・この米国の目的は、世界的な基地ネットワークに在日米軍基地も組み込み、自国の戦略に応じ武力による威嚇・行使を可能にするためだ。実際米国は朝鮮戦争/ベトナム戦争/湾岸戦争/アフガニスタン攻撃/イラク戦争などで在日米軍基地を利用している。日本は飛行訓練を容認し、基地に莫大な支援をして、米国の戦争に加担している。
<8.軍事同盟強化>
・21世紀に入り自衛隊を米軍の補完戦力に組み込む米日軍事一体化が進められる。「日米安全保障共同宣言」(安保再定義、1996年)、「日米同盟・未来のための変革と再編」(2005年)、「日米防衛協力のための指針」(新旧ガイドライン、1978・1997・2015年)で進められ、2015年集団的自衛権を盛り込んだ安保法制が成立する。これらにより極東に限らず世界規模で自衛隊が米軍と連携する軍事同盟になった。
・第2次安倍政権で軍事予算は増え続け、敵基地攻撃能力も強化される。安保法制により米軍の輸送/弾薬提供/燃料補給/装備の整備/基地建設/通信/治療/米軍防護などが可能になり、戦闘に巻き込まれる可能性が高まった。
・既に自衛隊はインド洋派遣/イラン派遣の実績がある(※詳細省略)。自衛隊は米軍と実戦的な訓練も行っている。自衛隊も米軍も南西諸島へのミサイル配備を進めている。これらは米国の戦争への加担を一層強めた。台湾有事になり米軍が在日米軍基地から出撃すると、それらは中国のミサイルの標的になる。この時「安保法体系」+「密約体系」がフルに活用される。日本人はこの実態を直視すべきだ。
第4章 国際情勢の変容と日本の針路 末浪靖司
・日本は米国に従属し、その世界戦略に組み入れられている。米軍は日本を訓練場としているため燃料タンクの落下事件などが起こるが、政府は抗議しない。それどころか税金をつぎ込んでいる。また米軍司令官が指揮し、日米両軍が一体となって戦争する体制が整いつつある。米国はベトナム戦争/イラク戦争/アフガニスタン戦争などの戦争をしたが、いずれも撤退した。その間中国は新自由主義で急速に発展し、2020年代にGDPで米国を追い越すとされる。そんな中日本は何を選択すべきか。
<1.世界の憲兵>
・国際情勢が変容している。米軍は最新鋭の兵器でイスラム武装組織タリバンと戦ったが撤退した。
○対テロ戦争
・米国はベトナムで民族自決権を踏みにじって戦うが撤退した。この教訓があるのに、アフガニスタンで繰り返した。このアフガニスタン戦争は「世界の憲兵」として中東で20世紀末から続けられた戦争の継続だ。1990年イラクと湾岸戦争を戦った。これはソ連・東欧の崩壊と同じ時期に行われた。これまでは「共産主義から世界を守る」が理由だったが、新たな理由を必要とするため「イラクは大量破壊兵器を隠している」とした。ところが本当の目的は大量の原油埋蔵量がある中東の支配権の把握にあった。
○女性・子供が犠牲に
・米国が中東で最も敵対するのはイランだ。トランプ政権はソレイマニ・イラン革命軍司令官を殺害したり、イラン船舶を爆破するなど、無法ぶりを示した(※昨年バンカーバスターでイラン核施設を攻撃し、今年はイスラエルに誘導され大規模の攻撃を行なっている)。米国は軍産複合体のため敵対国が必要なのだ。
・米国はシリアでは「過激派掃討作戦」として空爆を続けている(※アサド政権が反体制派を空爆していたのは記憶にあるが、これは認識していなかった。シリアにはISILなどの武装勢力も存在したが、それが標的かな)。イエメンでもサウジアラビア/アラブ首長国連邦などと共に空爆を行っている(サウジ軍だけでなく米軍も行っているのかな)。
<2.核兵器禁止と大国の抵抗>
・核兵器の禁止・廃絶を求める国際世論が拡大している。2017年「核兵器禁止条約」が国連で採択され、2021年発効した。2021年末128ヵ国が賛成、59ヵ国が批准している。この条約により核保有国は国際条約の違反者になった。日本は米国に追従し調印していない。
○中国が核保有大国に
・冷戦期米ソは核開発・保有で競った。今はロシアが6500発、米国が6185発を保有する。そして中国が急速に増やし、350発を保有する。さらに音速の5倍以上で飛び、米国のミサイル防衛(MD)をかいくぐる大陸間弾道ミサイルを開発した。米ロ間では核兵器制限交渉が行なわれているが、米中間にはない。国防総省は中国は2030年までに1000発の核弾頭を持つとした。米ロの核軍拡競争に中国が加わり、核兵器廃絶は複雑化した。
○地球温暖化防止
・核戦争と共に危機なのが二酸化炭素(CO₂)による地球温暖化の気候変動だ。CO₂排出量は中国28%、米国15%となっており、両国に重大な責任がある。中国は再生可能エネルギー(風力、太陽光)に力を入れ、その発電量は890ギガワットで世界の32%に及ぶ。経済発展した国は2030年までに半減、2050年までにゼロにする計画だが、米中はゼロにする時期を明確にしていない(※米国はパリ協定から離脱した)。
<3.軍事同盟>
・第2次世界大戦後米国は最強国になり、多くの国と軍事同盟を結び、世界に基地を設けた。これは各国を米国の世界戦略に動員するためだ。
○多くの軍事同盟は消えた
・米国は北大西洋条約機構(NATO)/中央条約機構(METO)/東南アジア条約機構(SEATO)/日米安保条約/米比相互防衛条約/米台相互防衛条約/米韓相互防衛条約/アンザス条約機構(ANZUS)などの軍事同盟を結んだ(※世界各地域に存在したんだ)。だが今はNATO/日米安保条約/米韓安保条約/ANZUSしか残っていない。ソ連が主導した中ソ同盟は1950年代に、ワルシャワ条約機構はソ連・東欧の崩壊で消滅した。1970年代中ソが対立し、1972年ニクソン米大統領が中国・ソ連を訪問する。この目的はベトナム戦争に集中するためだった。
○各国が自主的立場を強める
・中国が米国に接近したのは、ソ連の対米融和と自国の経済破綻による。中国は1966年からの「文化革命」で大混乱になり、1978年「市場経済」を取り入れ、西側と協調し始める。ソ連も経済路線を転換するが、1991年解体し、東西冷戦は終結する。ここで軍事同盟の存在理由は失われるが、米国は国際秩序の安定のため、「世界の憲兵」になるとした。イラクがクウェートに侵略した湾岸危機で、米国の軍事力を正当化した。さらに1990年代後半ユーゴ・コソボ紛争にNATO軍と共に介入する。
・ところが21世紀に入ると、米国の戦争に参加しても自国の利益にならない事が認識され、各国が自主的立場を強める(※世界で戦争したいのは米国・イスラエル・ロシアだけかな)。QUAD(日米豪印)/AUKAS(米英豪)はANZUSからニュージーランドが抜けた米豪軍事同盟で、中国が影響力を強めるアジア太平洋における米国の影響力の保持が目的だ。ただし米軍を駐留させない準軍事同盟だ。
<4.米中覇権争い>
・2020年代になり「米中覇権争い」が加わる。中国は「一帯一路」により東南アジア・アフリカ・中南米と関係を深める。GDPは世界2位になり、世界各国に資本を輸出する。これは欧米資本主義と共通する。
○米中競争
・2001年中国は世界貿易機関(WTO)に加入し、国内市場を開放し多国籍企業を誘致し、資本・技術を吸収する。これは国家権力の下で行なわれ、企業と中央・地方の癒着が見られる。中国経済は1950・60年代「大躍進」「調整政策」「文化革命」で混乱する。1970年代に市場経済を取り入れ、1990年代に欧米資本を導入し発展する。この体制は利潤追求を動力とする。そのため経済学もマルクス経済学から新自由経済学に転換させた(※詳細省略)。従って米中対立は体制を掛けたものでなく、両国関係は対立ではなく「競争」だ。
○アラビア半島
・米中の「競争」はアラビア半島でも見られる。アラビア半島は米国の独壇場だったが、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアの首脳が北京を訪れ、中国の投資で合意している。両国は「アラブの春」の民主主義運動を破壊した。また米国と有志連合はイエメンの革命政権への爆撃を続けている。
<5.民主主義をめぐる米中攻防>
・民主主義をめぐっても米中の論争が激しい。2021年バイデンは「民主主義サミット」を開き、「民主主義国家と専制主義国家の対立」を鮮明にした。米国は二大政党制で少数意見は反映されず、軍産複合体が支配する。格差は拡大し、上位10%が金融資産の90%を保有する。「民主主義サミット」と同じ時期、習主席は「国際人権フォーラム」を開き、「各国民は国情に合った人権を発展させる権利がある」と述べる。
・その前のブッシュ/オバマ政権では米中の対立は見られず、この対立が始まったのはバイデン-習主席になってからだ。これは中国が台頭したからだが、米ソ対立の様に体制を掛けたものではなく、多くの利益を共有する「競争」だ。
○広がる民主主義抑圧
・中国は「一国二制度」の公約を破り香港の自治を破壊し、新疆ウイグル自治区で少数民族を抑圧する。政府に異議を唱える者は拘束・裁判となる(※詳細省略)。一方民主主義を求めた人を殺戮した「天安門事件」は正しいとする。中国は1953年/1982年に憲法を制定し、共に「言論・出版・集会・結社・行進・示唆の自由」を認める。しかし前者では「反右派闘争」「文化大革命」、後者では「天安門事件」で民主化が圧殺された。それでも胡錦涛政権では民主化が図られた(※詳細省略。2012年11月党総書記は習近平に交代)。
・1948年国連で「世界人権宣言」が採択され、「全ての人は表現の自由を有する」(第19条)とある。1966年「国際人権規約」でも「思想・良心・宗教の自由」(第18条)「表現の自由」(第19条)が保障される。日本は中国での人権・民主主義抑圧を軍事同盟強化・軍備増強に利用している。
○民主主義の探求
・世界で独裁政治が増えているが、2021年中国は白書「中国の民主主義」でこれを普遍的とした。ここにおいてアメリカ独立宣言/フランス人権宣言などの根本に立ち返り議論する必要がある。※ミャンマーを詳述しているが省略。
○台湾海峡紛争
・台湾海峡問題は大きな問題だ。中国は台湾海峡で実践的な訓練を繰り返している。中国では人権・民主主義が抑圧されるが、台湾では選挙により政権が交代し、民主主義が機能している。中国が台湾に軍事的圧力を掛ける程、民心は西側に傾く。台湾はF16戦闘機を購入し、米軍人が駐留するなど、米国の覇権主義に利用されている。台湾海峡問題は日米軍事同盟にも利用されている。
○米中対立の実態
・2021年11月バイデンと習主席がオンライン会談する。中国メディアは両国を巨船に例え、「衝突しないように運航する事が必要」とする。バイデンはオバマ政権の副大統領として何度も訪中し、中国首脳部と親密だ。この関係から、米中は激しく競争するが、利害を共有している。
○米中関係を歴史的に見る
・米中は中華人民共和国の誕生直後に激しく対立し、朝鮮戦争など1950・60年代は激しく対立した。1972年ニクソン訪中で対立は終わり、1979年国交が回復する。その後クリントン/オバマ訪中、鄧小平/胡錦涛訪米などで関係は強固になる。これにより中国は2020年代にもGDPで米国を追い越すと言われるほど発展した。
・各国が大国に依存せず、自主的に発展する動きが見られる。1976年インドネシア/マレーシア/フィリピン/シンガポール/タイが「東南アジア友好協力条約」(TAC)を結ぶ(※1967年設立の東南アジア諸国連合(ASEAN)と初期加盟国は同じ)。日本/米国/ロシア/中国なども参加し、28ヵ国になっている(※現時点59ヵ国。知らなかったが、国家主権を認める条約かな)。
<6.日本の針路>
○国際情勢の進展を相容れない
・日本の占領軍は駐留軍と名前を変え今も居座り、規模は世界最大だ。日米両軍は実践的な訓練を行い、世界でどんな戦争をするつもりなのか。米中対立は「新冷戦」と言われ、「米中の軍事・経済対立を煽り、国際社会を対決構造に陥らせる罠」とされる。2021年11月、12日間の「自衛隊統合演習」が行われた。これは有事に米軍と共に中国軍を東シナ海・南シナ海に封じ込める演習だ(※詳細省略)。
○アジア侵略の教訓
・台湾有事になると米軍・台湾軍が中国軍と戦い、自衛隊も参戦すると言われる。これにより英軍なども含めた共同演習が増えている。安倍首相は「台湾有事は日本有事」と言い、麻生副総裁などは「存立危機事態」「重要影響事態」として「台湾防衛」「米軍後方支援」を主張する。
・台湾の歴史を見れば、これが誤りと分かる。日本は日清戦争に勝利し台湾を奪い、占領支配した(1895~1945年)。米英中首脳によるカイロ宣言で清国から奪った地域は返還されるとなる。もし日本が台湾に出動すると、「再侵略」となる。この歴史的事実から、自衛隊の参戦は通じない。米軍は朝鮮戦争で粗末な兵器しか持たない中国軍に勝てなかった。今や中国は経済的・軍事的に強化され、米軍・自衛隊は壊滅的な打撃を受けるだろう。
○国民は海外派兵に反対
・この議論の背景は、米国が自衛隊の海外派兵を要求しているからだ。2003年イラク戦争で自衛隊は米兵をクウェートからイラクに輸送し、イラクのサマワに駐留し米軍を後方支援した。自衛隊が海外派遣されるのは日米安保条約・第4条の密約による(※第4条は協議の継続かな)。多くの国民は戦争放棄/戦力不保持を大事と考え、自衛隊の海外派兵に反対してきた。憲法第9条「戦争放棄」第98条「条約・国際規範の遵守」は憲法の基本原理だ。これは2つの世界大戦で獲得した「平和確保のための規範」だ。日本は「平和の道」「戦争の道」の何れを進むか問われている。
第5章 沖縄問題は人権問題 新垣毅
・2021年11月岸田首相は人権問題の首相補佐官に中谷元を起用する。中谷氏は「人権外交を超党派で考える議員連盟」の共同代表だ。2015年8月防衛相だった彼は普天間基地の辺野古移設で翁長沖縄県知事/稲嶺名護市長と会談し、「あなた方は沖縄を領土としてしか見ていない。140万人の県民が生活している」と批判される。知事は県外・国外移設を求めるが、彼は「力の空白は作らない」「ミサイル防衛を強化する」と述べる。会談後知事は「県民への思いや歴史に対する認識ではなく、日本の防衛に沖縄が必要との説明だった」と述べる。
・沖縄問題を安全保障の問題と勘違いしている人は多い。彼らは「抑止力を重視した上で、沖縄の負担を軽減する」と語る。しかし辺野古移設は機能強化・負担増で、日米政府による押し付けだ。沖縄の面積は日本の0.6%なのに米軍施設の7割が存在し、事故が繰り返されている。沖縄問題は人権問題だ。沖縄に基地を押し付けるのではなく、「脅威」は外交努力で取り除くべきで、これは政治放棄だ。
・日本には男女格差/在日韓国・朝鮮人/アイヌ/性的少数者などの人権問題がある。米国にも有色人種への差別がある。岸田政権・バイデン政権が人権外交を掲げるなら、国内問題の解決もセットにすべきだ。沖縄の民意を無視するなら、中国の新疆ウイグル問題/チベット問題を批判する資格はない。
<1.屋良建議書>
・2022年5月沖縄は復帰50年となる。経済は発展したが、所得格差は大きい。変わらないのは、米軍基地に対する県民の意思を政府は足蹴にし続けている。これを象徴するのが、復帰の議論をしていた時、屋良琉球主席が政府に直訴した「屋良建議書」(※以下建議書)だ。彼は「基地の存続は県民の願いと相反する」とした。復帰運動を進めた「沖縄祖国復帰協議会」も「復帰は当然だが、基地存続は納得できない」とした。日米共同声明に抗議する大会に2万人が参加した。※この話は知らなかった。復帰前から論争があったのか。
・1971年10月屋良主席は復帰関連7法案の点検を職員に命じる。最終的に「復帰措置に関する建議書」(132ページ)を作成する。地方自治/反戦平和/基本的人権/県民本位/基地撤去を基本理念とし、新しい県作りを盛り込んだ。政府法案では振興開発計画の策定権は国になっていたが、建議書は「計画に地域住民の総意を盛り込む」「国は地方自治体の計画を財政的に裏付ける責務を負う」とした。さらに「基地は人権を侵害し、生活を破壊する悪の根源」とし、撤去を要求した。※復帰前から様々な問題があったのかな。
・1971年11月衆院沖縄返還協定特別委員会は返還協定を強行採決する。沖縄選出の2議員の質問は封じられた(※詳細省略)。屋良主席は建議書を国会に提出するため羽田空港に向かったが、その前に採決された。この状況は今も変わっていない。沖縄の意思は無視され、日米政府が基地を沖縄に押し付けている。
<2.植民地主義と自己決定権>
・この構造的差別から、沖縄の自立論・独立論が議論されている。近年特に議論されるのが「自己決定権」だ。これは植民地主義に対抗する概念で、国際法で規定されている(※台湾独立でも話題になるな)。国は「国防」の名の下に沖縄を道具扱いし、県民の人権を犠牲にしている。これが「植民地主義」だ。この植民地主義から解放する権利が自己決定権だ。国際人権規約の第1条に自己決定権のA規約(社会権)/B規約(自由権)が規定されている。前者は社会主義国の人権で、後者は自由主義国の人権だ(※詳細省略。この辺は知らなかった)。
・沖縄では「基地をなくしたい」「基地を減らしたい」が無視され、レイプ・放火などの事件が繰り返される。これらは人権問題で、国際法からも見て取れる。
・2015年翁長知事が国連人権理事会総会で演説する。「辺野古新基地建設は県民に同意されていない」と主張し、「沖縄県民は自己決定権を蔑ろにされている」と世界に訴えた。普天間飛行場についても「自ら土地を提供したのではない」と述べた。これらの主張は玉城知事/オール沖縄にも引き継がれている。
<3.自己決定権として県民投票>
・2019年2月辺野古新基地の埋立の県民投票が行われる。反対72%、賛成19%となった(※投票率52.5%)。反対票が有権者の1/4を越え、首相と米大統領への通知は義務となった。1996年在沖米軍基地の整理・縮小を問う県民投票が行われたが、特定基地の賛否を問うのは初めてだ。しかし安倍首相の対応は冷ややかで、岩屋防衛相は「一部に反対意見がある」「あらかじめ事案の継続は決めていた」と国会答弁する。※投票率に関する詳しい解説があるが省略。
・この対応は住民投票制度自体の否定だ。これに国民は怒るべきだが、それが伝わってこない。さらに岩屋防衛相は「沖縄には沖縄の、国には国の民主主義がある」と発言する。彼は沖縄を日本と思っていないのか。これこそ植民地主義だ。国民は民意を傷付ける発言・対応を黙認してはいけない。野村浩也教授は「差別が制度化されている。この植民地主義を国民が無意識に支えている」と述べる。
<4.有事の基地負担>
・沖縄の基地負担は有事と平時に分かれる。有事になると基地が存在するため敵の標的になる。基地が強化されると益々狙われるため、基地強化は沖縄の負担増だ。普天間新基地は弾薬庫と軍港が整備されるため基地強化だ。政府の沖縄の負担軽減策は主に基地面積の減少だ。それでも沖縄の基地面責が全国の73.8%が73.1%に減るだけだ。首相は何度も「沖縄の基地負担軽減に取り組む」と発言してきたが、抑止力を維持するため、県内の基地を整理・統合しているだけだ。
<5.平時の基地負担>
・平時の基地負担には、殺人・レイプ、放火、ひき逃げなどの事件・事故、米軍機の墜落・部品落下、騒音、環境破壊がある。事件・事故・出来事が起きると問題になるのが、米軍特権を与え、米軍運用を最優先する地位協定だ。例えば米兵・軍属が事件を起こしても身柄が米側にあると、日本に引き渡されない。米軍関係者は地位協定で守られているため、これが犯罪の温床になっている。そのため沖縄はこの改定を強く求めている。
・これに対する政府の対応はどうか。2016年米軍属女性暴行殺害事件が起き、翌年地位協定が身分保障する軍属が明確化される(補足協定)。政府はこれを画期的とし、軍属が減るとしたが実際は増えた(※詳細省略)。
・政府は抜本的改定を考えていない。一方沖縄県は刑事裁判手続き/基地内の環境汚染対策など11項目の改定案を作成する。米軍機による事故が多発するが、日本は捜査できず、米軍の報告を丸呑みするしかない(※詳細省略)。1960年締結以来、地位協定は改定されておらず、対米従属が明白だ。北朝鮮のミサイル開発や中国の軍事的台頭がそれを深化させている。沖縄の基地は強化され、米軍・自衛隊の訓練は激化している(※詳細省略)。
・対米従属の問題に泡消火剤に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)による垂れ流し事故がある。米軍が同意していないため公表されない(※詳述しているが省略)。2015年環境に関する「補足協定」が締結されたが、調査も公表も米軍の同意が必要になる。これも補足協定が足枷になっている。ドイツでは駐留米軍を無許可で調査できる。沖縄では新型コロナも米軍由来で爆発的に感染した(※私も岩国基地が近いので2020年3月初旬に感染した)。米軍関係者は自由に基地を出入りできるので、日本は何の対応もできなかった。沖縄は「同盟」の名の下、命・人権・環境が犠牲になっている。これは従属であり、その付けを沖縄が払っている。
<6.愁眉の沖縄と日本の危機>
・沖縄で事件・事故が起きるたびに政府と県が対峙する。1995年少女輪姦事件以後は特に顕著だ。時には裁判に発展し、大田元知事・翁長前知事・玉城知事が争ってきた。これは憲法・地方自治法の権利を主張するものだが、司法は悉くこれを退けてきた(※統治行為論かな)。2019年ロシア大統領府が「米国が中距離弾道ミサイルを日本全土に配備する計画がある」と発表する。このミサイルは核搭載が可能で、十数分で標的に到達し、迎撃は難しい。これを双方が打ち合うと甚大な犠牲が出る。
・1987年「中距離核戦力全廃条約」(INF条約)が締結されるが、2019年破棄されている。ミサイルが配備されると日本は核戦争の最前線になる。日本には非核三原則があるが、米国は核の所在を明らかにしない。地位協定もあり、日本は核持ち込みの検証ができない。復帰前(1972年)沖縄には1300発の核が配備されていた。ミサイルが配備され有事になれば、1945年沖縄戦を超える犠牲が出る。
・政府は地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を撤回し、敵基地攻撃能力を採用しようとしている。これは上記計画と親和性が高い。米国は既に計画の予算を計上している。敵基地攻撃能力を保有すると専守防衛は形骸化し、憲法に反する事になる。これまでは米国が矛、日本は盾だったが、日本も矛を持つ事になる。日本にミサイルが配備されると、それは中ロのミサイルの標的になり、日本列島が核戦争の最前線になる。
<7.人間の安全保障と対米自立>
・今の世界情勢を見ると「政治の不在」を感じる。コロナ禍で人類は疲弊し、対立ではなく協調を求めている。コロナに打ち勝つには戦争・紛争・衝突を回避し、連携する必要がある。米ソ冷戦を終結させたゴルバチョフは「人間の安全保障」を掲げ、世界の連携を呼び掛けている。そしてそれを発信する拠点を沖縄とした。「人間の安全保障」とは、人の命・人権を最優先させる考え方だ。そのためテーマは、貧困・差別/格差/気候変動/軍縮などに亘る。これらが沖縄で議論されれば、沖縄での人権侵害や環境破壊が可視化される(※木村朗も沖縄を国際平和都市にと述べていた)。そうなれば対米従属の付けの沖縄への集中が解消される。日本が自立するには、国民・政治家・知識人・ジャーナリストが沖縄問題は人権問題と気付くかに掛かっている。政府が「人間の安全保障」に真に向き合い、核軍縮に参加し、米中対立の緩衝地帯として紛争回避の道を進めば、対米自立を成せる。
第6章 米製兵器の爆買い 望月衣塑子
<1.防衛費5.4兆円、8年連続過去最大>
・2012年第2次安倍政権(2012年12月~2020年9月)以降、防衛費が拡大している。2022年度予算(岸田政権)で防衛費は5.4兆円で8年連続過去最大となった(※内容は省略)。高額装備品を分割して支払う「後年度負担」(兵器ローン制度)は12%増の2.9兆円で、残高は5.8兆円を超えた(※後述しているが、補正予算を充てているのか)。米製兵器の多くは「対外有償軍事援助」(FMS)で契約される。これは米国が有利な条件で価格・納期が決まる。これにより防衛費が押し上げられている。
・従来は5ヵ年の「中期防衛力整備計画」に沿って予算を計上した。ところが防衛費が急増したため、補正予算をローン返済に充てている。2019年度の防衛省補正予算は4287億円で、その87%が兵器ローンの支払いだ。2010年度まで防衛省補正予算が1千億円を超える事はなかった。
<2.バイ・アメリカ>
・なぜ日本はローンをしてまで米製兵器を買うのか。これにトランプ大統領の存在がある。防衛省の装備品の調達先は2012~14年度は三菱重工業が1位だった。ところが2017年度以降は米政府が1位になる。2020年度は米政府4282億円、三菱重工業3102億円だ。これはトランプによる貿易赤字解消が原因だ(※関税にも触れているが省略)。これに政府はF35の「爆買い」などで対応した。
<3.米軍との一体化>
・トランプの要求はこれに留まらない。2019年5月安倍首相とトランプは横須賀基地の護衛艦「かが」を視察する。これは日米の軍事面の一体化を示す。トランプは「日本は様々な地域での紛争に対応してくれる」「この護衛艦はステルス戦闘機の搭載が可能になる」「日本は最も多くのF35を保有する国になる」と述べる。安倍首相も「かがは地域の平和と安定に寄与する」「日米同盟はこれまでになく強固になった」と述べる。
・この対応は日本に大きな負担になる。「中期防衛力整備計画」(2019~23年度)でF35を105機購入し、147機体制になる。それまでの42機体制だと30年運用で総額約1.3兆円の維持費が掛かるが、147機体制だと総額約4.5兆円の維持費が必要になる。また新たに購入するF35BはF35Aより維持費が掛かるとされる。
<4.優先すべき支出>
・そもそも「これらは国防に必要なのか」「ちゃんと使えるのか」の疑問がある。かつて購入した水陸両用車「AAV7」は時代遅れの代物だった。防衛省関係者からは「装備より優先すべき支出がある」「大事なのは人材」「隊舎を改善して欲しい」などの声がある。
・2020年安倍首相は辞任し、菅首相が安倍路線を継承する。2021年度予算でいずも型護衛艦の空母化が計上される。そうなれば戦場で「いずも」で米軍F35Bの発着が可能になる。実際その発着試験が行われた。
<5.イージス・アショアの見送り>
・2019年度に契約予定だった地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」は中止になる。イージス・アショアは秋田と山口に配備する計画だった。価格は2基で2352億円(5年払い)で運用費を含めると6985億円だった。2020年6月河野防衛相により計画の中止が発表される。理由として「ブースターを演習場内に落下させるのが困難」と説明する。秋田県知事・山口県知事は政府に不信感を示した。
<6.価格値上げと輸出>
・FMSによる米製兵器の購入価格は米国が決める。(※価格高騰を自衛隊機で説明しているが省略)。財務省は価格高騰を「原材料費の高騰と為替の変動」とするが、防衛省関係者は「契約担当者は値上げを把握していない。財務省も価格の検証ができていない」と話す。一方米国のプロジェクト管理は厳格で、プロジェクト継続は議会の承認が必要になる。ところが日本は自動継続で、中止する場合は防衛相が判断する。
・日本が防衛装備品を輸出する動きもある。「武器輸出三原則」により殺傷能力がある武器は輸出できなかった。「防衛装備移転三原則」は輸出は、救難・輸送・警戒・監視・掃海に限定している。しかし「共同開発」による技術移転(輸出)は可能で、2021年インドネシアとフリゲート艦を共同生産する交渉を始めた。
<7.中国の台頭とゲームチェンジャー>
・安全保障での革新技術を「ゲームチェンジャー」と言う。その1つが「極超音速ミサイル」だ。このミサイルはイージス艦からの迎撃ミサイルや地上配備型迎撃システム「PAC3」の迎撃ミサイルを無力化する。このミサイルを各国が開発しているが(※詳細説明しているが省略)、中国の開発状況が緊張を高めている。これまでは米ロ間で戦略的対話が行なわれてきたが、米中間でも求められる。
<8.爆買いからの転換>
・東南アジア・太平洋では中国と西側の緊張が高まっている。1999年時点米国は西太平洋に空母1隻/強襲揚力艦4隻を保持していたが、今は中国は空母2隻、潜水艦・強襲揚力艦でも米国を上回る(※強襲揚陸艦では)。2021年前米インド太平洋軍司令官が、中国の台湾侵攻に言及する。台湾の防空識別圏では、ほぼ毎日中国軍機が確認されている。
・3年後には中国の影響力は西太平洋全域に広がり、米中のバランスは変化する。円の価値が低下し、日本の武器爆買いも難しくなる。米国一強が前提の防衛戦略も難しくなる。最小の負担で最大の利益を生むための議論が必要だ。日本には武器がある。憲法9条を柱にした「戦争しない国」「核兵器を持たない国」と言う信用力だ。対話をベースにした独自の外交路線を磨くべきだ。
第7章 米国隷属国家 与那覇恵子
<1.米国隷属国家>
○改憲論議
・「日本は米国隷属国家」と言われる。これに反論できる人はいないだろう。これは唯一の被爆国が核拡散防止条約に批准しない事から説明できる。また「日本国憲法より日米地位協定が上位にあり、国会より日米合同委員会が上位にある」からも説明できる。
・昨年(2021年)衆議院選挙で自民党261議席/公明党32議席/日本維新の会41議席/国民民主党11議席となり、改憲勢力が3/4となった。世論調査でも改憲必要33%/不要20%となった(1992年は、必要35%/不要42%)。自民党の改憲案は9条への自衛隊の明記と緊急事態条項の追加で、「戦争のできる国」にする事だ。世論調査でも9条改正の意識が高まりつつある。
・2021年国民投票法が改正され、改憲議論がないまま手段が決定された。安倍首相は改憲理由を「米国から押し付けられた憲法」(憲法押し付け論)としているが、彼らこそ米国追従している。
○改憲も米国隷属
・「憲法押し付け論」だと、本当に「押し付けか」が問われる。当時の日本人は嫌戦気分で、平和憲法を歓迎した。戦後直後の対日政策は「非軍事化」だったが、やがて「再軍備」に変わる。1951年吉田ダレス会談で、米国が要求する「国防省創設」「地上部隊拡大」「憲法改正」は断るが、「米軍の要求には応じる」となる(※そこまで要求していたとは知らなかった)。
・また「独自性」も問われるべきだ。自民党改憲案での国民の権利・自由の制限と政権強化は、安倍・菅政権での諸問題(モリカケ問題、公文書偽造、学術会議介入など)や制定された法律(安保関連法、共謀罪、土地規制法など)と共通する特徴がある。軍事面は集団的自衛権容認/自衛隊明記から、吉田首相の「米軍の要求には応じる」や「憲法より日米安全保障条約が上位、国会より米国軍人が出席する日米合同委員会が上位」が堅持される。これは日本防衛と言うより、米国主導の戦争に自衛隊を使うためだ。
・つまり「憲法押し付け論」を理由とした改憲論は矛盾しており、改憲は米国隷属を継続させるかが問われている。
○米国隷属の根源
・日米合同委員会/日米地位協定は米国隷属の証拠だ。この委員会は毎月2回開かれ、日米地位協定の運用を決める。米国は在日米軍トップが出席するため、米国隷属は正しくは「米軍隷属」だ。
・米国は軍産共同体で、米国中央情報局(CIA)も含めた軍関係者の影響が大きい。そのため対話を基礎とする「平和外交」ではなく、戦争を前提とする「武力外交」が主流だ。例えば沖縄の返還時に諜報機関が深く関わっている。国務省は「沖縄は非軍事化して返還」と考えていたが、軍部は「沖縄を米国の軍事基地にすべき」と考えていた。この時CIAが「沖縄は米国が防衛・攻撃する際に地理的優位性を持つ」とする報告書を提出し、陸海空軍/国務省の諜報機関が賛同した。この影響力は今も継続している。※北村滋が国防総省から特別功労賞を授与された話は省略。
・米国隷属の根源は日米合同委員会だ。この委員会で多くの密約が交わされ、憲法が空洞化されている。サンフランシスコ講和条約と共に日米安全保障条約/日米地位協定が結ばれ、日米合同委員会が設置された。これが米国隷属の基本構成だ。これにより日本は永続的な敗戦国になっている。ドイツ/イタリアに似た委員会はなく、米軍特権もない。
<2.安倍・麻生政治>
○政治的・社会的問題
・米国隷属国家日本の将来をさらに暗くしているのが安倍・麻生政権下での政治的・社会的問題だ。これを岸田政権も引き継いでいる。安倍・麻生政権の特徴を以下に纏める。
(1)法案に見る負のレガシー
・教育基本法改正(2006年)/教育改革関連三法(2009年)/特別秘密保護法(2013年)/武器輸出禁止の原則廃止(2013年)/安全保障関連法(2015年)/軍事的研究への資金援助(2015年)/共謀罪(2017年)/主要農作物種子法廃止(2017年)/働き方改革法(2018年)/土地利用規制法(2021年)など23例ある(※内容省略)。制定された法律は修正が難しいので、今後に大きく影響する。
(2)民主国家・法治国家の崩壊
・法律の曲解・空洞化も行なわれた。改憲案の緊急事態条項に政府権限集中/国民の私権制限規定を盛り込んだ。これはナチスの全権委任法と同様の国家安全保障基本法で法の下剋上を行なった(※国家安全保障基本法は未成立)。辺野古新基地建設では沖縄防衛局が珊瑚移植許可を取り消した県に対し行政不服審査法を使い、国の意向を押し通し、知事処分を取り消した。裁量労働制導入では基本データを改竄した。森友・加計問題でも公文書を改竄した。
・鳩山政権(2010年)で「報道の自由度」は11位だったが、安倍政権(2016年)で72位に低下する。法律制定では強行採決が繰り返され、論議が尽くされていない/前代未聞の事態/異常な事となる。しかし森友・加計問題直後の選挙で与党が勝利する。
(3)政治の私物化
・モリカケ問題や山口敬之による性的暴行事件での逮捕状執行停止など「政治の私物化」が見られた。これは司法やメディアにも及んだ。その結果権力に忖度する人物が登用・昇進し、「忖度社会」が促進された(※詳細省略)。これは国家の独裁化を促す。
(4)知性・モラルの劣化
・私は日本人の知性・モラルが劣化していると感じる。これは文化人・政治家から始まった。百田尚樹は「普天間基地は何もない所にできた」としたが、役所があり汽車が走っていたが、沖縄戦で全てが破壊され、住民が避難中に基地が作られた。彼はそれを知らない様だ。※竹田恒泰/安倍首相/杉田水脈議員/新潮については省略。
・知性・モラル劣化の原因に「ネトウヨ」がある。安倍首相・麻生大臣は新聞を批判し、ネットを評価する発言をしている。ネトウヨには、①政権を賛美する、②政権の反対者を攻撃する、③左翼・弱者を攻撃する、④隣国の脅威を煽るが、米国は批判しない、⑤安全保障を強調し、人権・平和憲法を攻撃する、⑥年金・貧困・教育に関心はないが、平和教育を攻撃する、⑦天下国家を論じるが非論理的、⑧匿名が多い、⑨表現は過激で、内容は誹謗中傷、⑩世間の話題に即応する。
・ネトウヨの背景に安倍・麻生政治がある。2013年自民党「ネット対策チーム」が対立候補や他党へのネガティブキャンペーンを始める。「豚足食っとけ土人」「本物の沖縄県民は辺野古移設に賛成」「沖縄県民は売国奴で良い」などのヘイトスピーチが活発化している。
○旧日本軍との類似
・安倍・麻生政治は旧日本軍と類似する。①現場を押さえる「権威主義」、②現場の意見を聞かない「傲慢」、③悪影響を生む人事、④上司に盲目的に従う部下。先述した「政治の私物化」は①②に要約される。安倍政権はコロナ禍で医療専門家の意見を聞かなかった。戦争中米軍は科学者の自主性・自立性を確保し、レーダーを開発した。ノーベル賞受賞者・真鍋淑郎は「政府は学術会合の言う事を聞いているのか」と疑う。
・③④は組織に重要だ。米軍は成果を出せない人物は降格させた。一方日本軍は真っ当な意見を斥け、上の命令に従うだけが選択肢だった。ノモンハン事件の辻正信参謀は中央に返り咲き、インパール作戦の牟田口廉也中将は陸軍士官学校の校長になった。権力者に従えば昇進した。これらは安倍・麻生政治と重なる。
・安倍・麻生政治は「戦争できる国」にするための政治だ。これが両者の考えなのか、両者が米国隷属政治家のためなのか分からない。そうなれば中国との代理戦争で、最後のご奉公ができる。そして沖縄は再度捨て石になる。
<3.沖縄から見る隷属国家>
○敗戦の責任
・「隷属国家日本」が国民に明らかになったのは孫崎亨『戦後史の正体』(2012年)による。しかし沖縄の人には常識だった。沖縄からは敗戦の責任や隷属国家としての負担を沖縄に押し付けてきた日本の姿がよく見える。白井聡は『永続敗戦論』で「国民は独立国の体を成していない事を知らない」とし、「それは敗戦の責任・負担を沖縄だけに押し付けてきた差別構造が原因」とした。この負担は70年前の「サンフランシスコ講和条約」「日米安全保障条約」で始まり、50年前の沖縄復帰で強固になり、安倍・麻生政治で強化された。
○沖縄知事に見る戦後史
・沖縄戦で3~4人に1人が亡くなった。安全保障を背負わされた沖縄県の3人の知事(屋良朝苗、大田昌秀、翁長雄志)を通し、沖縄の戦後史を見る。朝鮮特需で日本は経済発展するが、沖縄は米軍による事件・事故が茶飯事で、米兵が殺人しても治外法権で無罪になり、基本的人権も蔑ろにされた。
・教育者・屋良(※任1972~76年)は教育復興を熱望するが、遅々として進まなかった。彼は復帰運動を先導する。復帰するが米軍基地は残り、自衛隊も乗り込む事になる。1971年11月彼は建議書を携え上京するが、空港に到着した時点で沖縄返還協定が強行採決される。建議書には「26年に亘り異民族に支配され、県民は本土復帰を要求し続けた。平和憲法の下での”即時無条件かつ全面的返還”を求めた。沖縄戦も体験し、再びこの様な状態にしてはいけないと心に固く決めた。沖縄の歴史を知れば、誰でも納得できる事だ」とある(※大幅に簡略化)。日米共同声明と沖縄返還協定により日本が米国の戦略体制に組み入れられる事を案じたが、理解されなかった。
・1990年大田(※任1990~98年)は知事になる。1995年12歳の少女が米兵に集団強姦される。8.5万人が集まった抗議集会で、彼は大人として少女を守れなかった事を詫びる。彼は米軍用地契約を拒む地主の代理署名を拒否する。しかし最高裁は上告を棄却し、県は敗訴する。『沖縄:冷戦の島』にこの時の彼の証言がある(※簡略化)。
1879年琉球処分で琉球が拒んだものがある。それは軍隊の駐留だ。琉球は「弱小国は対話・友好で隣国と平和を保つべきで、武力は武力を招く」と反対した。しかし政府は日本軍駐留を決めた。
沖縄は決定権を奪われた。県は2015年までの「基地返還アクションプログラム」を作製した。軍事基地を平和・幸福を生み出す場所にしたい。太平洋諸国との友好のため、沖縄の地理的優位性を再活性化させたい。
・翁長(※任2014~18年)は自民党の政治家だ。彼は「イデオロギーよりアイデンティティ」を唱え、辺野古新基地建設に反対し、「オール沖縄」を組織する。オスプレイ配備と普天間基地県内移設に反対し、市町村長が東京でデモ行進した。このデモに「売国奴」「非国民」などの罵声が浴びせられる。これで彼は「オール沖縄」の設立を決めたのだろう。
・彼は前知事が承認した辺野古埋め立てを撤回する。上京しても面会を拒否されたり、予算を削減される。彼は名言を残している。「沖縄人を馬鹿にしてはいけない」「命の限り頑張ろう」「”日本を取り戻す”に沖縄は入っているのか」「日米両政府の権力と闘ってきたのは沖縄だけ」「日米の安全保障体制は沖縄の砂上の楼閣に乗っている」。
<最後に>
・米国副大統領が世界一危険と言った普天間基地の閉鎖が決まるが、辺野古新基地移設となった。沖縄は依然、米兵による事件、航空機による事故・騒音、消火剤PFASによる汚染が続いている。基地内でデルタ株・オミクロン株の感染が発生し、中部で爆発的に感染者が増えた。基地でPCR検査は実施されず、米兵はマスクなしで歩き回り、米国隷属を象徴する。
・自衛隊と米軍が台湾有事を想定した共同作戦の原案を策定した。南西諸島に軍事拠点を置くとあり、沖縄は再度戦闘に巻き込まれる。安倍・麻生政治は「戦争できる国」を目指す。南西諸島はまたも米国代理戦争の捨て石にされる。
・矢部浩治は憲法改正を説き、「日本は最低限の防衛力を持つ」「今後、国内に外国軍基地を置かない」を明記するとした。これは米軍が撤退したフィリピン・モデルだ。憲法が骨抜きにされ、米軍の戦争に加担しようと政府が暴走している。しかし国民の意識は低い。自衛隊は「住民を守るのは自衛隊ではなく自治体」とした。これは沖縄戦の再来だ。デゥテルテ大統領は「米軍はスービック湾に戻りたがっている。そうなって戦争が勃発すると、フィリピン人は絶滅する」と述べ、米国の要求を拒否した。彼の様な政治家を望む。
第8章 アジアでは日本に従え 猿田佐世
・「アジアでは日本に従え」。これは外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』(2021年4月、※バイデン就任直後だな)に掲載された論文の題名で、副題は「日米逆転はなぜ起きたか」だ。内容はトランプ政権で米国はインド太平洋地域での名声を失い、日本が米国の役割を担う様になった。米国が立場を取り戻すには日本に従うしかないとした。私はこれを支持しない。それは日本がリーダーシップを取ると対立を深めるからだ。ただし日本がリードする存在なのは同意する。
・2017年私は『自発的対米従属』を出版した。その後日本周辺の安保・外交は急変した。中国は対外拡張主義を積極化させ、米国は米国第一主義を掲げ、米中対立は激化した。日本は敵基地攻撃能力を議論し、防衛費は10年連続で増加し、軍事力を強化した。さらに率先して米国に働きかけ、アジアでの対立を先鋭化させた。日本は東アジアにおける安全保障の「ステータス・クオ」(現状維持、※クオはラテン語)を目指した。この姿勢は「自発的対米従属」の言葉を超えている。
<1.米国に強硬姿勢を求める>
○核の先制不使用に反発
・日本は米国の外交政策をより強硬な方向に導いている。例えば核兵器の「先制不使用」問題だ。オバマ政権は「核なき世界」を提唱し、その第一歩として「先制不使用」を宣言しようとした。ところが宣言は出さなかった。2021年4月オバマ政権で核不拡散を担当したトーマス・カントリーマン元国務次官補が「宣言断念の理由は、日本が”中国に間違ったサインを送る”としたため」と明かす。唯一の被爆国の日本は米国に抗って核を推進しようとした。
・今のバイデン大統領も大統領選の公約で、核の役割は「唯一の目的」(先制不使用と類似)とした。2021年3月国家安全保障戦略でも「核兵器の役割低減の措置を取る」とした。今後バイデン政権が宣言する可能性はあるが、日本が抵抗している。岸田首相は「全ての核保有国が同時に行わないと有意義でない」と反対している。
○核の傘
・日本は核の傘に頼る安全保障を堅持している。オバマ大統領就任直後(2009年2月)、米国議会が「米戦略態勢に関する諮問会議」を開く。日本は秋葉剛男・駐米大使らが出席し、メモ「米国の拡大抑止についての日本の視点」を提出する(※拡大抑止は抑止力の強化を意味する)。これで「核の傘」の重要性を説き、地下施設・移動式目標/サイバー攻撃・衛星攻撃/接近阻止・領域拒否戦略などの対応を要求した。戦略核弾頭削減も、日本との事前協議が不可欠とした。米国は核弾頭搭載の巡航ミサイル「トマホーク」の廃棄を予定していたが、日本は強く反対した(※防衛省は抑止力の強化を求めるだろうな)。米国からは核兵器も持ち込みの提案があった。
○対立は是・対話は非
・日本のステータス・クオ(現状維持)の働きかけは、「核の傘」に限らない。2018年トランプ政権は北朝鮮に大陸間弾道弾ミサイルの放棄を交渉しようとするが、日本が反対する。それは放棄すると米本土が安全になり、北朝鮮への関心がなくなるからだ。そのため日本は高度なミサイルの開発をありがたがった。また日本はトランプと金正恩との会談に反対したり、その会談前の米韓軍事演習の中止に反発している。
○トランプ外交を引き戻す
・日本のステータス・クオ(現状維持)の姿勢は、トランプ政権時代に露呈する。彼は「米国第一主義」を掲げ、大統領選時から「駐留経費を全額負担しなければ、在日米軍を撤退させる」とした。そのため当選すると安倍首相はトランプタワーに飛んで行き、日米同盟の重要性を説明した。これらの働きかけにより、2017年2月の日米首脳会談の共同声明で「日米同盟のあらゆるコミットメントに揺るぎはない」と発表された(※トランプ2.0では、この辺が怪しくなっているかな)。その後も彼は駐留経費の増額や安保条約破棄に言及し、日本は相応の手当てをしている。
○弱腰バイデン
・トランプ政権は中国からの輸入に高関税を掛け、対中強硬姿勢を鮮明にした。コロナウイルスをチャイナウイルスと呼び、在米中国領事館を閉鎖し、台湾に武器を輸出し、高官も派遣した。2020年11月バイデンが当選すると、日本の安保関係者はバイデンの弱腰姿勢を懸念する。これは与党だけでなく野党からも懸念された。この大合唱もあり、米国の対中政策は維持された。2021年4月日米首脳会談の共同声明に台湾に関する記述が半世紀ぶりに入り、日本の外交・防衛関係者は安堵する。彼らは米国に寄り添う日本を確信し、「大きな進歩」とした。その後バイデン政権は「日米豪印4ヵ国連携」(QUAD、※2007年第1次安倍内閣が設立)、「米英豪安全保障協力枠組み」(AUKUS)を立ち上げ対中強硬姿勢を維持する。
<2.軍事力の増強、既存秩序のリード>
○米国を巻き込む
・中国が力を付け、米国が力を落としている。日本の安保関係者は「米国に東アジアへの関与を維持して欲しい」と願う。外務・防衛官僚も「米国をどう巻き込むかが重要」とする。従来は米国が日米協力の青写真を描き、日本が宿題をこなす構図だったが、変わりつつある。
・日本は軍事力を強化し、米軍と自衛隊の一体化を進めてきた。その代表が安保法制の制定や敵基地攻撃能力の議論だ。安倍首相は辞任直前、「助け合う同盟は絆を強くする」と日米同盟強化の理由を述べた。内閣官房副長官補・兼原信克は「米国が公平と思える水準まで防衛費を増やさないと、米国は日本を見捨てる。防衛費をGDP比2%まで増やす必要がある」と述べる。佐々江賢一郎・元駐米大使も「米国の自己回復を待ちつつ、日本として努力する」と述べる。
・この「努力」の代表が「自由で開かれたインド太平洋構想」(FOIP)だ(※2016年第3次安倍内閣が提唱)。日本はこれを積極的に推し進め、トランプ政権/バイデン政権も同意している。発案者の外務省北米局長・市川恵一は「米国は基本的には内向き。そのため日本は米国にインド太平洋に関心を持ってもらうよう導く必要がある」と述べる。
○米国は日本のリードが必要
・これらの努力により「アジアでは日本に従え」の論調が起きた。日本の努力を表しているのが「アーミテージ・ナイ報告書」だ。これは米知日派による提言書で、「日本外交の教科書」と言われる。リチャード・アーミテージ元国務副長官とジョセフ・ナイ元国防次官補が共同執筆している(※戦略国際問題研究所が定期的に発表)。
・2020年12月第5次報告書が発表される。同報告書は日米同盟の最大課題は中国とし、日本に台湾とのさらなる政治的・経済的関与を求めた。防衛協力に関しては「相互運用」から「相互依存」に高めよとし、反撃力・ミサイル防衛を直近の課題とし、防衛費のGDP比1%なども問題とした。同報告書は「国際政治の現状」についても述べている。米国の減速と日本に頼らないといけない状況を述べ、「初めて日米同盟を日本が主導する立場に、あるいは日米が対等の立場になった」とした。そしてFOIPを進めた安倍首相を評価している。
・第1次報告書(2000年)では日本が集団的自衛権を認めていない点を制約としていたが、その後日本は軍事力を拡大し、安保法制・武器輸出規制を変化させた。日本の安保関係者は「彼らの期待に追い付いた」と喜んだ。第5次報告書は日本が日米同盟をリードするように求めた。この現象は米国が日本の力が必要になった事を表す。この傾向はバイデン政権が予算難やコロナ禍に苦しんでいる事からも分かる。
○米国に代わってハブに
・第5次報告書は米国の減速により覇権体制の維持が困難としている(※世界各国に基地があり、その負担は莫大だろうな)。従来は日米同盟・米韓同盟などのパートナー関係で米国がハブ(中心)になっていた(ハブ&スポーク型)。ところが同報告書は、日本の経済力・軍事力でインド太平洋地域の秩序を維持しようとしている。また従来は多国間地域機構を重視しなかったが、「ASEAN地域フォーラム」(ARF。※ASEANを中心とした安保機構。中国・ロシアも参加している)の強化を提言している。
・この移行について多くの知日派が発言している。国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官のカート・キャンベルは「同盟を維持しながら、地域間の軍事・情報パートナーを促進し、ハブ&スポーク型をタイヤで繋げるべき」と述べる。同アジア上席部長のマイケル・グリーンは「日本の様な同盟国にはハブになる事が求められる」(※簡略化)と述べる。
・確かにトランプ政権はアジアを軽視し、東アジアサミットを欠席している。一方日本は「東南アジア諸国連合」(ASEAN)との関係を深め、防衛協力を進めている。2016年日本はASEANとの防衛協力の指針として「ビエンチャン・ビジョン」を発表し、能力構築支援/防衛装備品移転/技術協力/訓練・演習の実施を謳っている(※詳細省略)。
・ASEAN諸国は米中の間で厳しい立場にある。中国とは南シナ海で領土問題があるが、経済的には中国に依存する。彼らはバランス外交を行い、「米中いずれかを選ばせるな」の対応をしている。ただし日本の働きかけが功を奏し、「米中以外なら日本を選ぶ」となっている。
・「スポークを繋ぐタイヤになる」「日本が米国に代わるハブになる」はASEANに限らない。日本はFOIPを外交指針とし、日米豪印の軍事同盟QUADにも積極的だ。2022年豪州と日米地位協定に相当する「円滑化協定」に署名している(※自衛隊と豪州軍の相互協力)。
<3.対米従属>
・先日テレビに出演した。討論テーマの「日米安保と主体的安全保障」が目に留まった。気になったので担当者にメールし、返信が来た。「日本は対米従属とされるが、近年は敵基地攻撃能力/防衛費増額から主体的安全保障と言われる。これらは主体的なのか。そもそも対米従属とは何か」(※簡略化)。ジョン・ダワーは「従属」を「米国の戦略・外交政策に反対しない事」としている。古閑彰一は米国の対日政策を「米軍基地の確保、自衛隊の指揮権、核の傘、アジア太平洋地域のヘゲモニー」としている。しかし近年は日本が強く反対する事もある。例えば米軍基地の確保/核の傘を否定する発言をしたトランプが大統領になり、日本、特に指導者層が拒否感を示している。
・白井聡は対米従属を戦前の「国体」に例え、「米国が日本の上に君臨する構造」と指摘している(※面白い例えだな)。その君臨する米国は敬仰する「米国」なのか。それは核大国・軍事大国で、この地域に君臨する覇権国で、対立構造をステータス・クオ(現状維持)してくれる「米国」だ。軍事演習を中止するのは「米国」でない。期待を裏切るなら、「あらまほしき米国」に戻る様に働きかける。「あらまほしき米国」「国体護持」のため、懸命になっているのが今の日本だ。
・米国が国力を落とし、2024年大統領選でトランプが再選すれば、米国が「あらまほしき米国」でない事が露呈する。「あらまほしき米国」が結局単に軍事力信仰に落ち着くなら、それが憲法第9条で平和主義を掲げる国家の成れの果ての姿だ。
・私は先の返信を読み。敵基地攻撃能力などの取り組みを主体的と評価されている事に愕然とした。日本は米国に命じられなくても「対立を基調とする地域のステータス・クオ(現状維持)」に懸命で、米国の意思に背く事もある。「天皇の威を借り」た様に「米国の威を借り」て、「主体的安全保障」と言うより「忖度的安全保障」を行っているが(※忖度する相手は米国?)、そこには日本の強い意志がある。日本は「米国に従属させられている」とのマインドセットから卒業すべきだ。「対米従属」と表現すると、日本が本来持つ責任を曖昧にし、改善の糸口を見出せない。日本がこの選択(※認識ではなく選択?)を主体的に変えない限り、安全保障環境は改善されない。
第9章 対米自立がなぜ世論の大勢にならないか 松竹信幸
・本書の読者は日米関係が対等平等でない事への批判があるだろう。2009年民主党が「対等な日米関係」を掲げるが、成果はなかった。自民党政権が続く限り、変化はないだろう。
・私は当初はこの解消は簡単と考えていた。敗戦による米軍駐留から始まったにしても、半世紀以上経過するからだ。しかし対米従属はさらに深まっている。そこで8年前「自衛隊を活かす会」を立ち上げ、現状から抜け出す道を探し始めている。
<1.地位協定改定過程から見えてきたもの>
○「行政協定改定問題点」を分析
・昨年『<全条項分析>日米地位協定の真実』を上梓した。政府が作成した文書「行政協定改定問題点」(※以下当文書)を指針として、地位協定の全条項を分析した。当文書は、1960年新安保条約に伴い、外務省が中心になって纏めたものだ。当時の政府は「主権国家として行政協定のここは放置できず、改定する」と考えていた。これは今の「協定の改定には踏み込まない」と異なる(※当時は反対運動が強かった。今は諦めもあるのかな)。一方特定分野では主権より米軍特権を優先している。これは米軍の機能を発揮するためで、特定と言うより本質かもしれない。
○日本の主権は日米安保を妨げない範囲で
・例えば地位協定の第3条は「基地管理権」を規定する。行政協定では「米軍は基地内で必要な権利・権力及び機能を有する」で、治外法権そのものだ。そのため当文書で「両政府の合意により定める条件で使用する権利」に改める事を求めた。この結果、権利の言葉が一切なくなった。ところが政府は今だ「基地管理権」「排他的権利」などを使っている。文面は「米軍は基地内で必要な全ての措置を執る事ができる」となっており、実際全ての事ができている。第3条は周辺住民にも関わる。実際、飛行訓練の騒音や、軍需品から発がん性物質が垂れ流されている(※PIFASだな)。しかし政府は米軍の運用に支障を来さないため、権利の言葉を使わないが、権利を保障する文面にした。
○国民の安全より安全保障が優先
・他の条項も同様に米軍の活動を最優先している。第6条は「航空交通等の協力」を規定する。これは横田・岩国基地周辺の航空機の進入管制の根拠となる。行政協定は「安全保障の利益を達成するため、必要な程度に調合する」となっており、安全保障からアプローチしている。そのため当文書で「航空交通の安全及び安全保障の利益のために調整される」への変更を求めたが、米国は拒否する。結局政府は国民の安全を考慮したが、安全保障が最優先になった。
・対米従属の言葉には「強制」の語感がある。「日本の安全保障には米軍が不可欠で、その運用を守るのが日本の使命」との立場に立てば、「強制」は消え、自分の意思で対米従属を選んでいると言える。戦後70年経過したが、この姿勢が原点となり対米自立が世論の大勢にならない。
<2.冷戦が終わっても従属は深まる>
○尖閣に安保条約第5条の適用を求める理由
・対米従属は冷戦が終わっても、どんどん深まっている。例えば首相や米国大統領が代わる度に、尖閣諸島が安保条約第5条の対象か確認する。そこでOKを貰って安心する。一方冷戦時代、北海道が安保条約第5条の対象か確認した話は聞かない。この変化は米国の戦略が変わったからだ。
○米国が同盟国を守るのは自明でない
・冷戦時代、米国にとってソ連は政治的な敵対国で、経済的な繋がりもなく、滅びても構わない相手だった。そのため軍事面では壊滅を厭わない抑止戦略を取った。自由主義を掲げ西側諸国を結束させた。わざわざ米国に日本を守ってくれるか確認する必要はなかった。もし中東で米ソ戦争が起こると、日本は3海峡の封鎖が求められた(※宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡だな)。つまり西側全体を守るために西側全体が動員される戦略だった(※ベトナム戦争に韓国軍が参加した)。
・今の中国は社会主義で、米国と政治的・イデオロギー的に相容れない。しかし経済的には密接な関係にある。ところが冷戦時代は西側にもソ連の社会主義に魅力を感じる人がいて、強力な共産党が存在した。そのため米国は社会主義の影響を拒絶した。しかし今の中国の社会主義に魅力を感じて、中国の仲間になろうとする人はいない。そんな時代なので、米国は無人の島に関心はない。
○自発的なのも従属の枠内
・日本はこの変化に気付き、センシティブになっている。米国が確約しても不安は拭えず、専守防衛を投げ捨て、自身が血を流す方向に進んでいる。2003年イラク戦争で小泉内閣は自衛隊を派遣する。それはいざと言う時、守ってくれるのが米国だからだ。安倍内閣での集団的自衛権の容認も自衛隊が米国を守らないと、米国は日本を守らないと判断したからだ(※双務性かな)。
・この変化に伴い、抑止力の概念も変わる。この概念は元々は米国が核を保有し、圧倒的戦力を持った事で生まれた。防衛大学学長・五百旗頭慎は「日本は専守防衛なので、抑止力は持てない」と語っている。ところが日本の役割の拡大により政府は「日米同盟の抑止力」として、「日本も抑止力の一翼をになっている」としている。日本が自発的・積極的に役割を果たす様になり、「従属」と言えない。この変化は「米国は日本を守らない」との不安から生まれており、従属的な安全保障戦略が起因だ。
<3.抑止力に替わる戦略は野党にもない>
○立憲民主党は安全保障分野で対立軸を作らない
・いざとなれば米国が守るとの対米従属から脱却するには、抑止力依存から決別する必要がある。ところが野党は抑止力を否定しない。昨年の総選挙(2021年10月)で立憲民主党/共産党/社民党/れいわ新撰組が市民連合(※安保法制廃止/立憲主義などを目的に結成された組織)と政策協定を結ぶ。それに新安保体制の違憲部分の撤回、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加、辺野古新基地建設の反対などが盛り込まれる。ところが違憲部分の撤回は集団的自衛権の否定に過ぎず、抑止力の否定ではない。立憲民主党の安全保障政策は自民党の政策と変わらない。
・枝野幸男が代表の時、『枝野ビジョン』を公表したが、「安全保障政策は対立軸にすべきでない」としている。枝野代表が辞任し、4人が立候補するが、彼と考えは変わらなかった。民主党政権は普天間基地の県外移設を公約にしたが撤回した。今回は県外移設と抑止力を両立させるのであれば、その説明が欲しい。※抑止力はよく聞くが、その正確な内容を理解していない。
○共産党は安保廃棄・自衛隊解消 ※条約は破棄が適切では。
・共産党は抑止力に反対し、核兵器禁止条約も無条件で批准とする。また安保条約廃棄・自衛隊解消を基本政策とする。しかし国民の支持は得られていない。そのため総選挙での共闘に安保条約廃棄・自衛隊解消を持ち込まなかった。実は共産党の綱領には安保条約廃棄・自衛隊解消は3段階で行うとなっている(※引用省略)。第1段階は海外派兵禁止/軍縮で、安保条約も自衛隊も維持される。第2段階で安保条約を廃棄し、国民の合意を得て自衛隊を解消する(憲法第9条の完全実施)。基本政策は立憲民主党と180度異なるが、第1段階だと共通の土俵で議論できる。「安全保障を維持しつつ、核兵器禁止条約に批准する道があるのでは」「唯一の核被爆国として抑止力を支持すべきでないのでは」などの議論ができると思う。
○オール沖縄の事例
・沖縄では共闘が成立した。沖縄は安保を容認する保守勢力と否定する革新勢力が対峙していた。普天間基地の移設問題が浮上すると自民党の攻勢が強まり、保守県政が続いた。ところが辺野古基地の建設問題が生じ、建設阻止で保守勢力と革新勢力が団結し、「オール沖縄」が結成される。彼らは安全保障政策の議論を進めている訳ではないが、辺野古基地建設は抑止力の強化が口実のため、客観的には抑止力と対峙する。
・現在は保守勢力のオール沖縄離れが見られ、地方自治体の選挙での敗北に繋がっている。日本国民の沖縄への関心は低い。これを高めるためにも、抑止力に替わる新しい安全保障政策が求められる。野党共闘の道筋は見えない。政権を奪うには共闘しかない。そうであるなら安全保障政策の議論を避けるのではなく、新しい安全保障政策を掲示すべきだ。それが米国の抑止力頼みでないなら、対米自立も成せる。
<4.「自衛隊を活かす会」が掲示する抑止力に替わる選択肢>
○元防衛庁長官も参加
・8年前「自衛隊を活かす会」(※以下同会)が発足した。憲法第9条の下、新しい防衛政策を掲示するのが目的だ。代表は柳澤協二で、小泉首相がイラク派兵した際、内閣副官房長官補に抜擢されている。民主党政権が普天間基地の県外移設で混迷した際、「沖縄に海兵隊はいらない」とした論評で注目される。その時私は『抑止力を問う』を刊行し、これが同会発足の切っ掛けになった。
・同会は自衛隊による防衛や国際貢献をテーマにする。自衛隊の元幹部や国際政治の専門家を招いたシンポジウムを催している。ここ2年は抑止力に替わる戦略を求め、3つの提言を公表した。元防衛庁長官・石破茂も注目し、同会の『抑止力神話の先へ』を評価し、「抑止力の整理に役立つ」と述べている。元防衛庁長官・山崎拓は対談で「米軍の存在が抑止力としてきたが、柳澤はこれに異を唱えた」「この大きな一石は安保条約見直しに繋がる」と述べている。
○核抑止抜きの専守防衛、核兵器抜きの抑止
・同会の提言で強調したい2点がある。1つ目は「核抑止抜きの専守防衛」「核兵器抜きの抑止」だ。これは安保条約の廃棄ではない。日本に侵略する国に武力で阻止する防衛体制を敷き、これを見せる事で相手の行動を抑える。つまり抑止を完全否定していない。しかし核兵器の不使用は明確にしている。
・例えば中国が尖閣諸島を奪いに来た場合、相手を周辺から追い出すが、何度も繰り返されるだろう。現時点では出撃拠点に核兵器も辞さず壊滅的な打撃を与える事になる。米国が中国本土を核兵器などで攻撃すると、米国本土も攻撃される。無人の島のために、米国はこんな事をしない。実際は尖閣の奪い合いになり、どこかの段階で外交で決着となるだろう。この程度の戦争であれば自衛隊でも戦えるし、消耗戦になれば米国に仲介も依頼できる。核兵器の使用が人道に反するとの認識は高まっており、「核兵器抜きの専守防衛」こそが現実的な選択肢だ。
○台湾問題を巡る対応
・この立場に立てば、対米自立も可能になる。台湾を巡る米中の争いにどう対応するかも、この問題と関係する。中国が台湾を武力統一すると米国が阻止し、日本が軍事的に支援するのが当然の様に思われている(※今は米国が何もしない事が考えられる)。何より沖縄を戦場にしない事を優先すべきだ。中国が台湾侵攻すると米軍が本土から来るまでは自衛隊が戦う事になる。日本も日本を戦場にしない事を宣言すべきだ(※宣言しても、自衛隊が出れば、自衛隊の基地が攻撃される)。これは台湾侵攻を見過ごす訳ではない。2400万人が暮らす島を武力で制圧する事は中国の国内問題で済ませられない。
・日本に必要なのは、武力統一を撤回させる事が。武力統一の方針は台湾の民心を離反させ、敵意を生み出し、台湾政策を破綻させる(※これは占領後?)。この役割を米国に宣言し、外交活動を展開すれば、それは対米自立になる。
第10章 見果てぬ夢を次代に 岡田元治
・木村朗との縁により本書に参画する事になった。私は言論人ではなく、「ただの怒れる生活者・企業人」に過ぎない。
<1.米軍による統治システム>
・30年位前から「日本は米国から独立できていないのでは」と感じ始めた。これをジョン・G・ロバーツ/グレン・デイビズの『軍隊なき占領』で知り、「9.11同時多発テロ」の虚構を知って確信した。矢部宏治『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること』を読み、孫崎享『戦後再発見双書』で戦後の「米軍統治システム」を知り、ショックを受ける。今の状況は軍事占領継続中なのだ。統治システムの骨子は以下(※簡略化)。
1952年4月「対日平和条約(※サンフランシスコ講和条約)」「日米安保条約」が発効され、占領軍による基地使用/物資調達/占領経費供出/関係者の出入管理/軍用機飛行の米軍特権を認めた占領管理法系は安保法体系に引き継がれる。前年に日米安保条約の内容を知らされていたのは吉田首相だけで、調印の場にいたのも彼1人だ。
日米安保条約と共に発効した日米地位協定(当時は日米行政協定)と日米合同委員会は安保法体系の要だ。地位協定は「国有財産管理法」「土地等使用特別措置法」「航空法特例法」「道路運送法等特例法」「関税法等臨時特例法」「刑事特別法」などの米軍特権を保障している。
地位協定を管理するのが日米合同委員会で、米軍将校と日本の官僚で構成される(※構成図あり)。米側の文官は駐日大使館公使だけで、占領の継続だ。日本側の法務省大臣官房長官は事務次官を経て検事総長になる。
合同委員会は隔週で開かれ、決定事項は国会承認が不要。内容は原則非公開で、国会議員・首相・閣僚に知らされない。「合意と言う名の指示」と言える。
米軍が自由に基地を設けられる「基地権」/自衛隊を自由に使える「指揮権」/横田空域/裁判権放棄などは合同委員会で決まった密約だ。米軍基地の管理権・立入権・訓練規制・捜査権は欧州では認められているが、日本は認められていない。
優先関係は、日本国憲法<日米安保条約<日米地位協定<日米合同委員会となっている。1972年この構図を国務省が指摘しているが、「日本は変更を求めていない」とした。
「対外有償軍事援助」(FMS)も酷い。納期・金額は米国の言いなりになる。
・これらから完全な軍事占領と言える。これをマスコミが伝える事はない。
<2.米中関係と台湾問題>
・「言わせてもらえない」マスコミは、欧米の軍産複合体が敵視する中国・ロシア・北朝鮮の問題は煽り立てる。実際の米中・中台関係はどうなのか。中国総研『海峡両岸問題』(2021年)から引用する(※簡略化)。
2021年バイデンは日米共同声明に初めて台湾問題を盛り込み、「日米安保は対中同盟に発展した」とした。日本のメディアは「台湾問題は日本の安全保障の死活問題」と煽るが、これは外務省発表の垂れ流しだ。
中国は「台湾統一は社会主義共和国の実現」を戦略目標とする。しかし武力統一はプラスではなく、一党独裁を動揺させる危険な選択だ。外国勢力が戦争を仕掛けない限り武力統一はない。
バイデン政権は「2022年以降が台湾の最大の危機。6年以内に中国が侵攻する可能性がある」とする。2027年が人民解放軍100周年だが、根拠はない。
中国は受け身だ。海峡を巡る軍事的緊張は米中による戦闘意思・能力のテストだ。
2019年習近平は「30年以内の統一を目指す」とし、5つの台湾政策を示した。①民族復興を図り、平和統一が目標。②「一国二制度」を台湾の各党派・団体と模索する。③「武力行使の放棄」は約束しない。武力行使の対象は、干渉する外国勢力と台湾独立分子(※なので高市発言に過剰に反応した。独立分子には武力行使か)。④中台の融合発展を深化させ、平和統一の基礎を固める。⑤中華文化を増進させる。特に台湾青年に工作する。
米中の国交が樹立した1979年、中国は台湾政策を武力解放から平和統一に転換し、一国二制度を提起する(※そんな前から一国二制度があった)。
解放軍系の専門家は「平和統一後、台湾は一国二制度とするが、社会制度・生活様式・軍隊・警察・行政・司法・通貨を維持し、指導者も選出できる。軍隊は駐留させない。ただし外国勢力の干渉は容認しない」とした。
中国が武力行使するのは外国勢力の干渉と、①台湾の分裂勢力が行動した場合、②分離をもたらす事変が発生した場合、③平和統一の可能性が消失した場合に限る。
外国勢力の干渉はレッドライン。日本は南西諸島の軍備強化・日米共同行動を進めている。「日中平和友好条約」「国交正常化共同声明」に「1つの中国」が明記されているが、日本はレッドラインを越える覚悟があるのか。
安全保障は共通の敵を作って包囲する事ではない。外交努力で地域の安定を確立する事だ。
・1979年人民解放軍による金門島砲撃を最後に戦闘は起きていないが、国共内戦は終わっていない。田中宇がブログ「田中宇の国際ニュース解説」で国際情勢を分析している(※簡略化)。
米欧豪日は「民主主義の台湾を守れ」と言うが、「1つの中国」を認めている。これは勝った方を中国として認める立場だ。大半の国がこれを認め、米欧豪日は中国とだけ国交を持つ。台湾と国交を持つのは15ヵ国に過ぎない。
それなのに米国は台湾に武器を売ったり、議員団を派遣し、上辺の支援をする。その度に中国は台湾への威嚇を強める。「豪英米軍事同盟」(AUKUS)が発足した時、中国と台湾がTPP加盟申請する。この時豪は中国の申請だけを認めた。豪にとって中国は最大の貿易国なので、こうなる。
1979年の米中国交正常化前、中国は米国が台湾を中国から切り離し、保護する事を不可能にするため、「1つの中国」を求めた。1972年共同声明に「台湾は中国の一部。米国は台湾問題が中国人同士で平和的に解決される事を望む」と記された。
・以上の分析は2021年7月習主席演説と符合する。演説にはアヘン戦争(1840~42年)で屈辱的な不平等条約を結ばされ、香港を奪われ、今も中台問題で外国に手出しされている悔しさが溢れている。日本は日米地位協定・日米合同委員会に抑え込まれており、中国が羨ましい。演説の趣旨は以下(※簡略化)。
中国共産党と中国人民は立ち上がった。中華民族が搾取され辱められる時代は終わった。帝国主義・覇権主義による転覆・破壊・武装挑発に打ち勝った。
香港特別行政区・マカオ特別行政区・台湾の同胞と華僑に心から挨拶する。
中国共産党と人民を分割させる企ては思いのままにならない。中国共産党員も人民もそれを許さない。外国勢力が中国を抑圧し、奴隷の様に扱う事を許さない。そうすれば14億人の人民による「鋼鉄の長城」が打ちのめす(※高市発言で東シナ海に漁船が大挙した)。
国際情勢の矛盾・課題を理解し、戦い、あらゆるリスク・挑戦を克服する。
私達は「一国二制度」「香港人による香港の統治」「マカオ人によるマカオの統治」、高度な自治と中央の全面的な管轄権を実行する。
台湾問題を解決し、祖国統一を実現する。これは共産党の歴史的任務で人民の願いだ。「1つの中国」を認めた「92年コンセンサス」(※中台の交渉窓口の合意)を堅持し、祖国の平和統一を推進する。「台湾独立」の企みは粉砕する。人民の国家主権・領土を守る決心・意思・能力を見くびるな。
100年前は中華民族の落ちぶれた姿だった。今は世界に活気に満ちた姿を見せ、偉大な復興を歩んでいる。
※国民党が中華民国を建国したので、中国(中華人民共和国)は「国民」の言葉を使わず、「人民」の言葉を使うのかな。
・以上が日米政府とマスコミが煽る台湾問題の分析だ。マスコミは相変わらず欧米追随で事実を伝えない。それは軍産複合体に抑え込まれているからだ。米中間・中台間で戦闘が起きないのは、中国総研と田中の分析から確信できる。外国勢力が火蓋を切らない限りだ。ウクライナ侵攻も米国の誘導かもしれない。これで利益を得るのは戦争商売と大手マスコミだ。
<3.マスコミによる情報管理>
・マスコミは書籍・インターネットに溢れる事実に触れない。逆にそれらをフェイク・陰謀論と腐す。2009年頃マスコミが小沢・鳩山を攻撃し、私はそれに嫌気がさし、テレビ・新聞から離れた。2011年東日本大震災で戻ったが、面白い事が分かった。彼らが何を隠し、逆に何を誇張しているかが見えてきた。報道は広告を背負った時点で報道でなくなる。政府が許認可権を持つので逆らえない。玉石混淆ではあるが、書籍・雑誌・インターネットにしか事実はない。
・2020年米国大統領選でマスコミは開票作業・郵便投票のデタラメを報道せず、「トランプが負けて良かった」の一色だった。新型コロナの検査やワクチンに関する宣伝報道も酷かった(※記憶にない)。コロナに関する異論を放送し続けた中部日本放送は「勇気があって良い」と称賛された(※これも記憶にない)。そのマスコミは若者の新聞・テレビ離れで苦しんでいる。延命のため「異論コーナー」を設けてはどうか。
・マスコミは偽情報による賠償責任を負わない。マスコミは民主党政権を潰し、コロナを煽り、中台危機を煽る。どんな災厄をもたらしても製造者責任を負わない。危機ビジネスやグレートリセットでお先棒を担ぐのは止めて欲しい。
・マスコミはネーミングが上手だ。例を挙げる。
連邦準備制度理事会(FRB)-国家機関の様な名前だが、私的金融機関。
真珠湾奇襲-日本の艦船は11月26日に出港しており、攻撃までに13日を要した。しかも通信は傍受されていた。
東京大空襲-焼き払われたのは下町だけ。行政機関や全国の天皇権益は攻撃されていない。
9.11同時多発テロ-映像は大量の粉塵が舞っていた。コンクリートを粉にできるのは爆破だけ。崩落だけでは粉塵は発生しない。※爆破もあった?400mを超えるビルの崩落なので、粉塵になっても不思議ではない。
地球温暖化CO2原因説-地球には温暖期と寒冷期がある。CO2が主因ではない。CO2が減ると、植物も減り、哺乳類は困る。※燃焼により酸素(O2)が二酸化炭素(CO2)に変換され、大気の成分構成が変わる。詳しくないがこれにより温室効果が高まる。
<4.沖縄を売り渡した天皇>
・日本を米軍に売り渡した昭和天皇を恨んでも恨み切れない。「天皇メッセージ」を知っているだろうか。1947年9月19日宮内府御用掛・寺崎秀成が連合国最高司令部外交局長のウィリアム・ジョセフ・シーボルドを訪れ、沖縄の軍事占領に関する天皇の見解を伝えた。このメモ文書が沖縄公文書館にある(※米国から収集したので沖縄公文書館にある)。
琉球諸島の軍事占領の継続を望む。
占領は日本の主権を残し、長期租借による。
占領は日米間の条約による。
・天皇は沖縄占領は日米を利し、共産主義の影響を懸念する国民も賛同するとした。1979年この文書が発見され、象徴天皇下での天皇と政治の関係を示す文書となった。この文書により「国体護持のため沖縄を切り捨てた」「長期租借で潜在的主権を確保しようとした」などの議論が起こる。※独立は1952年4月で占領時代。ただし1946年1月に人間宣言があり、1947年5月新憲法が発効している。
・議論は「占領は日本の主権を残し、長期租借による」の解釈による。サンフランシスコ講和条約(1951年9月)で租借は拒否されたが、実質的な米軍占領は今も続いている。この原文には「based upon the fiction of a long-term lease」とあり、「fiction」は「見做す」だ。続く「with sovereignty retained in japan」は「日本の主権を残す」とも「米国の統治権(sovereignty)を残す」とも解釈される(※後者に思える)。
・9月22日シーボルドは「天皇メッセージ」を国務長官に伝えているが、「疑いなく自ら、すなわち天皇の利益を期するためのもの」と添えている。発見者の進藤榮一は「占領軍も軍事化と民主化で分かれていた。このメッセージにより沖縄が反共拠点としての要塞化が明確になり、歴史的意義がある」としている。翌1948年2月「南朝鮮・日本・琉球・フィリピン、可能なら台湾も含めて反共防衛戦を作るべき」との「天皇メッセージ」も存在する。
・連合国軍の最高司令官に「自分の身はどうなっても良い。戦争責任は自分にある」と述べたとされるが、内実はこうだった。「右寄り」だった私は昭和天皇に対する尊敬・誇りを失った。私も司馬遼太郎を読み大人になり、明治維新・明治大好き人間だった。ところが30代半ばに、「元右寄り」になった。※米国は昔も今も変わらない。政権を軍事力で倒すが、その後の無用な混乱に立ち入らない。
<5.希望は霞の向こう側>
・本書は米国従属・占領継続を解消するためだが。前途は多難だ。日米地位協定・日米合同委員会の現状や積極的・主導的な従属を考えると、希望は見えない。矢部が訴えた様に憲法に「外国の軍事基地は置かない」との一文を加えるしかない。ところが憲法に緊急事態宣言を入れようとする改憲勢力が国会の2/3を占める。もうアングロサクソンの衰退を待つしかないと情けなくなる。
・徳川幕府は250年、ローマ帝国は400年で終焉した。アングロサクソンの覇権もいつか終わる。しかしその次が望ましいとは限らない。今の金融覇権やコーポラティズムの毒も凄まじい(※コーポラティズムについては無知だな)。誰かが話していた言葉に希望を託す。「時代はすこしずつしか良くならない。数百年前は街角で”斬捨て御免”がまかり通った。核爆弾は使ってしまうと双方が壊滅する。そのため使えない。どんな大きな理不尽も数十年では変わらない。でもいつかは変わる」(※簡略化)。この言葉の普遍性に頼り、足元の努力を続けるしかない。「米軍・米国からの独立」と言う見果てぬ夢を次代に繋げていきたい。
編集後記-終わらない占領と植民地主義との決別 木村朗
・本書の副題は「目を覚ませ 日本‼」だ。これは巻頭言を寄せた鳩山由紀夫の提案だ。彼はそこで語っている。
日米関係を深く描くのはタブー視されている。戦後史を「対米従属」vs「対米自立」で見つめ直す書物は少ないが、孫崎亨『戦後史の正体』(2013年)がその道を拓いた。
私は日米関係をジャパンハンドラーに委ねるべきでないと考える。ジャパンハンドラーの考え方が米国の普遍的な声ではないと確信している。
日本はいまだ米国の占領地。そのため沖縄は二重の占領地。多くの国民が「日本の平和・安全は米国により守られている。いざとなれば助けてくれる」と信じている。そうでない事を理解すれば、日本はこの占領から決別できる。
・彼の日米関係と沖縄の認識は本質を突いている。この日米関係と沖縄の状況は、10年前より悪化している。
・日米関係は自発的従属・積極的従属と言われる。白井聡は『永続敗戦論』(2013年)で敗戦を内面化した対米無限従属とアジアに対する敗戦否認を核とする日本の在り方を「永続敗戦レジーム」とした(※戦後80年経ても変われない)。また『国体論 菊と星条旗』(2018年)で、「精神的権威の国体が天皇から米国に移り、永続敗戦状態になった」とした。
・この起源が、1951年9月サンフランシスコ講和条約と共に調印した日米安保条約だ。より具体的には、1952年2月に締結された日米行政協定とそれに関連する密約による。これにより米軍特権が定められ、紛争処理機関として日米合同委員会が設置される。当時はこれらを受け入れなければ国際社会に復帰できなかった。前泊博盛らが『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(2017年)でこの起源を明らかにしている。1960年1月日米新安保条約と共に日米地位協定が調印される。日米地位協定により日米行政協定の不平等が継承される。
・ここで日米合同委員会が注目される。日本の超エリートと在日米軍の高級官僚で構成される組織で、合意事項は非公開で、日本支配を象徴する(※吉田敏浩の書籍を紹介しているが省略)。また米軍空域も注目される。羽田・成田では主権国家の空が外国に飛行制限されている(※横田空域かな。成田も?)。これも日米合同委員会が背景にある。日米地位協定は日本国憲法より上位にあり、その下位組織の日米合同委員会での合意は日本の法律・憲法より効力があり、日本の主権が侵害され続けている。
・この不都合が露呈したのが砂川事件裁判だ。1959年第1審(東京地裁)は米軍駐留が憲法第9条違反として被告は無罪になる(伊達判決)。これが日米当局者の脅威になり、ダグラス・マッカーサー2世・駐日大使が中心となり、藤山愛一郎・外務大臣/田中耕太朗・最高裁長官などを動かす。裁判は「跳躍上告」となり、最高裁は「統治行為論」(※政治性が強い場合、司法は判断を下さない)で再し戻す。1961年再審で有罪判決になる。
・この裁判は「安保法体系+密約体系」と「憲法体系」の戦いだったが、最高裁と政府は憲法をなし崩しにし、米軍を守った。正に「司法権の独立を揺るがす対米従属」で、日本が「半独立国家」である事を示した。この「統治行為論」に対し、当時の最高裁の調査官・足立勝義も疑問を呈している。以降の裁判はこの統治行為論により、憲法判断を一切行わなくなり、司法は判断停止・役割放棄を続けている。
・2013年12月「秘密保護法」が制定され、国権の最高機関である国会も役割を放棄し、日本の統治機構は機能不全に陥った。2015年9月憲法違反の安保関連法案が強行採決される。この時安倍政権は砂川事件最高裁判決を集団的自衛権容認の根拠にしようとした(※説明が欲しい)。これに対し多くの憲法学者から「砂川判決の自衛権は個別的自衛権」との指摘が出される。なお砂川事件裁判で有罪となった土屋源太郎は最高裁長官と駐日米大使を「公平な裁判を受ける権利」を侵害されたとして情報公開と再審を求め、2019年国家賠償訴訟を起こしている。
・日本が「半独立国家」である事は砂川事件だけではない。1956年鳩山一郎内閣は日ソ共同宣言に調印するが、日ソ平和条約は締結できなかった。事前の日ソ交渉で日本は4島返還を求め膠着するが、ソ連側が2島返還を申し入れ、折り合いが付きそうになった。これを決裂させたのが国務長官ジョン・フォスター・ダレスで、「国後・択捉をソ連に帰属させるなら、米国は沖縄を領土にする」と恐喝した(ダレスの恐喝)(※これに関するプーチン大統領、元レバノン大使・天木直人のコメントは省略)。
・ここまで本書の中核である対米従属について述べた。以降は焦眉の課題のウクライナ問題、中国敵視と日米軍事一体化、米中新冷戦と台湾有事に触れる。ウクライナ問題でロシアの脅威が唱えられるが、本当は冷戦終結後はロシアが一貫して脅威を受けていた。NATO/日米安保条約は本来は冷戦終結と共に解散すべきだった。ところが軍産複合体のために、10ヵ国だったNATOは今や30ヵ国に拡大している(※直近は32ヵ国)。
・東アジアでは冷戦時代、日本は米中対立に加担するのを避けた。ところが冷戦終結後、日米安保再定義(※1995年「ナイ・レポート」、1996年「日米安全保障共同宣言」。日本防衛から地域安定に拡大)や新ガイドライン(※2015年。地域安定から地球規模に拡大)により、米中戦争に積極的に参加する方針に変わり、自動参戦システムが構築される。この結果中国敵視のプロパガンダと軍事力による抑止力強化が行われている。この背景が「軍産複合体の生き残り戦略」と「覇権国家転落に怯える焦燥感」で、金儲けと世界支配維持の思惑だ。
・この思考停止からの脱却と中国敵視と日米軍事一体化の転換が必要だ。そのためには鳩山が唱える様に日米安保体制を相対化させ必要がある(米軍基地の縮小・撤退)。その延長に東アジア共同体構想の可能性が浮上する。この相対化は日米安保条約の段階的な廃棄で、最終的には「日米平和友好条約」に転換させる(※まず日米安保条約の内容を知っておかないと)。これは中国従属に替わる訳ではなく、日本を真に独立させ、「東アジア不戦共同体」を構築する。
・「東アジア不戦共同体」の構築と日本の非武装国家化の鍵が沖縄・鹿児島だ。南西諸島等(馬毛島-種子島-奄美-沖縄本島-石垣島-宮古島-与那国島)は軍事要塞化が進められ、自衛隊のミサイル戦闘部隊・海峡封鎖部隊が配備されている(※詳細省略)。憲法違反の安保関連法による日米軍事一体化により戦時に最前線になる。さらに自衛隊の敵基地攻撃ミサイルや米軍の中距離ミサイルの配備が計画されている。正に開戦前夜だ。
・中国の脅威と台湾有事を前提として南西諸島で日米軍事一体化と軍事要塞化が進められている。この危機意識は大切だが、誇張されている。中国は軍事力による統一より現状維持を望んでいる。一方日米と台湾の蔡英文政権が香港・ウイグル問題を絡めて中国を挑発している。米台の軍事訓練が行われ、米国高官が台湾を訪問している(※何かあると中国も台湾を包囲する軍事訓練を行っている)。これは「1つの中国政策」の放棄で、中国の一線を超えている。
・軍事衝突の可能性が一番高いのは、米中対決ではなく、日中の偶発的軍事衝突だ。これは「オフショア・バランス」と呼ばれるシナリオで、漁夫の利を得るのは米国だ。なぜなら戦場になるのは沖縄だからだ。安倍首相は「台湾有事は日本有事、日米同盟の有事」と述べたが、台湾有事と日本有事は無関係だ。米国が米中対立に日本を巻き込もうとしている。
・では東アジアの平和・共存を実現する方法はあるのか。最大の問題は保守化・右傾化する政治だ。これを転換させないと、憲法改悪、日本の核武装、日米vs中ロの本格的対立、日本の戦場化が避けられない。この長期ビジョンが「東アジア不戦共同体」や軍事力に基づかない平和の構築に繋がる。日本の課題は対米自立・脱植民地主義、占領との決別、琉球・アイヌに対する植民地支配の克服、朝鮮半島・中国・東南アジアの過去の植民地支配の清算だ(※相当広がった)。
・そのため細川政権・鳩山政権に続く対米自立政権の樹立が必要だ。しかしこれが困難なのは、ロッキード事件・小沢事件で明らかだ。対米自立を志向する政治家・政権は米国の圧力、官僚の意向、メディアの情報操作、検察の国策捜査で潰される(※関連書籍を紹介しているが省略)。これらを乗り越える政治勢力が必要だ。この深刻な危機を克服するには、思考停止している国民の意思・世論を変える必要がある。主要メディア・権力(政府、国家)・大資本から独立した市民によるインターネット・メディアの構築が必要だ。※近年はSNSが右傾化に誘導している気がするが。
・2022年4月スタートした「独立言語フォーラム」(ISP)はその挑戦です。私達一人ひとりが情報を主体的批判的に分析・評価し、物事の真偽を見極めるメディア・リテラシーを身につけなければいけない。